- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044094812
感想・レビュー・書評
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川端を斜めから楽しむ勢だが、けっこう正面から読んで、いいなと感じた。
そして誠に月並みなことに、よく聞く(引用される)ものほどいいな、と。
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川端のノーベル賞受賞記念講演を軸に、日本文化について述べた随筆を厳選!
ノーベル賞授賞式に羽織袴で登場した川端康成は、古典文学や芸術を紹介しながら日本の死生観を述べ、聴衆の深い感銘を誘った。その表題作を中心に、今、日本をとらえなおすための傑作随筆を厳選収録。
【目次】
●美へのまなざし
花は眠らない 1950★
美について 1950
美しい日本の私 1968★
秋の野に 1968
女人なれども 1969
夕日野 1969
ほろびぬ美 1969
美の発見と存在 1969×2★朝のガラスのコツプの光り
日本文学の美 1969★
日本美の展開 1969
鳶の舞う西空 1970
●戦争を経て
同人雑記 1937
平和を守るために 1949
私の考え 1951
東西文化の架橋 1957
●日本文化を想う
末期の眼 1933★竹久夢二ディス
純粋の声 1935
紫外線雑言 1936
日本の母 1942
「日本の母」を訪ねて 1942
哀愁 1947
思い出すともなく 1969
水晶の数珠など 1970
春 1955
付録
Japan the Beautiful and Myself(美しい日本の私) エドワード・G・サイデンステッカー訳
解説 大久保喬樹詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ノーベル賞受賞後の記念講演会での講演「美しい日本の私」を含む、戦前戦後のエッセイをまとめたもの。どのお話にも川端康成の「日本の美」に対する思いが込められている。川端の感じる美というのは、日本画や自然にとどまらず、源氏物語などの小説や勤勉な労働者など幅広く、本質的には「もののあはれ」に表現される、純粋さや儚さ。一方で、戦争で夫を亡くした寡婦が、姑を養いながら残された子を育てる姿を取材することなどは、川端自身も純粋に美しいと思っているのだろうが、今でいうヤラセ感がないではなく、戦争・国策の影響を感じる。
「もののあはれ」を至上の美と考えていた川端が、戦後の混乱した社会や米国に傾倒している人々を見てどう思ったか。太宰や三島の自死を非難していた川端自身が謎のガス自殺を図った理由が垣間見える気がする。オリンピックとコロナ禍で混乱する今の日本をどう見ているか。
全体を通じて日本語が豊かで美しいの感じるので、読みがいのある一冊。 -
川端康成が、このような随筆を書いていたとは知りませんでした。
文化という中から「美」という側面を切り出し、
日本の古典文学なども例に挙げて語っているようです。
私のような凡人にはよく分かりませんが、ある意味鈍感でもあり、鋭敏でもあるという不思議な感覚を覚える文章です。
いずれにしても、「文化」というものは、長い時間をかけて育まれてきたものが多いのでしょうし、そのようなことに対しての歴史を知ることや、自分なりの理解をもつことが大事だと思わせられます。