- KADOKAWA (2018年5月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784046023919
作品紹介・あらすじ
★売れています! 7万部突破!!
★NHK「おはよう日本」で紹介されました(11/22放送)
★「使える哲学本」として、ビジネスパーソンから圧倒的支持!
「役に立たない学問の代表」とされがちな哲学は、ビジネスパーソンの強力な武器になる。現役で活躍する経営コンサルだから書けた、「哲学の使い方」がわかる1冊。
【本書で紹介するキーコンセプト】
●第1章 「人」に関するキーコンセプト 「なぜ、この人はこんなことをするのか」を考えるために
・ロゴス・エトス・パトス――論理だけでは人は動かない(アリストテレス)
・悪の陳腐さ――悪事は、思考停止した「凡人」によってなされる(ハンナ・アーレント) ほか
●第2章 「組織」に関するキーコンセプト 「なぜ、この組織は変われないのか」を考えるために
・悪魔の代弁者――あえて「難癖を付ける人」の重要性(ジョン・スチュアート・ミル)
・解凍=混乱=再凍結――変革は、「慣れ親しんだ過去を終わらせる」ことで始まる(クルト・レヴィン) ほか
●第3章 「社会」に関するキーコンセプト 「いま、なにが起きているのか」を理解するために
・アノミー――「働き方改革」の先にある恐ろしい未来(エミール・デュルケーム)
・パラノとスキゾ――「どうもヤバそうだ」と思ったらさっさと逃げろ(ジル・ドゥルーズ) ほか
●第4章 「思考」に関するキーコンセプト よくある「思考の落とし穴」に落ちないために
・シニフィアンとシニフィエ――言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する(フェルディナンド・ソシュール)
・反証可能性――「科学的である」=「正しい」ではない(カール・ポパー) ほか
みんなの感想まとめ
人生を生き抜くための哲学が、身近で実用的に感じられる一冊です。難解な哲学は多くの人にとって遠い存在ですが、この本では具体的な考え方をわかりやすく解説しており、日常生活に役立つ示唆を提供してくれます。5...
感想・レビュー・書評
-
武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
忙しい日々のなかで、哲学なんて遠い世界と思っていたけど、この本はその壁を静かに崩してくれた。哲学がビジネスや子育ての中での判断や共感を深める「武器」になることに気づく。ニーチェやアーレントなど哲学者の思考が、感情の奥底に光を当て、日常の中でふと刺さる瞬間がある。自己の内面の複雑さに真摯に向き合う手助けになる一冊だと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あの人はなんてポンコツな仕事をしているんだと思うことないですか?
もしくは、何で自分はこんなポンコツな仕事しかできないんだと思うことはないですか?
この本には、ポンコツぶりを発揮している理由とか、解決方法とかが書いてありました。
この本を読むことで、武器になる思考が手に入った感じがします。
・悪(アイヒマン)の陳腐さ ー悪事は、思考停止した「凡人」によってなされる ハンナ・アーレント
・自由からの逃走 ー自由とは、耐え難い孤独と痛烈な責任を伴うもの エーリッヒ・フロム
・カリスマ ー支配を正当化する三つの要素「歴史的正当性」「カリスマ性」「合法性」 マックス・ヴェーバー
・マタイ効果 ー「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」 ロバート・キング・マートン
・予定説 ー努力すれば報われる、などと神様は言っていない ジャン・カルヴァン
・悪魔の代弁者 ーあえて「難癖を付ける人」の重要性 ジョン・スチュアート・ミル
・コギト ー一度チャラにして「疑えないこと」から再スタートしてみよう ルネ・デカルト
・イデア ー理想に囚われて現実を軽視していないか? プラトン
↑特によかった項目
(デカルトは、私が数学好きなので、特別推し。
プラトンは、私がイデア論好きなので、特別推し。)
アイヒマンは、人間の本質ですかね。自分で考えるってしんどいですから。
カリスマは、人工的に作れるみたいなので、ちょっとカリスマになってみたいなぁと考えたのですが、きっとカリスマってしんどいに違いないので、やめときます。 -
電通、ボスコン、ATカーニー、コーンフェリーを経たトップコンサルタントの著作。
ビジネスと哲学は遠そうで近い、というか、「教養なきビジネスは危険だ」、という主旨のことが1頁目に書いてある通り、まだビジネスマン生活がそれなりに残っているうちに読めて良かったな、というのが正直な感想だ。
本社が取り上げている50のキーコンセプトのうち、初めて知った、もしくは、初めて正しく理解できたものは以下。
03 タブラ・ロサ ジョン・ロック
13 フロー ミハイ・チクセントミハイ
14 予告された報酬 エドワード・デシ
18 解凍=混乱=再凍結 クルト・レヴィン
24 反脆弱性 ナシーム・ニコラス・タレブ
30 アノミー エミール・デュルケーム
33 パラノとスキゾ ジル・ドゥルーズ
35 パノプティコン ミシェル・フーコー
43 シニフィアンとシニフィエ フェルディナンド・ソシュール
44 エポケー エドムント・フッサール
46 ブリコラージュ クロード・レヴィ=ストロース
50 ソマティック・マーカー アントニオ・ダマシオ
いずれも示唆に富む内容だったが敢えて順番を付けると、46のブリコラージュ 「何の役に立つのかよくわからないけど、なんかある気がする」 が最も印象深い。
アメリカのアポロ計画が、意図せずして結果的に生み出した偉大な貢献のひとつとして、ICU(集中治療室)を著者が挙げているのが、驚きだった。
-
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?…」の山口周氏の書
本当はこちらから読みたかったのだが…
飲茶氏の哲学本に触れ、生まれてはじめて哲学に興味を持った(恥)
とりあえず型にとらわれず哲学的な書に触れていきたくこちらを読むことに
本書の流れは
■各哲学者の思想
■歴史的事実や、実験などを踏まえ
■現代の我々はどう行動すべきか
と言う感じ
本編前に熱いメッセージがある
〜大切なのは「プロセスからの学び」
哲学者らがどのようにして考え、最終的な結論に至ったかという思考のプロセスが大切
結果や結論を手っ取り早く求めるのは哲学に挫折してしまう〜
頭でっかちにならずよく咀嚼しなくては!
