GOTH 僕の章 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 9692
レビュー : 803
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044253059

作品紹介・あらすじ

この世には殺す人間と殺される人間がいる。自分は前者だ-そう自覚する少年、「僕」。殺人鬼の足跡を辿り、その心に想像を巡らせる「GOTH」の本性を隠し、教室に潜んでいた「僕」だったが、あるとき級友の森野夜に見抜かれる。「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」という言葉で。人形のような夜の貌と傷跡の刻まれた手首が「僕」の中の何かを呼び覚ます。彼女の秘密に忍び寄った彼が目撃するのは…。圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、跳躍点というべき一作。「僕」に焦点した三篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 最終話「声」。馬鹿なので一読しただけではわからず何度も読み直してしまったw

    最後は、神山樹と森野は永遠に袂を分かつというか、冒頭の殺す側と殺される側に分かれてしまったことを、森野が自覚する、というのが個人的な解釈。

    一方「僕」はずいぶん早いうちから、森野と自分は違う人間だと知っていた。
    最後の「言われなくても知っている」という台詞はそこから来てる。
    もしかしたら出会った当初は同じ人だと思ってたかもしれないけど、森野よりも早く、自分は森野の側(正常)には行けないことを自覚してたと思う。

    どこで自覚したかというと上巻の「記憶」。
    「僕」は「記憶」という話で、森野がロープを切って姉を殺したと推理した。
    しかし実際はロープは自然に切れただけで、森野は姉を助けようとしている。結果的に死なせたけど、そのことで傷ついている。
    ここで「ああ、森野はあっちだ」と気付いたんじゃないかと。
    それがあってのこの最終話。本当に良かったです。

    上巻からずっと、森野と「僕」の間にある危うさを感じてて、上巻では、その危うさは、森野の死体を観たいという感覚から来ているだけかと思ってました。
    でも、下巻では「僕」と森野の間に漂う危うさは、殺す側とターゲットのそれだと思いました。
    「リストカット事件」では、「僕」は森野の「手首の傷が美しいから傷つけない」と言う。
    最終話では、森野を殺すなら自分しかいない、みたいな感情と、その森野が生きていることへの美しさとの境目に「僕」がいる。
    今は殺さないし、永遠に殺さないかもしれないけど、その日が来るかもしれないみたいな、そんな不安がある一方、
    逆に考えると森野を殺そうとする人からはどんな手を使っても守るというような絶対的な心情も垣間見える。
    森野を守りたいのに殺したいというアンバランスさが、「僕」の唯一人間臭い部分と言うか。
    森野の生き死ににこだわるというこの「執着」は上巻には無かったような気が。
    この「執着心」書かれたので、下巻は「僕」を掘り下げている感じがするんじゃないかと思った。

  • 「GOTH 僕の章」
    異常者達。


    人間には殺す人間と殺される人間がいる、僕は前者だ。人の心の暗い側面に魅かれる者の一人である僕は、森野との出会いを始めとして、様々な殺す側の人間と心を交わす。はっきりと異常者であり、GOTHである。GOTHは、好奇心や快楽、興奮を味わうため躊躇なく殺人を繰り返す。このある種の純粋さは、罪の意識が無いことをアピールするかのようでタチが悪い。


    ただ、異常者達のストーリーだからといって、残酷さばかりが目立つ訳ではない。僕はGOTHながら一般人の感覚もあり、普通に学生生活を送っている。一瞬普通の人間かと思わせるが、直ぐにGOTHが垣間見える。グロテスクだけではなく、本性が見えない怖さがある。


