孟子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2015年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044072339
作品紹介・あらすじ
論語とともに四書に数えられる儒教の必読書。人の上に立つ者ほど徳を身につけなければならないとする王道主義の教えと、「五十歩百歩」「助長」「私淑」などの故事成語の宝庫を現代語訳で楽しむ入門書。
感想・レビュー・書評
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心静かに読みたい本、適度な文量、初心者にも分かりやすく解説している、現代でも親しまれている教え、読みながらこれまで生きて来た道のりと照らし合わせ採点してみるようでもあり、今後の参考にもなる。
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「孟子」って、「性善説」ということになっているけど、孟子の思想を適切に表現したものではなさそうですね〜。
結構、現実論というか、経済政策の話し多い。
「孟子」は7篇からなる本なんですが、人間の性(本性)は、「善」であるという議論は、第6篇「告子」でやっとでてきます。(もちろん、その前にも、人間のなかにはよい部分があるという話しはたくさんでてきますが、その本質が善である、と明確に定義する文章はこの第6篇まででてきません)
で、「水が自然に高いところから下に流れるように、人間の本性は善なのだ」という有名な議論は、告子の「人間の性には良いも悪いもない。水平状態にある水がどっちの方向に流れるかは状況しだいだ」という議論への反論ででてきたものですね。
文脈のなかで読むと、ちょっとディベートで、相手に反論するために言ってみたというニュアンスかな〜。
つまり、孟子は善なるものが人間のなかにあって、それが育つようにしようということはなんども言っているけど、人間のそもそもの本質は善であるという議論は、そんなにしっかりやっていないみたいです。また、「人間の本性が善であるなら、どうして世の中は悪があるのか」という問いにも、世の中が悪い、つまり経済政策が悪い、そしてちゃんとした政治をやらないリーダーが悪いのだというロジックのようです。
違う章では、人間の本性は善なんだけど、もともと人間にはちょっと弱いところ、怠惰なところもあるよね、みたいな話しもでてきて、「性善説」で一貫しているわけではない。
当時、人間の本質はなんだ?みたいな議論が中国で流行っていたので、ちょっと言ってみたというレベルの話しみたい。。。。。
そして、孟子でも、荀子でも、「悪」の定義は、ずるずると快楽に耽ってしまうとか、独力しないとか、ちょっと人への思いやりがないとか、自己中な行動が多いくらいなことをイメージしていそうで、西欧哲学での絶対悪みたいなことをイメージしているわけではない。
つまり、人間の本性が善か、悪かというのは、かれらにとって、そこまで本質的な議論ではないんだろうな〜と思った。
ある意味、「老子」なんかのほうが、世界の起源をカオスから生じる「道」にもとめ、そこから無為自然を導き出して、全てに応用していくという話しなので、「本性」実在論的に議論を進めているな〜。その「本性」の実在性が、「道」というなんとも表現できないものであるのだけど。
「論語」が孔子の断片的な言行を集めたもので、内容の論理的なつながりはあまりないのに対して、「孟子」は内容の論理的な展開がある程度おえる。
で、「孟子」で面白いのは、結構、ディベートしているんですね。いろいろな国の王様とか他の諸氏とね。
戦国時代にいろいろな国を回って、就職先をさがしてあるく、戦略コンサルタント、政治経済アドバイザーみたいな感じ。
で、革命の必要性も認めているので、なかなか耳にいたいアドバイスをする辛口のコンサルみたいな人ですね。
なんか、イメージが変わったな〜。
結構、こんな「孟子」好きかもしれない。 -
天の試練。位卑しくして言貴きは罪。孟母三遷。やはり、中国古典は歯を食いしばらなければならないときに読んでしまう。二千年以上も人類が読んでいることの凄みに恐れ戦く。自分自身も、若い時も今も読むし、もっと老いてからも読み続けるだろう。
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五十歩百歩や「天の時、地の利、人の和」、孟母三遷、そして性善説など。孟子の基本思想を概括するために。