多くの学びがあったが特に気になったものをピックアップ
09悪の陳腐
ハンナ・アーレント
ナチスによるユダヤ人虐殺計画の主導的役割を果たしたアドルフ・アイヒマン
連行されるアイヒマンの風貌があまりに小柄で気の弱そうな「普通の人」であったことは有名だが…
アーレントは
「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」と警鐘を鳴らす
自分で考えることを放棄してしまった人は誰でもアイヒマンになる得る
〜これってイジメも然りだ
周りに何となく流されて同じように無意識にイジメという行動を起こしてしまう…
見て見ぬふりをするのも同罪だ
人間の怠惰さが生む「悪」である
29自然淘汰
チャールズ・ダーウィン
ここで興味深かった広島大学研究グループによるアリの研究
アリ塚では1匹が巣の外でエサを見つけると、フェロモンを出しながら巣まで帰って仲間の助けを呼び、他のアリは地面につけられたフェロモンをトレースすることでエサまでのルートを知り、巣まで手分けして運搬する
実験
エサを見つけフェロモンを出すアリをAとする
アリAのフェロモンを間違いなく追尾できるマジメアリと一定の確率で間違えてしまうマヌケアリの混合率の違いによるエサの持ち帰り効率を調査
優秀なマジメアリだけのコロニーより、マヌケアリがある程度存在する場合の方がエサの持ち帰り率は中長期的に高まるらしい
つまりマヌケアリが適当に寄り道したり間違えたりする(エラーをおこす)ことで、思わぬ形で最短ルートが発見されたりする
自然界のそこかしらに見られる「偶発的だエラーによって進化が駆動される」
エラーはネガティブなことばかりではない
【備忘録】
※親切心のかけらもない個人的な備忘録です
・哲学のプロセスと合わせ時代背景を知る
・「自由」のしんどさ、責任の重さ
・悪魔の代弁者(反論する人間)の必要性
・人脈は狭く深く
・分かり合えない人こそが学びや気づきを与えてくれる
・「わかる」ためには「今はわからない」ものに触れる必要がある
・「わかる」ということは「変わる」ということ 腹に落ちるほどの深い理解が大切
・人間が作り出したシステムによって人間が振り回される(資本主義)
・「能力提供し、給料をもらう」ではない関係性を作ろう 斬新的だ!
・ヤバいと感じたら逃げて良い
・差別や格差は同質性が高いからこそ生まれる (公正の危険性)
・公正世界仮説→見えない努力もいずれ報われるの大嘘!世界は公正ではない 報われない努力は人生を破壊しかねないのだ
・直感に導かれることの大切さ(ブラコラージュ)
大変読みやすく上手にまとめられている
深掘りする前の取っ掛かり的読本という感じかな
表面的に読むだけでは明日になったら忘れるだろう
しかし哲学って結構人間の心理学が満載なのですなぁ
改めて哲学の大切さをしみじみ実感
システマチックになりがちなこのような時代こそ、自分に問うべき事柄が沢山ある
頭がかたくなっていく危険さをはらむ中、素の状態にリセットし自分を見直したいと感じる
知識ばかりの言葉で表面的にするりと通り抜ける感じじゃなく、ズドンと腹に落ち毛穴から染み込むような…
そんな理解が哲学には必要なんだなぁ
さて次はもう少し哲学を深掘りしていきたい -
【感想】
すごく単純な感想だが・・・本当に勉強になった。
色んな賢者の哲学に広く浅く触れる事ができ、この本1冊でも役に立つと思う。
昨今「リベラルアーツ」が重視されるこの世の中において、中々手出しをし辛い「哲学」というジャンルを学ぶのにはとっておきの1冊である。
「弁証法」「ルサンチマン」「マタイ効果」「VUCA」「無知の知」
などなど、普段よく耳にするがあんまり意味を理解していなかった言葉も、この1冊で充分に理解することができた。
個人的に気に入ったのは、アリストテレスの「ロゴス・エトス・パトス」とサルトルの「実在主義」、ソクラテスの「無知の知」。
知識を磨いて、判断力や人間力を磨いて、自分の人生を自分で創っていくように生きていこうと思った。
これから知識を武器にできるように、しっかりと磨いていきたいと思った今日この頃です。
【内容まとめ】
1.無教養なビジネスパーソンは「危険な存在」である。
世界のエリート達の教育には、哲学を中心ときたリベラルアーツがますます重視されるようになってきた。
無教養なビジネスパーソン、哲学を学ばずに社会的な地位を得た人は、文明にとっての「脅威」つまり「危険な存在」である。
2.弁証法
「真理に至るための方法論」
「対立する考えをぶつけ合わせ、闘争させることでアイデアを発展させる。」
命題(テーゼ)に対し、矛盾する反命題(アンチテーゼ)を提示する。
この二つの命題の矛盾を解決する統合された命題「ジンテーゼ」を提示する。
ジンテーゼは両者の矛盾を中立・両立・平定するカタチ。
3.アリストテレス「ロゴス・エトス・パトス」
→論理だけでは人は動かない。
→人の行動を本当の意味で変えさせようと思うのであれば、「説得よりは納得、納得よりは共感」が求められる。
「ロゴス」=ロジック、「エトス」=エシックス=倫理、「パトス」=パッション=情熱のこと。
4.16世紀に始まった宗教改革は、免罪符に対するマルティン・ルターによって口火を切られた。
ルターの教えはヨーロッパ全土へと広まっていき、やがて「プロテスタント」と呼ばれる大きな運動へとつながっていく。
プロテスタントとは、「意義を申し立てる」、つまりは「ケンカを売る」という意味。
この場合は当時思考が浸透していたローマ・カトリック教会が相手であった。
