- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044281038
感想・レビュー・書評
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「大人との共通言語が無い」という部分に大きく共感した。
親の愛や、血の繋がらない大人からの愛護心など、バイアスのようなもののせいで、大人には言葉が伝わらない時がある。
大人は子どもを経験しているのに、なぜ伝わらないのかが分からなくて、童心は忘れるものやと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなにファンタジーの世界観溢れるものは
はじめて読んだ。
やはり桜庭さん素晴らしい。
子ども目線をスラスラ書けている。
子どもにとって大人は理不尽で、
大人にとって子どもって理不尽で、
だけど大人も子どもも宇宙人も
みんな生きるために必死で、
つまり生物はみんな我儘なのかな。 -
『推定少女』桜庭一樹さん
10代向けのSF小説かと思いきや、
多感な時期の少年少女の心の葛藤が
リアルに描かれていて、
アラフォーの心をも鷲掴みにした作品でした。
共通言語を持たない、ゾンビが蔓延る世界。
大人はいつの日を境に、ゾンビになってしまうのかな。
”ドン・キホーテの偽物みたいな店“とか、
雑居ビルの階段に置かれているあの小道具たちの名前、
主人公が嫌悪を示す義父のあの匂い。
こういう鋭い背景描写に、グッときました。
SFっぽいけどリアルな世界感があって
SFが苦手でもすんなりと入ってくるので
楽しかったです。 -
ファミ通に連載された少年少女向けSF。ラノベと呼ぶかジュベナイルと呼ぶか微妙なところ。
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ひょんなことから父親を弓矢で射ってしまい、逃亡生活を始める女の子のSFストーリー?
個人的には急にはじまったSF的(ファンタジー?)な流れが受け入れられなかった。
話の終わりもマルチエンディングになっており、なんだか作り話感を強く感じてしまって、自分に合わない感じでした。 -
なんだか夢を見ていたようなお話でした。
大人になった私はいまの私とは全く違う生きものに
全身取って代わっていると思う。まるで宇宙人に連れ去られて戻ってきたみたいに。
ずっといまの空間の中で生きていたいという気持ち、とてもわかります。
自分じゃいられないここから逃げ出したい、でもそれは
ずっと追いかけてくる、逃げられない
大人になることはいつか私に追いついてしまう
電脳戦士のようにどこか別の世界に行ってしまいたい
とモヤモヤ、いつまでも考えています
いつか私がオトナになったとしたら、
あの頃は悩みなんてなくてよかったよね〜と話すような輩にはなりたくありません。
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前半はとても良いと思う/ 女子中学生のギャーギャーした感じを描く文章もいい/ なのに、後半に宇宙人とデザートイーグルで闘う辺りから一気に荒唐無稽になる/ 評論家が宇宙人なのも辻褄が合っていないし、電脳戦士がゲームに消えるのも辻褄が合っていない/ 思春期の少女の見る幻想だというなら意味も解るが、じゃあ千春はなんなのだということになる/
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生徒からのおススメで読んでみました。
「自分が何者であるか」がしっかりと言語化できない中学生が、自分の今後(自分が嫌っているようなただのつまらない大人になるのでは)への不安から逃げようと奮闘し、また、葛藤するという作品です。
大人になってから読むと、主人公のある種「純粋」というか、「周りの見えなさ」が目についてしまい、あまり感情移入できませんでした。
もしかすると、中学生や高校生には響くかもしれません。
ただ、自分の中学生時代を思い返してみても、主人公のように葛藤した記憶はなく、人それぞれなのかな、とも思います。
ともあれ、ビブリオバトルで発表するようですので、高校生がどのようにこの作品を読んだのか、聞くのが楽しみではあります。 -
唐突に日常からはみ出してしまった女の子が出会ったのは、記憶喪失を自称する美少女。
ある事情から追われる二人の少女の逃走劇です。桜庭さんならではの個性を感じる作品。
2004年にファミ通文庫から刊行。今回は角川文庫の再刊を読みました。ボツになった幻の
エンディングを含む三通りの結末が楽しめます。RPGみたいで面白い試みです。 -
とある事件を起こした中学三年生の巣籠カナは,逃走中,ダストシュートの中で全裸の美少女・白雪を発見する.
白雪は記憶喪失だと言い,なぜか拳銃を所持していた.
白雪と行動することになったカナは,追手から逃れながら悪の町東京へと放浪する.
SF小説のような,幻想小説のような,ミステリィのような青春小説. -
謎の少女と出会っての逃亡劇。彼女は精神異常者なのか、宇宙人なのか、ロボットなのか・・・?
