- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044281052
作品紹介・あらすじ
いんらんの母から生まれた少女、七竈は自らの美しさを呪い、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友に、孤高の日々をおくるが――。直木賞作家のブレイクポイントとなった、こよなくせつない青春小説。
感想・レビュー・書評
-
美しく生まれてしまった少女『七竈』
同様な容姿の幼馴染みの友『雪風』
孤高の2人の青春を可愛そうな大人達が惑星の如く干渉してくる。
雪の街旭川を舞台に繰り広げられる痛切でやさしい愛の物語
17歳から18歳のあいだになにが起こる?
本文中に出てくるこの言葉にその時期にタイムスリップした様な気がした。
夢があってもなくても、美しくてもそうでなくても、非凡でも平凡でも・・・
「とくべつな自分と。とくべつすぎる自分と。みんな、そういう自分とむきあって~怒涛のように変化していく季節なのだ」本文中
自分もそんな季節を過ごしたのだと、遠い昔の事の様な、昨日の事の様な、思いになりました。
主人公の少女『七竈』の語り(話し言葉)が古風で変わった少女と思わせるところが「昭和」という時代も感じさせてくれた様な気がします。
七竈という植物にも興味をそそられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2006年(平成18年)。
七竈――北海道などに棲息するバラ科ナナカマド属の落葉高木で、秋から冬にかけて鮮やかな赤い実を実らせる。7回竈に入れても残ることがあるほど燃えにくいが、7日かけて作られたその炭は、たいへん上質であるという。
美しく孤独な娘「七竈」とその母親の物語。
娘は母の血痕だ。
母に抗う娘もまた、いつか己の血液と共に娘を産み落とすのかもしれない。
純白のままの少年の思い出だけをよすがとして。 -
桜庭さん3冊目。前に読んだ『赤朽葉家〜』にも通じる女三代記(血は繋がってないが)といった感。共感できる人は出てこないのに妙にテンポある語りで一気に読んだ。
-
ただ生きるだけでも、美しすぎる容姿ゆえに他人がどんな形であれ干渉してくる。その上母たちの、可愛そうな大人たちの絡み合った過去によって、七竈の生き方に何か背負わされる感覚がある。
七竈と雪風の生きる方向、特別何かが酷いわけでもなく、悲しいものだと決めつけたくはない。けれど二人の優しい世界が静かに解けてしまったような、そんな物悲しさを勝手に感じてしまう。 -
大好きな桜庭一樹先生の作品。これで4冊目!全部読みたいです。どの作品も先生のワールドか広がって、美しい、独特な言葉の使い方、雰囲気。どれもが私のタイプだ。独特な世界観の中に、いつも突きつけてくる切ない現実、そこがすごくいい。私の男、砂糖菓子の弾丸、本作も、母、父、
決して切ることのできない恨みたいけど恨めない血の繋がりをどの作品も感じた。 -
この、せまいせまいスノードームのような世界にすごく惹かれました。
せまくて、脆くて、真っ白な世界。
あれがなかったら、これがなかったら
なんて、結局意味がなくて。
結局は与えられたものを生かして、生かして、生かして、
自分で生きていくしかないんだな、なんて。
全体的にすごく好きな話だけど
欲を言えば最後に祖父の視点からのお話が欲しかったな。 -
大変、美しい文章。
優奈の、泣き出す場面がとてもきれいで印象に残った。きれいすぎて泣けた。
桜庭一樹は二作目だけど、少女の繊細な気持ちを表現するのがうまい。うまく作品を説明できないけど、この本とても好きです。 -
単行本で読んでたけどこっちで再読。桜庭さんで初めて読んだ一冊だけど、改めて読むと、そのあとああこういうところから影響を受けたなと分かる要素がたくさんあった。それは読み直さないと分からないものだな。
たぶん当時はみすずちゃんに感情移入してたんだろうし、うつくしい七竈を世界の中心に据えて読んでたから、タイトルが『少女七竈と可愛そうな大人』というのがしっくりこなかった。大人なんて気持ち悪くて何考えてるか分かんない、七竈が可愛そう、と本気で思ってた。お母さんなんて怪物のように思ってた。でもわたしが今回読み直して泣いちゃったのはお母さんが家に帰ってきて、朝ごはんに「たらこのいいやつ」を食べるというところだったんだよな。かなしい。
東京の郊外に育った身としては、地域の閉鎖性というのが全然分からないから、外国のように読んでる。いつか桜庭さんに東京の郊外を舞台にしたお話を書いてもらえたらいいのにな。難しいかな。 -
ぼくはビショップが好き。
桜庭先生のお話は静かな感じがして良い。
著者プロフィール
桜庭一樹の作品