5.ジョン・ロック「タブラ・ラサ」
→経験と学習によっていくらでも学ぶことができるという主張。
ラテン語で「何も書かれていない石版」という意味。(「タブレット=板」の語源)
生まれつきなどない。経験次第で人はどのようにでもなる。
個人の素養はすべて生まれた後にどのような経験をするかによって決まる。
すなわち教育によって人間は出来上がる。
6.ニーチェ「ルサンチマン」
ルサンチマンとは、「弱い立場にあるものが、強者に対して抱く嫉妬・怨恨・憎悪・劣等感などのおり混ざった感情」を指す。
要するに、「やっかみ」。
7.ドーパミン=快楽物質ではない。
ドーパミンは快楽を感じさせることよりも、何かを求めたり、欲したり、探させたりすることであることが分かっている。
食べ物や異性などの物質的要求だけでなく、抽象的な概念、つまり素晴らしいアイデアや新しい知見などが含まれる。
快楽に関与しているのはドーパミンよりオピオイドである。
「欲求系=ドーパミン」により特定の行動に駆り立てられ、「快楽系=オピオイド」が満足を感じさせて追求行動を提示する。
8.サルトルの実在主義「人間は自由の刑に処されている」
私たちは「人生そのもの」を使ってある「企て」を実現しようとしているのであり、反対に私たちに起きることはすべてその「企て」の一部として受け入れなければならない。
あらゆる選択が可能であるのに対し、それをせずに受け入れた以上、それはあなた自身の問題である。
→要するに、自分の身に降りかかる出来事は、良い悪い抜きにして全部自分のせいなのであると受け入れる事がmust
9.アイヒマン実験
非人道的な営みにも、多くの人が葛藤や抵抗感を示しながらも実験を続けた。
「誰かに言われたから…」という責任転嫁が可能な状況だと、実に90%以上の人が実験を続ける。
しかし、命令する側にちょっとした反対意見など、良心・自制心を後押ししてくれるアシストさえあれば、みな実験を取りやめたという結果もある。
10アーレント「悪の陳腐さ」
→悪事は思考停止した「凡人」によってなされる。
悪とは、システムを無批判に受け入れることである。意図することなく受動的になることに「悪の本質」がある。
思考停止してはいけない。
多くの人は、現行のシステムがもたらす悪弊に思いを巡らすことなく、むしろそのシステムのルールを見抜いて「その中でうまくやること」をつい考えている。
「現行のシステムを所与のものとせず、システム自体をより良きものに変えていくことに思考も行動も集中させる」生き方に思いを巡らすべき。
11.マキャベリ「君主論」
→君主としてあるべき「振る舞い」「考え方」。
どんな手段や非道徳的な行為も、結果として国家の利益を増進させるのであればそれは許される。といった内容。
道徳<合理
「よりよい統治のためには、非道徳的な行為も仕方がない」という事で、憎しみを買って権力基盤を危うくしろというわけではない。
「不道徳たれ」ではなく、「冷徹な合理者であれ」ということ。
12.ロバート・キング・マートン「マタイ効果」
→「持っている人は与えられていよいよ豊かになるが、持っていない人たちは今持っているものまでも取り上げられるであろう」
学校の教育も、会社の指導も一緒。
私たちは「より費用対効果の高い人」に教育投資を傾斜配分してしまう傾向があり、その選別は初期のパフォーマンス結果によってなされる。
13.アダムスミス「神の見えざる手」
→「最適な解」よりも「満足できる解」を求めよ。
「神の見えざる手」とは、市場による調整機能のこと。
14.公正世界仮説「見えない努力もいずれは報われる」の大嘘。
「努力は報われる」と無邪気に主張する人たちがよく持ち出す根拠の一つに「一万時間の法則」がある。
「モーツァルトは努力していた」→「努力すればモーツァルトになれる」ではなく、
「努力なしではモーツァルトのような天才になれない」が、対偶の命題となる。
努力したからといって必ずしも成功するとは到底言い切れないのは火を見るより明らかなのである。
世界は公正ではない。
そのような世界にあって尚、公正な世界を目指して闘っていくというのが私たちに課せられた責務である。
「人目につかぬ努力もいずれは報われる」という考え方は人生の浪費につながりかねない。
より合理的な消費・リターンを自分で見出さなければならない。
15.ソクラテス「無知の知」
→学びは「もう知っているから」と思った瞬間に停滞する。
そもそも、「自分は知らないのだ」という認識を持てないと学習がスタートしない。
「自分はわかっている」と考える人は知的に怠惰になってしまう。
【引用】
p3
・無教養なビジネスパーソンは「危険な存在」である。
世界のエリート達の教育には、哲学を中心ときたリベラルアーツがますます重視されるようになってきた。
なぜ「役に立たない学門」とされがちな哲学を、これだけプライオリティの高い学門として学んでいるのか?
「無教養な専門家こそ、我々の文明にとって最大の脅威」。
哲学を学ばずに社会的な地位を得た人は、文明にとっての「脅威」、つまり「危険な存在」である。
p9
・弁証法
ある主張「A」があったとして、それに反対あるいは矛盾する主張「B」があり、それが両者を否定することなく統合する新しい主張「C」に進化するという思考のプロセスを指す言葉。
p46
・論考を二軸で整理する。
問いの種類「What」と「How」
①世界はどのように成り立っているのか?
=Whatの問い
②私たちはどのように生きるべきなのか?