わけのわからないまま逃亡する思春期の少女を通した歪んだ世界。結局主人公は元通りの生活に戻るも、一連の奇妙な出来事は彼女に何をもたらしたのでしょうか? -
――いっつも悩んでいました。わたしはこれからどうなっちゃうんだろう?大人になって、なんか職業に就いたりあと恋愛とかしたり、うわピンとこない、それもうわたしじゃくて別の生き物、こわっ・・・・とか、ぐるぐる考えていました――
至って正常に成長した少女の物語 -
《大人》からの逃避行。それは自分が大人になってしまうことから逃げることでもある。渡される進路希望調査票、未来を選ばない「ぼく」。不思議な少女と二人、行く宛のない旅をする。
ぐるぐる目が回るような展開、どこまでがブラックアウトでどこまでが現実なのか……曖昧だけど確かな少女の手触りが残る読後。駆け抜けるような物語に着彩する描写が何よりも少女のキラキラポップチューン。最高だ。
ラノベというかノベルゲーム的文体で最後にエンディングが分岐するという構造にもびっくりした。元々は単一エンドだということだけど、この結末が複数存在して、それがそれぞれ独立したものではなく互いに重なり合ったものになっている(!)というところにノベルゲームを超えた何かを感じた。
複数のエンドが存在するノベルゲームにしばしば言及される問題として、「結局トゥルーエンドが唯一の真エンドで、他のエンドはキャラクターの描写や情報の補完に充てられる副エンドでしかない」といったものがあるが、『推定少女』はどれが真エンドか選び取れない気がする。僕たちはしかし選び取らなければいけないのか、可能性を? -
2016.9.12
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とある事情から逃亡者となった“ぼく”こと巣篭カナは、逃げ込んだダストシュートの中で全裸の美少女・白雪を発見する。黒く大きな銃を持ち、記憶喪失を自称する白雪と、疑いつつも彼女に惹かれるカナ。2人は街を抜け出し、東京・秋葉原を目指すが…直木賞作家のブレイク前夜に書かれた、清冽でファニーな成長小説。幻の未公開エンディング2本を同時収録。
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ラストシーンが3パターンあるので、何度も読み返して何度も楽しめました。どのエンディングも楽しめます!(クランベリー)
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
おとなになりたくない感じ、わかるなあ。
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読み終わった当初、その時の状況にも依存していたのかもしれないけど鬱蒼とした気分になった。
こういった絶望系の小説に慣れていないせいなのかもしれない。
人によっては絶望系ではないと言うかもしれないが、雰囲気が始終暗いというのはあると思う。
終わり方が三種類あって、ゲームのマルチEDのようだが、
あくまでも自分はどの終わりかたも納得できなかった。 -
【185】
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2回ほど積ん読になってしまったけど、後半をいっき読みしたら、なんだかよかった。あのころの私が、いるなあ、と思った。いつか大人になったら、「あの頃はなんにも考えてなかったわ」とか言っちゃうんだろうか、っていう不安。大人に対する羨望のような軽蔑。家出。大人の女性に対する嫌悪感。そういうもの全部、自分に対する絶望だってこと。わかってくれている本があってよかった。
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誰にも定義されないで。
桜庭一樹らしい小説。マルチエンディングなのも面白い。ラノベ寄りだなぁ、と思っていたら、最初はファミ通文庫だったそうです。なるほど。
巣籠カナは義父を「撃ってしまい」逃走を図る。そこで出会った記憶喪失の美少女、もしかして宇宙人かもしれない「白雪」と秋葉原を目指して逃げ続ける。「電脳戦士」のお兄ちゃんと別れ、アキバの『ブラック・パイレーツ』で出会った「火器戦士」千晴に助けられながら、補導員や警察、評論家からも逃げて、カナはどこへ行くのか。
説明できないいろいろなこと。大人から言わせれば、悩むにも値しないくだらないこと。荒唐無稽、夢のような、非現実的な話。でも、中学三年生には重要なのだ。あの頃を思い出すと、全然違う自分が「ぐるぐるして、馬鹿みたいで、ホント何考えてたんだろう」と冷静に言ってきます。わたしも宇宙人にさらわれて別人になったのかもしれない。白雪が誰かなんて、もはやどうでもいい、そんな大人に。
エンディングはボニー&クライド的な「Ending I 放浪」が一番しっくりきますが、「Ending III 安全装置」が、角川文庫としては落ち着きの良いところなのかと。 -
桜庭一樹の極初期の長編。奇想天外な展開ながら、面白く、ワクワクしながら読みました。
子供の成長物語としても面白かったです。 -
SF要素が含まれているのですが、ちょっと桜庭作品には合わない感じがしました。
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好きな椅子に沈み込んで何時間でも本を読んでいられたらいいのに