- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044083151
作品紹介・あらすじ
人は死ねば子孫の供養や祀りをうけて祖霊へと昇華し、山々から家の繁栄を見守り、盆や正月にのみ交流する――膨大な民俗伝承の研究をもとに、日本人の霊魂観や死生観を見いだす。戦下で書かれた晩年の傑作。
感想・レビュー・書評
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この本にかかれている先祖に対する考え方は、昭和30年代頃まで一般的だったと思われる。
その後、核家族化の進行や脱宗教などを背景に変化が生じており、先祖への崇敬は廃れてきている。
いずれにせよ、日本が世界のなかで長寿企業が多い背景には、この本に書かれている宗教的事情が事業の永続に対して多大な好影響を及ぼしたことがあると考えられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「はっきりと書くが、戦時下に書かれた『先祖の話』は、靖国に英霊を祀り、それで死者の魂は慰撫されるのかと問うている書なのだ。」
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本書そのものが素晴らしいし、柳田も冴え渡っていて筆も乗っているのだけども、ただただ大塚英志の解説が素晴らしい。柳田の婉曲な反撥を喝破して解説できている。巻末解説ありなしでは本書の評価もずいぶん変わったのではあるまいか。
柳田の思想の結集したような所もあるので、いきなりこれを読むのではなく、初期の頃の柳田の論文をある程度読んでから手にすればそう分かり難いものではない。
加えて柳田の明晰な文章は、国内の研究者たちは手本にすべきものとして、殊に文章読本のように読んでも良いかもしれない。日本語とはこうやって書くものである。
何もかもが良い。満点。 -
NHKの"100分で名著"のために購入。
少し文体が読みにくい。
所々は理解出来るくらいのほぼ字面だけを追って読了した感じ。
ただ、著者の強い想いは伝わってくる。
日本古来の仏教以前からある先祖の祀り方や家の有り様についての研究は今でも古さを感じさせない。
読んで感じたのはにも失ってはいけない日本の特質が様々にあるのだろうということ。
靖国、英霊に対する考え方は同意する部分もありながら現実を考えると迷う。既にこれらに対する姿勢は染み込み既成事実となり、更にそれが失われてかけている現在。
記憶を残すのが精一杯でこれを変えて行くのは難しいだろうな、と思う。 -
17/09/03