お金の流れでわかる日米関係 元国税調査官が「抜き差しならない関係」にガサ入れ

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046020109

作品紹介・あらすじ

元国税調査官が「お金の流れから読み解く」シリーズ、待望の最新刊!

トランプ大統領就任で、アメリカと日本の関係はどう変わる?
そもそも、日米はどんな関係を経て、今に至っているのか。

複雑な「関係」を理解するには、「お金」という計量可能な視点から
考えると一番わかりやすい。
元国税調査官が、
「お金の流れ」から「日本とアメリカ」の本当の関係をあぶりだす。

感想・レビュー・書評

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  • 日米の近代史を「お金の流れ」の観点から解説した大村氏の最新本です。彼が書いてくれるこのシリーズは大変面白いですね。アメリカは建国から今もずっと戦争をしている国ですが、それは明確な戦略があって行っていることが、この本を読むことでよくわかりました。

    その行為が良い悪いと私は判断する段階にはありませんが、歴史上の事件が「お金」に絡んで起きているという観点から見てみると、また違った味わい方ができると思いました。歴史は事件そのものを追いかけていくのも楽しいですが、それ以外の見方をしてみると、近代史もやはり私達と同じ、人間によって作られたのだなと実感することができます。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカの景気がいい、とは金融用語におけるもので、アメリカ経済が良好である、という意味とは同一ではない。株価や失業率の数値は良いが、経済全体は非常に悪い。財政赤字・経常収支ともに赤字(1992年以来)で対外債務が多い(p17、18)アメリカの現在の株高は、FRBによるQE(金融緩和)が最大の要因である(p20)

    ・アメリカの対日貿易赤字が最も大きかったのは1987年の570億ドル、2015年は686億ドル、現在騒がれないのは、中国がもっと大きな存在だから(p25)

    ・アメリカは、第一次世界大戦までは、鉄道建設でイギリスから巨額の投資を受け入れていたので世界一の債務国であったが、戦後には一気に世界一の債権国となった。連合国側(イギリス、フランス、イタリア)はアメリカに借金の減額を頼んだが、アメリカはびた一文負けなかった(p31、32)

    ・アメリカではインフレが起きることを警戒して、金が増えているにも関わらず、通貨量を増やさなかった、つまりFRBの金準備に含めないようにした(p34)

    ・第二次世界大戦後、イギリスはアメリカに対して38億ドル、フランスは10億ドルの融資を求めた、見返りに、イギリスとフランスのブロック経済の解体を求めた(p37、39)

    ・アメリカはマーシャルプランで、1948-51年まで、年間予算の20%以上である、102億ドル以上(90億ドルが返済不要)の援助をした。西欧諸国は外貨が不足していて、彼らが輸入できなくなり、米国も輸出ができなくなり困るので。西欧諸国はマーシャルプランを受け入れるためにOEEC(後にOECDに発展)を作り自由貿易を進めた(p39、40)

    ・1971年、アメリカはそれ以上の貿易赤字を出さないように、輸入品に対して課徴金を課した。それまでアメリカが推進してきた自由貿易とは正反対の行動であった。それでも金の流出が止まらないので、ついに、金ドル交換停止を発表した(p47)

    ・ドイツも日本も第二次世界大戦において都市はがれきの山となったが、産業への被害はさほど大きくなかった、日本の製鉄能力はほとんど低下していない(p54)

    ・ペリー来航時、日本では金:銀は1:5であったが、欧米では1:15であった、金がより高い価値を持っていた。現在は、1:60以上、当時の中国には欧米の金融機関が進出していて、日本の金を欧米の相場で買い取ってくれた(p59)

    ・幕府は貨幣の改鋳(貨幣を回収して鋳つぶし、含有率を変更)して、ようやく金の流出を防いだ、その時には百万両の金が流出していた(p60)

    ・サンフランシスコ講和条約により、日本が戦勝終結前に持っていた対外資産はすべて没収して補償に充てられた、これは当時の金額で3800億円で、国家予算16年分。昭和28年の米軍駐留批評は47億ドル(5100億円で、年間の国家予算の半分程度)(p80、81)

    ・当初GHQは日本の重工業の生産能力を国内需要に応じる範囲に抑えようとした、その基準値は昭和5年レベルの3分の1、重工業の生産設備(1100万トン中の900万トン)を東南アジア諸国に移設する予定であった(p87)

    ・朝鮮戦争は、アメリカがそれまで規制していた日本の各産業を一斉に解禁した、アメリカは軍需物質を日本で調達する必要が生じたため(p89)

    ・アメリカは沖縄返還の交換条件のような形で、繊維製品の輸出を控える、という約束をさせた(p93)

    ・フォードは大正14年(1925)には日本フォード社を作り、日本での製造販売をしていた。昭和2年(1927)には、GMも組立販売を開始し、この2社で日本市場は占められた(p111)

    ・昭和11年(1936)に、自動車製造事業法が成立し、国内の自動車会社しか日本で製造販売できないとした。フォードとGMは先行きに不安を覚えて撤退、その工場を日本は買い取った。業法で認可を受けたのは、トヨタ自動車・日産自動車・ディーゼル自動車(いすず)であった(p113、114)

    ・日米構造会議でアメリカが日本に求めた主なものは、1)政府による大規模投資(現在の巨額赤字国債の原因)、2)大店法など流通制度を見直す、3)土地政策を改善(p135、143)

    ・日本も三菱地所がロックフェラーセンターを買収した1989年の日本の投資は670億ドルで、イギリス(1000億ドル)よりも少なかった、イギリスを抜いたのは1992年のみ(p138)

    ・生命保険、損害保険以外の分野である、第三分野(損害保険、がん保険)は、日本の保険会社は参入できないという日米申し合わせがあった(p170)

    ・NAFTAにより、メキシコの独り勝ちとなった、このNAFTAでの失敗が、アメリカをTPPから離脱させた最大の理由と言える(p204)

    ・貿易黒字とは、聞こえが良いが、自国の富が持ち出されることで、その代価として外国通貨がたまっていくこと。これは自国を豊かにするのではなく、自国の物価を押し上げるという悪影響を持つ(p213)

    2017年6月11日作成

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著者プロフィール

国税局で10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後、経営コンサルタント、ライターとなり、活躍中。『あらゆる領収書は経費で落とせる』(中興新書クラレ)等著書多数。

「2018年 『税金を払わずに生きてゆく「逃税術」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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