サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫)

著者 :
制作 : 椎名 優 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.27
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本棚登録 : 428
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044743031

作品紹介・あらすじ

「どうして、君は死んだの?」"記憶保持"の能力をもつ浅井ケイ、"リセット"の春埼美空、そして"未来視"の相麻菫。二年前。夏の気配がただよう、中学校の屋上で、相麻は問いかけた。「私たちの中に、アンドロイドがいると仮定しましょう」夏の終わりに向けて、三人は考え続ける。アンドロイドは誰?最も人間からかけ離れているのは、誰-?二年前死んでしまった少女と、すべての始まりを描く、シリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 記憶を保持する能力が欲しい。
    その昔、自分のおこづかいからごく初めのころ買った『フォーチュンクエスト』の2巻か3巻において、すべてを忘れられなくなり他人を避けて暮らしている人物、という話が語られていた。
    楽しいことも悲しいこともみな忘れることができず、いつまでも覚えていなければならない。それはとてもつらいことである、と。
    当時、なるほどそれはつらい事だと同意した。印象的だった。そして今でも覚えている。(今ならインデックスさんを今を昔と思うころに思い浮かべるかもしれないがどうだろう)

    しかし、今は思う。辛い苦しみも、恥ずかしく思い出したくもないことも、思い出せなくなるのは嫌だ。
    いやむしろ、全てを覚えていて理知的に、聡く、行動に活かせるほうが、
    どれほど有意義であろうかと。

    大学生になって一人暮らしをはじめて以来、日記を付けている。起こったことを記録している。記録せずにはいられない。忘れたくはない。
    しかし、全ては忘れてしまうのだ。
    日記という形に記録をしても、それを手がかりに思い返して、過去の自分を現在に活かしていくことはできない。
    ネットにサイトを置いて、ゲームの感想や読書の感想を記録しても、それを覚えておきその上に新しいものを積み重ねていくことの役には殆どたたない。Google先生が空前の偉大な知の整理者であろうと、現在の利用の仕方では駄目なのだ。
    記録をして少しは満たされる。しかし忘れてしまうことに変わりなく、覚えていられる助けにはならない。

    それでも、忘れてしまうのだから、記録するほうがまし、であるかも知れない。記憶を保持する能力、全ての記憶を自在に思い出す能力を今のところ獲得できる見込みはないのだから、断片的にでも記録しておくべきかもしれない。そうするしかないかもしれない。
    日々は楽しい。それは常に昔の記憶を忘れ、全てを新しく感じ思えるからである。
    それでも記憶を保持する能力は欲しい。自分はあまりに愚かしい。

    誰でも何にでも、時の流れと等しく忘却は訪れる。
    何かをきっかけに思い返していくより仕方がないのだ。そういうものなのだ。
    それでもいつもいつまでも、全てを忘れたくはない。
    いつか全てはなくなるとしても、この自分のため自分のことは、覚えていたい。


    とかぽえむるくらいに感服した/話自体はゲーム調ミステリみたいな感じでそれほど驚くところはないが表現の仕方が一行ごと腑に落ちる/まったくすごい

  • 特別な「能力」を持つ者たちが住んでいる「咲良田市」で、対となる能力を持つケイと春崎。二人の出会いです。うわー……すごく「空気感」が特長ある作者さんなのですが、今回はまた、すごいな……。さわやかなだけの世界ではなく、まったき善でもなく、罪悪感と、それだけではなく進んでいくちからを持った少年少女たちの物語でした。相麻はこの物語にどう回転を与えていくのか。きれいなだけではないセカイが、見たい人におすすめです。

  • 浅井ケイと春埼美空が中学二年生の時のお話。ケイは春埼の能力のために春埼に近づこうとする。しかし、それと同時にケイは春埼の精神について興味を持っていた。春埼は肯定も否定もしない。ロボット工学三原則みたいにルールに従って行動する。しかし、ロボットと違うところはルールの3番目の涙を流す人を見つけるとリセットを使うというところにあった。ケイはこの部分に美しさを感じ、純粋な善としての春埼に欠落した心を教えようとする。純粋な善とは人間的ではなく、むしろ象徴的でさえある。そこに人の心を加えようとすればそれは人となり、偽善となる。ケイはその二律背反と向かい合いながらも相麻菫、坂上、智樹とともにクラカワマリの問題について考える。

