ダンタリアンの書架8 (角川スニーカー文庫 123-28)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044241209

作品紹介・あらすじ

ある日、ダリアンとヒューイのもとを訪れたカミラ。持参したのは、クリームをたっぷり挟み込んで人気の、缶入りクッキー"ロゼッティ"。中にはカエルが主人公の小さな絵本が入っていた。その表紙の隅には「7」と数字が…クッキーのおまけ絵本は全部で8種類、開けてみないと何が出るかはわからない。そしてダリアンとヒューイは"ロゼッティ"を求めて町に出た。黒の読姫とその唯一人の鍵守の、幻書をめぐる冒険、第8弾。

感想・レビュー・書評

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  • 実質最終巻となった8巻、ミスリルのエピソードで終わったのは潔くていいなと思いました。
    蒐集癖があるわたしとしては、身につまされる短編も。笑
    またいつか機会があれば、続編を出して欲しいシリーズのひとつです。

  • 978-4-04-424120-9 236p 2011・7・1 初版

  • なかなか面白かった。

  • 【収録作品】 第一話 「王の幻書」/第二話 「最後の書」/第三話 「永き黄昏のヴィネット」
    最終巻とのことで、残念。まだこの世界で遊んでいたかった。

  • “動かない杖を相手に悪戦苦闘する彼の姿を、ダリアンはしばらく啞然と眺め、
    「どこから出てきているのですか、ボスザル」
    「俺はボスザルではない。焚書官だ」
    床板を引き剝がすようにしてどうにか長杖を引っ張り出したハルが、軽く息を弾ませながらそう言った。そしてハルは、笑いをこらえているヒューイの足下に一冊の手帳を叩きつける。彼がヒューイから奪い取った、使い込まれた革表紙の手帳だ。
    「……こいつはどういうつもりだ。聞かせてもらうぞ、鍵守」
    「言っただろ、準備しておいてよかったって」
    ヒューイはニヤリと笑って手帳を拾い上げた。手帳の革表紙には、焼け焦げたような小さな傷跡が残っている。ヒューイの拳銃で撃たれた跡である。
    しかしその傷跡は、手帳の表面で止まっている。破れた革表紙の隙間からのぞいていたのは、厚い鈍色の金属板だった。
    ハルが不機嫌な表情で、ヒューイの顔と手帳を見比べる。
    「偽物<ダミー>の手帳の中に鉄板を仕込んであったとはな。わざわざそこに弾を撃ち込んだのか。俺がこの手帳を奪ったことも、貴様の計算どおりというわけか」
    「おかげで溺れずに済んだだろ。あんたを気絶させる以外に、"王威の書"の支配を無効化する方法を思いつかなかったものでね」
    「……幻書の攻撃から、俺を助けたというのか。焚書官であるこの俺を、鍵守の貴様が?」
    屈辱に震えるハルを眺めて、ヒューイは笑った。
    「こちらにもいろいろと都合があってね。もちろん、感謝してくれて構わないよ」
    「都合だと……?」
    ハルが殺気の籠もった視線をヒューイに向ける。
    ヒューイは何喰わぬ表情で、拾い上げた手帳をパラパラとめくった。”[P.47]

    最終巻。
    特に締めることもなく。
    最終話なのにハルのこの扱い…警告してたってことはちょっと心配してたとか?
    フランとヒューイのやり取り楽しい。
    探偵と幻書泥棒がグルだったってのは面白い。
    もっと読みたかったなー。

    “大きくはだけられたダリアンの黒衣の胸元に、輝くような白い肌がのぞいている。
    膨らみの乏しい少女の胸に埋め込まれているのは、金属製の古びた錠前。
    その中央の鍵穴に黄金の鍵が挿しこまれ、ダリアンが切なげな声を洩らした。
    彼女の胸の錠前が、城門のように左右に分かれて広がった。
    その下に秘められていたのは空洞だった。眩い光の渦に包まれた空洞が、ダリアンの華奢な身体の奥深くまで続いている。
    「壺中天……!?まさか、壺の中の世界に封印された異界の図書館……だと!?それは……」
    少女の胸元に穿たれた空洞の正体に気づいて、侯爵夫人が苦々しい顔を引き攣らせた。
    「ダ……ダンタリアンの書架!」
    こぼれ落ちそうなほど大きく目を見開いてシェーラは絶句。
    白衣の女の口元に、満足げな笑みが浮かぶ。
    「九十万と六百六十六の幻書を封印せし、迷宮の書架。叡智への扉は開かれり——」
    まるで侯爵夫人を哀れむかのように、ダリアンが無感動な声で呟いた。彼女の身体を背後から抱き寄せて、その胸の空洞にヒューイが右手を挿し入れる。そしてその腕を引き抜いたとき、少女の胸から雪崩のようになにかがあふれ出す。
    それが無数の本の濁流だと気づいて、侯爵夫人の表情が凍りついた。
    この世界に在らざるべき禁断の知識。悪魔の叡智。数多の賢者の思考を刻んだ大量の文字列。止めどなくあふれる情報の奔流。箱庭の世界が、ぐらりと揺らぐ。
    黄昏の時間は終わりを告げる——”[P.213]

  • 読了。。「王の幻書」ではヒューイ、ダリアン、ハル、フランのくすりとくる会話のやりとりがよかった。アーニーにキスをされたハルをヒューイとフランが笑っていたのはハルが純情だという以外に男だと知っていたからなんだろうな。「最後の書」は途中で結末が見えてしまった。ダリアンの「クッキー怖い」という台詞は落語"饅頭怖い"的なフリに思えてしまった。ダリアンのことだろうから"饅頭怖い"の話も知っているんだろうし。

  • シリーズ最終巻。でも、作者自身が、前作で終了のつもりだったというだけあって、蛇足感は確かにある。
    でも、やっぱり面白いし、シリーズ続けて欲しかったなぁ〜。

  • 「最後の書」のダリアンの気持ちはすごく良く分かる。
    全部集めたくなるよね・・・。

  • シリーズ完結!

  • コレクト魂ですね、よーく分かります。

    しかし、何の疑問も解決されなかったなぁ。

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著者プロフィール

電撃ゲーム小説大賞(現・電撃小説大賞)銀賞、第1回日本SF新人賞、第5回スニーカー大賞特別賞を受賞。代表作は『ランブルフィッシュ』シリーズ、『アスラクライン』シリーズ。

「2023年 『ソード・オブ・スタリオン 種馬と呼ばれた最強騎士、隣国の王女を寝取れと命じられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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