トリニティ・ブラッドReborn on the Mars: 嘆きの星 (角川スニーカー文庫 84-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1022
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044184032

作品紹介・あらすじ

大災厄で文明が滅んだ遠未来。異種知性体・吸血鬼と人類の闘争が続く暗黒の時代-辺境の街イシュトヴァーンの支配者・吸血侯爵ジュラは、ロストテクノロジー兵器"嘆きの星"による人類抹殺の野望を巡らしていた。その情報を掴んだ汎人類機関ヴァチカンは、計画を阻止すべく、ひとりのエージェントを派遣した!存亡を懸けて闘う二つの種族を、壮大なスケールで描くノイエ・バロックオペラの決定版!-汝、目をそらすことなかれ。

感想・レビュー・書評

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  • すごい本だった。
    設定というか構想というか、本当に壮大で緻密だった。
    それでいてマンガみたいで。
    どういう膨大な資料があったらこんな話が書けるのかな。
    絵もすごい。

  • 連載完結を迎えることなくこの世を去った、吉田直さんのトリブラシリーズ一作目。
    私が今まで読んだ本の中で、一番書き手の賢さが文章からひしひしと伝わってきた、と感じたものです。面白すぎました。図書館で全巻借りて読みきった。
    吉田先生は博識で理工学もガツガツ入れてこられて、ロスト・テクノロジーの説明も超本格的でモロ文の私には目が回りそうなところも何度かあったのですが、地名や人名に使われる固有名詞、命名センスから言っても、世界史もオールラウンドにばっちこいな方だと。Wikiで調べて初めて高学歴な人なんだなーと知りました。
    まず世界設定にぎくりとする。核戦争「大災厄(アルマゲドン)」でアジアやアメリカ大陸・インド辺りまでが吹き飛び、舞台は遠未来ヨーロッパに限定されるというところ。大災厄後に現れた吸血鬼と人類のお話。大災厄の影響で科学技術を失ったため、実質はSF×中世〜近代〜現代ヨーロッパ(土地によりけり)くらいの感覚でいけるかも。
    設定も自分的に好みストライクでした。各国の王族、ツァラ・メトセルート=真人類帝国(この国についての詳細設定も本当に綿密で素晴らしいとしか言いようが無い! オスマン帝国を参考にしているというし、言語はルーマニアの古文を元に自由に会話文に用いられるなんて、ラテン語も完璧だし、語学にも堪能とか……!)、神聖ローマ帝国を彷彿とさせるヴァチカン=教皇庁、その裏をさらう「ヴァンパイアの血を吸うヴァンパイア」。
    知識といい文才といい心理描写の書き込みといいキャラ同士のあれやこれやといい、非の打ち所がないと思います。こんなにハイクオリティーなラノベは読んだことがないです。洋風ファンタジーいけるよーという方には、ぜひぜひ、というか絶対、読んでもらいたいです。有名なシリーズですけど、読まなきゃ損ですね。追い詰められてどうしようもない人間の心理が幾重にも混ざり合っていて展開も完璧、ほぼ全巻、ぐっとくるものがあります。絵もキレイ。

    一作目「嘆きの星」は、人間の妻を市民に殺されたことで復讐に燃えて虐殺に加担する吸血鬼の統治者の話。ヒロインが旅を始める前、主人公アベルに出会ってレジスタンスの頭領として吸血鬼と戦っているんですが、この吸血鬼ジュラがなぁ、悲しくってなぁ。奥さんの肖像画に話し掛けるところなんか本当に良かったです。

    キャラ読みすると、ヒロインのエステルがちょーっと良い子過ぎたかなぁとも。人間くさいドラマを見てウェーとなり、それでも私は人の心を信じるわ☆みたいなところは「ははー女を甘く見てんなぁ?」と思ってしまいました(笑)出生の秘密は王道ですね。それに至る経緯までも王道。アベルについてはもう完璧。本質的にネガティブなとことか、自己犠牲とか依存とか、もう言う事無しのダメダメさです。相対するカインも好きでしたが、薔薇十字騎士団(これも薔薇十字団にひっかけてますしね、ドイツ風で統一しているところも粋)配下のディートリッヒも好き。教皇庁では断然カテリーナ・スフォルツァ枢機卿。(ヴァチカンの設定は細かくてローマオタクにはたまんないです。スフォルツァ家やメディチ家(ルネサンスですね)とか実在の名家の名がバンバン出てきて嬉しい)アベルへの打ち明けられない思いとか、生い立ちへの劣等感とか、歪んでて最高です。教皇アレッサンドロもお飾りとされておきながら終わり2巻か1巻くらいでサヴァン発覚とは……吉田先生……!(きゅん)
    カテリーナへの忠誠心溢れる心を持つマシーン・トレスや裏切る・裏切られる関係につく吸血鬼の親友イオン・ラドゥの苦悩とか、天才ワーズワース神父、兄妹愛に燃えるユーグ、仁義の吸血鬼アスト、王家の血に翻弄され最後は妹のために死ぬメアリ、秀才たらし枢機卿アントニオ、もうみんなみんな大好きです……。
    間違いなくラノベ日本一。太鼓判押せます。

  • 吉田さんが亡くなってしまったのが悲しい。

  • ライトノベル

  • 毎年、吉田直先生の命日が来る度に読み返している。

    出逢ったきっかけはアニメ。
    当時WOWOW無料放送でO.A.されて観始めて面白くて原作を読み始めた。
    全くと言っていいほど本は読まない人だったが、まずは表紙絵に思いっ切り惹かれ、途端にのめり込んだ作品。
    好きな要素が詰まりまくっててね。
    無我夢中で集めた。
    THORES様のファンになったのもこの作品から♡

