推定少女 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.44
  • (193)
  • (286)
  • (473)
  • (132)
  • (24)
本棚登録 : 3769
感想 : 340
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044281038

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「大人との共通言語が無い」という部分に大きく共感した。
    親の愛や、血の繋がらない大人からの愛護心など、バイアスのようなもののせいで、大人には言葉が伝わらない時がある。
    大人は子どもを経験しているのに、なぜ伝わらないのかが分からなくて、童心は忘れるものやと思う。

  • こんなにファンタジーの世界観溢れるものは
    はじめて読んだ。
    やはり桜庭さん素晴らしい。
    子ども目線をスラスラ書けている。
    子どもにとって大人は理不尽で、
    大人にとって子どもって理不尽で、
    だけど大人も子どもも宇宙人も
    みんな生きるために必死で、
    つまり生物はみんな我儘なのかな。

  • 『推定少女』桜庭一樹さん

    10代向けのSF小説かと思いきや、
    多感な時期の少年少女の心の葛藤が
    リアルに描かれていて、
    アラフォーの心をも鷲掴みにした作品でした。

    共通言語を持たない、ゾンビが蔓延る世界。

    大人はいつの日を境に、ゾンビになってしまうのかな。

    ”ドン・キホーテの偽物みたいな店“とか、
    雑居ビルの階段に置かれているあの小道具たちの名前、
    主人公が嫌悪を示す義父のあの匂い。

    こういう鋭い背景描写に、グッときました。

    SFっぽいけどリアルな世界感があって
    SFが苦手でもすんなりと入ってくるので
    楽しかったです。

  • ファミ通に連載された少年少女向けSF。ラノベと呼ぶかジュベナイルと呼ぶか微妙なところ。

  • 再読。「ここから物語は分岐し、三種類のエンディングがあります。」と書かれたときには驚きと少しの落胆があった。あとがきによると編集部の要望で書きかえたものも含めて全部収録したという事情らしい。こういうゲーム的なエンディングはあまり好きではないが、作家が自由に書けないこともあるのだろう。自分を「ぼく」と呼ぶ少女は脅えながら戦っている。ただ生き延びるために戦っている。そんな時代が自分にもあったことを思い出させてくれる。

  • ひょんなことから父親を弓矢で射ってしまい、逃亡生活を始める女の子のSFストーリー?
    個人的には急にはじまったSF的(ファンタジー?)な流れが受け入れられなかった。
    話の終わりもマルチエンディングになっており、なんだか作り話感を強く感じてしまって、自分に合わない感じでした。

  • なんだか夢を見ていたようなお話でした。

    大人になった私はいまの私とは全く違う生きものに
    全身取って代わっていると思う。まるで宇宙人に連れ去られて戻ってきたみたいに。

    ずっといまの空間の中で生きていたいという気持ち、とてもわかります。
    自分じゃいられないここから逃げ出したい、でもそれは
    ずっと追いかけてくる、逃げられない
    大人になることはいつか私に追いついてしまう
    電脳戦士のようにどこか別の世界に行ってしまいたい
    とモヤモヤ、いつまでも考えています
    いつか私がオトナになったとしたら、
    あの頃は悩みなんてなくてよかったよね〜と話すような輩にはなりたくありません。




  • 前半はとても良いと思う/ 女子中学生のギャーギャーした感じを描く文章もいい/ なのに、後半に宇宙人とデザートイーグルで闘う辺りから一気に荒唐無稽になる/ 評論家が宇宙人なのも辻褄が合っていないし、電脳戦士がゲームに消えるのも辻褄が合っていない/ 思春期の少女の見る幻想だというなら意味も解るが、じゃあ千春はなんなのだということになる/

  • 生徒からのおススメで読んでみました。
    「自分が何者であるか」がしっかりと言語化できない中学生が、自分の今後(自分が嫌っているようなただのつまらない大人になるのでは)への不安から逃げようと奮闘し、また、葛藤するという作品です。

    大人になってから読むと、主人公のある種「純粋」というか、「周りの見えなさ」が目についてしまい、あまり感情移入できませんでした。
    もしかすると、中学生や高校生には響くかもしれません。
    ただ、自分の中学生時代を思い返してみても、主人公のように葛藤した記憶はなく、人それぞれなのかな、とも思います。

    ともあれ、ビブリオバトルで発表するようですので、高校生がどのようにこの作品を読んだのか、聞くのが楽しみではあります。

  • 唐突に日常からはみ出してしまった女の子が出会ったのは、記憶喪失を自称する美少女。
    ある事情から追われる二人の少女の逃走劇です。桜庭さんならではの個性を感じる作品。
    2004年にファミ通文庫から刊行。今回は角川文庫の再刊を読みました。ボツになった幻の
    エンディングを含む三通りの結末が楽しめます。RPGみたいで面白い試みです。

