神は沈黙せず(下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.89
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本棚登録 : 492
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044601140

作品紹介・あらすじ

「サールの悪魔」この謎めいた言葉を残し、優歌の兄・良輔が失踪した。彼はコンピュータ上で人工生命進化を研究するうち、「神」の実在に理論的に到達。さらにその意図に気づき、恐怖に駆られたのだ。折しも世界各地では、もはや科学では説明できない現象が頻発。良輔の行方を追ううち、優歌もまた「神」の正体に戦慄する-。膨大な量の超常現象を子細に検討、科学的・合理的に存在しうる「神」の姿を描き出した本格長編SF小説。

感想・レビュー・書評

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  • 正しく生きたいから正しく生きる

  • 壮大すぎて、果たして自分かどれだけ理解出来たか…。
    世の中や神様についてこんな角度から見る人もいるのだなぁ、とただただ感心するのみ。
    しかし何とも恐ろしい。
    宗教観が物凄く揺さぶられた作品でした。

  • 読み終わった〜!
    上巻は一ケ月かかったけど、下巻は最初から最後までクライマックスで、半月で読み終わりました。
    私にしては、これでもかなり早い方です。

    難しい用語ばかりですが面白い!
    「神は本当に慈悲深いのか」という視点がまず斬新。
    それと、宗派の教典なんて案外適当に、都合よく書かれているんだなっと…。

    この本は日本でしか受け入れられないっとも感じました。
    クリスマスは楽しい恋人同士の日。バレンタインは好きな人にチョコを渡す日。
    お盆の迎え火と送り火は…マンションだからやらなくてもいいね。
    二礼二拍手一礼ってお寺だっけ?神社だっけ?
    「宗教の自由」過ぎる日本。
    神を信じてないわけではなく、宗教という概念が生活から薄れてしまった。
    神を信じるのは、自分の都合のいいときだけ。
    いろいろ書きましたが、私がそうです…。

    まだ神様を見たことない方には、とても面白い本だと思います(笑)

  • 上巻ではまだ保たれていた世界が、ここに来て唐突に展開を変えていく。哲学の領域を科学的に証明しようとするのは誰もが考えることかもしれないが、ここまで具体的に書いているのはそうないのではないだろうか。自分の存在と神の存在、その意味を理解したときに人は何をするのか?この本で描かれている世界は必ずしもSFではなく、もしかすると現実もそうではないかと思わせるほどのリアリティを秘めた素晴らしい作品だった。

  • 上下巻なんとか読破。いやぁ、長かった。

    前半では、それこそ大量の「オカルト」めいた怪しい話から、「学術的」な話まで幅広い分野を網羅しながら「神」の正体に迫っていくというスリリングな息もつけない展開だったので、その核心に触れる後半ではどんな結果が待っているのかわくわくドキドキしながら読み進めていったが、ちょっと肩透かしをくらった感は否めない。

    「未来予測」的な世界観を構築しすぎたせいで、登場人物が単なる「説明係」に終始し、それぞれ人間らしい感情を吐露する場面もあったはあったが、あまり感情移入できず、小説としてちょっと機能不全な部分が目立つ。
    おそらく著者の「いいたいこと」が全面に出過ぎたせいかと。

    政治や宗教や情勢やネットの未来の行く末を、豊富な知識量から予測する力は「なるほど、納得」できる箇所もあるし感心できるが、登場人物を「代弁者」として扱うと、フィクションとノンフィクションの「ほどよい」バランスが崩壊してしまう。

    でも期待できるSF作家。

  • 雑学本のようにも感じてしまいました。

    ただ、出てくるゲームは一度プレイしてみたいです。
    「正しく生きたいから正しく生きる」ミームを私も受精し生活出来ればと思います。

  • 複数巻を同時に読破。いつぶり?

    オカルト研究家の大和田氏との対談から、神の意図を探る主人公兄妹。世界中で起こった脈絡のない超常現象の数々に、そもそも意図などというものが有るのか?その帰り、空から子供が降ってくるという現象に遭遇する…。

    案の定、上巻を忘れてしまっていたうえ、「私」という一人称で、数々の超常現象の解説が続くため、あれ?評論だっけ?と思ったが、そういえば上巻からそういうノリだったな。大和田氏の名前が出てきたところでようやくわかるようになってきた。

    その後は急展開ということなのだろうが、割とあっさりと人がいなくなったり、とんでもないことが起こっても、あれれ?と思うほど読み飛ばすレベルで書かれているので、月に顔が出てきたあたりも一瞬なんだっけ?と戻って読み返した。