    とにかくヴァンパイア(吸血鬼)ものが好きで余計に嵌まった。
    甘美で儚くて裏側にある強さが好きな要因。
    ただの人間vs吸血鬼ではないストーリーと異種異能を持った者達との戦い。
    アベルのクルースニクとは?…なぜジュラが"御身"と言葉を改めたのか、遥か昔から存在する者なのか、この時点ではまだ謎。
    騎士団=世界の敵とは?…ディートリッヒはその一人であること。
    壮大なストーリーがこれから先にありそうな伏線がいくつかあって、ワクワクさせられた。

    この巻に関しては、誰かの為に何かを成そうとした結果の悲劇と悲壮が混在するんだよね。
    凄く考えさせられる台詞が出てくる。
    まあ、残念なのはヒロインのエステルが好きになれなかったこと。
    これはこちらの女性目線だからなのか、言葉遣いは別としてもむず痒くなるような喋り方に×としたい。

    今は絶版になっているし、紙媒体で所持しているのは貴重。
    大事に読み続けたい!
    今からの人は電子書籍で是非!
    THORES様の美麗絵にも更に更に注目だよ!!!

  • 高校生の頃に傾倒していて、作者の吉田直さんが亡くなられた時は信じられなくて呆然としていたのを鮮明に覚えています。
    大好きだったシリーズの中でまだ生きていてくれるキャラクターたちのみんなは、再読した今回も昔のままで、時間を忘れて読みふけりました。
    この作品の魅力はたくさんあるとは思いますが、やっぱり一番は、吉田直の筆力に尽きるのかなと思います。まだまだ日本語が発展途上だった思春期に、彼の本を読めていて嬉しく思います。知性を感じさせる比喩の数々に、大人になった今も、尊敬の念を覚えました。
    ストーリーも、きっとこうなるだろう、と、これだけはないだろう、のバランスというか配合が巧妙で、予想が当たっても外れても嬉しいという、憎い演出。
    レギュラー陣のAXの皆さんとヒロインのエステルのほか、徹頭徹尾極悪人のディートリッヒ、そして悪役にするには惜しいジュラ。結構薄い本なのに、ジュラの歴史をちゃんと感じさせるあたりも、すごいなと思います。
    エンターテイメントだけど真面目で、少しアカデミックなのに茶目っ気もあって、読んでいてワクワクしながらも、読み終えた本を見て、惜しい人をなくしたなと改めて思いました。

  • だいすきなトリブラ。
    漫画も、原作も、何度でも読んでしまいます。
    改めて第一巻、本当に面白かったです。
    2015.05.08

  • 何度も再読してる大好きなシリーズ。
    著者の吉田直先生が亡くなられてたと知って凄くショックでした。続編を別の方が書くとかって話を聞いたような気もするのだけど、結局どうなったんだろう?

  • 始めて表紙を見た時の衝撃。その時手にとってこのシリーズを買いつづけた事は自分にとってとても幸運でずっと心に残り続けると思う。

  • シリーズ一気に買って一気に読みました。完結してなくても面白いです、ありがとうございました。
    ディートリッヒとアレクが特に好きですがほぼどのキャラも魅力的です。聖下かわいい私のヒロイン。吉田直さんの「ひどいこと」のひらがな標記にときめきます…。

    あとは好きなところだけ偏りメモ。

    ディートリッヒ
    「君のその声を聞ける日をずっと待ってた…待ち遠しかったけど、いざ聞いてみると、ほんとに綺麗な声だね。」
    「そして、理由のもう一つは…僕は君のことが大好きだからだよ、エステル」
    「だから言ったろう?僕はひどいことをするんだって。」
    「どんな姿でもいい。戻ってきて欲しいって。最も彼女はそんなこと考えていなかったみたいだけどね。」

    セス
    「次に会ったときは、絶対に許さないからね。だから、これからは一生懸命お逃げ……逃げて逃げて逃げまくるんだね。そして、ボクはキミたちをどこまでも追いつめ、捕え、ひどいことをする。ラドゥ、スレイマン、イオン――キミたちはボクの子供たちに取り返しのつかないことをしてくれたんだ。絶対に復讐するよ。」

    アントニオ
    「背中は僕にまかせろ。ここから力いっぱい声援してるから。」

    カイン
    「ねえ、アベル。君は僕を愛している。昔も今も君は僕を愛しているんだ。だから僕を殺せないんだ…そしてそれはこれからも永遠に変わることはない。」

    ヴァーツラフ
    「せめて信仰だけは弱者の味方であるべきではありませんか!?」
    「私は、神など信じません。」
    「神は確かに存在しています。ただし、それは現実でもない。理想でもない――それは、理想と現実を埋めようとする人の意思そのものだ!」
    「ええ。長いこと見失っていた主なる神…なんのことはない、私の神は、私の中にいらっしゃった。」

    アベル
    「私もそうだったからわかる。勝手に世界に絶望して、愛した人が求めた理想を軽蔑した。いや、憎んですらいた…でも、今思えば、私は負け犬でした。現実と戦うことに怯えて、すべてを嗤うことしかできない惨めな負け犬。そう、ちょうど今のあなたみたいにです。」
    「現実を見るのはいい。自分に力が足りないのを認めるのは大切なことだ――でも、それに負けちゃいけない。あなたの理屈は負け犬の理屈だ。」

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