=Howの問い
学びの種類「プロセス」と「アウトプット」
p58
・論理だけでは人は動かない。
アリストテレス「ロゴス・エトス・パトス」
人の行動を本当の意味で変えさせようと思うのであれば、「説得よりは納得、納得よりは共感」が求められる。
論理的思考に優れたコンサルタントが苦戦するのは、「論理によって人が動く」と誤解しているから。
・「ロゴス」
→ロジックのこと。論理だけでは人は動かないと指摘したものの、論理的に無茶苦茶な企てでは人の賛同は得ることができない。
「論理」は必要条件なだけで、十分条件ではないということ。
・「エトス」
→エシックス=倫理のこと。
いくら理にかなっていても、道徳的に正しいと思えることでないと人のエネルギーは引き出せない!
人は、道徳的に正しいと思えること、社会的に価値があると思えるものに自らの才能と時間を投入したいと考える。
・「パトス」
→パッション=情熱のこと。
過去の偉人たちが情熱を持って未来を語ったからこそ、世界は今あるように変わった。
・レトリック
→弁論術。人を酔わせ、動かす力。ヒトラーの演説などが良い例。
レトリックの危険性を知った上で、これを用いることができるかどうか。
p63?
ジャン・カルヴァン(1509~1564)
「予定説」
→努力すれば報われる、などと神様は言っていない
16世紀に始まった宗教改革は、免罪符に対するマルティン・ルターによって口火を切られた。
ルターの教えはドイツばかりかヨーロッパ全土へと広まっていき、やがて「プロテスタント」と呼ばれる大きな運動へとつながっていく。
プロテスタントとは、「意義を申し立てる」、つまりは「ケンカを売る」という意味。
この場合は当時思考が浸透していたローマ・カトリック教会が相手であった。
・予定説
「ある人が神の救済にあずかれるかどうかは、あらかじめ決定されており、この世で善行を積んだかどうかといったことは、まったく関係がない。」
仕事に置き換えると、「努力」をしたからとて「報酬」をもらえる人ともらえない人は予め決まっていると考えられる。
たしかに、「努力→結果→評価→報酬」というシンプルかつ合理的な考えが、うまく浸透していないものだ。
単純に努力するのではなく、予め決まっていると割り切った上で、施策を練ってみたほうがいいのでは?
p70?
ジョン・ロック(1632~1704)
「タブラ・ラサ」
ラテン語で「何も書かれていない石版」という意味。(「タブレット=板」の語源)
生まれつきなどない。経験次第で人はどのようにでもなる。
個人の素養はすべて生まれた後にどのような経験をするかによって決まる。
すなわち教育によって人間は出来上がる。
経験と学習によっていくらでも学ぶことができるという主張。
p73
フリードリッヒ・ニーチェ(1844~1900)
「ルサンチマン」
→あなたの「やっかみ」は私のビジネスチャンス
ルサンチマンとは、「弱い立場にあるものが、強者に対して抱く嫉妬・怨恨・憎悪・劣等感などのおり混ざった感情」を指す。
要するに、「やっかみ」である。
イソップ寓話の「酸っぱいブドウ」のような話。
ルサンチマンを抱えた個人は、その状況を改善するために次の二つの反応を示す。
1.ルサンチマンの原因となる価値基準に隷属、服従する。
2.ルサンチマンの原因となる価値判断を転倒させる。
・高級車、高級時計の市場で応用
「最新のもの」を常に市場に送り出すことで、「古いもの」を持っている人にルサンチマンを抱えさせる。
現代人は「平等性」について極めて繊細なセンサーを持っているため、ちょっとした差に対してもルサンチマンを抱えてしまう。
・ルサンチマンの転倒
「高級フレンチなんて行きたいと思わない、サイゼリアで十分だ」
単に「サイゼリアが好きだ」と言えばいいのに、それでは本人のルサンチマンが解消されないためにやっかんでしまう。
ルサンチマンに根ざしたものなのか、より崇高な問題意識に根ざしたものなのかを私たちは見極めなければならない。
フランシス・ベーコン
「富を軽蔑するように見える人々を余り信用しないほうがよい。富を得る望みのない人々が、それを軽蔑するからである。こういう人々が富を得るようになると、これほど始末に困る手合いはいない。」
p81
カール・グスタフ・ユング(1875~1961)
「ペルソナ」
→私たちは皆「仮面」を被って生きている。
ペルソナとは、一人の人間がどのような姿を外に向かって示すかということに関する、個人と社会的集合体とのあいだの一種の妥協である。
恐ろしいのは、自分自身が「自分らしくない」言動をとるようになっていても、そのことに当の本人が全く気づかないところ。
p87
エーリッヒ・フロム(1900~1980)
「自由からの逃走」
→自由とは、耐えがたい孤独と痛烈な責任を伴うもの。
多数の犠牲を伴って獲得した「自由」とやらは非常に高価な買い物であったが、その「自由」を手に入れた人々はそれで幸せになったのか?
・ナチスドイツで発生したファシズム
「自由の果実」を味わった現代人が、それを投げ捨て、ファシズムの全体主義に何故あれほど熱狂したのか?
自由のもたらす刺すような孤独と責任の重さに人々は疲れ果て、全体主義に傾斜することを選んだと、フロムは分析している。
人は自分より上のものに媚びへつらい、下の者に威張るような一種「権威主義的性格」で成り立っている。
その人たちに自由が与えられても、孤独と責任の重さが待っている。
自由というものが突きつけている重荷に対して、私たちはあまりにも訓練されていません。
p92?
バラス・スキナー(1904~1990)
「報酬」
→人は不確実なものにほどハマりやすい。
・人は何故SNSにハマるのか?
