少女たちの「かわいい」天皇―サブカルチャー天皇論 (角川文庫)

著者 :
制作 : 会田 誠 
  • 角川書店
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本棚登録 : 105
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044191160

感想・レビュー・書評

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  • 昭和天皇が病に倒れたとき、皇居前に多くの女子校生が記帳に訪れました。そこで著者は、「天皇ってさ、なんか、かわいいんだよね」という言葉を耳にします。身の回りのものを「かわいい」で埋め尽くす消費社会の少女たちのまなざしが、テレビなどのメディアに登場する天皇を「かわいいおじいさん」というイメージで覆ってしまったのです。このとき、もはや天皇は、父性も歴史性も欠落し、ただイノセントな自分を写す鏡でしかなくなってしまっていると著者は考えます。

    やがて1990年代に入り、イノセントなナショナリズムが隆盛を見ることになります。精神科医の香山リカは、この現象を「ぷちナショナリズム」と呼び、歴史や社会から疎外された人びとが「自己」を預ける「国家」を求めたのだと指摘しました。この議論を受けて著者は、天皇を「かわいい」という少女たちの姿に、香山の「ぷちナショナリズム」の始まりを見ています。その後、女性週刊誌に掲載される皇室写真で秋篠宮眞子内親王が中央に写っていることに象徴されるように、皇室はサブカルチャー的な想像力の中で消費されるようになります。ところが、保守系の論客の多くは、現代のナショナリズムから天皇の占める位地が溶解しつつある現実を直視していないと著者は指摘します。その中でただ一人、福田和也だけが、戦後の天皇制は保守論壇にとって「日本」というものをきちんと考えることを棚上げにする装置として機能していると喝破しました。こうした福田のスタンスは、左右の違いはあれ、戦後民主主義を虚妄として片付けるのではなく、私たちの「歴史」として引き受けなければならないという著者のスタンスと一致します。

    そのほか、著者の三島由紀夫論、石原慎太郎論が収録されています。

  • まあ、古典ですね。

  • そっち方面からざっと時代を眺めるには、良書。
    表紙が会田誠というのも個人的にお気に入り。

  • こういう考え方もあるのねと思った。こういう風に思っている若者はほぼいないとは思いますが。

  • 学問的には何の根拠もないエッセーですが、
    天皇ということを捉える際に、面白い視点を
    与えてくれる本だなあと思いました。

  • 戦後の日本でサブカルチャー化していく天皇。屈託なく日の丸を掲げ君が代を歌う日本人たち。変容していく民主主義。これからの日本はどこにどう向かっていくのか?天皇はどうなるべきなのか?そんな話。

  • ¥105

  •  読了。内容が濃ゆかったなぁ…。天皇論は色々だからね。終章の「阻害された天皇を『断念』するために」は、読んでいて面白かった。そういえばこの作者、ちょっと前に憲法前文の書き換え運動ってのをしてたなぁ。

     この本と、前作「定本 物語消費論」でよく見かけた人たちの名前をちょっとここにメモしておきますわ。あくまでも、メモですので。

    吉本隆明(吉本ばななの実父)、宮台真司、福田和也、ジャン・ボードリヤール、江藤淳、くらいかな?まあ、柳田國男センセは、既にある程度読んでいるし、折口信夫センセはまだだけど存在は知っているから後回しということで(笑)。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか えいじ)
1958年生まれ。まんが原作者、批評家。国際日本文化研究センター研究部教授。まんが原作者としての著書に『多重人格探偵サイコ』(田島昭宇画)『黒鷺死体宅配便』(山崎峰水画)、民俗三部作『北神伝奇』『木島日記』『八雲百怪』(森美夏画)、『恋する民俗学者』(中島千晴画)など。
評論では『「捨て子」たちの民俗学――小泉八雲と柳田國男』(角川選書/第5回角川財団学芸賞)、『公民の民俗学』(作品社)、『怪談前夜 柳田民俗学と自然主義』『殺生と戦争の民俗学』(ともに角川選書)などがある。

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