『狼と香辛料』で面白いほどわかるお金のしくみ

著者 :
制作 : 支倉 凍砂 
  • KADOKAWA/中経出版
3.53
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本棚登録 : 60
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046002228

感想・レビュー・書評

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  • お金のしくみを初心者の視点で理解したくて読んでみた。もう少し狼と香辛料の世界を活かしたら面白い本になったと思うのでもったいない。

  • 看板に偽りあり。
    「『狼と香辛料』で」と書名に使えるほど『狼と香辛料』が使われていないこと、そして「面白いほどわかる」とは決して言えないことの2点で。

    あまりのひどさに景品表示法の「優良誤認」に当たらないかどうかまじめに調べてしまったほど。

    出版物の書名って、「ガンが消える」(絶対に「治る」とは書かない)とか、「長生きしたければ○○しなさい」(https://honeshabri.hatenablog.com/entry/key_to_longevity)とか、「大丈夫! ファミ通の攻略本だよ!」とか、とにかく優良誤認を招きかねないものが氾濫していて、「普通の人はそんなの真に受けないでしょ?」(事実とは違う表示であっても,だれもが本気に受け取るおそれがない宣伝文句などは,消費者を誤認させることにはならないので,不当表示とはなりません。)という判例がある(http://q.hatena.ne.jp/1419248642)そうなので、まあこんなタイトルをつけてもいいのかもしれませんが…。

    で、まずライトノベルシリーズのタイトルを冠につけている「『狼と香辛料』で」について。

    本書は全6章、各章は4程度の節で構成されていますが、それぞれの章頭に「狼と香辛料」から原作文庫にして半ページ程度の引用があります。引用元は原作第1巻から5箇所、原作第3巻から1箇所。
    加えて、各節(5章6章には編集が間に合わなかったのか、イラストの無い節やイラストが2枚ある節もあります)には、理解を促す目的(多分…)で1ページのイラストが掲げられていますが、そのイラストの一部にデフォルメされた(頭身の低いいわゆる「ちびキャラ」です)ホロとロレンスがイラストの内容に関連した会話(一言程度です)をしています。
    その他に表紙にホロとロレンスのイラスト(これはちびキャラではありません。書き下ろしだと思います)が、そして前書きと本文中に2箇所、<『狼と香辛料』にも、たくさんの種類の貨幣が登場する。物語の舞台であるトレニー国では「トレニー銀貨」が価値も流通量も多いが、ほかにも新興国や教会権力者による貨幣発行が進み、何百種類もの貨幣が流通している。>という感じの言及があります。

    これら引用、ちびキャラ、表紙イラストそして言及がこの本の言う「『狼と香辛料』で」の全てです。
    これが十分なのか少なすぎるのか、一般的な基準はないのでしょうが、同じ出版社の同じブランド(KADOKAWA・中経出版)から刊行されている「『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』とやり直す中学英語」はほぼ全ページにメインキャラクターのイラスト(顔だけですが、デフォルメはされていません)が配され、キャラクターの口調で解説文が書かれ、英語の例文は全て『俺妹』に寄せてあります。
    この事例と比べると、タイトルに『狼と香辛料』を冠するには間違いなく『狼と香辛料』成分が少なすぎます。

    そしてもう一点、「面白いほどわかる」かどうかについて。
    この本を一読して「よくわからなかった」という感想を持つ人は少ないでしょう。ですが、それはこの本が優れているからではなく、扱われている「お金のしくみ」がたいへん基本的なものだからです。どれくらい基本的かというと、中学校レベル。
    自分の手元には残念ながら現物の教科書はありませんが、WikiBooksで中学公民を参照すると、もしかして教科書のほうが詳細でわかりやすいのではないかと感じます。
    本書の内容を見ると、対象となる読者が絞りきれていないようであること、せっかくのイラストが本文の内容に即していなかったり、意味不明であったりすることなど、仮に「中学校公民をきちんと勉強しなおしてみたい」と思っている読者を想定したとしても、基本的な事柄を「面白いほどわかる」ように説明できているかどうかについても疑問視せざるを得ません。

    そもそもが「狼と香辛料」自体が中世の経済に触れているとは言え、ラノベのスパイスに用いられている程度であって、現代の経済金融の仕組みを説明するのに利用できるほど詳細に書かれているわけではなく、それを冠に「お金のしくみ」を解説しようという企画自体が失敗だったのではないでしょうか。
    似たようなコンセプトでよくできた本が同じ出版社・ブランドから出版されている中、このような本のせいで玉石混交の印象を持たれるのは残念なことだと思います。

    唯一の救いとしては、経済書のコーナーに、立ち読みで内容を確認できる状態で陳列されていたことでしょうか。
    ですから、もし購入を考えているのであれば、書店で内容を確認して、納得した上で購入することをお勧めします。

    以下、参考までに各章のタイトルを並べておきます。

    第1章 おカネと信用
    第2章 商品とおカネの関係
    第3章 景気とグローバリゼーション
    第4章 為替
    第5章 会社とおカネ
    第6章 投資

  • お金と経済の仕組みを簡潔に整理された本で、知識のおさらいだけでなく今起きていることも併せて説明されてるのでよかった。

  • 通勤中にさっくりと読みたくて、デジタル書籍で購入。
    分かりやすく、もっと続編でもあれば読みたい内容だった。
    狼と香辛料もまた読みたくなった。

  • 大好きなラノベである、【狼と香辛料】の関連本として手に取ったのですが、これが意外とタメになり、勉強になるモノでした。

    詳しくは、http://ameblo.jp/rurubu-toko/entry-11994284182.htmlにて。

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著者プロフィール

早稲田大学理工学部工業経営学科卒、 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
第一生命保険に入社後、 日本経済研究センターに出向。 現在、第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 内閣府経済財政諮問会議有識者、 総務省消費統計研究会委員、 景気循環学会常務理事、 跡見学園女子大学非常勤講師。 2015年に景気循環学会中原奨励賞受賞。 著書は『給料が上がらないのは、円安のせいですか?通貨で読み解く経済の仕組み』(PHP研究所)、『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)ほか多数。 趣味は車と体を鍛えること。 一男(大4)一女(大1)の父(書籍発売時)

「2023年 『エコノミストの父が、子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話 増補・改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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