  • 15歳の僕は中学校裏にUFOが落ちた日
    義父を弓で撃ち逃走する
    逃走中、隠れるためダストシュートをあけると
    裸の少女、白雪を発見する

    逃げるふたりと秋葉原で出会った千晴
    3人の束の間の生活

    白雪がめちゃくちゃで、ちぐはぐで
    読んでいてフラフラしてしまう

    エンディングが3パターンあり
    どれもピンとこなかった

  • とある事件を起こした中学三年生の巣籠カナは,逃走中,ダストシュートの中で全裸の美少女・白雪を発見する.
    白雪は記憶喪失だと言い,なぜか拳銃を所持していた.
    白雪と行動することになったカナは,追手から逃れながら悪の町東京へと放浪する.
    SF小説のような,幻想小説のような,ミステリィのような青春小説.

  • これを読んで、アラサー主婦はきんぴらごぼうを作るためにしぶしぶ千切りを始めるのであった。
    家出少女の奇想天外で不思議な体験を描いたハイスピードでポップでちょぴりダークな雰囲気が漂った小説。今の生き方に失望している少年少女たちの逃亡劇。ファンタジー展開に振り回されながら着地するエンディングは3種類。
    思春期の溢れんばかりのキモチが表現されていて、懐かしく思う反面、もっとやりようがあったと思うのは完全に大人側の視点によるものですね。
    エンディング2,3のような現実的な収まりはハッピーエンドであることは間違いないのだけど、エンディング1のように少女たちが子どものままでいるエンドが小説として美しく心に留めていたいと思った。

  • 謎の少女と出会っての逃亡劇。彼女は精神異常者なのか、宇宙人なのか、ロボットなのか・・・?

    わけのわからないまま逃亡する思春期の少女を通した歪んだ世界。結局主人公は元通りの生活に戻るも、一連の奇妙な出来事は彼女に何をもたらしたのでしょうか?

  • ――いっつも悩んでいました。わたしはこれからどうなっちゃうんだろう?大人になって、なんか職業に就いたりあと恋愛とかしたり、うわピンとこない、それもうわたしじゃくて別の生き物、こわっ・・・・とか、ぐるぐる考えていました――

    至って正常に成長した少女の物語

  • 《大人》からの逃避行。それは自分が大人になってしまうことから逃げることでもある。渡される進路希望調査票、未来を選ばない「ぼく」。不思議な少女と二人、行く宛のない旅をする。

    ぐるぐる目が回るような展開、どこまでがブラックアウトでどこまでが現実なのか……曖昧だけど確かな少女の手触りが残る読後。駆け抜けるような物語に着彩する描写が何よりも少女のキラキラポップチューン。最高だ。

    ラノベというかノベルゲーム的文体で最後にエンディングが分岐するという構造にもびっくりした。元々は単一エンドだということだけど、この結末が複数存在して、それがそれぞれ独立したものではなく互いに重なり合ったものになっている(!)というところにノベルゲームを超えた何かを感じた。
    複数のエンドが存在するノベルゲームにしばしば言及される問題として、「結局トゥルーエンドが唯一の真エンドで、他のエンドはキャラクターの描写や情報の補完に充てられる副エンドでしかない」といったものがあるが、『推定少女』はどれが真エンドか選び取れない気がする。僕たちはしかし選び取らなければいけないのか、可能性を?

  • 2016.9.12

  • とある事情から逃亡者となった“ぼく”こと巣篭カナは、逃げ込んだダストシュートの中で全裸の美少女・白雪を発見する。黒く大きな銃を持ち、記憶喪失を自称する白雪と、疑いつつも彼女に惹かれるカナ。2人は街を抜け出し、東京・秋葉原を目指すが…直木賞作家のブレイク前夜に書かれた、清冽でファニーな成長小説。幻の未公開エンディング2本を同時収録。

  • ラストシーンが3パターンあるので、何度も読み返して何度も楽しめました。どのエンディングも楽しめます!(クランベリー)

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • おとなになりたくない感じ、わかるなあ。

  • 読み終わった当初、その時の状況にも依存していたのかもしれないけど鬱蒼とした気分になった。
    こういった絶望系の小説に慣れていないせいなのかもしれない。
    人によっては絶望系ではないと言うかもしれないが、雰囲気が始終暗いというのはあると思う。
    終わり方が三種類あって、ゲームのマルチEDのようだが、
    あくまでも自分はどの終わりかたも納得できなかった。

  • ずっと少女でいるために必要だった家出。
    そこで出会った人たちも、そこで起こった出来事も結果的にはカナが大人になるきっかけとなっていく。
    ラストまで大人になりそうでなれない、子供のままでいれそうでいられない、不安定な状態でそこが愛おしく感じる。
    大人になることはつまらない自分を認めること。だから純粋なままの子供でいることを願ってしまう。

