今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 98
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094096

作品紹介・あらすじ

町会館の清掃中に本棚で見つけた『今昔奇怪録』という2冊の本。地域の怪異を集めた本のようだが、暇を持て余した私は何気なくそれを手に取り読んでしまう。その帰り、妙につるんとした、顔の殆どが黒目になっている奇怪な子供に遭遇する。そして気がつくと、記憶の一部が抜け落ちているのだった-。第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作を含む5編を収録。新たな怪談の名手が紡ぎだす、珠玉の怪異短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 第16回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作を含んだ短編集。
    表題作が受賞作。

    ・今昔奇怪録
    主人公は妻と小さな娘がいる男性。この男性がひょんなことから『今昔奇怪録』という奇妙な本を見つける。そこには住んでいる町に伝わる奇妙な出来事や妖怪の話が書かれていた。読み進めるうちに、主人公や家族たちが奇妙な出来事に巻き込まれていく。
    巻末のホラー小説大賞の選評で、林真理子さんが書かれていた以下の言葉に同意。
    『ネタ本が何もなく「三人相撲」や「ぼうがんこぞう」をつくり出した、この人のセンスはすごい。』
    話の中に出てきた『今昔奇怪録』の内容が作中作として登場するんだけど、人から聞いた話を記録した本という設定なので、途中で番号が抜けてたり文章がおかしかったり、とりとめもなく終わってたりする。それがまたリアル。ほんとにこんな本があるんじゃないかと思わせる。
    結局その奇妙な本が何なのか、何で奇妙な現象が起きているのか分からないまま幕が下りる。最近、ホラーではこういう結末が流行なのかな。確かに「???」と奇妙な感じに果てしなく包まれるよね。

    ・疱瘡婆
    食べてしまいたいほどかわいい…。
    たとえその子が死んでしまっていても。

    ・釈迦狂い
    「世にも奇妙な物語」の「バーチャルリアリティー」みたいな話かと思ったけど、それと近いようでまた違ってた。「CUBE」の方が近いかな…。
    よくある設定だとは思うけど、そこに「釈迦狂い」という要素が上手くハマっている。

    ・きも
    ちょっと前に「呪いか何かで人が死ぬと、その分地蔵が増えている」という話を読んだ。
    逆に、何人か人が描かれている絵がかけてあり、人が死ぬとその人物が塗りつぶされて減っているとかいう話もあった気がする。
    呪いで人が死ぬと数がカウントされていくのはテンプレといえるけど、この話では、(多分死んだ人の)肝細胞が増える。現代科学の叡智が集まった研究施設でそういう謎のカウントが発生してるのが、まさにこの話の怖さの「きも」。

    ・狂覚(ポンドゥス・アニマエ)
    ポンドゥス・アニマエという言葉の意味が良くわからないんですけど、ラテン語で、ポンドゥス=重さ、アニマエ=魂・心とかいうことでいいのでしょうか?
    これまた奇妙な話。
    『被験者』『干渉者』『観察者』『統括者』がそれぞれ語り手となり、話が進んでいる。
    一見、何かの実験をしているようではあるけど、それが何の実験なのかは最後まで明らかにならず。
    被験者は夢の中にいるような感じではあるけど、痛みを感じたりしているし、実際はどうなってるんだろう。
    被験者の精神状態が干渉者や観察者に影響しているようだけど、何故…?
    とにかく何をやっているのか分からないのが不気味だし、『実験』中で被験者が体験することがいちいち気持ち悪い。
    特に皮膚に虫が埋まっている描写が最高にゾクゾクしました。
    ホラーは割と強い方だけど、この描写は思い出しただけで鳥肌。最高。

    巻末に、第16回日本ホラー小説大賞の選評が載っていましたが、『化身』を読んでみたくなりました。
    今度買ってこよう。

  • 表題作は、ジワジワと侵食されていくような感じが
    怖いというか不気味。
    疱瘡婆は、時代小説風で、なんとも哀しいお話。
    釈迦狂いも、出口のない恐怖ってのがツボだったというか
    こういうのが一番怖い(^◇^;)
    「きも」も、そのままじゃないかぁ~とか思いながらも
    その後が気になって気になって・・・
    最後の狂覚が、どうにもこうにも意味不明。
    自分の理解力の無さに凹みました。

