失はれる物語 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044253066

感想・レビュー・書評

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  • 初めての乙一さんの作品。「Calling You」から読みやすく、物語に引き込まれます。細かな伏線が回収されたときの爽快感はかなりのもの。また、絶妙な余韻を残す終わり方に想像を掻き立てられました。感動の物語から不思議な話、ミステリーまで幅広く収録されており、最後まで飽きることなく読めます。お気に入りは「手を握る泥棒の物語」「しあわせは子猫のかたち」。

  • 「Calling You」「傷」にデジャブを感じましたが、大学生の時に大学生協でたまたま買った『きみにしか聞こえない』に収録されていたからのよう。時間が空いて、なんとなく買ったのよね。「傷」再読のわりにほとんど印象になかったのですが、主人公とアサトの繋がりにじわり。シホの行動は、分かってしまうなあ。「手を握る泥棒の物語」オチが好き。恋愛?な感じに惹かれました。「しあわせは子猫のかたち」主人公と幽霊と子猫の穏やかな日常とことばはないのに築かれていく信頼関係がツボ。雪村の口調が男らしくてちょっと驚きました。

  • 最近「暗いところで待ち合わせ」で、
    白い方の乙一に再燃してしまって手に取りました。

    乙一の描く目に見えないモノの存在。
    例えば幽霊だったり、特殊な力だったり。
    それがなぜかとても心地良くて、深い愛を感じずにはいられなくて
    引き込まれてしまいます。

    既に多くのレビューでお勧めされていますが、
    「Calling You」と「しあわせは子猫のかたち」がイチオシです。

  • 失っては手に入れて、手に入れては失って。それでも主人公らは、自身で乗り越えていきます。切なさやら寂しさやら、
    だけどどことなく安堵の気持ちやら、いろんな思いがごっちゃになり、一編読み終える度に大きなため息が出ました。「傷」「しあわせは子猫のかたち」が特に印象的でした。

  • 短編集なので色々な話が楽しめる。

    表題作「失われる物語」は、切なすぎる!
    悲しい、切ない、もどかしい、そんな気持ちにさせられる。
    愛する人を思って、自分を押し殺して愛する人の幸せを願う。
    自分が主人公の立場だったとしたら、どんなに愛する人の為でもここまで出来るだろうか?
    深く考えなくても、わかる。出来ない。
    この話のあとに、主人公がどうなるのか想像しても切ない。
    主人公の立場から書かれた話だったけど、妻の気持ちも考えさせられる。
    私が主人公だったら、自分を押し殺し通す事なんて出来ない。
    私が妻の立場だったら、望みが無くても反応し続けて欲しい。
    主人公の人生や、妻を思う気持ちの全てを伝えられていない事、愛するがゆえの切ない話です。

    独身時代に読んでも切ない話だと思って、印象に残りました。
    結婚して、大切な人が出来てから思い出して読み返してみると、耐えられない程に悲しくて切ない話でした。
    読んでて心が折れそうになる、心が疲れる。それくらいの切なさです。

    でも、そんな切ない話をこれだけ綺麗に短くまとめ上げてる乙一の文章はやっぱり好きです。黒乙一にはない、人間味あふれる話でした。

  • 表題作「失はれる物語」を含む、八作品収録の短編集。

    ほぼ初となる“白乙一”作品でしたが、「素晴らしい」の一言に尽きます。

    とにかくどの話も切なくて、美しい。“黒乙一”ばかり読んでいたけれど、個人的には白乙一の方が好みかも。

    特に好きな話は「Calling You」。涙なしでは読めないほど切ないのに、不思議と読後には心地よさが残る。

    基本的にどの話も素晴らしいので、まずは手に取って読んでもらいたいです。今まで乙一を避けていた人にもオススメ♪

    「マリアの指」は、少しだけ過激な表現が含まれているので要注意。

    評価は4.5つ星です☆

  • 乙一さんといえば私は真っ先にZOOとか私の死体を思い描いてしまうけれど、こういう話も好き。一色変わった愛情が心地よい。涙というより雨なイメージです。

    ▽Calling You 
    ドラえもんにありそうな脳内電話器を使えるようになった主人公たちの話。確定した、避けることもできる死に向かって着実に進んでいく静かさが好き。好きな人に生きてほしいと嘘をつくリョウと、結局彼女を守ったシンヤ。最期の電話のシーンは何度読んでも胸につく。

    ▽失はれる物語 
    題材も物語も好き。乙一さんらしい。事故で右腕以外の感覚を失った夫と、指書きで語りかける家族の話。夫の判断は正しかったのかな。妻はどちらのほうが幸せだったんだろう。「ごめんなさい。ありがとう」をどんな気持ちで言ったかは、肉声と筆圧とどちらが伝わりやすかったんだろう。

    ▽傷
    思い出も相まってぼろぼろ泣いてしまった。他人の傷を引き受けることのできる能力を持つアサトとぼくの話。ばかみたいな感想になってしまうけれど、アサトがぼくに傷を移してくれて本当によかったと思う。たとえ他人の痛みがわかるからってそれを代わりに受けようと思うのは駄目だ。絶対に釣り合わないから。

    ▽手を握る泥棒の物語

    ▽しあわせは子猫のかたち
    乙一さんらしい。この世にないものが、まるで存在しているかのように静かに確かに息している感覚がすごく好き。鈴の音や菜園の色色が浮かぶ。強烈な生の風景の中で、幽霊と暮らす不思議さというかなんというか。猫かわいい。

    ▽ボクの賢いパンツくん

    ▽マリアの指
    シュールな存在感を持つマリアが線路上で轢死した。遺書から自殺だと判断された。かき集められた断片からは指が一本欠けていた。
    ホルマリンにみちみちた瓶を振って、中の指をじいっと見つめている少年を思うだけで不思議な気分になる。シックホルム症候群のくだりは結構好き。

    ▽ウソカノ

  • ビザールな味わいの乙一だけど、この作品集には、温かみも感じるのだ。
    ある意味、ハートウォーミングな短編集。
    キモかったり怖かったりするのに、つい先を読んでしまう。

    乙一の小説には難しい言葉は出て来ない。彼には、多くの読書体験があるわけではないらしい。小説家にしては文芸的なボキャブラリーが少ないのだろう、日常で普通に使われる平易な言葉で書かれていることが、かえって生々しさ・リアリティを増幅させるのだ。
    ちょっとした描写にぞっとさせられることが多々ある。

    頭の中で想像したケータイに、ある日呼び出しが入るという不思議な物語、「Calling You」に心を打たれた。

    それにしても次から次によくこんな変なアイデアが浮かんでくるよなあ…

  • 細かい点で突っ込みたい所はあったけれど、世界観はしっかり味わえる。「しあわせは子猫のかたち」が好き。

  • 「手を握る泥棒の物語」が大好き。

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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