    森野に関しては、勝手にGOTH一派かと思いきや、ちょっと違うようで、それに驚いた。特殊な感覚により巻き込まれてしまう所があるのか、僕が利用しているのか。


    どちらにせよ僕は怖い。僕の欲は尽きることはなく、人を殺める側に立ち続けていく訳だ。ほんと怖い。

  • 短編集。
    叙述トリックが得意な作家は他にもいるけれど、乙一さん独特の世界観と相俟ってその効果は倍増しているように感じた。
    「騙されたっ!!」と気づいたときは悔しいけれど、「こうきたかっ!!」という楽しさの方が勝っている。
    短篇にもかかわらず妙に心に残る。
    そんな物語が収められている「夜の章」と「僕の章」。
    特に「土」が印象に深く残った。
    合わない人には徹底的に合わない作家なのかもしれない。
    それでも、読まずにいるよりは試しに1回は読んでほしいなぁと思う作家のひとりだ。
    もっとも時代小説などを普段読んでいる年配の人たちにはきっと無理だろうなぁとは思うけれど。
    あとがきもぜひ読んでほしい。
    乙一さんの作品が好きな人はきっと楽しめるはずだ。

  • 終始、孤独がつきまとう感じ。「声」が一番印象に残ったかも。

  • わー。まじかー!みたいな展開。
    こういうのが好きなんだな、ってわかるよね。笑
    先へ先へ、どんどん進みたくなる。
    展開に驚かされるだけではなく、描写もすごくきれい。
    乙一さんはすごい、と言わざるを得ない。

  • ミステリーはあまり詳しくないが、この作品は所謂叙述トリックに入るのかな?
    ところどころ会話の流れとかで無理なところはあるけれど、それでも全体的に見ればさほど違和感なく読み進めることができた。

    「夜の章」よりも犯人側に寄ってる作品。どれも犯人視点で話が進む。
    好きなのは「土」。この短編だけ犯人がとても人間らしいというか、犯人の心情が細かく描写されているので異色。他は単純な妖怪モノとして楽しめたが、これはともすれば純文学的な楽しみ方もできるかも。ラスト付近で犯人が土を掘り返す場面は秀逸。
    ラノベ×エンタメ(ミステリ)×純文学、ジャンルの垣根を越えた多角的な小説の面白さが詰め込まれた作品。

  • 暗い、グロい、暗い。
    乙一ワールドが炸裂している。取り返しのつかない物語であり、またそれ故に何処までも純粋で、真っ直ぐで、無垢である。
    これぞ乙一。もう一冊と合わせてどうぞ。

  • 読んでて、ドキドキする。
    読んでて、期待に胸膨らます。
    読んでて、不快になる。

    けど、こういう殺しとか、
    残忍とか、
    虐げるとかを
    自分が求めてるのにも気付く。
    ちょっとキモチイイ。

    思いこみ。
    語り手。ちょっとズルイ。
    けどだまされてキモチイイ。

    ライトノベル。
    ちょっと偏見があった。
    ちょっとだけ反省します、
    他のライトを読んでみてから。

    「夜の章」 「僕の章」
    ○暗黒系  ○リストカット事件
    ○犬    ○土
    ○記憶   ○声

    乙一。
    ミクシィをまわって知った人。
    教えてくれたページに感謝。

  • !さわやかな朝をむかえたい方は読まないでください。

  • ライトノベルミステリ投票の、ベスト3くらいは読んでみようシリーズ第三弾。第6位の乙ーの短編集は、猟奇殺人とか犬の死骸の山とか人の生き埋めとか、題材がどうにも気持ち悪くて、ランチ中には読めないな~。暗黒面の心理をとりあげるのはいいけど、キモホラーがメインでトリックがサブだと、逆だといいのに、って思っちゃう。同じ作家でも、ペンネーム中田永一の日常系のほうが、自分には合うのかも。6つの短編のうちのベストは「リストカット事件」。たった40ページの短さに、固執する不思議な人間心理、いきなり犯人が判明する巧みな構成、真犯人の意外な動機、と魅力が詰まってて、本格ミステリ大賞受賞もなるほどの出来映え。でもやっぱ暗い。

  • この本が乙一さんをためたきっかけです。

    確か「声」が良かったと思います。
    怖かったな、あのゾクゾク感が・・・。

  • 以前読んだことがあるにもかかわらず、内容をほとんど忘れていた。
    「僕」の名前を出さないことを非常に上手く使っていて、各話ごとに見事にどんでんがえしをくらった。
    夜の章も読んでみたい。夜視点での話なのだろうか?