→それは、「予測不能だから」。
ネズミとエサの出る箱の実験
その行為による報酬が必ず与えられると分かっている時より、不確実に与えられる時の方がより効果的に強化される。
ギャンブル、カジノ、ソーシャルメディア
・ドーパミン
1958年にスウェーデンで発見された物資で、快楽物質であると考えられてきた。
しかし最近の研究では、ドーパミンの効果は快楽を感じさせることよりも、何かを求めたり、欲したり、探させたりすることであることが分かっている。
食べ物や異性などの物質的要求だけでなく、抽象的な概念、つまり素晴らしいアイデアや新しい知見などが含まれる。
快楽に関与しているのはドーパミンよりオピオイドであることがわかっている。
「欲求系=ドーパミン」により特定の行動に駆り立てられ、「快楽系=オピオイド」が満足を感じさせて追求行動を提示する。
より大きな快楽を得るために、追求行動に欲求を高く持つ!
p97
ジャン・ポール・サルトル(1905~1980)
「アンガージュマン」
→人生を「芸術作品」のように創造せよ。
・アンガージュマン=エンゲージメント
主体的に関わることにコミットする。
サルトルといえば「実在主義」。
実在主義とは要するに、「私はどのように生きるべきか」という「HOWの問い」を重視する立場だ。
・自分自身の行動
私たちの行動や選択は自由であり、したがって「何をするか」や「何をしないのか」という意思決定について自分で責任をとる必要があります。
・「人間は自由の刑に処されている」
私たちは「人生そのもの」を使ってある「企て」を実現しようとしているのであり、反対に私たちに起きることはすべてその「企て」の一部として受け入れなければならない。
あらゆる選択が可能であるのに対し、それをせずに受け入れた以上、それはあなた自身の問題である。
p101
ハンナ・アーレント(1906~1975)
・悪の陳腐さ
→悪事は思考停止した「凡人」によってなされる。
・悪とは、システムを無批判に受け入れることである。
意図することなく受動的になされることにこそ「悪の本質」があるのかもしれない。
・思考停止してはいけない。
多くの人は、現行のシステムがもたらす悪弊に思いを巡らすことなく、むしろそのシステムのルールを見抜いて「その中でうまくやること」をつい考えている。
「現行のシステムを所与のものとせず、システム自体をより良きものに変えていくことに思考も行動も集中させる」生き方に思いを巡らすべきではないか?
p106
エイブラハム・マズロー(1908?1970)
・自己実現的人間
→自己実現を成し遂げた人は、実は「人脈」が広くない。
マズローの欲求5段階説
1.生理の欲求
2.安全の欲求
3.社会欲求と愛の欲求
4.承認(尊重)の欲求
5.自己実現の欲求
私たちの「広く、薄い人間関係」もまた、逆に依存して足を引っ張ってしまっていないか?
p121
・アイヒマン実験
非人道的な営みにも、多くの人が葛藤や抵抗感を示しながらも実験を続けた。
「誰かに言われたから…」という責任転嫁が可能な状況だと、実に90%以上の人が実験を続ける。
しかし、命令する側にちょっとした反対意見など、良心・自制心を後押ししてくれるアシストさえあれば、みな実験を取りやめたという結果もある。
p144
・マキャベリズム
ニッコロ マキャベリが著書「君主論」の中で述べた、君主としてあるべき「振る舞い」「考え方」を表す用語。
どんな手段や非道徳的な行為も、結果として国家の利益を増進させるのであればそれは許される。といった内容。
・道徳<合理
道徳や人間性とやらを言っていられない乱世でこそ映える論理。
「よりよい統治のためには、非道徳的な行為も仕方がない」という事で、何も憎しみを買って権力基盤を危うくしろというわけではない。
「不道徳たれ」ではなく、「冷徹な合理者であれ」ということ。
p152
ジョン・スチュアート・ミル
「悪魔の代弁者」
その人の判断が本当に信頼できる場合、その人はどうやってそのようになれたのだろうか?
それは、自分の意見や行動に対する批判を、つねに虚心に受け止めてきたからである。
どんな反対意見にも耳を傾け、正しいと思われる部分はできるだけ受け入れ、誤っている部分についてはどこが誤りなのかを自分でも考え、できれば他の人にも説明することを習慣としてきたからである。
様々に異なる意見を全て聞き、ものの見え方をあらゆる観点から調べ尽くすという方法しかないと感じる。
p163
クルト・レヴィン
「解凍=混乱=再凍結」
変革は、慣れ親しんだ過去を終わらせることで始まる。
「解凍」とは、今までのやり方を終わらせる、ケリをつけるという意味。
「あの時代は良かったね」といつまでも過去を振り返り、とらわれ続けるようでは何にもならない。
いかに「切るか」が重要!!
p184
ロバート・キング・マートン
マタイ効果
「おおよそ持っている人は与えられていよいよ豊かになるが、持っていない人たちは今持っているものまでも取り上げられるであろう」
学校の教育も、会社の指導も一緒。
私たちは「より費用対効果の高い人」に教育投資を傾斜配分してしまう傾向があり、その選別は初期のパフォーマンス結果によってなされる。
p202
・反脆弱性
「外乱や圧力によって、かえってパフォーマンスが高まる性質」のこと。
反脆弱性は耐久力や頑健さを超越する。
耐久力のあるものは、衝撃に耐え現状をキープする。
それに対し、反脆弱性は衝撃を糧にしてしまう。
予測の難しい時代を生きるにあたり、「反脆弱性」という概念は非常に重要視される。
リスクをあらかじめ予測し、そのリスクに対応できるような「システム」を組めばいい。
なぜなら、「脆さは測れるが、リスクは測れないから」だ。
p228
アダムスミス(1723~1790)
・神の見えざる手
→「最適な解」よりも「満足できる解」を求めよ。
「神の見えざる手」とは、市場による調整機能のこと。
妥当性のない価格は、進化論でいう自然淘汰のプロセスによって排除され、やがて最も妥当と市場で認められた価格に落ち着きます。
最適な解をオプティマルなアプローチによっていたずらに求めようとせず、「満足できる解」をヒューリスティックによって求めるという柔軟性が必要なのでは?
p234
ダーウィン「自然淘汰」
1.生物の個体には、同じ種に属していても、様々な変異が見られる。(突然変異)
2.そのような変異の中には、親から子へ伝えられるものがある。(遺伝)
3.変異の中には、自身の生存や有利な差を与えるものがある。(自然選択)
p262
・パラノとスギゾ
パラノイア「偏執型」
スギゾフレニア「分裂型」
アイデンティティだなんだと一つのものに固執せず、ヤバそうだと思ったら「さっさと逃げる」こと!
