呪いと日本人 (角川ソフィア文庫)

著者 : 小松和彦
  • KADOKAWA/角川学芸出版 (2014年7月25日発売)
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044083212

呪いと日本人 (角川ソフィア文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 内田樹さんの『呪いの時代』を読んで以来、この、現在の日本を覆う「呪詛の念」とは何なのか、ずっと気になっていた。そこで手に取ってみた本書は、妙なテーマでばかり書いている民俗学者による一冊だ。
    奈良、平安といった時代に脈打った「呪い」の歴史は興味深く、マンガ家などにとってもこういう本は参考になるのだろうなと思ったが、「呪い」そのものについての著者の分析的考察は少々ステレオタイプで浅いものだった。
    「呪い」は日本固有のものどころか、世界各地の未開社会に見られる。そうした「呪い」が、民の宇宙観・歴史観・宗教といかなる関係をもち、コスモスを形成するのか。デュルケームの『宗教生活の基本形態』も、話が呪術に及ぶとすぐに、これは宗教の問題ではないとして中断してしまった。そして本書も、「呪い」が社会にとって果たす機能の根源的・哲学的意味を解明してはくれなかった。
    日本の場合は「公」と「私」の領域を完全に隔離してきた民族性があるので、その「私」におけるどうしようもない孤独感が、社会や他者への呪詛の念を生成するのだろうととりあえずは推測している。本書の著者は「呪うことは、人間の本性からしてどうしても避けがたい」といったおおざっぱな解釈を繰り返すばかりなのだが、その情動の炎がもはや手が付けられないほどネットを中心にはびこっている現在を、どう生きたらいいのかは依然としてわからない。

  • 奈良時代から平安時代にかけてよくもまあこんなに呪いが流行ったものだな、と感心。一般庶民は知らないが完全に生活の一部と言える。それにしても陰陽道はともかく、修験道や仏教(真言秘密)までこんなに呪いの方法があるとは思わなかった。人殺したり、蛙殺したり、犬殺したりで因果応報は??と突っ込みたくなります。
    現在も一部の地域にいざなぎ流というものが残っているようですが、陰陽道から派生したものなのか柑子をネズミに変える話とか安倍晴明と同じなのでかなりいろいろ混じってるみたいです。

  • 光文社のものに加筆されているというのでやはり手に入れてしまった……orz。

    すでに読んでいるものなのでレビューは割愛しようと思ったのですが、一言だけ。

    人を呪わば穴二つ!

  • 今時は呪いを信じる人はいないと思いたいところだが、そうでも無く昔ながらの丑の刻詣りに似たパフォーマンスをする人がいるのである。

    著者は呪うという行為が呪いをかける側の心証だけでも成立する行為だという。そして、呪う側と呪われる側の一方的な断絶した関係は、現代社会のさまざまな人間関係においても見られるものとする。
    こうした現代の状況を踏まえつつ日本文化史に置いて「呪い」とはどういうものであったのか、それは現代に生きる私たちの心性にいかに継承され、投影されているのか、さらには呪いを生み出す人間の心性とは どういうものなのかなどといった問題について探っていくとするのが本書の趣旨である。

    まずは、高知県に残るいざなぎ流という民間信仰での「呪い」のパフォーマンスを詳しく紹介し、日本史の中での呪いについて考察する。

    その中で、日本で支配者とは、社会手段の秩序を脅かすあらゆる「ケガレ」を浄化する能力の持ち主でなければならないとする。確かにこのことで理解できる事象はたくさんある。

    現代の日本でも穢れた議員さんは禊ぎを受けるのである。また、禊ぎをうけるとケガレが祓われるのである。
    また、ケガレを祓うためにエスケープゴートを必要とすることもある。心が「ハレ」ないのはなになにさんのケガレのせいだからこれはなかったことにしなくては等

    呪術的な発想で読み解くことができる事象も日本にはたくさんあるような気もする。

    あとがきで書き残している著者の言葉も気になるところである。曰く

    カタルシスのための文化が衰退するにつれて、個人の体内に溜まった「呪い心」が暴走し出しているのではないか。とすれば、日本の伝統的な呪詛法に身を任せることで、少しでも心の「しこり」を解消できるかもしれない。
    存外日本では「呪い」はしぶとく生き残るのかもしれない。

  • 職場の姉さんにお借りした、久々の小松先生の本。
    学生時代、先生に憧れて文化人類学で妖怪学びたいと思ったこともあったけど、恩師の「文化人類学やるならタフで言語に明るくて(2、3カ国語は喋れるくらい)切れる(頭の)人じゃないと無理だよ」って言葉にあっさり挫折…
    そんな懐かしい日々を思い出しつつ読んだのでした。

    物部村(ものべむら)をずっともののべむらって読んでたことに気づいたり。

    読みやすかったな。
    2014年25冊目。でした。

  • 当代一の民俗学者小松先生が昔書いた文章に加筆・修正した本。

    個人的に高知県物部村における「いざなぎ流」の呪詛の事例が興味深い。
    科学趨勢の現代で、村の「ケガレ」(例えば病気とか災害)を「ハラウ」ために呪詛「すそ」儀礼を在村の「太夫」(呪術者)に依頼して行っていることに驚く。


    主な内容は、「祓い」の視点から見たら「呪い」は人の心性に関わる「穢れ」の一種と捉えられている。

    要は誰もが「呪う心」を生み出し、その心を浄化するために「呪詛」を行ったりしていたとされる。
    (「呪うパフォーマンス」=心の浄化作用)

    『古事談』みたいな三次史料を歴史的考察に活用してるなど若干の問題もあるが、
    史料や文学作品、聞き取り調査で集めた内容はまさに日本呪詛史の嚆矢でしょう。

  • ”呪い”と”祝い”って似てるよね(また、莫迦なコトを書いてしまった)

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