戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)

  • 角川書店 (2001年11月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (212ページ) / ISBN・EAN: 9784044267018

作品紹介・あらすじ

第6回スニーカー大賞金賞受賞 千年以上も星間戦争を続ける二大勢力。サイボーグ兵ヴァロアは、敵の超機密惑星「楽園」へ降下する。だが、そこにいたのは、敵方の兵士一人と少女マリアだけだった。期待のSFロマン

みんなの感想まとめ

戦争と人間の本質を描いた物語は、千年以上続く二大勢力の対立を背景に、敵の惑星で出会ったサイボーグ兵ヴァロアと少女マリアの関係を中心に進行します。彼らは「戦艦の墓場」と呼ばれる謎の惑星で共に生活し、食料...

感想・レビュー・書評

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  •  長谷敏司のデビュー作にして、第6回スニーカー大賞金賞受賞作。久しぶりに再読した(紙の本です)。

     人類は汎銀河同盟と人類連合という二つの陣営に分かれ、1000年以上もの間戦争を繰り広げていた。そして「戦略拠点32098」と呼ばれる謎の惑星を、人類連合軍は必死に防衛していた。何もないその惑星の地表には、突き刺さるように戦艦が着陸していた。あたかも墓標のように。

     そこに汎銀河同盟軍降下兵のヴァロアが一人不時着する。彼はそこで敵のサイボーグ兵ガダルバと少女マリアと出会う。マリアと「戦艦の墓場」と呼ばれるこの惑星の秘められた真実とは…

     それは一言でいうと、戦場で死ぬことの「大義の証」であり「幸福な場所」。フィクションとはいえ、人間はいつまでこんなことをやっているのか。虚しいというか哀しい。かつて日本でもあったんだよ。

  • 長谷敏司のデビュー作。
    彼の作品は『ビートレス』を以前読んだことがあるのだが、2段組600ページという長さと、硬くて回りくどい文章が合わなくて途中で挫折してしまった。
    本作はデビュー作ではあるが、『ビートレス』よりもレベルが落ちることもなく、むしろ硬さがなくて私にはこちらの方が読みやすい。

    また、ライトノベルレーベルではあるが、今の感覚からすると「これがラノベ?」と疑いたくなってしまうような作りこみの世界観と登場人物の動きを見せてくれる。
    やはり一昔前の「ライトノベル」と、最近の萌えや奇抜さに走った「ラノベ」は全く別物だと感じる。

    物語の前半部分は、敵軍が守る謎の惑星に降下した兵士ヴァロワと、その星に住む少女マリアと敵軍兵士のガダルバとともに暮らす日々が描かれる。
    食料を探しに出かけたり、みんなで大きなお風呂を作って入ったり。
    マリアがとにかく感情豊かでかわいい。

    しかし、その生活の中でいくつかの疑問が出てくる。
    この星は何のためにあるのか?
    マリアはどうしてここにいるのか?

    後半では優しくて残酷な真実が明らかになる。
    その一方で、ヴァロワは自軍に戻るか惑星に残るかの選択を迫られる。
    兵士としての自分と人間としての自分、それにマリアへの愛情だとか、感情が複雑に入り混じってヴァロワの行動を鈍らせる。

    ラストは少し寂しさが残るものの、きっと多くの人が納得できる結末だと思う。

  • 郷愁の価値とは何か

  • 頂き物。学生の時に読んだとは思うが、全く内容を覚えていないので、久々に再読。ちょっと物足りなさが残るが、この作品がデビュー作だと思えば悪くないと思う。短編なので、SFの作品としては気楽に読めた。

  • SFだけど人間を描いている。

  •  時間は流れている。「いつでもできるように思えること」をする機会は、本当は今しかないのだ。
    (P.174)

  • 厚みのある本ではないが、内容は申し分なかった。
    少女と兵士と言う、SFでは特別ではない設定ではあるが、背景が良く練られている。
    心に"ずん"と響きました。

  • 初読はまだ学生の頃
    あの頃はただただ衝撃を受けていたという覚えがありますが、いま読み直してみるといろいろと考えてしまいます
    お風呂とそこから続く不安な雰囲気が印象に残っています

