九鬼周造「いきの構造」   ビギナーズ 日本の思想   (角川ソフィア文庫)

著者 :
制作 : 大久保 喬樹 
  • 角川学芸出版
3.68
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本棚登録 : 167
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044072223

作品紹介・あらすじ

現代の「おしゃれ」「クール」のルーツといえる江戸好みの美意識「いき」とは何か。日本文化論の傑作として名高い『いきの構造』を、明快な現代文に書き改め、各章ごとに内容を要約、読みどころを解説。読みやすく、かつ理解しやすくした。さらに異端の哲学者と呼ばれた九鬼の波乱に富んだ人生遍歴をたどる「生涯と思想」を付載。『いきの構造』が生み出された背景を明らかにしつつ、時代を超えて読み継がれる魅力の秘密に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • Amazonの「内容(「BOOK」データベースより)」によると「現代の「おしゃれ」「クール」のルーツといえる江戸好みの美意識「いき」とは何か。日本文化論の傑作として名高い『いきの構造』を、明快な現代文に書き改め、各章ごとに内容を要約、読みどころを解説。読みやすく、かつ理解しやすくした。さらに異端の哲学者と呼ばれた九鬼の波乱に富んだ人生遍歴をたどる「生涯と思想」を付載。『いきの構造』が生み出された背景を明らかにしつつ、時代を超えて読み継がれる魅力の秘密に迫る」とのことです。

    詠んでみたい。さっそくAmazonに注文しました。

    於菟

  • いき という抽象的で個人的な感覚をここまで概念化させることができる九鬼の手腕に脱帽。感覚的なものを言語化してくれると理解が深まったような気になる。そして、そのことについてもっと知りたくなる。

    いきを本当に理解するためには、人がどう感じているかという、いきな行動の奥に潜む意識を感じようとしなければならない…という旨のくだりはとても心に残った。

    相手の全てを知ることは出来ないと心得た上で、相手を慮る姿勢に、優しさを感じる。


    本書最後の「九鬼の生涯と思想」も内容理解の助けとなった。良書。

  • 読んでいて途中、「何を大仰なことを今更!」と思ってしまったが、イキという日本人独自の感覚をここまで論理的に言語化した人もめずらしいなと感心してしまった。

  • 花柳界をはじめ、日本の大衆文化に息づく「いき」の美学を、欧州で学んだ現代哲学の体系を使って分析。「いき」とは、異性への媚態、意気地、諦めの3要素から成るとした。「日々の暮らし」の中にある、男女の駆け引きを「哲学」に昇華させるアプローチが日本的。

  • 「いき」は日本の独自文化で、男女のつかず離れずの媚態における「逢瀬の美学」である

    人生の50冊 エンジョイライフ ベスト3位

    九鬼周造は2013年における大発見でした。
    なにしろ日本の遊里における男女の媚態を分析して、
    これをフランスで哲学書として成立させるのが、九鬼魔術(マジック)。
    白眉は、欧米の類似の恋愛観と比較しながらも、吉原における男女の機微に日本独特の文化的背景を展開するロジックにある。


    「いき」は武士道の理想主義である「意気地」と
    仏教の脱俗世である「諦観」と密接な内的関係がある。
    さらに、関連諸概念として、上品と下品、派手と地味、意気と野暮、渋味と甘味を挙げ、それらでロジカルに概念正方形を形成し、
    その中に「いき」を位置づける。
     
    くぅう、これは格好いい!江戸の遊び人、ここに極まり!
    人生の目標のひとつが、この大人の遊び感覚、余裕なのです。

    いざ、遊びをせんとや生まれけん

  • クキさんの書いたイキに関するウィキ。とか、つまんない事言いません。

    江戸文化のなかで生まれた「粋」を構造的に分解していく本書。 武士道精神に則る「意気地」が体験を生み、仏教観がもたらす「諦観」が執着を断つ。その狭間にあって、波を乗りこなすサマこそ「粋」という感覚の根幹、というのは大変腹に落ちました。

    本来であれば、粋を言葉で語るという行為そのものが野暮ってなもんですが、あえて才人が挑戦した本書は、日本人が持つ特有の精神世界への扉を打ち立てたのではないかと思います。