  • 学校の裏山にFUOが落ちたとされた夜。

    中学3年、15歳。
    義理の父親の殺害容疑で逃げる少女、巣籠カナ。
    逃げる途中のダストシュートの中で出会った凍った記憶喪失の少女、仮名を白雪。
    二人で逃げた先は東京。
    秋葉原で出会った少年、千晴。

    白雪は出会った時は全裸。髪は赤く目は青味がかっている。
    何故かデザート・イーグルを所持。
    カナと白雪を追ってくる黒服の男達。

    カナが警察に捕まるが、自称評論家によって逃げる事に成功。
    だが、実際は人ではないナニカ。
    そこから助けてくれたのは白雪と千晴。
    黒服の男達は白雪の銃によって撃ち抜かれる。
    流すのは緑色の血と、スライムのような破片を撒き散らす。
    追ってから逃げて、逃げて、逃げて。
    ついに追いつかれて、白雪は忽然と消え。
    カナは落ち込み、千晴は唖然とする。

    エンディング1
     再度、カナの隣に現れた白雪。
     本名を綾小路麗々子(りりこ)は、カナと一緒に犯罪者になろうと、愉快犯になろうと。
     やろう、やろうと軽く返すカナ。

    エンディング2
     千晴と別れて、列車に乗りった。
     途中で現れた白雪は、捕まり自信が宇宙人だと明かす。
     白雪とそれきり。
     家に帰るカナ。姿を消す電脳戦士のお兄ちゃん。

    エンディング3
     千晴と一緒にいるところに再度現れる白雪。
     千晴に促され、家に電話して。白雪と家を目指す。
     家に戻ると白雪は消え、電脳戦士のお兄ちゃんも消えた。
     高校3年の春まで女子空手部のマネジャーを務める。
     短大進学のために東京へ。
     千晴と電話したり、メールしたり、会ったり。


    幻の未公開endingを掲載。
    なので、エピローグが3本。
    未公開が1と3。
    エンディング3は1と2をミックスして、泡立てた感じ。
    同じなのは 父親を射掛けてない事 と、電脳戦士のお兄ちゃんが 入れ替わりでいなくなった事 。
    どこからどこまでが本当で、幻で。
    大人になりたくない15歳の葛藤を描いているのかしら?
    私個人の意見で言えば。
    もっとグチャグチャな内容でいいような。
    これだけやって『夢オチ』的な事は避けて欲しかったけど。
    緑色の血って設定で半分醒めちゃったかかな?
    先が読めちゃったから。
    ま、大人なんで仕方ないかな?
    でも。
    実際、自分が15歳だったとしてもちょいと物足りないかも。

  • 【185】

  • 2回ほど積ん読になってしまったけど、後半をいっき読みしたら、なんだかよかった。あのころの私が、いるなあ、と思った。いつか大人になったら、「あの頃はなんにも考えてなかったわ」とか言っちゃうんだろうか、っていう不安。大人に対する羨望のような軽蔑。家出。大人の女性に対する嫌悪感。そういうもの全部、自分に対する絶望だってこと。わかってくれている本があってよかった。

  • 誰にも定義されないで。

    桜庭一樹らしい小説。マルチエンディングなのも面白い。ラノベ寄りだなぁ、と思っていたら、最初はファミ通文庫だったそうです。なるほど。

    巣籠カナは義父を「撃ってしまい」逃走を図る。そこで出会った記憶喪失の美少女、もしかして宇宙人かもしれない「白雪」と秋葉原を目指して逃げ続ける。「電脳戦士」のお兄ちゃんと別れ、アキバの『ブラック・パイレーツ』で出会った「火器戦士」千晴に助けられながら、補導員や警察、評論家からも逃げて、カナはどこへ行くのか。

    説明できないいろいろなこと。大人から言わせれば、悩むにも値しないくだらないこと。荒唐無稽、夢のような、非現実的な話。でも、中学三年生には重要なのだ。あの頃を思い出すと、全然違う自分が「ぐるぐるして、馬鹿みたいで、ホント何考えてたんだろう」と冷静に言ってきます。わたしも宇宙人にさらわれて別人になったのかもしれない。白雪が誰かなんて、もはやどうでもいい、そんな大人に。

    エンディングはボニー&クライド的な「Ending I 放浪」が一番しっくりきますが、「Ending III 安全装置」が、角川文庫としては落ち着きの良いところなのかと。

  • 『砂糖菓子~』を連想させるような、独特な内容でした。終わりも三種類あり、読み終えて、とても不思議な感じがしました。

  • 桜庭一樹の極初期の長編。奇想天外な展開ながら、面白く、ワクワクしながら読みました。
    子供の成長物語としても面白かったです。

  • SF要素が含まれているのですが、ちょっと桜庭作品には合わない感じがしました。

  • 好きな椅子に沈み込んで何時間でも本を読んでいられたらいいのに

全340件中 31 - 60件を表示

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桜庭一樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×