ダメな女と呼んでくれ (角川文庫)

著者 : 中村うさぎ
制作 : アランジ アロンゾ 
  • 角川書店 (2003年2月25日発売)
3.23
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  • 12レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044125226

ダメな女と呼んでくれ (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 理性は人の行く道筋や人の住む枠組みを示すけれども、癒しは決してもたらさず、それは感情の領域であるなあ、とつよく感じていたのですが、この本もまさにそういう本です。要するに、癒されます。

    いまからちょうど10年前、テレビでの中村さんの露出をきっかけに、なんかコメンテーターっぽいことしてる、なんかインテリっぽい人なんだろうな、と安直に思った高校生当時、たまたま書店で見かけて何の気もなしに買ってみた本で、彼女が実際にはラノベ作家であったこと、ラノベ作家ながらエッセイの評価が高くエッセイストとして名を馳せていたけれど、その主たるテーマはトンデモ暴露話が中心であること、なんてさっぱり知らないまま読んだものですから、びっくり半分、おもしろ半分、くらいの印象を受けていました。高校生でまだ人生経験も(ほかのひとよりはヘビーだった気もしますが)浅かったので、なんだかフリーダムな作家だったんだなあ、くらいの印象しか正直なく、私が当時仮住まいしていた家の本棚のなかの、売りに出す古本をおさめてあるスペースに無造作にこの本は突っ込んでありました。

    10年たち、中高大院就職と、ものの見事にすべてのステージで盛大につまづいて、人生の路頭に迷っているまっただなかに不本意ながら放り込まれたいま、あらためてこの本を読むと、なんというか、意外にもフリーダムな印象を受けていたはずの彼女から受けるのはごくふつうで、ありきたりで、なんだかよくいるタイプの、すごく誠実な女性、という印象でした。どこか誠実なんだ! というと、自分の負の部分を、ある程度正直に、飾らずに、表に出してくださっている部分。情けない自分をなかなか表に出せない私は(そして最悪の形で情けなさを盛大に発露させてしまう私は)、こういうダメっぷり暴露と、そんな自分を肯定的に解釈して、情けない恰好で大手を振って大通りを歩いたっていいじゃない! というある意味でふてぶてしく、ずうずうしく、恥知らずで、でも正直な姿というのは、むしろ尊敬できる姿にすら見えるわけです。まだまだ精進が足りないので、私は。

    20代はがむしゃら、なんてよく聞きますが、さまざまな雑念にもっともとらわれている時期が20代なのだと思います。30代になると、自分から失われたものとあらたに手に入れたものとがそろそろ形をもって見えはじめ、失うことを恐れるでもなく、手に入れたものを失う恐れに触れるでもなく、いちばん安定できる時期に入るのだと思います。もちろん、20代でつかみ損ねたものや零れ落ちたものの方が多ければ、こういうことにはならないのでしょう。だからいま必死で何かをつかもうとしたり、こぼれおちるものにひたすら手を伸ばしたりしているわけですが、まったくうまくいきません。何もつかめず、すべてがぼろぼろと落ちてゆく感覚がします。またなくした、なくしたと、なくしたものにばかりとらわれ、自分の中から何もかもが失われていく感覚がして、ときに非常に破壊的な行為にも及びます。モノを壊したり、親しい人に当たり散らしたり、最悪なことにも及んでしまうわけです。

    敗戦コンプレックスと、離婚コンプレックス(?)とを重ね合わせて、みずからの浪費癖を解釈している箇所も非常に面白かったのですが、私がもっともおもしろく感じたのは、文庫版の75ページ「結婚当時、私は、夫との生活に疲れ果ててはいたものの、自分が「傷ついてる」なんて認めたくなかったのね。ほら、負けず嫌いだしさぁ。それに彼だけが悪いワケじゃなし、私にも悪いとこあるのに「傷ついた」なんて言うの、フェアじゃないでしょ?」というフレーズ。まさにいまの私だと思ったわけです。自分が傷ついているだなんて認めたくなかった、この程度傷つくほどじゃないと常に思っていた私は、いまになってあらゆる疲労からか、一気に精神の均衡を失ったわけですが、いまのこの私の口から零れ落ちるのは、当時はなんともおもっていなかったような、誰かの無神経な妬みの言葉や、誰かを非難する言葉、誰かを貶めて自分を高めようとする言葉や、誰かを根拠もなく軽蔑する言葉、そういう、なんともおもわず通り過ぎてきたと思っていた、とるに足らない言葉たちばかりでした。人間だからね、妬みもするよね、と笑顔で聞き流し、人間だからね、許すことなんてできないよね、と笑顔で同情し、人間だからね、ひどいこともときにはしちゃうよね、と笑顔で見逃してきた数々の言葉やふるまいたちが、いまになって、大声で泣きわめく私の口から発せられるわけですが、そのことにいまさらながらいちいち私は驚いているわけです。自分のことなのに自覚できないのはおかしいと思うでしょう。でも自覚できていなかったからこそ、いまになって、すべてが一気に噴出してきたのだと思います。もちろん、それらがいまになって噴出したからと言って、私の現状が改善するわけでもまったくないのですが、私はまた、自分が壊れてひとに迷惑をかけるようになってから気がついたのだと、そのサイクルは中学生から変わっていないなと、あらためて自分に落胆したわけです。情けない話ですが。