  • ○この本を一言で表すと?
     日本独自の「いき」という概念をいろいろな方向から解析した本


    ○考えたこと
    ・明治中期に生まれた著者が日本独自の概念「いき」を海外の似たような概念・言葉などと比較し、類似点や相違点を書き出してその違いを浮き彫りにしているのは、すごい知識量とセンスだなと思いました。最後まで読んで「いき」について書き切った本だなと素直に捉えていましたが、最後の九鬼周造の生涯の話でこの「いきの構造」の見方が一気に変わり、「いき」を再定義することによって自分の思いを昇華しようとするドロドロとした執念のようなものを感じました。

    ・各国の「いき」に近い言葉の意味を解説して「いき」との違いを説明していて、その中で日本独自の概念であることを強調していて、導入部としてうまい書き方だなと思いました。(一 序説)

    ・「いき」の構成要素として「媚態」「意気」「諦め」の三つを挙げていて、最初はどう繋がるかがよくわかりませんでしたが、「媚態」がつかず離れず距離感を保つこと、「意気」が身分・立場の中でも保つプライド、「諦め」が執着から離れること、という説明でたしかに相反的な三要素が相補的でもあるのだなと思いました。(二 「いき」の内部構造)

    ・「いき」が「上品⇔下品」「派手⇔地味」「意気⇔野暮」「渋味⇔甘味」といういろいろな両極の中でいろいろな組み合わせで存在できるというのは面白いなと思いました。(三 「いき」の関連概念)

    ・言葉遣いや体型や所作など、確かに「いき」を表現できそうな要素だと思いました。表現できそうなことは分かってもなぜそうなのかということはこの本を読み終えても説明しづらいところだとも思います。(四 「いき」の身体的表現)

    ・「いき」の芸術的表現については、時代背景や見る人など、立ち位置によって変わっていきそうな気がします。現代で「いき」だと思えることが九鬼周造にとって「いき」と思えないこともあるのではと思いました。(五 「いき」の芸術的表現)

    ・「いき」は内面的に理解せよ、という九鬼周造の意見は偶然「いき」に近いような西洋のものは「いき」と認めない点で、動機に関するところを重視していて、ある意味結果より過程を重視する日本人らしいなと思いました。(六 結論)

    ・九鬼周造がおじさんと慕った岡倉天心が母親と浮気して父親に母親が幽閉され、人生が歪んでいったこと、苦界出身の母親に積極的に価値を見いだす意味で「いき」をクローズアップしたのではという見方など、「いき」の構造という本に対する見方が一気に変わる背景だなと思いました。(九鬼周造の生涯と思想)


    ○参考にならなかった所、またはつっこみどころ
    ・P.74の直方体の意味がよく分かりませんでした。もっとわかりやすく説明する方法がありそうなものだと思います。

    ・九鬼周造が、親が浮気性だったから自分も浮気に走ってしまった、というような言葉や歌を残しているのは人のせいにし過ぎではないかと思いました。

  • この本では、日本人が持つ美意識「いき」について解説されています。「いき」とは恋愛でギリギリまで相手に接近しながらも相手とはひとつにならないものであり、恋を成就させずに一歩引く。そこには、他人に縛られない武士道の理想主義と、相手との関係を諦める仏教の現世否定が背景にある。

    日本の文化というと室町時代のわび・さびをクールに感じていましたが、「いき」のような江戸町人的な文化も現代の感性に通じるところがあって面白く感じました。

  • “醜態”を晒さない“意地”を貼りつつも、ある種“諦め”の境地によって齎される、枯れるとも咲くともない二元性による、可憐な仕草、様子、心意気。

  • 「いき」という言葉のもつ世界観を教えてくれた.「いき」と二元性をなす対のことばは「野暮」となる。これら関連の言葉「渋味」ー「甘味」、「上品」ー「下品」、「派手」ー「地味」を「美意識の六面体」としての表現にとても興味を持った.この「いき」という言葉は、日本独特のものらしい.英語では、raffine, chicが近い言葉として例示され、「美意識の六面体」のどの辺りを表すかを立体的に説明している。言葉の意味の持つ空間性にとても新鮮さを覚えた.作者「九鬼周造」の経歴も波乱に富み、彼の母は、岡倉天心との不倫によって離婚し、幼少期から岡倉天心を伯父さんとして、身近に接する.自信も女性癖のため、離婚する.意外な繋がりに驚いた.

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