    現実逃避するはずだったのに、出来なかったぁ~
    最後の話は理解できなかったとして、他の作品達は
    面白いというか、上手いですねぇ
    やはりホラーは、元気な時に読まないとダメね

  •  表題の『今昔奇怪録』は不思議な話しである。町会館で偶然見つけた2冊の本、地域の奇怪談を綴るこの本を読むと妖怪が目の前に出現するという奇怪な現象が起こる。過去と現在が交じり合う不思議な感覚を覚えた。

  • 短編集。 表題作の『今昔奇怪録』は番号が抜けてたり記述が無かったりしてたけど自分には意味が分からんかった。なので、もう少し長い話にしてくれた方が自分には良かった気がする。 短編やからか全体的に物足りなかった気がする。それぞれ長編やったら良かったのになぁ。

  • 日本ホラー小説短編賞を受賞した「今昔奇怪録」を含む
    計5作のホラー短篇集。

    現代ホラー、古典ホラー、科学(SF?)ホラー、実験的意欲作など
    同じホラーでもバラエティに富んでいて
    飽きさせない作りになっている。
    どの短編も水準が高くて、あっさり読めるけどハズレがない。

    ■疱瘡婆
    江戸時代に只野真葛によって書かれた「奥州波奈志」に登場する
    妖怪を題材にした話だけど、これが一番怖かった。

    最初は、空き家に住んでいた猫の祟りかと思っていたけど、
    その後疱瘡婆の仕業かと思い直し、
    最後にああ、そういうことだったのねと。
    人間が一番怖いというお話だった。

    ■狂覚(ポンドゥス・アニマエ)
    祟りがあると思われている幽寂庵という屋敷で
    実際に祟りはあるのか被験者が体験していくのを
    干渉者・観察者・統括者の3人が観察していく
    というストーリーで、実験的な作品。

  • なかなか、怖い。話のオチが欲しい気もするが、これはこれで、ゾワッとしたままの気色悪さ、不安定さが、怖さをしみつかせているようにも思う。

  • 「文字化という怖さ」
    伝わる恐怖は連鎖する。
    ライト京極。

  • ふらっと立ち寄った本屋にて表紙買い。
    多様性のある“怪談"を書くのがうまい作者だと思うが、表題作から三番目までは私の好みではなかった。

    まあ怖いっちゃ怖いけど・・・別に取り立てて何か言うこともない、って感じ。

    その代わり「きも」と「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は気に入った。

    前者はどことなく鈴木光司の「らせん」を思い出した。こういう実験データの挿絵を小説に入れる手法は別段珍しくもなんともないのだが、私が初めてその手法を目にしたのがそれだったからだ。

    で、話しを戻すと、途中の“会話”が怖いんだな。163pの最後4行から165pまでの流れがこわい。「うわっ」っと一歩引いてしまうような後味の悪い怖さだ。
    でもなー、怨霊()のヤマキがそこまで執着するのか?あんまりなっとくいかないなー。でもそれこそが“狂ってしまった”ってことなんだろうか。

    後者の「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は一番気に入っている。
    実験的要素の多い作品であり、居心地の悪い気味の悪さを感じる。
    夢でも見ているようなフワフワしたイメージだが、この作品はすばらしい。コレがあったから「この本買って良かった~」と思ったもの。


    オチもまた良し。でもこの3.2cmには元ネタあるんだろうか。
    21gは知ってるけど。ダンカン・マクドゥーガル博士だっけ・・・?(そういや映画『21.3g』はなかなか好きだったな。チョコレート・バーと同じ重さの魂・・・)

    同じ作者の本も読む・・・かもな~。狂覚みたいのなら。

  • あっさり、さっぱりした読後感の短編怪談集。

    首ざぶとんが面白かったのでこちらも購入しました。
    すごく感情を揺さぶるというわけではないのだけど
    この作者の書く怪談の雰囲気が好きです。

    一番気に入った話は「きも」。

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