少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 479
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044281052

作品紹介・あらすじ

「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、そして出奔を繰り返す母の優奈-誰もが七竃に、抱えきれない何かを置いてゆく。そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が-雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 大変、美しい文章。
    優奈の、泣き出す場面がとてもきれいで印象に残った。きれいすぎて泣けた。
    桜庭一樹は二作目だけど、少女の繊細な気持ちを表現するのがうまい。うまく作品を説明できないけど、この本とても好きです。

  • ぼくはビショップが好き。

    桜庭先生のお話は静かな感じがして良い。

  • いただいた本
    初めて読んだ作家さん

    美しかった。美しさとか、田舎の怖い感じとか、危うさ、頭のおかしさなど、興味深いテーマがたくさん。電車もいい。

  • いんらんの母親を持ってしまった娘の物語かと思いきや、「母と娘」という永遠のテーマで締められて、最後は思わずじんわりきてしまった。

    純愛。それぞれに、「一番側にいて欲しい」と心から願う人が、側に居てくれない切なさ。母にかけられた呪い。叶わぬ想い。永遠につきまとう呪縛。かんばせ。

    桜庭一樹さんは、作品によってガラリと作風が変わるので楽しい。少女七竃と少年雪風の、丁寧で独特の喋り口調がとても味わい深くて良かった。また、飼い犬ビショップ目線で描かれた章もとても良かった。

    「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。ある瞬間は、ゆるせる気がする。ある瞬間は、まだまだゆるせない気がする。大人の女たちは、だいたい、そうさ」

  • 重そうなテーマなのに、ユニークで優しい。

    感想を言語化するのが難しい。

    2014.10.26

  • 桜庭一樹さんの本は装丁が綺麗。
    内容がキャッチ―。
    展開がロマンス。

    でも、やっぱり自分の中で「おしゃれのために読んでる感」が拭えない。

  • 汚れた世界で、美しすぎて純粋な少年少女の恋というのはあまりに残酷な結末を迎えるのです。

  • この、せまいせまいスノードームのような世界にすごく惹かれました。
    せまくて、脆くて、真っ白な世界。

    あれがなかったら、これがなかったら
    なんて、結局意味がなくて。

    結局は与えられたものを生かして、生かして、生かして、
    自分で生きていくしかないんだな、なんて。


    全体的にすごく好きな話だけど
    欲を言えば最後に祖父の視点からのお話が欲しかったな。


  • 美しいかんばせを持つ少女、川村七竃が主人公。

    旭川の冬の美しい情景が浮かぶ、綺麗な文章でした。

    1「この世の果てだ。若くなくなってもずっと続いてゆく、女の人生。日常という名の果ては、なにやら、やわらかい。」

    雪風の母である、桂多岐。
    6人の子供を持ち、働かない夫の代わりに、毎日働いている彼女の光のない日常が、とても切なかった。

    若い頃にあった女としての光は、歳をとると消えてしまう。そんなもの悲しさがあった。

    2「頭がよすぎるものも、悪すぎるものも。慧眼がありすぎるものも、愚かすぎるものも。性質が異質で共同体には向かない生まれのものは、ぜんぶ、都会に紛れてしまえばいい。」

    都会に紛れてしまえばいい。七竃にとっては、魔法のような言葉だったと思う。
    人混みにいれば、誰も自分のことなど、見えていないように思えてくる。周りが気にならなくなる。
    都会とは、そういうところなのだ。

    3「つぎに町で会ったときには、すれちがっても互いにわからないほど、少年もまた変化しているのかもしれない。
    変化した自分こそが、そのあとの、唯一無二の自分なのだ。いまのわたしたちは永遠に消える。」

    七竃と雪風の別れ。
    唯一、分かり合えた友との別れ。
    いまの雪風とは、もう永遠に会うことはできない。
    時の流れが、容赦なく彼らを変えていってしまう。

    とても痛切でやさしい愛の物語だった。

  • ある日辻斬りのように男と関係を持とうと思った25歳の小学校教師。狂ったような季節の先に妊娠して、生まれたのはあまりにも美しい容姿をもった少女七竃。

    そのあまりに美しい容姿とは関係なく、本人はぼーっとしているというかちょっと理屈っぽいというかとにかく淡々としている。そんな七竃が関心を持つのが鉄道と、同じく鉄道を愛し、七竃に良く似た美しい少年雪風。

    やがて七竃はゆっくりと消費され美しくなくなってしまうことを目指して上京する。若い女は若くなくなると「若くない女」になるのだ。なんという恐ろしい話。

    でもなんとなく七竃はいつまでも美しい気がする。誰にもその実を食することを許さず、冬になっても赤い実を実らせたままただそこにある植物の七竃のように。

    少女から大人になっていく過程が上手くかけていると思いました。なんかめんどくさいんだ、この季節って。

  • 久々に文学を感じた作品。
    桜庭一樹さんとはこういう小説を書くのかと。
    心を抉られるような切ない物語です。

  • 「辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。ある朝とつぜんに。」この書き出しのインパクトがとりあえずすごい。辻斬りかあ。うん、ある朝とつぜんそんなこと思ったら大変だけど、感覚としては理解できる。そして真面目な教員から一転してとつぜん辻斬りのように7人の男と寝た「いんらん」の母親から生まれた美少女・七竈が本作の主人公。

