旅人 ある物理学者の回想 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版
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本棚登録 : 339
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094300

作品紹介・あらすじ

日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士が、自らの前半生をふり返る。「イワン(言わん)ちゃん」とあだ名された無口な少年は、読書を通じて空想の翼を羽ばたかせた。数学に熱中するも「小川君はアインシュタインのようになるだろう」という友人の一言がきっかけとなり、理論物理学への道が開けていく-。京都ならではの風景とともに家族の姿や学生生活がいきいきと描かれ、偉大な先人を身近に感じる名著。

感想・レビュー・書評

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  • なにかの記事で登美彦氏がおすすめ本として紹介していたり、小川洋子さんが『みんなの図書室』でレビューを書かれていたので、読んでみたかった作品。
    ノーベル物理学者の湯川秀樹博士による自伝です。
    幼少から27歳までの湯川博士の様子が描かれています。

    自身のことにも関わらず、一歩退いたところから自分を見つめて書いているところが科学者の目線だと感じます。
    そして、文章のうまいこと!
    偉大な科学者が書いた文章であることを忘れてしまうくらい、わかりやすく読みやすいのです。

    湯川博士の前に現れた数々の人生の分岐点。
    博士がどんな風に歩み、理論物理学の道に足を踏み入れ、大きな業績を残したのか。
    日々手探りで進むべき道を模索する私たちに、「私はこうだったよ」と静かに語りかけてくれます。
    高校生や大学生世代におすすめしたい1冊です。

  • 2周目を読み終わった。湯川さんは幼い頃から文学に親しみ、高等教育では西田哲学などの難しい哲学も勉強された。最終的には物理学者になられたが、様々幅広い教養を持たれていた。生命科学の先端研究などにも関心がおありだったという。こういうお姿を見ていると、「教養とは量子力学のようなものを言うのであり、文学や歴史のことではない」などというのは俗説だということが分かってしまう。やはり、本は信頼できる、確かな作者の本を繰り返し読むべきだと感じた。

  • 湯川博士はこう言う。少年の意欲は固定されておらず、何に対しても敏感だ。あらゆるものを吸収して、それらが整理されてくる過程の中で、その人の人格とか個性といったものが形成されるのではないだろうか、と。

    全くその通りだと思いますよね。最近は周囲にも「食わず嫌い」の人間が多すぎる。入試で使わないから勉強しない、とかいうのもザラにある。でもそれは自分の可能性を狭めているだけにすぎない。様々なものに触れるからこそ、本当に自分が好きなもの、得意なものが見えてくるはずだ。
    多くのものに触れるほど、その人の総合的な人間力も増してくるように思われる。

  • Yotsuya

  • 底本1960年刊行。

     朝日新聞連載の著者の自叙伝。幼少期から27歳くらいまでの遍歴を活写。

  • ことに私は生まれつき、自己を表現することに困難を感じる人間である。それにまた自意識過剰の人間でもある。自分を客観的に見よう努めながら、自分で
    理論物理学と言う学問は、簡単に言えば、私たちが生きているこの世界の、根本に潜んでいるものを探そうとする学問である。本来は哲学に近い学問だ。
    それを裏切ることになるかもしれない
    私は孤独な散歩者があった。将来、無口な私は、研究室で手分けでも、1日中、誰とも話せず専門の論文だけを読んでいることも稀ではなかった
    最後にぜひとも書いておかねば気のすまぬことが2つある。1つは、私をして、思う存分、物理学の勉強することを可能ならしめた人たちに対する、感謝の気持ちである。もう一つ書いておきたいのは、この回想録が終わった頃から以後、今日までの間に私の研究に協力し、その発展に貢献してくれた人々のことである。

  • 高校生の頃に読んだときは「退屈なつまらない人」という印象だけだった。

    今、歳をとってから読むと感慨深い箇所が増えた。
    ・大好きな弟を戦争で亡くしたこと。
    ・暗い、つまらない、何も華やかで楽しいことがなかった青春。

    そして書いていなかったがノーベル賞を取った後の妻の虚栄と傲慢。
    これを書かないところに著者の孤独と品性を感じた。

    それは著者のコミュニケーション能力の無さのおかげか?

  • 湯川秀樹さんが
    自分の人生の前半を
    新聞に書き綴った自伝
    発明発見物語というかんじではなく
    ただただ日記のように淡々とかかれる
    でももともと文学に素養があるらしく
    文学的というか、なんとも読み心地が良い文章
    面白くて他人にお勧めできるかというと
    そうでもないが
    いい本だった

  • なんだかんだと言っても、
    ノーベル賞をとるぐらいの人は、昔から偉かったんだな。

    自分との差を感じる。

  • 湯川秀樹の青年期の回想。勉強、大好きだか、この頃の人は、専門になる物理学だけでなく、数学、老荘思想など、幅広く本を読んでいるなあ、と感心する。

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プロフィール

1907年東京生まれ。京都帝大理学部物理学科卒業。39年、京都帝大教授となり翌年、学士院恩賜賞を受賞。43年文化勲章を受章。東京帝大教授も兼任。35年に「中間子理論」を発表した業績により49年、日本人初のノーベル物理学賞を受賞。様々な分野で多大な業績を残す。81年没。

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