GOTH 僕の章 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.68
  • (1185)
  • (1314)
  • (2334)
  • (171)
  • (34)
本棚登録 : 12207
感想 : 898
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044253059

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 夜の章よりも個人的にはこちらの方が好き。

    一人称を変えることで「声」は最後に!?!?という展開が待っていた。

    「土」は主人公のサイコパス感が1番顕著に描かれている。

    リストカット事件は、うーん……

  • 米澤穂信先生のイチゴタルト事件をどす黒く暗くしたイメージ。少しだけ無理矢理なところはあるものの最後に驚かせる仕掛けがあるのは評価できる。

  • 前作に引き続き不穏な空気が漂ったまま話が進み、すっきりとしない結末になるのでは、、と心配しながら読みましたがこの本はあくまで「ミステリ」だと言うことを忘れてはなりませんでした。

    面白かったです。

  • 上下巻+外伝含めての感想。
    ミステリというジャンルは「人の死」に価値を認めることで成立している、と言われる。一方で、本作の主人公は「人間の生き死に」の持つ意味を超越したラインに立ち、その価値を無に還すものとして存在する。そうして日常の謎と同じレベルまで引き降ろされた「殺人」の中で、ミステリ的なお決まりである入れ替わりトリックや叙述トリックが目配せのように弄ばれる。
    一方で、そういった主人公と同じ世界を生きる者として登場した森野夜は、話が進むにつれてどんどんとその神性を失っていく。西尾維新の戯言シリーズのように超越者同士のやり取りによる面白さではなく、そこには主人公の逆説的な孤独と、それでも森野夜と友達であり続ける主人公の「愛」(それはまるで人間が蟻を観察するかのようなものではあるが)が確かにそこにあることを示している。
    お気に入りは「リストカット事件」と「土」で、「リストカット事件」は特に最後の一文がとても美しい。条理を超越した存在である主人公が、なおもまるで人間がするかのごとくに美を愛する瞬間を写し取っている。

  • ラストが「夜の章」と1,2話が凄く面白かっただけに少し残念になった.少し複雑なので理解はできるが感情移入が出来ない...(そもそも入れ替えられるのでそのまま感情をシフトできない)になるのと、伏線を回収してもその後無に帰してしまうのは虚無感のみが残るだけなので.
    あと青春ものを読むとやはり別ベクトルにかなり心が苦しくなるなと思うなどした

  • 利己的な一人称により進む物語。
    続編。
    語りで描かれる自分を認め他者を虐げることが当たり前だと伺える文章が、この小説の根幹なような気がする。
    特に好きなものは土。土に人を埋葬することに囚われ男の、焦燥と怯えがどちらも妄想を起点に持ち上がるもので。
    それが夏の日の影の濃さと朝顔とにうまくはまり気持ち悪いノスタルジーを想像させる。

  • なぜか自宅に『僕の章』だけがあった(読了していた)ため、『夜の章』もあわせて、2冊とも通読。

    残虐な事件に興味を持つ「僕」と「森野」(女子生徒)が身近な殺人事件に巻き込まれる、あるいは好んで関わる短編集。
    ホラーのイメージが強かったのだけど、僕と森野の各キャラとコンビがユニークで、作者ご本人もあとがきでおっしゃっているように、ライトノベル色が強く、さらっと読みやすく楽しめて、後味は軽め(ただしグロいのが苦手な人は注意かも? そこまでではないけど……)。
    また、「ゴス」(ゴシック。ゴスロリのゴス)を意識されているだけあって、視覚的にも美しい文章が並び、読み返しても飽きません。
    本格ミステリ大賞を受賞しているだけあって、謎解きの面白さや叙述トリックも楽しませてもらいました。
    強烈に心を揺さぶられ余韻が何日も続く、という類ではないものの、エンタメとしての完成度はかなり高く、作者が「こういうものを読ませたい」と意図したとおりの出来になっている……のではないかと読者の私は思いました。サスペンスやミステリーを読みたい、と言われたらおすすめしたいです。

    六編の中では、土に埋める話がヴィジュアル的にきれいで好きです。

  • こちらは後編。こちらも面白かった!連作短編三作品

    【リストカット事件】
    連続手首切断事件が起こっていている中……僕と森野夜も、それに関わっていくお話。
    最後の文章も、ぐっときて、好みの終わりかた。
    【土】
    人を生きたまま閉じ込めて、地面に埋めたいという男が起こす事件に、僕と夜が、関わっていく……。
    これも恐いけど……面白いと思った
    【声】
    郊外にある病院の廃墟で若い女性が惨殺される。その被害者の妹は、知らない学生服の男から音声テープを渡されるところから始まるお話。
    これは訳わからない、ややこしさにやられて、ちょっと難しかったな。
    でもそれぞれの人の心情は、伝わってきて惹き込まれてしまう凄さを感じた…

    ダークなものも受け入れられるようになってこの作品も楽しめました。
    読み終わってのお楽しみのひとつ。乙一さんのあとがきも好きです~

  • 面白かった!!!
    特に最後の「声」の章が驚きだった。

    最初はてっきり「僕」が犯人だと思っていたのが、実は樹=僕であり、犯人が他にいると分かった時は何度も前のページを読み返してしまいました。

    「リストカット事件」の章も面白く、手の切断描写は嫌悪感を覚えるほどゾッとしましたが、終わり方が秀逸でした。リストカットの跡がある森野の手を欲しかった主人公、というまとめ方が凄い。

    本格ミステリ大賞に選ばれるだけのことはあるなぁ、と後書きを読んで思います。叙述トリックを使った数々のお話、面白かったです。

  • 怖かった。主人公の少年の心が怖すぎる。

著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乙一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ZOO
乙一
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×