シンガポール謎解き散歩 (中経の文庫)

  • KADOKAWA/中経出版
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本棚登録 : 68
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046003577

感想・レビュー・書評

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  •  シンガポールの「観光・施設」、「歴史」、「政治・経済」、「生活・文化」、「国土・自然」について、カラー写真と読みやすい解説でまとめた本。
     個人的には「コロナ自粛で海外にも行けなくなった今こそ読みたい、旅行熱&移動熱を高める本シリーズ」の中の1つとなってしまった。数年前?に1度シンガポールに行ったことがあったので、何となく雰囲気を思い出しながら読むことができた。写真も豊富で観光地として訪れることのできる場所の紹介も多いので、シンガポール旅行の前後に読むのにちょうど良いと思う。分量もそんなに多くない。
     あとは気になったところのメモ。シンガポールは移民社会で人口の75%を「華人」が占めるが、「日本では東南アジアの中国系住民をいまだに『華僑』と呼ぶが、華僑とは中国の国籍を保持して他の国に長期にわたって居住する者のこと。居住国の国籍を取得した中国系移民のことは『華人』と呼ぶ。現在の東南アジアの中国系住民はほとんどが華人である」(p.38)ということで、華僑と華人は違うということを知った。次にシングリッシュについて。面白かったのは「シングリッシュを『標準英語』に直す練習問題」(p.65)という教材の中身が載っていて、"You believe him meh?"→"Do you believe him?"とか、"My homework not yet do."→"I have not done my homework."とか、載っている。"He confirm won't come tomorrow."とか、"This one you can do or not do?"とか、シングリッシュが魅力的。あと、今はバーレストランやクラブがある複合施設としての「チャイムス」は、昔は修道院で、赤ちゃんが捨てられるところでもあったということだそうだ。「捨てられた子どもたちの多くは華人で、大半は女の子だった」(p.110)らしく、「女子でも特に寅年に生まれた女の子は家庭に不幸をもたらすと信じられ、寅年には多くの女の子との赤ちゃんが捨てられた」(同)というのは、衝撃だった。そして有名な「ラッフルズ・ホテル」の「ロング・バー」というバーは、「法律が厳しいシンガポールで唯一、『ポイ捨て』が認められている場所」(p.121)ということで、「おつまみのピーナツが籠に山積みされており、客は食べたピーナツの皮を床に捨ててもいい」(同)らしい。バーという場所に興味はあるし、籠山積みのピーナツというのも面白いと言えば面白いと思って興味は持ったけど、たぶんこんな高級そうなところ入らないだろうなあ、と思う。あとはシンガポールの街中にあるアート作品について。こういうアート作品を見て回るのも、街歩きの楽しみの1つ。でもやっぱりガイドブックなりで説明があった方が観光している感があって、おれはいいと思うので、pp.129-32にまとめてあるのは良いと思った。中でも住宅街の小さな公園の中にある彫像「ダンシング・ガール」という像は、マーライオンのオリジナルの像の制作者であるリム・ナンセンの作品(p.132)ということだそうだ。こんなのは言われなければ分からないし、今度訪れた時には是非立ち寄って見てみたい。次にがポールの政治について。2014年、「選挙で選ばれた87人のうち与党である人民行動党議員は80人で、野党は7人しかいない。」(p.191)らしい。『マスメディアが政府の監視下にあり、選挙制度も与党有利に作られている」(p.192)らしく、「野党議員が少ないため、シンガポール
    国会での議論は政策論議ではなく、どのように誠意負の策を国民に伝えるかという話し合いがほとんど。」(同)らしく、そんな国会があるのかと思った。もはや何のための野党なんだろう?と思う。そしてそんなシンガポールで、「唯一、ホンリム公園で許されている行為」(p.208)が、政治集会やデモということだそうだ。
     という感じで、上には挙げてないが日本占領の話とか、マレーシアとの水問題の話、ナイトサファリなど、有名な話題も含めて(おそらく)一通りシンガポールについて網羅されている文庫本だと思う。色んな国で、こういう趣旨で、文庫本になったシリーズがあればいいなあと思った。(20/07)

  • 歴史、地理から、文化、食べ物、観光まで、シンガポールの様々な事柄を深堀して教えてくれる1冊。シンガポールに住んで半年の今、ちょうど良いタイミングで読めた感じ。

  • 知りたいことがわかやすくまとめられていた。シンガポールに行く前に読んでおけば良かった。

  • 昭南島時代のことは割りとフェアな記述になっていてまとも。歴史を感じて外国旅行するのは興味深い。

  • シンガポール居住者向け。
    シンガポールは小さい国ではあるが、もちろんそこには様々な歴史や文化がある。『住むのであれば』一度目を通してみる価値がある。
    『旅行で行くのであれば』、基本的には不要かと思う。

  • カラー写真を多用して見た目がきれい。シンガポールにまつわる雑学といった内容なので、その土地が未知の人よりは、滞在した事のある人の方が、より楽しめそう。

  • <目次>
    序章   シンガポールってどんな国?
    第1章   観光・施設編
    第2章   歴史編
    第3章   政治・経済編
    第4章   生活・文化編
    第5章   国土・自然編

    <内容>
    わが高が修学旅行で訪れる国、シンガポール。生徒に調べさせることはあっても、手頃な本もないし、教員側が調べることはなかったが、手頃な本が出ました。しかも内容が充実。現段階ですが、政治・経済面や観光面を含めてよくまとまっています。惜しくは地図がもう少し多く載せてほしかった。「××ストリート」がよくわからない…。

  • 普通のガイドよりかは面白いけど、住人向けですね。観光客向けではない。
    いくつか、行ってみたいところが出来たので買った価値はありました。

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著者プロフィール

北九州市立大学法学部教授(国際関係論、東南アジア地域研究)。九州大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。
主要業績:『多民族国家シンガポールの政治と言語――「消滅」した南洋大学の25年』(明石書店、2013年)、『マラッカ海峡――シンガポール、インドネシア、マレーシアの海峡を行く』(編著、北海道大学出版会、2018年)、『東南アジアと「LGBT」の政治』(共編著、明石書店、2021年)、『20世紀の東アジア史Ⅲ――各国史2(東南アジア)』(共著、東京大学出版会、2020年)

「2022年 『変容するアジアの家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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