性と進化の秘密 思考する細胞たち (角川ソフィア文庫)

著者 : 団まりな
  • 角川学芸出版 (2010年8月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094270

作品紹介

今から38億年前、とてつもない偶然が重なり、地球上に誕生した、たった1つの細胞。この細胞が人間のような複雑な生物へと進化した生命の仕組みとは?原核細胞から真核細胞、そして21億年もの間生き続ける不死の細胞を経て、有性生殖によって死を克服する細胞へ-。「階層性の生物学」という独自の観点から、"思考する細胞"と進化の秘密にせまる。いのちと性の不思議をやさしく解きあかす、独創的な生物学入門。

性と進化の秘密 思考する細胞たち (角川ソフィア文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読み応えのある本である。
    題名だけ見たときは、なぜオスはメスに惹かれるかなんてことを遺伝子と引っかけて書いてる本かと思っていたのだが、さにあらずである。養老孟司が「読み応えのある本ですから、懸命に読んでくださいね」と書くぐらいである。

    本の主題は、生物の階層性(自然界にある物質の性格であり、上位の階層は下位の階層にない機能を持つ)と言う事である。原核細胞があるとき真核細胞にステップアップしたのであるが、真核細胞は飢餓状態になると合体して飢餓状態を乗り越えることをシステムとして行うことができるようになったのであります。

    一単位の真核細胞はハプロイド細胞、合体したのがディプロイド細胞とよぶのだが、ディプロイド細胞は染色体を二組持つ。ハプロイド細胞もディプロイド細胞も構造はほとんど同じなのに、ディプロイドになると細胞間で仕事の役割分担ができるようになる。私たちが普段目にする生物は自分自身を含め大抵はディプロイド細胞でできている。コケ類や藻類の中にはハプロイド細胞が集まっただけの生物もいるらしい。

    ところが、ハプロイド細胞が際限なく細胞分裂を繰り返すことができるのに対しディプロイド細胞は細胞分裂に制限回数があって制限回数に達すると死んでしまうのである。なぜかは不明。人間の細胞の場合52回ほど分裂すると死んでしまうらしい。

    これを克服するために生まれたのが減数分裂によってハプロイド状態にもどってから再度合体する方法。このことは、生物が自分のアイデンティティを変えずに(人間なら人間、変えるならカエルという種で有り続けながら)複雑さの違う単位、階層の間を行き来するということである。同じものであり続けながら自分の複雑さを変えるというような事は自然界では外には見られないことである。

    教科書では「遺伝子の組み換えが、有性生殖の本質である(目的である)」と書かれているが「有性生殖とは、生物が自分の『種』としてのアイデンティティを保ったまあm、ディプロイドとハプロイドという二つの階層を行き来して、ディプロイド細胞が運命づけられている、分裂の限界を克服するためのしくみ」というのが正しいという事だそうだ。その仕組みの中に次第にDNAを繕ったり組み替えたりする仕組みを重ねてきたという事である。

    次の主題は、「DNAが決めていることは種よりもずっと階層的に下のレベルのことで、そこがいくら変わっても、上のレベルの種までは影響がおよばない」という事。
    大腸菌に人間のインシュリンの遺伝子を入れるとインシュリンを生成する大腸菌ができるが大腸菌が大腸菌で無くなるわけではない。
    種とはもっと複雑なもので、遺伝子から種の謎に迫ることはできない。

    さらに「私たちはDNAだけでなく、配偶子という二匹の細胞の合体によって、ヒトとしての基本的内容のすべてを遺伝している」遺伝的プログラムが意味するものは、DNA上の情報などより遙かに複雑で多岐にわたる。
    遺伝プログラムは、DNAではなく、細胞質、又は細胞構造そのものに書き込まれている。「ヒトとしての基本的な内容の全て」に至る鍵の多くは、受精卵の細胞質部分に潜んでいるはず。

    と言う事で、遺伝というのは卵子=女性の細胞で引き継がれており、男性はそれにDNAという些末な情報を提供しているに過ぎないという事であります。

  • 養老先生は解説で、団まりなさんの話は面白くて、よくわかると書かれている。同じ著者の本を3冊読んでいるが、私にはどれも難しい。イメージしやすいようにとの配慮で、いろいろなたとえを使って書かれているのだけれど、映像として頭に浮かぶことはない。そんな中、今回2ヶ所だけ線を引いた場所がある。代謝がうまく回るようになった細胞についてのくだり。外から物質をどんどん吸収するうちに身体が大きくなり割れる。「子どもを残そうとか、数を増やそうとして生殖が始まったのではないでしょう。そうではなくて、自分のシステムを保持するためには、割れて、適正な大きさを保たなければならない。これが生殖の根源的な意味だろうと思います。」「・・・分裂をくり返すうちにDNAに傷がたまったり、削り減ったりするらしいのです。このためディプロイド細胞は、ある程度以上分裂をくり返すと、それ以降は分裂できなくなって、死んでしまいます。・・・不思議なことに、減数分裂を通過するとその限界がはずれて、分裂の能力が元にもどるのです。・・・」何回も読んでる話しが出てくるのだけれど、理解は進まない。1回、映像を見せてもらいながら、講演でも聴く方が早いのかもしれない。あとがきが良い。これだけで1冊にしてほしい。実業家で男爵の祖父は団琢磨、発生生物学者の父は団勝磨。書かれていないけれど作曲家の団伊玖磨はいとこのようです。最後まで読むと養老先生が解説で書かれている。「読み応えのある本ですから、懸命に読んでくださいね。」そう易々と読める本ではないということだったのだろう。

  • 再読して思うのは。。。

    男はやっぱり消耗品だということ。ヒトの完全体は女であって、ヒトという種を存続させるために男が存在しているのではないかということ。そのために必要な一時期だけに…

    でもまぁ...どこかでいなくちゃ困るというのが、せめてもの救いかな?

    <2014年08月26日のレヴュー>
    性の根源を生物の階層性を切り口に根源的に考察する物凄く優れた本だと思う。生物学などよくわかっていないわたしが優れたというのも変だが、そんなよくわからない者にもなんとなくわかるように書かれているというだけでも、団さんがいかに生物の性について深く考えぬかれたかがわかるものだと思う。

    しかも、解説は養老孟司さん。なんと池田清彦さんの名前もその中に出てくる。養老さんは階層性は西洋的だと感じられているみたいでわたしも同感。最近読んでいる本といろいろと繋がり、やはり読書は出会いであり縁だなぁ〜と思った。

    Mahalo

  • 卵のしくみを作るのに二十億年かかったのに、哺乳類のようなシステムになるまで、二億年しかかかっていないことなどから、単純な生物とは違い、複雑な生物には体のしくみを自分から変えるようにしていくことが出来るのではないかというのは、なるほどと思った。

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