重要なのは、「危ないと感じるアンテナの感度」と「逃げる決断をするための勇気」
誰もが羨む会社に所属している自分をアイデンティティの柱にしてしまいがちだが、その会社が「花形」でいられる期間はどんどん短くなっている。
「自分」というものを崩壊させずに分裂させておくことができるか?
まさに「パラノからスギゾへの転換」が求められる。
p274
・差異的消費
→自己実現は「他人との差異」という形で想定される。
何もお金持ち達がフェラーリを買うという選択のみではない。
「それを選んだ」ということと、「他を選ばなかった」ということで記号を生む。
逆に言えば、なんらかの記号を持たない、あるいはあってもそれが希薄な商品・サービスは市場において生き残りにくい。
p279
・公正世界仮説
→「見えない努力もいずれは報われる」の大嘘。
「努力は報われる」と無邪気に主張する人たちがよく持ち出す根拠の一つに「一万時間の法則」がある。
「モーツァルトは努力していた」
→「努力すればモーツァルトになれる」
ではなく、
「努力なしではモーツァルトのような天才になれない」
が、対偶の命題となる。
だから、努力したからといって必ずしも成功するとは到底言い切れないのは火を見るより明らかなのである。
世界は公正ではない。
そのような世界にあって尚、公正な世界を目指して闘っていくというのが私たちに課せられた責務である。
「人目につかぬ努力もいずれは報われる」という考え方は人生の浪費につながりかねない。
より合理的な消費・リターンを自分で見出さなければならない。
p288
・ソクラテス「無知の知」
→学びは「もう知っているから」と思った瞬間に停滞する。
そもそも、「自分は知らないのだ」という認識を持てないと学習がスタートしない。
「自分はわかっている」と考える人は知的に怠惰になってしまう。
p294
・プラトン「イデア」
→理想に囚われて現実を軽視していないか?
p298
「知は力なり」フランシス・ベーコン
イギリス経験論哲学の開祖。
演繹より帰納を重視する。
「正しい知識とはむしろ、常に実験や観察といった経験からスタートするべき。」
帰納…経験からもたらされる知識を重視し、結論を導き出す。
演繹…一般化された法則から個別の結論を推論する。
イドラ…ラテン語で「偶像」。思い込み。アイドルの語源でもある。
4つのイドラが誤解を招く。
1.種族のイドラ
→自然性質によるイドラ。わかりやすく言えば、「錯覚」。
2.洞窟のイドラ
→個人経験によるイドラ。自分の受けた教育や経験・常識など、狭い範囲の材料をもとに決め付けてしまう。
3.市場のイドラ
→伝聞によるイドラ。いわゆるミスコミュニケーション。噂など。
4.劇場のイドラ
→権威によるイドラ。高名な学者の主張など、権威や伝統を不批判で信じることで生じる偏見のこと。
自分の主張の根拠となる認識が、4つのイドラのどれかによって歪められていないか?
確認する必要がある。
p303
「我思う、ゆえに我あり」
ルネ・デカルト
p310
・弁証法
「真理に至るための方法論」
「対立する考えをぶつけ合わせ、闘争させることでアイデアを発展させる。」
命題(テーゼ)に対し、矛盾する反命題(アンチテーゼ)を提示する。
この二つの命題の矛盾を解決する統合された命題「ジンテーゼ」を提示する。
ジンテーゼは両者の矛盾を中立・両立・平定するカタチ。
p323
・VUCA
Volatility「不安定」
Uucertainty「不確実」
Complexity「複雑」
Ambiguity「曖昧」
単純でなく明確ではないものを明晰に把握する事は難しい。
ソクラテスの「無知の知」で触れたが、短兵急に「わかったつもり」になることは大きな誤謬の元になる。
・エポケー
私たちが持っている「客観的な世界像」はそもそと主観的なものでしかあり得ない。
ならばその世界像を確信するのではなく、また捨て去るのではなく、いわば中庸的に中途半端な経過措置として一旦「保留する」という姿勢。
p332
・ブリコラージュ「何の役に立つのかよく分からないけど、何がある気がする。」
エジソンの蓄音機、ライト兄弟の飛行機など、多くのイノベーションは「結果的にイノベーションになった」に過ぎず、当初想定されていた通りのインパクトを社会にもたらしたケースはむしろ少数派なのです。
その時点では何の役に立つのか分からないけど、「これはいつか何かの役に立つかもしれない」と考える予測能力は、コミュニティの存続に重要な影響を与える。
・ICUはアポロ計画がなければ実現できなかった?