    桜庭一樹の作品は選り好みして読んでいますが、今まで読んだ中で圧倒的に好きだったのは「ファミリーポートレート」と「赤朽葉家の伝説」。いずれも母から連なる娘の物語。どうも、この人のこのテーマの作品が、私のツボにハマるようです。本作もとても良かった!

    美少女ゆえに生き難い少女七竈。彼女の唯一の理解者は幼馴染の同じく美少年・雪風のみ。鏡のように似ている二人がお互いに抱きあう淡い恋心とも自己愛とも兄妹愛ともつかないものは、もろくてはかなくてとても美しい。ファミリーポートレートを読んだときにも思ったけれど、きっと桜庭一樹は吉野朔美の漫画を好きなはず(笑)。「少年は荒野をめざす」や「ジュリエットの卵」と似た印象を感じました。

    大人たちはみな可愛そうだけど、七竈自身にとっては前向きな結末なのも良かったです。彼女がこの先幸せになれるかどうかはわからないけれど、彼女なら大丈夫なんじゃないかなあ、と思わせる強さがあったので。あ、あと犬のビショップが好きでした。犬視点の章は妙に癒されました(笑)。

  • 単行本を図書館で借りたのち、気に入って文庫本を買ってもう一度読んでの感想。
    あまりにも脆く、繊細な物語。文章の独特さと内容の切なさがこれを際立たせているのだと思う。是非中高生の間に読んでほしい本。

  • あまり適切な表現ではなさそうだが、
    全体で、ひとつの景色になっているような話

    一面に広がる、薄情な白い雪
    そこに落とされた何者にも染まることのない、
    美しき七竈の実

    自身の小さな世界で生きる七竈が、
    大人たちに翻弄されながらも、
    懸命に前を向いて生きていく
    そんなお話

    自分としては、全てを理解するにはレベルが高すぎた作品・・・

  • 切ないというのかなあ、これは!?
    お母さんが意味わかんない(笑)
    でも、七竈と雪風がこれから違う道を歩いて行くことを応援したいです!!
    みすずちゃんの気持ちも辛いねえ。
    もしこんな状況になったらわたしも、キツイと思います。
    でもみすずちゃんにも、"先輩"がいなくなっても頑張って欲しいと思います♪

  • 色々な視点で書かれているのが面白い。七竈と雪風のこの先が気になります。

  • 桜庭さんの小説のなかでいちばんすき
    何回も見てしまう

    冬の雰囲気がすごいいい

    北海道に行きたくなる


    雪風に会いたい

  • 桜庭一樹の小説はぬめぬめしている。
    人間のぬめぬめとした汚さ、底に澱み黒々としたおそれを美しく描く。
    決して後味は良いと言えない。しかしそこにこそ儚い美しさは宿る。
    その事をよく知っている作家であり、それがよく表われた作品。


    幼く狭い世界の物語は閉じられているからこそ続く。
    七竈と雪風。美しい幼なじみ。
    永遠に続かないあの年頃の、呪いにも似ていた恋。
    期限付きの美しさを、女としての欲望を、押し付けられ逃げようのない血の呪いを、静かに見つめる少女はそれらを許さないことで自分を受け入れる。
    しかし許さないという答えを出すことで初めて許せたのだと気付くにはまだ少女は幼かった。
    幼なじみ。美しい、七竈と雪風。

  • 2006年(平成18年)。
    七竈――北海道などに棲息するバラ科ナナカマド属の落葉高木で、秋から冬にかけて鮮やかな赤い実を実らせる。7回竈に入れても残ることがあるほど燃えにくいが、7日かけて作られたその炭は、たいへん上質であるという。

    美しく孤独な娘「七竈」とその母親の物語。
    娘は母の血痕だ。
    母に抗う娘もまた、いつか己の血液と共に娘を産み落とすのかもしれない。
    純白のままの少年の思い出だけをよすがとして。