  • 再読なんだがやっぱり面白い。たんに不気味だったり猟奇的なだけではない描き方がうまく為されていると思う。そういうところで「土」はとても引き込まれた。「声」は、前に“えっ”と思った部分は覚えていたのに、エピローグの部分は覚えていなかったんだが……こんなせつなかったっけ。読む側の変化なのかな。この二人らしいシーンだなと思った。

  • 夜の章に続き再読。のはずがまたしても全く覚えていませんでした。

    この世には殺す人間と殺される人間がいて、自分は前者なのだと自覚する少年「僕」に焦点があてられたお話です。
    殺人鬼の足跡をたどり、その心に想像を巡らせることが趣味な彼はまさに妖怪か。
    夜の章と同じく3つの短編集ではありますが、こちらの方が少し厚く読み応えもあります。ミステリーとしても良質!各話のどれもどんでん返しがすごいです。まさにアッと驚く展開が待ち受けています。

    今回もグロ要素は多々ありますが、それが憎悪からくるものではなく純粋な興味からくるものだからか、あまり恐ろしくは感じません。
    でもこんな人間が街中に息をひそめていて、心の奥底でドロドロと黒いものを飼っているとしたらそれはそれで怖いかも。
    「リストカット事件」は、"手"に対して異様に執着を持つ犯人によるものだし、
    「土」は人間を生き埋めにしたらどうなるのだろうと日々考えている犯人、
    「声」は人の死こそが唯一存在を感じる手段であると言う犯人。どれも自覚ある異常。

    前回の「犬」につづき今回もまた「声」でしてやられた。
    普通に犯人が彼なのかと思いきや、、あれと言うことは彼の名前は神山君で~あれあれ?と頭にはてなマークが並んでしまいました。
    これはもう一度読み返さないとだめかも。
    ライトノベルというだけあって、キャラクターはアニメっぽい。
    僕の性格や性癖はたしかに異常ではありますがなぜか魅かれてしまいます。
    結構こういうキャラは嫌いじゃないです。いえむしろ好きですはい。
    夜も天然ぽくて鈍感なところが好きですはい。
    本格ミステリーとしても楽しめますが、恋愛要素もちょっぴりありさらにおいしいです。
    どうやら番外編というものが最近出たようなのでそちらもチェックしてみたいですね!

  • 家にあったんで読んだ。多分初めての乙一だったかな? これで好きになった。夜の章も欲しい!

  • あれ、どういうこと?って思うことが多く、なるほどそういうことかと後で納得した。乾くるみと同様、やられたと思わせる話ばかりだった。なかなかにグロイ描写、猟奇的な殺人者ばかり出てきて、普通の人が登場しないが、そういうの結構好きかも。

  • 久しぶりに再読。
    久しぶりすぎて前篇・後編間違えて読み始めてしまった…
    最終話の「声」はやっぱり秀逸。
    乙一作品は映像化に不向きな、小説の面白さが詰め込まれたお話が多い。

    2012/08/01

  • 「リストカット事件」が1番好きかな。「声」はネタバレまで見事に騙されてました。神山君には曖昧なラインの中央に立ち続けていてほしかったので地味にショックだったから、安心した。森野は空気なようでちゃんといました。
    後書きが興味深かったです。高専だったんだ…

  • 面白かった。
    最後の「声」はとてもよかったです。
    黒乙一と白乙一がまざりあったような感じ。

    うまくまとめた感じがしました。

  • GOTH下巻。珍しく感情的な夜ちゃんにグッときたので☆4つ!!

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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