幸福論 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044086022

作品紹介・あらすじ

「われわれが自分を愛してくれる人たちのためになしうる最善のことは、やはり自分が幸福になることだ」。20世紀前半、最大の思想家にして高校の教師でもあったアランが、幸福についてときに力強く、ときには瑞々しく、やさしい言葉で綴った93のプロポ(哲学断章)。幸福とはただ待っていれば訪れるものではなく、自らの意志と行動によってのみ達成されるとする主張に、未来を拓く幸せへのヒントがある。

感想・レビュー・書評

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  • 93編からなる、どう幸福に生きるのかの話。一貫していて説得力がある。話と言うよりも体育館で校長の話を聞いてるかのような、背筋が伸びる感覚を味わえる。なお一気読みはやめましょう(反省)。1日2~3編読んで、その教えをじわじわ体に染みわたらすべき。

  • 「幸福だから笑うのではない。むしろ、笑うから幸福なのだ。」
    理性、意志の力を重視した思想家アランの人生論。長年にわたり書き綴った文章をまとめたものだそうだ。幸せになろうとする意志、健康で、前向きに生きようとする意志。それらが実際に生きがいのある人生をもたらす。同時にアランは、愚痴、不平不満を言ったりする人は、自分が不幸になるだけでなく、周囲にも悪影響を及ぼすと説く。楽観主義者とも言われたそうだが、一度きりの人生、主体的に自らの人生を生きるべしというメッセージは力を与えてくれる。

  • 便せん2枚の語録が93。
    フランス的皮肉混じりの乾いたポジティブが小気味いい。
    そうなんだよなあ、でもそれは人には言えないってことばかり。名もなき日本人が日本語でツイッターに投稿したらたりまち叩かれてしまいそうなほど、核心をついたポジティブ色。
    一挙に読むと自分も凹むので、少しずつ馴染ませながら読んだ。悲観主義は気分・情念に属し、楽観主義は意思に属する。
    落ち込む暇があったらとにかく行動――行動といってもほんのささいな体の動き、のびやあくびでもイイ!四の五の言わずにとにかくやってみると気分が変わる、人間だもの。

  • 多くの名言があった。
    文章的に多少難解なところはあっても、内容的にはそれほど難しいことはなかった。
    ただし、実践となると、意外と大変そうだ。
    ひにくっているのか、本気で言っているのか、紛らわしい箇所もあった。
    時代を感じさせるような記述もあった。
    ウーマンラッシュアワーのコントのセリフを読んでいるかのような、勢いと流れを感じた部分もあった。
    第92章が、言いたいことがまとまっているように思えた。
    P263「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する」
    本当にそうだと思う。
    P250「解きほぐせ、解放せよ、そして恐れるな。自由な人は、武装を解除している」
    これは、考え方においても、こだわりを解きほぐして視野を広げ考えを解放させること、恐怖という身動きの取れない状態を捨ててしまうことの大切さを説いている。
    ああ、書き出すときりがない。

    【memo】
    体をほぐし、整えることによって、心が安定する。

    病気そのものよりも、病気を恐れる心が、体の不調を招く。

    自分の意志で行動することが幸せになるひけつ。

    P136 耐え忍ぶのではなくて、自ら進んでする、これが愉快なものの本質である。

    自発的に行動すること。

    ≪楽しみは力のするしである≫ アリストテレス

    P149 知るというのは、いとも小さきものが、いかにいっさいのものに結びついているかを理解すること。どんなものでも、それ自体に存在理由があるのではない。

    P184 まず幸福であれ。思うに幸福とは、平和の果実なのではない。幸福は平和そのものである。

    死者の目を通して自分をみるということ。

  • 椿事
    不幸、恐怖とは、全て想像力による精神的なものかも知れない。
    現在で言う『認知』である。
    死について
    人間の考えが、恐怖を生む。

  • 哲学

  • 100分de名著を見てからというもの、何年も積んだままだったけどやっと読もうという気になって読了。

    哲学書というかエッセイのような。93編のプロポから成り一つ一つは分量も少なく読みやすい。実践的というか実生活に寄り添っている。ただ、似たような話が続くかなという印象。接骨院の治療中に毎日少しずつ読んだけど、このくらいのペースで少しずつ読むのがちょうどいい。

    解説で、最後の90から93章を先に読むのが良いとか書いてあって「先に教えてよ!」と思った。

    愚痴を言わないとか、幸福になるためには努力が必要だとか、いくつか大事にしたい教えがあった。

  • 読書録「幸福論」4

    著者 アラン
    訳 石川湧
    出版 角川書店

    p260より引用
    “ 不幸だったり不満だったりするのは、む
    ずかしくない。人が楽しませてくれるのを
    待っている王子様のように、坐っていればよ
    い。”

    目次から抜粋引用
    “いらだち
     惨劇
     野心家に告ぐ
     幸福な農夫
     なんじ自身を知れ”

     教育者であり思想家である著者による、人
    が幸福であるための在り方をまとめた一冊。
     フランスの将軍の逸話から意志を持って行
    動することの大切さまで、数多くあちこちに
    書かれた物を編集して作られています。

     上記の引用は、「幸福たるべき義務」と題
    された項での一節。
    自分にとっての楽しみや幸福は、決して人か
    ら与えてもらえるものではないということで
    しょう。
    自分で出来ることは、出来る限り自分の手で
    行うことによって、自分のためだけの幸福が
    見つかるのかもしれませんね。
     非常に事細かに書かれているので、解説に
    もあるように、いつでも手にとって読めると
    ころに置いておき、少しずつ読むのが良い一
    冊ではないでしょうか。

    ーーーーー

  • B135.5-アラ 300197712

  • 同じ事を何度も何度も違う言葉で繰り返し、苦悩との向き合い方について語りかけた名著。特に、80〜93にかけてが、好きかなり

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著者プロフィール

1868-1951。本名Emile Auguste Chartier。ノルマンディーに生れ、ミシュレのリセ時代に哲学者J・ラニョーの講義を通して、スピノザ、プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル等を学ぶ。エコール・ノルマル卒業後、ルーアン、アンリ4世校などのリセで65歳まで教育に携る。ルーアン時代に「ラ・デペーシュ・ド・ルーアン」紙に「日曜日のプロポ」を書きはじめたのが、彼のプロポ(語録)形式の初めである。アランの人と著書については、アンドレ・モーロワの『アラン』(佐貫健訳、みすず書房、1964)に詳しい。邦訳されたものとして、『定義集』(森有正訳、1988)、『デカルト』(桑原武夫・野田又夫訳、1971)『プロポ』1・2(山崎庸一郎訳、2000、2003)『アラン 芸術について』(山崎庸一郎編訳、2004)『小さな哲学史』(橋本由美子訳、2008、いずれもみすず書房)などがある。

「2019年 『定義集 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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