空気の発見 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 246
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094317

作品紹介・あらすじ

ノーベル賞受賞者が読んでいる本!

ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏が「科学者を志すきっかけになった本」として『ロウソクの科学』とともに紹介し、注目される。

「空気」に重さがあることが発見されて以来、さまざまな気体の種類や特性が分かってきた。空はなぜ青いのか、空気中にアンモニアが含まれるのはなぜか、二酸化炭素が「固まる空気」と名づけられた理由など、身近な疑問や思わぬ発見を、やさしく解き明かす。空気が「魂」のようなものだと考えられてきた頃から、その働きや生活との結びつきが明らかになるまでの歴史を豊富なエピソードで振り返り、科学を楽しくしてくれる名著。

感想・レビュー・書評

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  • 科学というものの発展を空気(気体)という題材を通じて語る科学史エッセイ
    想定している読者は科学の授業が嫌いになり始めるだいたい小学校高学年から中学生くらいか。
    自分にこのくらいの年齢の子どもがいたら勧めたい本。

    私はかねてより学問ちゅーもんは史学から入るべきと考えていたがまさに著者も同じ考えのもと本書を記したとのこと。
    私以外にも、しかも本を書くような偉い先生も同じことを考えていたということは嬉しい。
    ぶっちゃけ知識という面では高校まである程度理科系科目をある程度真面目に聞いていたら真新しいことは書いていない(そもそも本書自体割と古い本である)。
    しかし、それでもというか、だからこそ
    、本書が誰でもサラッと面白く読めるということが史学を学ぶことの重要性を表しているのではないだろうか。

    科学というのはそもそも自然界への「なぜ」に応える形で発展してきた。
    新しい科学知識は、そこに至るまでの人類の得た知識を前提に見えてきた事柄に対する「なぜ」という問いの積み重ねによるもののはずである。
    シンプルな目の前の事柄への疑問に対する答えをどんどん掘り下げていった先にあるのが現代の最先端の極めて抽象的なまでの科学知識なのだから、その発展のステップを知らなければ真に知識を得ることにはならないはずだ。
    何より面白いはずもない。
    学生の「なんでそんなことを学ぶのか」という疑問は、本来極めて本質的な問いであるはずなのに、怠惰さを表す態度かのように評価される風潮があるように思う。
    単純になんでそんなことやるのかわかったほうが身も入るし効率的だろう。

    これは科学に限った話ではない。
    私は学生時代、美術だの音楽だのといった芸術科目が苦痛で仕方なかった。
    リコーダーなんか吹いても芸術の素養が身につくとは思えないし下手くそなのがわかってて「自由に描け」などという寛容に見せかけた放置の時間で感受性はむしろ死んでいくような気さえした。
    しかし、大人になって、芸術がいかに発展してきたか、作者は何を思ってその絵を描き、曲を作ったのかといったことを知って初めて楽しむことができた。

    そうやって、単なる知識を得るのではなく、体系的な知識を自分の中に落とし込むことが雑学とは違う教養ということなのであり、科学に限らず学問全般において真に学問をするということなのだと思う。

    ロウソクの科学が最近話題になったが、科学というのは本来実用的以前に実際的なものだと再確認させてくれる良書であると思う。
    この本以外にもこういう学問の読み物は多く、この本でなくても良いという意味で☆3だが、誰が読んでも有益なのは間違いない。

  • 身近にあるものだから、大発見。

    空気は何なのか、この本を読んで、確かにここまで明らかにするのって、すごいことだと感じた。当然のように酸素と窒素と二酸化炭素と、と言ってしまうけれど、それを明らかにするまで、たくさんの人がいて(そしてたくさん否定されて)徐々にわかってきたことなのだ。全然理系ではないけれど、こういう科学史を読むと、ひとつひとつ仮説を立てて実験して証明していく楽しさや素晴らしさを感じる。