  • 『たいへん遺憾ながら“いんらん”の平凡な容姿の母の元大変美しく生まれてきてしまった』川村七竈は群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼なじみの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。
    (一部あらすじから引用)
    「だって、先輩。十七歳から十八歳の間に、いったいなにが起こるの?わたしまだこれからだからわからないのかな。でもクラスの友達も、なんだか浮き足たって。急に恋に目覚めておとなっぽくなる子もいるし、長くつきあってたカップルが、別れたりもしたわ。進路を決めたり、いままで近かった友達を、急に遠く感じたり。びっくりするほどいろいろ変化するから、わたしよくわからないの。川村先輩、ずっと、ここに、いてほしい」
     雪風を愛し、七竈を恋敵として見ていた緒方みすずの一説。周りが大人になってゆくのに、自分だけが取り残されていく不安を本当に愛おしかった美しい先輩たちには変わってほしくないという気持ちからの言葉なのでしょう。私は緒方みすずという人間が好きです。
     解説にもありましたが非常に人間らしい子です。だからこそ愛おしい。
     魅力的ではあるのだけれどどこか生気といいましょうか、みすずに対しても、他人においても距離を置いて話す七竈とはまた違ったしゃべり方をするのです。非常に近いのです。近親感がわくのです。

     それでも七竈は少女から大人へとなる、長らく友として同じ趣味を分かち合った雪風を残して母すらも描けなかった自分の道を進む。7回燃やして灰になりたかった川村優奈に七竈のことを教えてくれた田中教諭はこのせかいにはもう居ない。
     旅人だった母はもうどこにもおらず、優しい祖父とビショップと共に暮らしてゆく。

  • 「七竈」
    「雪風」


    ずぅっとそう囁いている物語。

    「君が美しいのはね、母がいんらんだったからだよ」

    もっといって。


    もっと言って。














    北海道の旭川を舞台にした、静かで独特な物語。
    雰囲気は好きだったけど、話し方がとにかくイラっとした。
    この前に読んだ『青年のための読書クラブ』と
    丸かぶりだったから、なおさら。

    ただ、またひとつ印象派の本に出会ってしまった。

    印象派は離れられないから、ずるい。

  • 七竈という呪われた美しいかんばせをもつ少女とその幼馴染み、雪風の関係性がなんとも繊細で切なく、美しかった。最後の辺りのやり取りは思わず涙。春とともにふたりは少女で、少年でなくなってゆく。
    ビショップが七竈を「むくむく」と呼ぶのがすごくすごーくかわいかったです。

  • 言葉で表現するのが難しいが
    何か好き。
    静かな感じもする。

  • 「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。ある瞬間は、許せる気がする。ある瞬間は、まだまだ許せない気がする。」
    印象に残った台詞。
    桜庭さんの小説は、「私の男」で衝撃を受けて以来、癖になって読みたくなる。

    どうも私のツボに、ドクドクはまるみたいだ。

  • 現代のお話なのになぜか古風な感じが漂っていてすごい好き。鉄道とか。川村七竈のワールド。単行本の表紙を見た時から期待していた通りに面白かった。私はですます調が好きかもしれない。最後乃木坂れなの章で終わるとは思ってなかったからちょっとあっさりでびっくりした。やっぱり少年は思い出になってしまった。2人の場面が一番好きだった。あんなに離れてほしくなかった。雪風は最後、どう考えていたんだろう。諦めがついたのか…。人間は時が過ぎると人間関係ももう今の状態には戻らないっていうことを改めて考えて納得した。後輩の性格はどんどんかわいくなっていったので良かった。ビショップの、うぉん?が好き。(20091218) 

  • 再読。桜庭一樹先生の小説はそこそこ読んできたけれどその作品の中でも「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」に次ぐぐらい好きな小説。非凡なほどの美しさを持った少女七竈とそれを取り巻く人々の話。この話は七竈の成長譚と形容しても間違いではないんだろうけど成長と痛みと喪失は切っても切れない関係にあるので勿論この少女七竈も何かを失っていく。でもそれが大人になるという事、青春が終わっていくという事なんだなぁとこの本を読むたびに思う。

  • まさに桜庭ワールドだなと思いました。独特の雰囲気。
    七竈が可哀想になる。
    雪風と兄妹だったなんてね。1番の理解者なのに。いや、だからこそなのかな。

    可愛そうな大人は7人。誰とは言わないけれど。

    みんな可愛そうで可哀想。でも誰より可哀想なのは七竈だと思う。
    不思議な読了感の作品でした。

  • 再読。「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。」母親に愛情を求めてきた七竈が、鉄道模型に象徴される閉ざされた旭川から東京へ出て、自分の人生を新たに始めようとする旅立ちの話。解説の古川日出男さんは「女流作家」なんて言葉は嫌いだそうだが、娘と母の関係をこんなふうに描けるのは女性の作家だと思うんだけどな。

  • タイトル通り、少女七竃と7人の大人の織りなす七竃の母の一代記+α。北の大地は美しく切ない。

  • 狭く、時が止まったスノードームの中のような物語
    七竃と雪風の二人にしかない言葉の紡ぎ方が印象的です

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著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、島根県生まれの小説家。
1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。
『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)、『私の男』で直木賞を受賞。他の代表作に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
ゲームのノベライズやライトノベル作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを手がけるなど幅広く活躍している。

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