  • ライトノベルである。それ故に読み口は軽いがテーマは面白い。
    かなりの遠未来、銀河同盟と人類連合がいつ終わるとも判らない消耗戦を続けている(スターウォーズが銀貨英雄伝説かという舞台立てですな(^^ゞ
    人類連合の戦略拠点上にある「楽園」と呼ばれる惑星が舞台。四季折々にいろんな花が咲き実を付ける惑星だが、動物は住人であるマリアと人類連合軍の制御官ガダルバしかいない。人類連合が必死で防御するこの星の秘密を探るべく星に降りてきた銀河連盟の降下兵のヴァロワ。登場人物はこの3人のみ。
    いったいこの惑星にどのような秘密が隠されているのか。
    3人の日々が淡々と進み、最後は切なくなる物語。
    デビュー作ということもあり、文章も甘いし設定も如何なものかと言うところもあるものの、バックグランドとなるディテールにもしっかりこだわった作品になっています。
    お勧めの一冊。

  • 1,000年続く星間戦争に宇宙戦艦に機械化兵と、広大で確かなSF設定を背景にして、メインストーリーはとてもセンチメンタルに進んでいく。ヴァロアが段々と“誤差”に振り回され始める流れがいい。SFの枠には収まらない、しっとりしたラノベだった。

  • 主語がコロコロ変わったりと若干読みづらさを感じたものの、出会いと別れまでの話の展開もよく、まさにライトノベルと呼べる作品でした。

  • 楽園に落ちた二人の機械化兵士と少女の物語。
    SF要素はあくまでバックボーン的な扱いに回しつつ、遠未来の高度システムに取り込まれた兵士達の、漂白された人間性の再獲得に語りの焦点が合わされる。
    限りなくピュアに設えられた楽園世界の中、三人の登場人物達の逡巡する内面が感傷たっぷりに描かれている。

  • 日本SF短編の中で読後感に印象が深かった「地には豊穣」の作家のデビュー作を探して読む。デビューはライトノベルであるが近年は普通のSFを志向しているとのこと。たしかにその素養があるしデビュー作でも見受けられる。

    スニーカー大賞の金賞をとっている。ライトノベル。200pもない。
    登場人物は、三人のみのシンプルな話。楽園と言われる星の生活と秘密
    。機械に限りなく近い二人の思いはちょっとピュアすぎるかなと感じるがまあ、ご愛嬌。
    とてつもなく甘い話なのだが、人間認識についてのテーマがのぞけている。このテーマは「地には豊穣」にも通じているSF足りうる重要なテーマだ。
    そこらへんの意図が平凡なライトノベルとは異なる。ちょっと頭に描きづらい箇所があるがこれはデビュー作だからしかたないか。

  • 鮮やかに冴え渡った青空は、懐古のうちにおいてもっとも輝く。いつか夢見たあの世界は、今に投影して生きることを阻む。青臭い感情ともに今を正直に生きるとき、爽やかな春風のように時は過ぎるのかもしれない。
    夢見ていながら過ごすことのできなかった青春を、今を生きる少年に仮託して、追体験する物語は数多くあれど、それは今をむなしくすることでもある。それでもかまわない、それ独特の甘美な時間もあるけれど、今に取り込んで涼やかな風を感じる豊かさが、この小説にはある気がする。

  • 借本。著者の本はこれが初めて。
    いい感じだけど、なんか物足りないと思ったら、デビュー作と知り納得。
    尻がイイ…(笑)

  • 2010/04/05
    好き。

  • 長谷せんせのデビュー作。
    SF設定は良く分からんがこれは泣けた。

  • 当時はchocoさんに惹かれて購入しました。
    これは読んで衝撃的でした。

    イラストの透明感もあってか、世界もかなり透明な印象。
    本当に無駄のない、結晶のような1冊です。

    あとがきも含めて、泣ける小説です。

  • 世界観と表紙がすごくすき。切ない系。

  • ロボットと人間。戦争。心を「誤差」と言い切りながら、その誤差故に苦悩する。普遍的なテーマであり、それゆえに読ませるのは難しいのですが。登場人物を三人に留め、その描写を深めることで、うまく成功しているのではないでしょうか。

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著者プロフィール

「戦略拠点32098 楽園」にて第6回スニーカー大賞金賞を受賞。同レーベルにて「円環少女」シリーズ(角川書店)を刊行。「あなたのための物語」(早川書房)が第30回日本SF大賞と第41回星雲賞に、「allo,toi,toi」が第42回星雲賞短編部門にそれぞれノミネートされた。

「2018年 『BEATLESS 上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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