    下巻の早々に、終盤であり結論に収束していくのだが、多少息切れというか、終わりたいという意図を感じざるを得ないような、同じような内容を畳み掛けるような記述が続く。逆に言うと「神の意図」という一番書きたい内容を繰り返して解説してくれるわけなので、こういう話が苦手な人にも読みやすいであろう。

    社会問題やシミュレーションなどを交え、卑近な内容でわかりやすく展開。ヘブライ語から脳神経学(心理学?)まで、相変わらず良く調べてあるなーと感心する。

    その割には、神と遭った人が聖書からのみ解説されているのは、ここまでやったのなら他の宗教や神話からも有ってよかったかなと思う。

  • 2006/12/1 . 2007/3/16 ru

  • 上巻に同じ

  • 進化論的アルゴリズムが面白い。それを用いたシミュレーションゲーム内で神の意図を読み取ろうとするところが斬新。オカルトや超常現象についての事例が豊富でよく調べられている。「月の顔」について、みんなが意味を求め始める描写が好き。幽霊が本当にいるかどうかの実験として死んだ方がパスワードを生きている方に霊として出てきて言う実験が面白い。あと、スプーン曲げや超常現象発生の解釈が好き。超常現象が頻発し、世界が科学的な法則に則っているのはかりそめのことに過ぎないとわかった後にも、科学者たちが研究を続けたり、良輔がシミュレーションで研究を続けることに納得がいかない。進化論や進化論的アルゴリズムこそ疑いようもなく真理ということなのだろうか。神も用いているし。

  • スケールは大きいが、結末はやや弱い印象。

  • 情報の洪水に最後まで圧倒されっ放し。自分の鈍い頭では消化し切れなかったのが残念だが、とにかく何でもありの本格SFを堪能させてもらった。

  • そもそも本書を手にとったのは、第8回創元SF短編賞(2017年発表)の講評で大森望氏が「間近に迫るシンギュラリティに対する人類側の防衛反応として、まるで魔法のような超常現象が起きる」という作品について「この路線には山本弘『神は沈黙せず』という網羅的な洗礼があるので」と書いていたので、おお、と思って読んだのだった。
    ほんとに網羅的(笑)。ある意味、これを越えるのは容易じゃない。
    下巻に入るとひたすら超常現象に翻弄されることになって、天敵かと思われたあいつも案外あっさりと……なので、ストーリー的にはちょっと拍子抜けする部分もあった。兄の失踪の原因も、わかったようなわからないようなではあったし。でも、山本弘氏の作品はいつもそうなんだけど、ついひっぱられてぐいぐい読んじゃうのね。相性がいいのかな。つぎは「フェンデッセンの宇宙」を読まねば。(「ビブリオバトル」シリーズでもたびたび触れられているので、ほんとに著書のなかでは大切な作品なのだということがよくわかる。)

  • 神がいるなら、なぜ人間にもっと直接的な接触してこないのか?についての納得がいくような話。神(高次元の存在)にとって人間はみんなサールの悪魔。心を持っているか判別できない。これは人間がAIに心を持たせることができたことを判別できないのと同様、ってあたりが面白かった。
    記号着地問題についても面白い。果たして記号着地問題を解決できる未来は実際に来るのか…。

  • 上巻で論じられている、ファフロツキーズ、ダーウィンズ・ガーデン、ドーキンズ・ガーデン、アーフとミーム、フェッセンデンの宇宙、中国語の部屋などについて、膨大な情報を蓄えれば蓄えるほど、下巻をより楽しめると思われる。

    上巻は情報量が膨大で学術論文を読んでいるように感じたが、下巻は上巻より物語主体だったので楽しめた。

    月に現れた「神の顔」はどんな顔なんだろう、ありとあらゆる超常現象が頻繁に発生する世界に入り込んで見てみたい、「怖い物見たさ」の興味をそそられた。

    「正しく生きたいから、正しく生きる」という優歌の思想には共感できた。

  • 2015.11

  • (上下合わせて)
    熱量がすごい。展開されている主張にはいちいち同意なのだが、悪役(愚かな人)を悪く(愚かに)描き過ぎなのがちょっと気になった。
    遺伝的アルゴリズムと意識の再現の話は、個別に読んでいるうちはそれぞれついていけていたのだが、最終的に組み合わさった(のかな?)ら、なにがなんだかわからなくなった。消化不良。
    ラストは少々雑なような。結局人間で勝手にするしかないから自分の判断で倫理的に生きようって…この作者、せっかく想像力も知識量もすごいのに、結局、作品が作者の説教のための道具になってしまっている気がする。いや、説教の内容にはいちいち賛成なんだけども。それはブログだけでやってほしいなー、という…

