- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044120078
作品紹介・あらすじ
初めて植えた朝顔に、男への思いを託す今日子。最初の一輪が咲いた時に知り合った、圭次郎から連絡が絶えてひと月になる。彼女の心が限界に近づいた頃、永世姫、常世姫と名のる艶やかな和装姿の女たちがやってきた。「異界の花と化し、永遠の命を与えよう」という申し出は、今日子の心を動かす。だが、その時、姫たちの企みを邪魔するものが現れた。「鬼」と呼ばれし花守り、青葉時実だった!異界の者たちが争うところ、女心の深奥があばかれる。新鋭が描くあやかしのトゥルー・ストーリー。
感想・レビュー・書評
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好きな世界でした。時代がかった豪奢だけど、闇の暗さもあって…1作だけしかないっぽいのが寂しいです。
花守り側の時実や十郎・五郎に日照間様も、女性を花にする側の永世・常世姉妹もキャラ立ちしてて素敵でした。姉妹、毎度毎度衣装も屋敷も調度品も素敵。おかっぱは禿。
女性の闇を捕らえて誘惑する姉妹も、最終話のフサさんの召し物褒めにはタジタジになってて婆様強かったです。人の苦しみを眺めるだけで知った気でいるものより、苦しみを実際に経験してきた人の方が強い。婆様格好良い。
朝顔のお話も好きでした。時が流れているなら、闇は続かない。そうだといいです。
表紙捲ったとこにある作品紹介、百花の王は百合じゃなくて牡丹では?となりました。3話と4話が混ざっている。。
独り咲きにも気概が必要。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
解説に夢枕獏さん
確かに創作としてこんなの書くの凄い
歌舞伎とか着物の知識がなくてイメージできないのが残念 -
朝顔を植うるは心寂しき人、朝ごとに開く新しい花を心待ちに、それだけを生きるよすがに、眠りの淵より這い上がる。花を愛でる人は、みなそのようなもの。散り急ぐ花。咲けば枯れるのが必定。永遠などない。それが当たり前。流れる時間の中で。移り変わるもの。儚い。一瞬の逢瀬。刹那の交わり。滅びは優しく残酷。この世の花。哀れなもの。不憫。哀れを映して花の色も冴える。咲き残った花。可憐。妖気。花に名残は尽きねども。花に想いを託す。花を愛でる気持ち。花心。生者必滅。花はなべて咲く寸前が一番傲慢で美しい。
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人の心には花が咲く。傲慢さを、臆病さを、一途さを苗床に、牡丹が、百合が、曼珠沙華が咲く。それはけして枯れることのない、永遠の花。
永遠の花を求める「永久の姫君たち」と、人の心に咲く花を守る「花守」の物語。
角川文庫の解説で夢枕獏さんが書かれている通り、泉鏡花を思わせる妖しく美しい物語です。鏡花の文章は、夢と現実が曖昧で、ぐるぐると暗くて絢爛な世界に入り込む感覚がしますが、同じような感覚をおぼえます
。
全体的に、歌舞伎を引用した演出や、和装の描写がとても繊細で、そういったものに興味を持たれる方には是非ともおすすめです。
(あと個人的に夢枕獏さんの解説がとってもおすすめなので、是非とも角川文庫で読んでみてください!) -
連作短編5作。タイトル&ジャケ買いにして大正解。
なんとも馨しく妖しい花の物語。
飛花落葉なれど、今という時があるからこその美しさがある。 -
図書館からソフトカバー版を借りてきました。
表紙が文庫版とは違いライトノベルっぽいイラストだなーと思ったら元々スニーカーだったのね。納得。
花に想いを託した人たちを巡る、永遠の姫君たちと鬼(?)達とのお話。
歌舞伎や能を題材にしたりと、いたるところに日本の文化が見える。
そういうものに詳しくはないから少し読みづらかった。不勉強(-_-;)
これは続きはないのかな。
まだ明かされていない部分(朧のこととか)があるけれど……。
何はともあれ普段はちょっと読まない感じのものだったので、新鮮な気持ちになりました。
09.10.14 -
2009/04/20読了。
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2005年7月27日読了
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何度も読み返しているので文庫本がぼろぼろです。