- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046016263
作品紹介・あらすじ
祖父・京助、父・春彦と連綿と続く日本語研究の大家・金田一秀穂。日常生活でよく耳にする言葉に「へえ」と感心したり、腹を立てたり。やさしい文章を読むうちに、生き物として日本語が感じられます。
感想・レビュー・書評
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正しく、美しい日本語を使いたい。
そんなものがあるのなら。
だけど、美しい日本語って?
正しいと思ってる日本語って本当に正しい?
言葉は生き物のように変化していく。
だから、したり顔で間違いを指摘したところで、
後にその言葉が普通に使われたり、過去の例を遡ればおかしくないことだってある。
言語学者の金田一秀穂さんがコラムとして
書いた、いくつかの日本語。
雰囲気はゆるいけど、
読めば流石に言語学者、言葉への向き合い方と知識量が半端じゃない。
この人の言葉への寛容さにとても好感が持てる。
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ゆるくて、さらっと読めて、気持ちが軽くなる、手製のジンジャーエールを飲んだ時のような読後感。
努力は最も忌避する行為で、世の中はほとんど運だという話が印象的だった。
また、子どもの本の監修の話も興味深く読んだ。頭が上がらないとかあわせる顔がないとか、例文が不自然で、子どもの時期には使わない、使えない、大人になったら使える言葉がある、と。娘が小さかった頃、まずいというのは失礼だから、口に合わないと言うように教えた時のことを思い出した。小さな女の子が「お口に合わない」というのはかえって失礼、というくらい違和感があり、このことだったんだな、と。
こういうのも時々読みたいな、と思える一冊。 -
エッセイとしても、日本語学の入門書としても面白い。
作者の人柄が出ていて、力が抜けた本なので読みやすかった。
私も大学時代、国文学を専攻していたが、当時の先生方を思い出した。未熟な私たち学生を面白がりながら、気さくに話しながら、導いてくださる方ばかりだった。
特に国語学の研究者は、言葉は生き物だからと、若者言葉に眉をひそめるのではなく、用例採集の対象として面白がっている方が多かった。
本書のなかでも、その様子が描かれているが、目に入ったものを面白がるほうが、よっぽど人生は楽しいと思う。
また、努力には意味がないという話にはとても共感した。楽しいものや好きなものを仕事にできる人ばかりではないが、楽しむことが大事だな。 -
「日本語」について、読みやすかった
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ドヤ顔 したり顔
東京ドーム〇個分 4.5万平方メートル
売り切れ中 ~中であれば動作でなければならない 故障中→故障は状態であって動作的ではない
さわり 一番盛り上がる部分、サビ
日本語の文字文化 たいていの言語は音の重要性が高い 文字は話し言葉の記録化にすぎない
日本 にほん にっぽん 音についてはいい加減
多目的トイレ シルバーシート 特別な名前がある→配慮が特別 社会の貧しさの現れ
全然いい 否定形とつながるのではない→すっかり、残らずの意 大正・昭和→否定形を伴う
死語 おしたじ(醤油)
読書感想文を書けない本 時刻表、地図、人名辞典、図鑑…
列車で「禁煙にご協力を」→何もしないことを期待 「テロリスト撲滅にご協力ください」「爆弾除去にご協力ください」→何か行動が必要か? -
[正しい日本語ってなんだろう?
祖父・京助、父・春彦と連綿と続く日本語研究の大家・金田一秀穂。日常生活でよく耳にする言葉に「へえ」と感心したり、腹を立てたり。やさしい文章を読むうちに、生き物として日本語が感じられます。」
目次
第1章 新しい言葉・用法を分析する(やばいっす;ドヤ顔 ほか)
第2章 懐かしい言葉・言い回しに思いをはせる(おしたじ;上等 ほか)
第3章 熟語についてあらためて考える(寛容;億劫 ほか)
第4章 会話の言葉に耳を傾ける(頭が上がらない;先取りのお礼 ほか)
著者等紹介
金田一秀穂[キンダイチヒデホ]
1953年、国語学者金田一春彦の次男として東京で生まれる。祖父は京助。東京外国語大学大学院修了。中国大連外語学院、米イェール大学・コロンビア大学などで教鞭を執る。現在は杏林大学外国語学部教授。専門は国語学、日本語教育など -
「○○ッス」が敬語っていうのがなるほどーって感じ。
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面白かった。「っす」が敬語というのも納得。
おしたじ=醤油
おこうこ=漬物
なおらい(直会)=神事が終わったあと、皆で飲み食いする宴会
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この先生の感性面白すぎる。真面目な話をしてるのに笑いが込み上げる。どの話題もマスクの下でニヤニヤ。もちろん蘊蓄も。
特別な名前があるということは、そういう配慮が必要であり、特に名前のないものは、特に配慮されないということを意味してしまう。社会の貧しさの表れ。
怒ると叱るは似て非なるもの。怒るは相手が落ち込むのを成功とし、叱るは相手がそれによって前進するを成功とする。 -
金田一秀穂氏のエッセイ。
雑誌に連載されていたものが本になったということもあり
1つ1つのコラムが短く、軽く読める。
気軽に読めるのはいいとして、せっかく金田一さんが書かれたのであれば、もう少し何かもっと知りたいなあ〜と、いささk消化不良になってしまうのだが・・・これも言葉の面白さといったところだろうか。