定本 物語消費論 (角川文庫)

著者 : 大塚英志
制作 : 西島 大介 
  • 角川書店 (2001年10月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044191108

作品紹介

1980年代の終わりに、子供たちは「ビックリマンチョコレート」のシールを集め、「人面犬」などの都市伝説に熱狂した。それは、消費者が商品の作り手が作り出した物語に満足できず、消費者自らの手で物語を作り上げる時代の予兆であった。1989年に於ける「大きな物語」の終焉を出発点に、読者が自分たちが消費する物語を自分たちで捏造する時代の到来を予見した幻の消費社会論。新たに「都市伝説論」を加えて、待望の文庫化!巻末に'80年代サブカルチャー年表を付ける

定本 物語消費論 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • アカデミックではないかもしれないけど、かなり面白い。

    「ビックリマンチョコレート」に見られるような、商品やモノではなく、その背後にある「大きな物語」が消費されるという形態。

    実際子供たちが皆そういう思考回路でシールを集めていたかは疑問だが、この概念自体は凄く面白いし、かなり惹かれました(笑)

  • サブカルチャーはどこへいく。

    物語を消費していくという話は少しわかった。でも、この論が書かれた頃から、また少し違う方向に進んでいるので、新たな考えも知りたい。

    縮小再生産を繰り返し、加速させ、喜んでいるうちに、失われているものがあるのだろう。

  • 表紙が可愛い。あと、ビックリマンシールを集めたくなる。

    そんなことは置いといて、面白かった。ただ、拡張性は無かった。というのは恐らくこれが元々出版された89年、つまり僕が生まれた年以後、ここで論じられている手法や概念というのが広く流通され、その下で育ってきたために取り立てて新鮮味を感じ無かったということ、また東浩紀や宇野常寛といったような批評家の批評形式に若干の慣れがあるので驚きも少なかったと言える。

    ただ、狙わずして80年代の反原発運動等の見解も読め、震災以後の原発を巡る国内の政治的行き先に思いを馳せることとなった。


    表紙が可愛い。

  • 20050501

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784044191108

  • 最初はおもしろかったが途中から漫画ブームを読む解くみたいな感じになっていて民俗学から離れてしまっていたのがちょっともの足りなかった。そういや「子供流離譚」なんてのも読んだよな。

  • 「消費」される物語

    最近改めて読み返したんですが、80年代の話なのにどこか過去形では語れないものがあるなあと感じました。
    移り変わるのは「物語」という商品だけで、今でも「消費」は続いている。
    いたるところに商品が氾濫している所為か、消費のスピードも上がっていますし。
    ナショナリズムも、デモも、全て消費されてまた新しい商品が出てくる。
    何でも「消費」する世界ってどうなんでしょうね。

  • 私も人文系、自然科学系問わず様々な書を読むことによって(半ばコレクション化することによって)、その背後にある大きな世界(物語)を把握しようとする。
    物珍しいなと思いながら80年代の著述を手にとる者にとって、すでに本書で言うところの物語消費は始まっているのかもしれない。

    でも自分がビックリマンシールを集めた理由はただ流行っていたからであって、
    けっして物語を消費した記憶はありません。

  • 「物語」と「世界」。なるほどと思った。

  • 89年で既にこんなこと言うこの炯眼さ。
    すごいね大塚英志。

    大本教の経典の「霊界物語」と、
    「ビックリマンチョコ」が似ている話が、
    ともに神話のパロディである、
    という話が面白かった。

    宗教をゲーム化したほうがいいという指摘は、
    最近のゲーミフィケーションブームを予言しているとも言える。
    (この当時は"ファミコン"という語だけれど)

    また、
    映画はアメリカによる「神話のシミュラークル」であり、
    その手法を使って手塚治虫が「火の鳥」の中で、
    戦後失ってしまった日本史を物語として再生しようとしていた、
    というのは非常にアイロニーの利いた言説である。

    それから、
    「世間話」や「噂話」の生成のメカニズムの話。
    「世間話」は共同体の異物混入に対する解毒作用をもたらそうとしているのだという。

    これは秩序を犯すカオスの侵入を共同体内の神話に包摂する意図があり、
    ドラえもんの「ドラえもんは植物人間になったのび太が見る夢である」といった「噂」は、
    これとは反対で「ドラえもん」という極度に安定した秩序に、
    カオスを投げかけて秩序を乱そうとする意図がある。

    安定と不安定の動的な移ろいが、
    人々の心をつかむのであろう。

    女子高生が天皇を「かわいい」という現象は、
    「万世一系」という大きな物語が喪失したことと、
    失われた「無垢さ」を仮託していたことに起因していて、
    本書は昭和の終わりに書かれているけれど、
    現在にも置き換えられる天皇制の姿なのだろうと思う。

    というか、
    すべての裏事情がほぼ明らかになり、
    物語の屋台骨が露出し、
    記号と戯れることにも飽きてしまったわたしたちは、
    東浩紀が言うように、
    もう一度神話的物語(共同幻想)を再構築していかなければ、
    おそらく日本という共同体は崩壊するのであろう(すでに崩壊しつつあるし)。

    わたしが想像するに、
    神話を創った人たちもそれが嘘っぱちなんてことは重々承知していたんだと思う。

    それでもなお、
    国家という共同体を作るには神話がベターなのだ、
    という決断があったように思われるのである。

    わたしは日本がこの先もあったほうが嬉しいので、
    幻想であることを認識した上で新たな幻想を創るという難しい仕事を推進したい。

    おそらくこの先、
    「個」から新たな共同体が形成されるのは、
    現状を鑑みると明白なように思われる。

    「AKB48」も「ニコニコ動画」も「twitter」も「アキハバラ」も、
    巨視的に見ればこの大きな流れのせせらぎのひとつなのだろう。

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