自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質

著者 : 折木良一
  • KADOKAWA (2017年12月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046020185

作品紹介

なぜ私は東日本大震災のとき、福島第一原発に対してヘリ放水を「決心」したのか――。当時、自衛隊トップの役職である統合幕僚長を務め、映画『シン・ゴジラ』の統幕長のモデルともされる伝説の自衛官が、自らの経験を振り返りながらいま、戦略を語る理由は何か。

世界がますます不安定化するなかで、変化に機敏に対応するためには、これまでのPDCAに基づく戦略だけではなく、自衛隊が最も大切にする「IDA」サイクルを理解し、さらには経営戦略の源流である軍事戦略を知る必要がある、と折木氏はいう。

その他にも本書では、日本のアカデミズムが取り上げない「戦史研究」の意義、危機の現場で人と組織を動かすための極意、地政学を超える「地経学」の重要性から、戦略の成功確率を上げるための「戦力回復」の真髄までが、一気に語られる。


ビジネススクールでは絶対に教えられない、しかしビジネスパーソンがいまどうしても知らなければならない、明日を生き抜くための「戦略の本質」。


内容例:「戦史研究」こそ戦略論のケースメソッドである/「キューバ危機」は意思決定の最高の研究素材/ノルマンディー上陸作戦が教える「シナジーのつくり方」/「戦略目標の統一」の大切さをミッドウェー海戦に学ぶ/「出口戦略」を含めた全体構想がなかった日本/戦略立案で決定的に重要な「情報」と「作戦」のバランス/なぜ私は原発に対してヘリコプター放水を命じたか/「PDCA」とは似て異なる、自衛隊の「IDA」サイクル/中間管理職は「抵抗勢力」化させずに躍らせよ/日本企業の「地政学的リスク」への意識は突出して低い/「主権国家」ではなく「サプライチェーン」がつくる新秩序/ウィラード司令官との協議で痛感した日米の違い/日本人は「ハイコンテクスト文化」のなかに生きる民族/睡眠時間の長短はパフォーマンスに大きく影響する/「休む」と同じくらい重要なのは「身体を鍛える」/「少しストレッチしないとできない任務」がなぜ大切か

自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質の感想・レビュー・書評

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  • 経済学で学べない戦略の本質とは?に惹かれて読んでみた。この中で特に記憶に残ったのが、休むことの重要性。確かに徹夜を続けた中での決定と十分に休養を取った中での判断では、どちらが良いかは明白。休むを3日とるという考え方にも説得力があった。

  • もう少し生々しい体験に裏打ちされた戦略論あるいは戦略遂行のためのリーダーシップ論を期待しましたが、半分くらいは読書ガイドのような内容でやや拍子抜け。きっと折木良一さんの話を膨らませて書籍の形にしたゴーストライターの方の力量不足であろうと思いますが、そのようなちょっと残念な本。

  • タイトルに書いてある通り、自衛隊の元幹部が書いた、戦略の本質を書いた本です。
    この本に書かれている意思決定については、ビジネスの戦略も自衛隊の戦略も似たようなものと感じましたが、「戦略目標の統一」というものについては、なかなか考えさせられました。

    ミッドウェー海戦の目的は、ミッドウェー島を攻略することで米空母を誘い出し撃滅することで、ミッドウェー攻略自体は陽動作戦でした。しかし作戦指令では「ミッドウェー島攻略」と「米空母の撃滅」の2つの戦略目的が同時に並んだものとなってしまい、後はご存知の通り、米空母機動部隊を発見したとき、航空攻撃帯が対陸上用爆弾を兵装していたため、対艦用魚雷に換装する判断に迷いが生じ、ほぼ無防備の状態で米軍の攻撃を受けてしまいます。
    この時の米海軍の目的は非常にシンプルで「自軍空房を保全しつつ、敵空母の艦隊に打撃を与える。ミッドウェー基地の一時的喪失は構わない」という者で優先順位まで指示しています。

    そのほかにも戦力の出し惜しみ、情報集の軽視などもありますが、とにかく目的の明確化が重要なことを教えてくれます。
    現在の自衛隊には「情報担当」と呼ばれるスタッフが存在します。情報担当が指揮官に上げる情報というのは、「指揮官が何かを判断するため」という目的をもった情報です。つまり明確な目的、目標があるからこそ、目的を持った情報を提供できるのです。
    情報を収集した上で戦略・作戦の決断をし、実行に移すこのサイクルをビジネスでのPDCAのように、情報(Information)、決心(Decision)、実行(Action)のIDAサイクルと呼んでます。

    また自衛隊とは関係ないのですが、日本人の「他者依存性」についても言及しています。「人類みな兄弟」というフレーズは、自分たちにしか通用しない尺度に「他人も合わせてくれるはずだ」という甘えも存在していると著者は感じています。日本の政治家がワシントンを訪れると「日本はこんな脅威にさらされています」などという質問ばかりで、アメリカの国益を無視して、一方的に自国の国益を求める「甘えの構図」が見られるそうです。このようにハイコンテクスト文化(日本)とローコンテクスト文化(米国)の違いを説明しています。

    その流れで、会田雄次氏が説いている「背後主義」(クマが襲って来た時、欧米の親は、相手に対して仁王立ちになるのに対して、日本の親は相手に背を向けて防御姿勢をとる)についても説明しています。欧米人は「危機」を自らの認識不足や準備不足によって発生するものと捉え、そこから得られた教訓をのちの「危機」に生かそうと考えます。一方で日本人は、それを運命論で処理し、諦念や忘却によって乗り越えようとする。欧米においては、平和や家庭は積極的に「つくるもの」「建設するもの」に対し、にほんでは、それすらもが「守るべきもの」になってしまう、と説いています。
    これらの違いを欧米の一部の企業は認識しており、企業戦略を構築するときに文化人類学者の知見を取り入れているそうです。中東やアフリカなど、文化が全く異なる市場を開拓するなら、自らの「集合的無意識」(ハイコンテクスト)を相対化し、現地の人々が本当に必要とするものを理解しなければなりません。

    そして最後に「休む」ことの重要性を説明しています。大震災の災害派遣のように、ご遺体の収容・搬送を伴う作業を長期間経験する現場では、「戦力回復センター」など、疲労、ストレスを取りリラックスするための休息が重要だと説明し、ビジネスの戦略ではその「戦力回復」が最も欠けているのではないかと説いています。

    このようにビジネスの視点とは異なる戦略術を説いていますが、ビジネスに役立ちそうです。

  • 自衛官ならではの記述から示唆が多い。欲を言えばもう少しその部分の記載が多ければなお良い。

  • 久しぶりに戦略系の本を読みましたが。
    なかなか勉強になった内容です。
    戦史からみえてくる、戦略というか
    戦略を落としていく・実行していくための
    戦術。
    どのように相手を・課題を知るのか。情報をとって
    整理する担当『情報担当』と『作戦担当』の
    双璧の配置。
    作戦の目的をシンプルに統一した一つの目的として
    周知徹底すること。
    戦略回復という戦略・戦術の大事さ
    この3つはなかなか発見というか、再度認識できたと
    思いました。

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