  • ようやく始まりが分かってスッキリ。もちろん全て分かったわけではない。相麻菫の目的は何だろう。
    中学生の頃のケイを見ていて思ったのは、彼は何でも真っ直ぐにしか考えられないんだろうな、ということ。思考がカーブしたり飛んだりできない。一見曲がった考え方でも、彼の中では一本の線で繋がっているんだと思う。頭が良いし、正しくあろうとしすぎる。そして自分に厳しい。などなど考えながら読んでいたら最後に相麻菫が同じことを指摘してくれた。今までケイはまわりくどい考え方をするなと思っていたけど、それも彼が自分で自分を納得させながら行動しているからだ、と考えると印象も変わってくる。
    春埼がブランコを見て、感情を持つ人は物質にも何かを感じることができるのかと疑問に思っていたシーン、前巻で魔女が「石に恋できるか」と聞いていたのを思い出した。他にもいろいろ重なっているんだろうな……

  • 三巻にしてようやくケイ、ハルキ、相麻の出会った二年前の話。ここでようやく張り巡らされていた伏線がすこし回収されてすっきりしました。ハルキとケイがどうしていまの信頼関係を築けたのかわかってよかったです。あと、やっと智樹の出番がきてうれしかった。ハルキが、そしてケイもとてもうつくしくて尊い人で、だれよりも善人である二人が、とても愛しい生き物に思えました。感動的な場面でもないのに、二人のあまりの澄み切ったうつくしさにある場面で泣きそうになりました。ハルキの涙はうつくしい。
    そして、相麻が無事生き返ったことによる今後の展開が気になります。相麻の目的や意図が不明なのが、いいですね。どんどんおもしろくなっていて、物語に引き込まれます。作者の不思議な言い回しや比喩表現、哲学的な話が大好きです。自分にはない思考で、いつも考えさせられます。

  • 前にも書いたような気がするけれども、超能力の不自由さというか、それを持つものもまた人であり、人であるからこそ超能力にすら縛られてしまう。多少年齢にそぐわない思考や会話ではあるが人物造形が深く生きることの難しさを改めて考えさせられる。
    未来が見えるなら選択肢は間違えない。全てにおいてベストの選択ができるわけだが、それを選択肢が決められていると解し、決まりきった予定調和、自縄自縛の自由のない世界として定義された中で相麻菫が選んだ死の意味は、他人(ケイ)に選択を委ねることにより解放されることをなのだろうか。

  • 評価:☆4

    サクラダリセット第3弾。

    今回の舞台は2年前、全ての物語の始まり。
    ケイと春崎が出会い、相麻菫を含めた3人の関係が出来た経緯を書き記した本巻。

    いや、正直面白かったですw
    前巻までは合わないなーと思っていたのですが、この巻は良かったですね。
    特にケイと春崎の信頼関係は何故そうなってたのか良く分かってなかったので、やっとハッキリしたという感じです。ようやく登場人物に芯が通ったというか。
    むしろこれが1巻でも良かったんじゃないかとすら思う。

    面白い展開になってきてるのでこれは期待出来るかもしれない。

  • 今回は過去編。2年前の浅井ケイと春埼美空の出会いから相麻菫の死まで。
    そして、ついに未来視能力者の相麻菫が復活。
    復活したのは本物なのかどうか・・そもそも死んだ理由は…などなど謎がまだ残ってます。

    なぜ春埼がケイを信頼しているのか、なぜ春埼が髪の毛を切ったのかなんかが明かされて面白かった。

    次巻も楽しみ。

  • じわじわくる本ですね。

    すでに、1・2巻を読み返して伏線回収したい気持ちでいっぱいです。
    善人と偽善者と悪人の話がすごく好き。

    次巻も楽しみです。

  • 今までちらほら出て来ていたケイ達の過去が明らかになり、すっきりしました。
    そして相変わらず春埼は可愛い。
    2年前の過去話が中心でしたが、相麻菫の事もまだ謎は多いけどわかってきたし、ケイや春埼の感じが2年後とは違って新鮮で楽しく読めました。

    次巻が気になる引きで、早く続きが読みたくて仕方ありません。

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著者プロフィール

徳島県出身。グループSNE所属。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)などがある。

「2017年 『ベイビー、グッドモーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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