ICUは患者の身体に生命の影響を及ぼすような変化が起こったら、すぐにそれを遠隔で医師や看護師に知らせる。
このシステムは、宇宙飛行士の生命や身体の状況を遠隔地からモニタリングして、何か重大な変化が起これば即座に対応する「アポロ計画」のような長期の宇宙飛行においての必要性から生じた技術。
世界を変えるような巨大なイノベーションの多くは、「何となくこれはすごい気がする」という直感(=ブリコラージュ)に導かれて実現しているのだ。
p338
・パラダイムの概念、定義
「一般に認められた科学的業績で、一時期のあいだ、専門家に対して問い方や考え方のモデルを与えるもの」
=常識、みたいな感じ。
p348
今ある世界は偶然このように出来上がっているわけではありません。
どこかで誰かが行なった意思決定の集積によって今の世界の風景は描かれているのです。
未来の世界の景色は、今この瞬間から未来までのあいだに行われる人々の営みによって決定される。
本当に考えなければいけないのは、「未来はどうなりますか?」ではなく、「未来をどうしたいか?」という問いであるべき。
未来というものは、予測だけではなくむしろそれをビジョンとしておもいえがべきものだ。 -
まえがきにもあるように、「実生活で役に立つか」を観点に書かれた、哲学者たちの考えの紹介。
筆者は人事コンサルタントなので、会社、ビジネスに置き換えた場合の記述が腑に落ちる。
多くの哲学者の考え抜かれた思考はさすがにビビッと、気づきが得られます。
こんな貴重な考え方知らないでおいたらもったいない。
と思える。
あと、意外と知らなかったこと(例えば「マズローの理論は実証されている訳ではない。」など)も小気味よく書いてあるので、読み進めるスピードが上がります。
一つ一つの章は短いが、本を読むとそれぞれの章がリンクしていて、現代の新しい考えがどのような変遷を経ているか、仏教、キリスト教の考え方の違いなど、思考が立体的に立ち上がってくる。
まえがきが異様に力が入っていて、挫折しそうになったので、本編を先にガシガシ読んでからまえがきに戻ることをお勧めします。 -
この本は、「哲学の使い方」がわかりやすく書かれた本です。
哲学というと「難しくてわからない(泣)」と言う人が多いですが、現実社会でも「このように考えればいいですよー!」と、考え方について、たくさん書かれており、とても参考になります。
ぜひぜひ読んでみてください -
良書。様々な社会的事象を見るための重要な示唆となる。読めば晦渋な哲学書のキーワードをわかりやす説明し、キーワードが明らかにした哲学的内容と、そこに至るプロセスの両面で簡潔に整理する。
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最初難しそ〜・・・と思ったけど読み始めたらめちゃ面白かった!歴史上の哲学者たちが残した言葉や文章とそれを人生にどう活かせるか解説している本なので短編集な感じで読みやすい。
【パラノとスキゾ】の章が難しかったけど好きだった。アイデンティティに偏執するか、分裂するかの話で、1つのことを長く力強く続けるよりも、事態の変化を捉えるセンス偶然に対する勘を頼りに自由に変化し続けること(時には逃げること)が大切。
最近研修でPDCAではなくOODAって言われるのと同じだ!!!とピンときた。力強さよりも柔軟性が問われる時代なんだな〜と改めて!
あとはやはりソクラテス大先生はさすがだった。"学びは「もう知ってるから」と思った瞬間に停滞する"というのは沁みたな。私も人のことや起こったことを自分の知っている過去のデータと照合してパターン認識しちゃうことって多々あるけど、簡単に「わかる!」「これ知ってる!」と思わずに柔軟な思考をしていきたいな。 -
いや、ほんとによかった。
まさに武器になる、実生活に役立つ哲学の解説本。
50のコンセプトが簡潔にわかりやすく掲載されているんだけど、そこは哲学。
一気に読むものではなく、少しづつ咀嚼しながらゆっくり読めたい一冊。 -
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筆者ならではの示唆に富む要約集のような内容
隙間時間に読むには面白く読めました。
あくまで慨訳なので、気になったトピックは原作本を読んでいきたい。 -
なかなか面白かった!読んでみたい本が沢山できた。どの哲学者の思考プロセスも非常に興味深いし、結論についてもその質の良し悪しに関係なく面白かった。
私のようなサラリーマンであれば、これらを現実にどう活用していくか、また何に慎重になるべきで何に囚われず大胆になるべきか、熟考の上行動に移していかなければならないとも思った。 -
1.なぜ哲学が武器になるのかを考える
2.哲学は現代において学ばなければならない教養であり、哲学を学ぶことで人生の修羅場を潜り抜けることができたと著者は述べております。本書は一般的な哲学書と異なり、著者自身が良いと思った人の内容を人、組織、社会、思考の4つのテーマに分けています。紹介されているのは哲学者だけではなく、心理学や経済学などの多岐にわたって紹介されています。
3.哲学は「考えることの基礎学問」という認識になりました。思えば、哲学者は他分野でも活躍されている人が多いです。その理由としては、哲学を通して人について考え抜き、分野に縛られない発想を持ち続けていたからだと思います。哲学を学ぶ意義としては「何が問題なのかを正確にとらえる」ことだと思います。 -
まとめ ⇒
哲学が使われている実用的な例を持ち出しながら、哲学を学べるので理解しやすく、入門書としても良かった。
学び ⇒
・本当の意味で説得に必要なもの「ロゴス」「エトス」「パトス」
-「ロゴス」…ロジックのこと。論理だけでは人は動かないが、論理は説得する上で必須。
-「エトス」…エシックス(倫理)のこと。理にかなってても道徳的に正しいと思えることではないと人は納得しない。
-「パトス」…パッション(情熱)のこと。話す本人が思い入れを持ち、熱く語ることで初めて共感が生まれる。
・アンガージュマンせよ
-アンガージュマン…現実を全て「自分ごと」として主体的に良いものにしようとすること
→人間は外側の現実と自分を別のものとして考える(特に日本人に多い)
┗例:戦争を「私の戦争」ではないから、と受け入れた結果徴兵される。デモや逃亡、自殺などで反発できたはずなのにしなかった。
