世界飛び地大全 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094690

作品紹介・あらすじ

人も住めないミクロな飛び地、飛び地の中の飛び地など、世界には驚くような飛び地が多数存在している。誕生のいきさつや政治、歴史などの背景も紹介。図版100点超! 新しい世界史が見えてくる!

感想・レビュー・書評

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  • 各国の国境をまたぐ飛び地を集めたという、面白い切り口で企画された一冊です。
    所感としては各地の飛び地情報を集めて羅列した以上のものではなく、素材をうまく調理しきれなかった印象を持ちました。ただし世界史や各国の事情を知るための一助にはなります。

    あとになって『国マニア』と同じ著者であることに気づいたのですが、読後感はこちらと近かったように思います。

  • 日本に住んでいるせいか、国とは一つの領域で囲われているものだといつのまにか思い込んでいた。
    だから、Googleマップでリトアニアとポーランドに挟まれた国名不明の領域を発見しなかったら、飛び地という存在自体に死ぬまで気づかなかったかもしれない。

    よくよく思い返せばアラスカという世界最大の飛び地を知っていたはずなのに、大きさのせいか距離のせいか海のせいか、"飛び地"という感覚は薄く。その他に取り上げられる九龍城やガザも知っていたはずだが、領域の小ささのせいかその特殊性のせいか"飛び地"と意識することは今までなかった。

    本書は大全というほど大それたものではなく、ただ多くの飛び地について概要を語るだけの雑学本。
    どの飛び地も二次大戦、中東戦争、ソ連崩壊、民族独立など、不和と争いにより生じたものがほとんどであるが、重いドラマを感じられるまでには踏み込まれず。九龍城に住んでいたという筆者の経験が活かしきれてないのがもったいない。

    幸せな家庭はみな一様だが、不幸な家庭にはそれぞれの理由がある。
    その理由のすべてを個人が把握することは不可能だが、せめて世界にはそれぞれの歴史があるのだということは、覚えておきたい。

  •  様々な理由で存在する世界の飛び地をひたすら紹介する本。
     海に囲まれた日本ではイメージしにくい「国境」が様々な経緯・理由で形作られていることが分かり面白い。米国で話題になってる国境の壁も、世界規模で考えると必ずしも異例ではないのかな。

     面白いとは言っても飛び地ができた理由も、その結果起きた事象も、面白いでは片付けられない大変なものも沢山ある。
     小さな飛び地には投資する者も現れず住人は不便を強いられる、戦争や紛争の火種となる、人種差別も起こる、宗教でいざこざが起こる、などなど。

     余程のマニアでもない限り、ここに記されている飛び地の大半は知らない人がほとんどだと思う。そりゃカーリニングラードとかアラスカとか、地球儀で描かれてるレベルならともかく。
     日本だって周辺国との領土問題は抱えたままであり、いわんや陸続きの国境を持つ国をや、である。御近所付き合いというのはどこの国も大変だなと思うけど、何とか改善の方法を模索している地域も沢山あり、希望が持てなくもない。
     ……尤も、改善に向かうところは飛び地の解消に伴い利害関係があまり発生しないところも多い。あとは歴史を重んじる観点から、とか。そんなもんである。

     オムニバス形式で、かつマイナー過ぎる上に地味な場所も沢山あり飽きる部分も多い。人には薦めないけど、心に残る点のある本。

  • よくもここまで調べたなという印象。初めて聞く地名がたくさん出てくる。地理や歴史の勉強にもなる。兎に角マニアックで面白い。最後は少しだれたけど、、。

  • 良書です。
    よくここまて調べたなぁ、というのが率直な感想です。
    血生臭い話しもあれば、笑える話しもあり、地理好きにはとても良い本です。

  • 世界史のお勉強として、コラムを読むように楽しめる本。国家のエゴで生まれた飛び地から、測量の間違いで生まれた飛び地まで、さまざま。良書。

  • 今現在もある、あるいは過去にあった飛び地にまつわる歴史、経緯、エピソード。/インド-バングラデシュ間のクチビハール問題は解決したのだろか(領土交換と国籍確定が行われたようだ)。ドゥブロヴニクとクロアチアを結ぶペルジェサク大橋は完成したのか(結局中止になったとか)。一年以上居留したものは政府から一定金額が配当され、2000年には年額約33万円相当だったというアラスカ。ベルギーとオランダにまたがるバールレは、玄関がついてる方の税法に従うため、法律の変更のたびにしばしば玄関を付け替える家が続出したのだとか。マレーシア、シンガポール間、イスラエル、パレスチナ間はいうまでもなく、歴史的な大英帝国の役割は、飛び地を扱うこの本でも、全くの悪役、腹黒紳士として登場。いっても詮無いことだが、この帝国がなければ、今、世界でどれだけの争いが起こってなかったのだろうかと思ってしまう。河口慧海のチベット潜入の目的が、チベット語経典からの直接の和訳であったこと。「ゴアを見たものはリスボンを見る必要なし」ということわざがあったくらい繁栄していたゴア。武力でも民主的手段でもスペインにとって難攻不落のジブラルタル。複雑怪奇な経緯をたどるマカオの歴史。川筋が変わったため、調査の結果、リオ・リコに住んでいたメキシコ人は、アメリカ領にも住んだことがあると判明、それならアメリカ国籍をよこせ!と裁判を起こしたのだとか。

  • 単行本で既読。

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著者プロフィール

1942年滋賀県長浜市に生まれる。長浜市役所勤務のあと、長浜城歴史博物館館長、国友ミュージアム館長などを歴任。カメラを持ち始めたのは長浜市広報担当職員時代から。父祖から受け継いだ田畑を耕作しながら、地元の暮らしや民俗の取材を続ける。湖北の農村の作業を追いかけた『北近江農の歳時記』は第5回日本自費出版文化賞大賞を受賞。

「2022年 『地図から消えた村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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