「あの夏のホルマリン」
「弥勒寺クロッシング」
「うたかたのホスピタル」
3編収録のダダ&一也シリーズ第3弾
「あの夏のホルマリン」
己斐、21歳の夏――家庭教師のバイト先での17歳の一也さまとの出会いから、誓いに至るお話。
天龍斎教授と一也さまからふたりながらに――貶されているようで評されてるように、己斐は腰が低くて気弱そうにみえるけど、実際のところかなり意志の強い、肝の据わった御仁なのですよね。でなけりゃ、一也さまにあそこまで食い下がれませんて。普通は、一也さまのひととなり感じると、「シャクティー・ムーン~」のときの緋尾みたいに尻込みするものだと思います。
そして、深読みしてゆくと、一也さまの呪いに伴う実力行使が派手になったのも――引き籠もってた一也さまを外へ連れ出したのも、実は己斐の所業なのだと気付くわけです。
そりゃ、責任取れよ…と、己斐の喜びそうなことを思う、読者です。(^^;)
「弥勒寺クロッシング」
「あの夏の~」から3年後の夏。
己斐の実家のある尾道での――己斐を狙った怪僧とのドタバタな攻防劇。
ハチャメチャぷりが楽しいのと、尾道が舞台なのとで、個人的に大好きなお話です。(※自分が、広島県出身なので。)
己斐の弟に語ったアドバイスが――実は、一也さま自身の真実のところなあたり……一也さま、たまに迂闊に正直です。(^^;)
「うたかたのホスピタル」
「プラスティック~」のトラウマと否が応でも向き合わざる得なくなる、ダダの入院話。緋尾の周りは、それなりにあっけらかんと大人なタイプが多いようで、少し救われる気もします。
それはそうと、恋愛をUFOに例えて語る一也さま――緋尾の枕に頭もたせて、ころんて横になってて……可愛いんですけどっ!!