    上述の中村さんの言葉には、モラルと強さがあると思います。モラルというか、分別というか。自分だけがつらいのじゃないし、と自分をごまかす。自分の悪いところも自覚しているから、被害者ぶるのもよくないと思い、被害者ぶりたい心とそんな自分を軽蔑し抑え込む心がせめぎ合う、結果、妙に偽悪的だったり、露悪的だったり、そういう言動に走ってしまう。自己破壊的とも思える行為にアイデンティティを見出そうとしてみる(オープン浪費癖とか、オープンモラル崩壊とか)。この程度のことでくずおれてしまう弱い女と思われたくないし、この程度のことでそもそもくずおれるなんてナメてる、甘えてる、そういう、自分への厳しさというか、自分への理想像の押しつけというか、自分で自分を縛っている姿、自分で自分をクリエイトして、自分で認められる自分であるために自分を縛り、自分の体内から発せられる声を無視して、無視していることにすら気づいていない姿、というのが、派手な悪癖のなかにちらちらと見えるわけです。もちろん、はた目には素直じゃなくてガツガツしたかわいくない女に見えるでしょう。

    整形を繰り返していることからもうかがえますが、もともとは非常に自分に対する理想の高い女性なのだと思います。いまの自分に納得がいかない、どこかそういう、自分に対する不全感を埋めたいのに、そのことを自覚できていなくて悪循環を繰り返す、いまの私とかぶる部分が非常にあって、10年ぶりに読み返し、非常に勇気づけられたというか、癒されたというか、いまの私ってこういうことなのだろうなと、自分を客観視するきっかけをこの本はくれました。もう堅苦しい本なんか一切読めなくて、日常に支障がでまくりのいまの私に、ライトな文体で(テンションの高いところがやや苦しいのですが……)、ダメでもいいじゃん、堂々と大通りをアレな格好ででも歩いていこうぜ! 公道なんて誰にでも開かれてるもんなんだし、なかば私道も同然よ! といわんばかりのこの本には、ほんの、1mgくらい、肩の荷がおろされたような、やっぱりおろされていないような、そんなかんじがします。

    長い文章に付き合ってくださってありがとうございます。もしこれを読んでくださった方のなかに、私と同じように人生ドン詰まりすぎて死ぬ方法をわりと本気で日々探しては実行に失敗している情けない皆さんがいらっしゃったら、この本を一読してみませんか。すくなくともこの本を読んでいる一瞬だけは、こんな私でも、ほんのすこしだけ許されたような気になって、自分の死体をクリエイトするシーンが頭から離れていくかもしれません。おすすめです。ただし男性には不評でした。

  •  なんというか、すごいなぁと思う。
     体張った芸風というか。

     何よりも「ザ・スニーカー」誌という、ライトノベルがメイン雑誌にこれが一緒に連載されていたということが、すごい(笑)
     どのくらいの違和感だったんだろう。

  • なんだか時代が違う

  • 「こんなにぶっちゃけていいの?」と思いながらついつい読んでしまう。

  • 週間文春で連載があったのは知ってたのだけれども、初めてちゃんと読んだ著書のエッセイ。
    OLからジュニア小説家に転身し、収入の桁が変わったあたりから買い物依存症まっしぐら。
    潔いほどに買い捲って、そして出版社に前借などなど、その破綻寸前の破天荒な生活と生き様が、冷静に分析しつつ、テンポ良く、面白おかしく描かれている。
    勢いもあり、笑いあり、ほろりもあり、はっとさせられることもあり。上手いな〜と唸らされた。

  • こちらは散財エッセイ。

  • 中村うさぎさんが好きで読みました。買い物楽しいけどねー、買いすぎはやっぱりいけませんよ。

  • 1か月のアメックスの支払いが250万てどういうことだろうw
    本日(2006/11/20)新潮の中吊で「中村うさぎ人前で○○しちゃいました」というのがあってドキドキしちゃいました。今後もつかまらないレベルでどんどん挑戦していってもらいたいと思います。

  • けっこう面白かったよ?(///∀///)(爆)

  • 文章が、うまくて、頭がいい人だと思う。

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