  • いつも私たちのすぐそばにある空気について研究の歴史についてわかりやすく書かれていた。

    ガリレオガリレイやコペルニクスなどが、自分たちを取り巻く当たり前の常識に疑いの眼を向け、批判とも戦いながら真実を探求する姿に感動した。

  • 『ロウソクの科学』を読んだので、こちらも読んでみた。1962年初版ということは、角川文庫の『ロウソクの科学』が出たのと同じ年なので、こちらも「あります」調なのだけど、読み手を子どもに設定しているので、文章は読みやすい。「目方」とか今の子どもは知らないかもな、という言葉もあるが、読めば意味は分かるので、特に問題ないと思う。こういう本を読む子どもは、知的能力や好奇心は高いだろうし。
    これは「空気とは何か」がわかる過程を少しずつ時代を追って科学者とその実験を中心に描いている。『ロウソクの科学』では、実験を目の前で行って、推理していく方式なので、実験が上手くイメージできないとよく分からないところもあるのだが、これはそういうこともないので、ハードルはかなり低い。
    何よりいいのは、著者が科学と科学者に深い尊敬の念を抱いていることがわかる表現が随所にあること。
    「どんなりっぱな学者がいったことでも、多くの人が信じこんでいることにでも、自分がなっとくのいかないことはないでしょうか。学問は、なっとくのいかないことを、そのままうのみにする人々の間では、けっして進歩しません。なっとくのいかないことは、どんなことでも、大きいうたがいをもって、それを、自分自身の力で解決しようとする人々によってのみ、学問は進み、多くの人々の考えを、正しい方向に導くことができるのです。」(P41)
    「みなさん、私は、きみたちの中から、第二のラヴォアジェ、第二のドールトンの生まれることをどんなにか、たのしみにまちのぞんでいることでしょう。しかし、私が、もっときみたちにのぞみたいことは、たとえ、むくいられることがなくとも、また、たとえ、めざましい研究ではなくとも、科学の巨大な殿堂のかたすみに、ただ一つでも誠実のこもった石をおく人に、なってもらいたいということです。」(P97)
    「自然界には、ふしぎなことが、たくさんあります。いつの時代でも、このようなふしぎなことを、ふしぎなものとして、どこまでも正面からとりくまないで、あれは、神さまの力によるものだとか、なにか妖怪変化の力によるものだなどと、かんたんにかたづけてしまう人があります。しかし、自然のふしぎに、ほんとうにおどろくのは、科学者であり、また、そのふしぎを、どこまでも追究して、なっとくのいくまでしらべ、私たちにおしえてくれるのも科学者だということができます。」(P129)
    この熱さ、志の高さ。なんだか泣ける。こんなに熱い心で科学教育に取り組んでいる人がどれだけいるのかと思うと。科学を教える人間は読むべき。
    あとがきに、この本を書いた動機が書かれているが、その動機はクリスマスレクチャーを行ったファラデーと相通じるものがある。
    化学史の入門書として中学生に読んでほしい。

  • 良書です。中高生で読んでおきたかった。大学生の一般教養の時期でもよいかも。科学におけるアプローチ、姿勢的なところは働く大人にも参考になると思う。

  • 2011夏の文庫フェア9冊目。

    未来ある子供たちに、優しく語りかける口調で記された空気の物語です。

    昔習った内容をほどよく忘れていたので、復習にもなり、新鮮な内容でもありました。

    科学が「錬金術」だった時代を経て、空気に重さがあることを発見し、その組成を分析していった多くの科学者たち。
    生きている間は研究を認められず、不遇の一生を終えた科学者たちの想いの結晶が、今の科学技術の礎をつくっているのですね。

    内容は本格的ですが、やさしい言葉で書かれているので、子供たちに読んでもらいたい本です。

    「理科」からもう一度勉強したくなりました。
    科学って面白い。

  • 身の回りにある空気、身近にあるのでどういうものかわからない。その空気をいかに人類が一つ一つ解明したかの歴史が書かれている。人間の探究心に脱帽。

  • 空気に関する発見の歴史を学生向けに分かりやすく説明する本。分かりやすい説明と著者の未来ある子供たちへの優しい語りかけで化学の本なのに読んでいてほっこりさせられました。
    理系駄目な私にはこの本くらいで丁度良かったです。

  • 見えない空気の存在に対してわずかな疑問から多くのことを発見してきた科学者の思考にハッとさせられる。

  • 空気は重さがある物質だ、との発見はガリレイとその弟子トリチェリー。メイヨウによる燃えることの意味合いの発見、ボイルによる元素の発見。そして二酸化炭素、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、オゾンの発見まで。決して難しくなさそうなこの世界であっても最初に思いついた人は凄いと思う。この科学の世界も過去数百年に大進歩を遂げたことが分かる。

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著者プロフィール

1908年岡山生まれ。1931年東京大学理学部化学科卒。北海道大学助手を経て中央気象台気象技術官養成所(現気象大学校)教授、気象研究所地球化学研究部長を歴任。著書は『科学者の眼』『戦争と平和と科学者と』『科学者のあゆんだ道』など多数。90年没。

「2011年 『空気の発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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