新版 禅とは何か (角川ソフィア文庫)

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著者 : 鈴木大拙
  • 角川学芸出版 (2008年12月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044076023

新版 禅とは何か (角川ソフィア文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ある事柄について、「○○○と解釈した方が良いと思う」「○○○でなければならぬのである」といった表現が多く、その根拠を明示して欲しいと思う箇所が多々あった。しかし、解説を読んで、宗教的体験としての禅に明るい人でなければ、いくら文章で根拠を示されてもわからないだろうということを理解した。

    禅宗のみならず、仏教全体の歴史について学べたのは大きな収穫だった。

  • 2013年84冊目

  • 12年7月、読書会課題図書

  • 世界に禅を広く伝えた宗教学者鈴木大拙による
    1920年代後半の講演をもとにまとめられた
    「宗教とは、禅とは」というものを平易に
    説いた一冊。
    10の話からなる。

    禅が仏教においてどういう位置か、
    あるいは仏教は他の宗教と比べるとどうか、ということを
    大局的に、かつ細かさももって説いているため、
    非常に合点がいく。

    心に留めおきたい言葉がいろいろあるので
    一部引用。

    --------------------
    p.57
    仏教というものは、前に言った通り、知的傾向が
    多いというようになったのである。
    しかしながら宗教という異常は、宗教は知だけで
    できないものであって、知というもののほかに情が
    加わらなければ成立しない。
    (略)
    ただ自分一人が悟得して山の中にはいって、それだけで
    済むというものではない。どうしてもわれわれは世間に出て
    働かねばならぬ。その働くということは何を頼りにするかというと、
    それには情がなかったならば働けない。ただ僅かに
    商売をするということだけでも、これはただに金銭の関係で、
    ただ儲かればよいというだけのことではない。やはり商売を
    やる人に聞くと、人情という、情けというものがなかったならば
    商売もできない、ということを聞いている。
    それは学問にしてもそうしたことであろうと思う。ただ学問の上で
    こうなるのであるからといって、情というものを考えないとしたならば
    いかに人間の生活というものは殺風景なものになろうと思う。
    ---------------------
    p.99
    禅というものは具体性と創造性を帯びたものである。概念的な
    ものではない。漠然とした抽象的なものでなくして、具体的なものである。
    禅宗の人が働きということに重きをおくのはこの理由で、
    理屈でもなく、概念的な漠然としたものでもなく、働きということは
    具体性を帯びているということである。個人の体験ということが
    できれば、そこから自然に出て来るものは具体性そのものであるに
    相違ない。そこになると学問というものにならないで、具体性を帯びた
    一つの働きが出て来るに相違ない。また、それと同時に創造性というものが
    生ずる。新たに今までになかったものを創って行く。
    日に新たにしてまた日々に新たなるのである。個人の体験ということの
    本当の意味に徹した人には、その人の生き方には、人のことを
    真似したものがない。天地間はそのときそのときに創られて行く
    と言ってもよろしい。その人のやることはことごとく創造性を
    帯びていると言わなければならぬ。それで人がやっているから自分も
    そうするということでなくして、その人のやることは、
    いわゆるその心の中から発露したものである。
    ---------------------
    p.137
    苦しむということは、自分というものだけを離して、自分というものは
    終極のものであって、これだけのものであって、それで他のものとは、
    連絡がつかぬということになっているとき、ここに苦というものを
    感じてくるのである。その苦をのがれるということは、自分というものが、
    窮極のものでなくなって、自分というものは、自分より大なるものに
    包まれている、いろいろな関係をその中に容れているもの一部分と
    見るときに、この苦しみというものからのがれられるのである。
    そこに意義というものが認められるのである。自分というものが
    いわゆる全体というものに―神と言ってもよろしいが、そのものに
    相関系している、自分は自分だけのものではない、もっともっと大きな
    全というものに包まれているということ、自分は、より大なる関係の
    中にいるものであるという風な自覚が出て来ると、そこに1つの
    宗教経験がある。そうすると苦というものが隠れてしまって、
    生きているということの意義がわかるということになる。
    -----------------------
    p.170
    迷信の根拠は科学の世界の埒の外に出ている。あるいはその世界より
    もっと深い処に根ざしているのである。その根が断たれない以上は、
    どうしても迷信というものは残る。科学がいかに進歩しても迷信の根を
    断つことはできない。よく迷信を打破する会をこしらえて、
    いろいろのことをやる人がありますが、そういうところに行く人は、
    迷信のない人であって、迷信のある人はそういうところに
    行ってもなかなかとれない。また初めから行かぬのである。
    -----------------------
    p.250
    自利はやがて利他でなければならぬのだ。これが仏教の眼目であって、
    仏教徒は事の世界、差別の世界に出て、人の中にはいって、
    そして本当に救済の事業をしなければならぬのである。
    単に個人的に貧乏している者に、飯が食えない者に金をやろう、
    仕事のないものに仕事を授けてやろうというようなことではなくて、
    社会の全体の組織の上に、今日のものよりも、よりいいものを
    でき上がらせたい。人もわれも、いわゆる自利ばかりではなく、
    利他の考えを出さなければならぬ。
    経済上、政治上においても、いずれも自利が、利他でなければならぬ
    というような風が一般に働き出さなければならぬと思う。政治家でも
    金持でも、金持は金という力を動かし、政治家は権力を行使するに
    都合のいい位置にある。この好位置にあるものが、どうしても
    宗教というものに対して、もっと理解がないといかぬと私は思う。
    その政治の力、富の力、それは自分のために与えられたものでなくして、
    人のために使うべきだと、こういう風に考えたい。
    ---------------------

    これら著者の言葉を読んで思うのは、
    自分ひとり蛸壺的にこもっていても、それではまるで
    意味がない、ということを強く感じるのだ。
    人の間に出ていき、利他を考えて行動する。
    それこそまさに人間ではないかと思う。

    進化の中でのヒトの祖先が獲得した遺伝形質、
    とりわけ社会性というものは、まさにこれなのではないか。
    他者を思うことでつながりを感じ取る人間の心性を
    充たす生き方が禅だと思う次第である。

  • 自分には読みにくかった。この著者の本は合わないようだ

  • なぜか禅よりも仏教について多く語られていたような気がする。
    おかげで、仏教に関する疑問点が解消し、いちおう仏教的な考え方を理解することができたが、禅のほうはよくわからなかった。
    いわゆる禅問答とかについて知りたかったんだけど。

  • 仏教には4つの要素がある。仏の人格(カリスマ)、仏の経験、仏の教え、実践者の経験である。実践者の経験がそれぞれあるからして仏教にはいろいろな宗派が認められた生きた宗教となる。
    仏の経験の中で特に大事なのは涅槃と成道である。
    仏の教えの根本は菩提樹の下の正覚を説くのが目的である。悟った(知)だけでは十分でなくそれを広める(説法)のも大事。社会性を有する。
    禅の極致は心理的方面になければならない。すなわち神秘的体験の上になければならない。禅宗とは論理的(客観的)に考える哲学のようなものではなく、心理的な(主観的な)もの。禅はいつも自分に戻ることであり、個人個人の信仰、体験に立脚してそれが土台になる。その信仰を押し進めていくとそれは自分の経験事実があるからでこの経験を解釈すると禅の意味もわかる。意識の底の底まで入って突き破ったところは吸う教的解釈の領域で、自分と天地とがそこでは一つになる。

  • 読了

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