一目小僧その他 (角川ソフィア文庫)

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  • 角川学芸出版
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044083083

作品紹介・あらすじ

妖怪とは零落した神である-。一目小僧、物言う魚、ダイダラ坊の足跡ほか、日本全国に広く伝わる伝説を蒐集・整理して丹念に分析。それぞれの由来と歴史、人々の信仰や風習を辿りながら、妖怪が生まれる背景について大胆な仮説を提唱する伝説研究の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • これぞ柳田国男の真骨頂

  • この本では怪異的な伝説の類が収集され、テーマごとに論じた文章が集められている。たとえば一つ目小僧や、人間に化ける魚や鰻、白鳥に化身する餅、巨人など。
    一つ目小僧に関しては、隻眼の神のイメージが変容して妖怪化したものだろう、と柳田は結論づける。
    これはいいが、他の文章は読み進めていくと、どうも解釈−結論づけが恣意的のそしりを免れず、学問(科学)としてあまり緻密な検証が完遂されていないような気がした。『海上の道』は特にそうだったが、確かな証拠が少ない中で、あまりにも飛躍的に仮説へと進んでしまうような危うさを感じてしまうのだ。
    だがこのことは、開拓者としての柳田国男の価値を損じるわけではない。フロイトと同様、たどりついた「仮説」に幾つもの問題があったとしても、すべての人に先んじて革命的な思考をまっとうしたという事実が、彼の歴史的な偉大さを明らかにしている。
    おまけに柳田国男の文章は相変わらず随筆風で、膨大な知見が柳田という主体の中で結びつき、からみあい、ゲシュタルトとして醸成されていく様子が読んでいて彷彿とされるために、柳田を読むことはわくわくするような読書体験をもたらしてくれるのだ。
    本書は妖怪じみた伝説を集めたということで、一般に興味もひくし、やはり、何よりも楽しめる一冊だった。

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著者プロフィール

1875年兵庫県生まれ。農商務省勤務、貴族院書記官長を経て、1930年代以降は民俗学の著作に専念し、研究会や雑誌を主宰した。おもな著書に、『遠野物語』『木綿以前の事』『海上の道』など。1962年没。

「2018年 『祭祀習俗事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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