新編 日本の面影 (2) (角川ソフィア文庫)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2015年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044094867
作品紹介・あらすじ
代表作『知られぬ日本の面影』を新編集する待望の第2弾。「鎌倉・江ノ島詣で」「八重垣神社」「美保関にて」「二つの珍しい祭日」ほか、日本に対するハーンの想いと細緻な眼差しを感じる新訳十編。
感想・レビュー・書評
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・気持ちの準備ができている時は、ゆったりと入ってくる。
・紀行文はそんな時にいい。
・雑司ヶ谷を訪れてもいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前作『新編 日本の面影』に収録されなかった10編のエッセイと、奥様である小泉節子氏が八雲との思い出を語る『思い出の記』を収録。
八雲のエッセイはもちろん、『思い出の記』を是非読みたかったので手頃な文庫に纏まっているのはありがたい。
俗に言うヘルン語でやり取りする夫妻の会話は、文章だけでも微笑ましく、二人の絆を感じる。 -
贔屓(亀趺)について調べていて、小泉八雲が『知られぬ日本の面影』の中で松江月照寺の贔屓像についての伝説に触れているという情報があり、読んでいた。結局のこのシリーズには該当の「杵築雑記」は再録されておらず、国立国会図書館デジタルライブラリの『小泉八雲全集 第3巻』で読むことができた。
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(上巻と同じ内容です)
2012.8記。
突然ですがやっぱり地元の夏祭り・盆踊りというのはよいものです。なぜか振付を熟知しているおばちゃん、よくわからない役割を与えられてねじり鉢巻きで周囲ににらみを利かせているおっさん・・・
私が小学生(30年前、1980年前後)のころから変わらない風景だが、思えばこのおっさんおばちゃんも30年前はせいぜい30代。つまり1980年代にはそこそこ「盆踊りだせー」とか言っていた世代ではないのだろうか?2030年ごろには僕も地元の公園辺りで「自治会」のテントの下で東京音頭の音量を調節したりしているのだろうか?日頃は都心に電車で働きに出てしまう僕だが、そうやって将来どこであれ地域の行事の継承役の一角を担えるならそれは嬉しいことだ・・・こういう廃れそうで廃れない日本の季節の風物詩を大事にしたいと思う今日この頃。
さて、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が描写した(おそらくは19世紀末の)出雲における盆踊りの様子は、日本人が読んでもめまいがするほどに美しい。
以下、少し長いが引用です。
「かつてのお寺であった本堂の陰から、踊り子たちが列をなして月の光を浴びながら出てきて、ぴたりと立ち止まった。(中略)・・・すると、太鼓がもうひとつ、ドンと鳴ったのを合図に、さあ、いよいよ盆踊りの始まりである。それは、筆舌に尽くしがたい、想像を絶した、何か夢幻の世界にいるような踊りであった・・・(中略)こうして、いつも無数の白い手が、何か呪文でも紡ぎだしているかのように、掌を上へ下へと向けながら、輪の外側と内側に交互にしなやかに波打っているのである。それに合わせて、妖精の羽根のような袖が、同時にほのかに空中に浮き上がり、本物の翼のような影を落としている。(中略)・・・空を巡る月の下、踊りの輪の真ん中に立っている私は、魔法の輪の中にいるような錯覚を覚えていた。まさにこれは、魔法としかいいようがない。私は、魔法にかけられているのである。幽霊のような手の振り、リズミカルな足の動き、なかでも、美しい袖の軽やかなはためきに、私はすっかり魅了されてしまっていた。幻影のように、音も立たない、なめらかな袖の揺れは、あたかも熱帯地方の大きなコウモリが飛んでいるかのようである。いや、夢だとしても、こんな夢はこれまで見たことがない。」(ラフカディオ・ハーン「日本の面影」(池田雅之訳))