  • メンテが弱い方はお勧めできないね、SFと言うより論文に近いような気がする。…上手く言えないが、まさに今色んなミームが私の中に“受精”した、ちょっぴり感動、微かに怖い

  •  神は存在せず、死後の世界はなく死すればすべて無になるのであれば人間存在意味はない。人間は人間に都合のよい神を創作し、有はしない死後の世界を語る。ならばこの世界の存在理由とはなんなのだろう。てなことを考えてみて眠れぬ夜を幾夜過ごしたことだろう。この症状を世の中では中二病発症という。本書は真っ向から中二病に立ち向かった内容となっている。これはこれなりに評価は高い(笑

  • 上・下巻と神が人間世界とどのように関わっているかを議論している本作品。
    考えたこともない視点から描かれていて、
    とても興味深い本となりました。
    そして、気になる結論は、私の好きな感じで終えておりました。
    この本を読んだ方々と自分の考えを議論したくなる作品でした。

  • 本書を象徴するのが、11ページに及ぶ参考資料リスト。
    聖書からオカルト、経済学、心理学まで多種多様だ。
    それらを駆使して導き出された答えが凄まじい。
    それがもし現実だったなら、熱心な信教徒なら発狂するレベルだ。
    したがって本書に対する感想は、読者の信仰心によって大きく差が生じるだろう。
    それにしても読むのにえらく時間が掛かった。

  • 新旧の宗教、超常現象、死後の世界、霊魂、
    これらを論理的に解釈
    というと否定しているようにとられるかもしれないが
    そうではなく、怪しげで想像力に乏しく、合理性に欠けた
    穴だらけ、突っ込みどころ満載の解釈に飛びつくな。
    国民・愛国心、人間であることについても同じ。
    人は信じたいことだけ信じ、理解を超えたことに目をつむる
    それが知性のある人類のすることか。
    神を人間のサイズで考え、理解するな。
    そういうことを言っているのだろうか。
    とても、考えさせられる。
    また、理屈、理屈というと堅苦しく、血が通わない印象を
    持たれるかもしれないが「詩羽のいる街」と同様
    人が自分に/他人に対して善であることは
    範囲に個人の限度はあっても、人類にとって
    合理的であり、それは幸せで、善きことを生む
    という風に読んだ。

  • や…やっと読み終えた。というか最後の方は殆ど読み飛ばしちゃいましたけど。結局はうんちく本でしたねぇ。この世はリアルではなく「神」の作った云わばバーチャルな世界でしたっていうのはちょっと面白かったんだけどな。肝心のストーリーはスッカスカで、単純に超能力・宗教・超常現象のうんちくだけでページ稼いでます。そういうのに興味のある方以外はお勧めしませんね。

  • 讀:?25.08.19

  • 凄いタイトルだけど、それに負けない内容を持ち合わせた一冊。
    読後には、違う世界にひとっ飛びしてきた錯覚を覚える程。

    SFって夢物語でしょ?とか思ってた自分を、
    一挙にSF好きに変えてくれた一冊でもある。

    諸々の研究から得られた結果を組み合わせた思考実験のようなもので、
    そのいくつかは、世の中の真理に迫っていくものなのかもしれない。

    本著は神やら宇宙といった壮大なテーマの基に繰り広げられるけど、
    リサーチやロジックがしっかりしており、
    こんな現実もありだよね?と感じて安心して読めるし、
    その中で読者一人一人が色んなものを感じ、そこから考えるハズ。

    SFと聞いてウキウキしちゃう人、
    昔の自分みたく拒否反応を示しちゃう人、
    とにかくどんな人にもお勧めしたい大作♪

  • ううーん。
    上巻と比べると下巻はちょっとがっかりかなー。
    ネトウヨ批判はヨソでやってほしかった。

    とは言え、オチが気になって一気に読んでしまったことは事実。
    超常現象の意味、神の意図。
    きれいに説明もついてる。

    でもなー・・・

  • 「サールの悪魔」であるという発想には感服

  • 2012.05.29 読破。

  • 07年10月読了。

  • 神がこの世界を創造した目的が明らかにされています。
    「ああ、成程ねえ」とは思いましたが、特にビックリ仰天するという程のこともありませんでした。上巻を読み終えた時点では、神の正体やその目的について、とてもワクワクしていたのですが、少し肩透かしにあった気分。
    話が長すぎて最後の方はちょっと飽きてきたっていうのもありますし、前半の盛り上げ方に対して後半の収束の仕方がちょっと雑な感じがしてしまいました。分量的にこの半分で丁度良かったような気がします。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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