→また、自分の人生の選択を社会や組織に任せてしまう場合もある
┗例:就職人気ランキングの上位の企業ばかり受ける。
→自己欺瞞に陥ることなく、人生に主体的にコミットしよう
・予告された報酬は創造性を破壊する
┗報酬が目的となり、行動や思考そのものに夢中になれない
→「アメ」ではダメ
→しかし、「ムチ」でもダメ
→必要なのは何かにチャレンジさせる「不確実な何か」
→人が創造性を発揮してリスクをおかすには「挑戦できる風土」が必要
・「分かり合えない人」こそが学びや気づきを与えてくれる
-他者…分かり合えない人、意見が異なる人
→他者は自分とは違う世界の見方をしている
→ここで「分かり合えない」と否定するのではなく、対話することで学びや気づきが得られる
・学びは「もう知ってる」と思った瞬間に止まる
⚪︎達人への道
①知らないことを知らない
┗いわゆる「知ったかぶり」。自分が知らないということを自覚していない。
②知らないことを知っている=「無知の知」
┗ここで初めて学びの欲求や必要性が生まれる。
③知っていることを知っている
┗学習を重ね、自分が知っていることを自分で意識している
④知っていることを知らない
┗知っていることを意識しなくても自然に体が反応する
→容易に「わかった」と思わないことが大事
→「ゾクゾクするくらい分からなければ、分かっていない」
・「要は〇〇ってことでしょ?」は禁句にしよう
┗「知ったかぶり」の典型例
→自ら新たな気づき、発見の機会を損失している
NA ⇒
・ロゴス・エトス・パトスを意識して相手の説得をしてみる
・誰かや何かに任せず、自分で決断や行動をする
・政治や人に任せている活動に主体的にコミットする
・話が合わない人でも話をよく聞いて対話しようと試みる
・知らないということを意識し続ける -
哲学者の唱えたことの解説の内容を知るだけではなく、その発想に至ったプロセスから学べることあるよね?っていう本。
今の社会にどう結びつけて生かしていくか、という観点で、心理学的な要素も絡めながら書かれている。
特に面白かった内容を記録しておきます。
①ロゴス(説得)よりエトス(納得)、エトス(納得)よりパトス(情熱)
②人は、「報酬が予測不能なもの」にはまる
(ゲームのガチャ、SNSの高評価など)
③認知的不協和→行動から気持ちを変える
④アイヒマンの実験→分業による責任の所在の不明確さ
⑤悪魔の代弁者
⑥4月生まれは優秀な人多い→格差の広がり
特に、②③は現場で活かせそう! -
ためになる内容だがなかなか重厚感があって読み切るのが大変だった。哲学的思考は日本人には馴染みが無いかもしれないが、混沌とした世の中を生き抜くためにはいつか通らざるを得ない道なのではないかと思う。
✏「変化」には必ず「否定」が伴う。
✏難しいのは「新しい考え方・動き方」を「始める」ことではなく、「古い考え方・動き方」を批判的に捉えて、これを「終わらせる」ことである。
✏地理的な空間、あるいは歴史的な時間の広がりを持った人であればあるほど、目の前の状況を相対化してみることができるようになる。
✏イノベーションに関する論考では、よく「常識を捨てろ」とか「常識を疑え」といった安易な指摘がなされるが、そのような指摘には「なぜ世の中に常識というものが生まれ、それが根強く動かし難いものになっているのか」という論点についての洞察がまったく欠けている。
✏重要なのは、よく言われるような「常識を疑う」という態度を身につけるということではなく、「見送っていい常識」と「疑うべき常識」を見極める選球眼を持つということである。そしてこの選球眼を与えてくれるのが、空間軸・時間軸での知識の広がり =教養だということである。
✏世界史的な悲劇の主人公はヒトラーでもポル・ポトでもない、そのようなリーダーに付き従っていくことを選んだ、ごくごく「普通の人々」なのだ。
✏現在を生きる私たちにとっての学びを考えると、それは「プロセスからの学び」であって、最終的な結論としての「アウトプットからの学び」は、刺身のツマのようなもので、学びの「ミソ」はそこにはない。
✏事実と認知とのあいだで発生する不協和を解消させるために、認知を改める。
✏幸福な「フロー」のゾーンに至るには、必ずしも居心地の良いものではない「不安」や「強い不安」のゾーンを通過しなければならない。
✏私たちにまず求められるのは、日本が極めて強いジェンダーバイアスに支配された国であるということ、そしてそのバイアスに我々自身が極めて無自覚であるため、多くの人がそのようなバイアスから自由であると錯覚し、そしてその残酷な無自覚さが、女性の社会進出を妨げる最大の障壁になっているということを心しておくことだ。
✏妬みを抱くのは、自分と同じか、同じだと思える者がいる人々である。
✏公平・公正の対極にある差別は「異質性」によってこそ生まれると考えがちです。しかしそうではない。差別や格差というのは、全く逆に「同質性」が高いからこそ生まれると考えるべきです。
✏序列の基準が正当ではない、あるいは基準は正当であっても評価が正当になされていない、と信じるおかげで私たちは自らの劣等性を否定することができる。しかし「公正な組織」「公平な組織」ではこの自己防衛は成立しない。私たちが安易に「究極の理想」として掲げる「公正で公平な評価」は、本当に望ましいことなのか。仮にそれが実現したときに「あなたは劣っている」と評価される多数の人々は、一体どのようにして自己の存在を肯定的に捉えることができるのか。そのような社会や組織というのは、本当に私たちにとって理想的なのか。「公正」を絶対善として奉る前に、よくよく考えてみる必要がある。
✏「消費」とは「記号」の交換である。どのような「記号」なのかというと、「私はあなた達とは違う」という「差異」を表す記号である。
✏人間の知性は、これらのイドラ(自然性質・個人経験・伝聞・権威による先入観)によって一旦こうだと思いこむと、全てのことを、それに合致するようにつくりあげてしまう性向をもつ。
✏進化とは「過去の発展的回帰」である。
✏一つは、私たちの世界認識は、自分たちが依拠している言語システムによって大きく規定されている。
✏その言葉自体が、すでに何らかの前提によっているとすればどうか。言葉を用いて自由に思考しているつもりが、その言葉が依拠している枠組みに思考もまた依拠するということになってしまう。私たちは本当の意味で自由に思考することができない、その思考は私たちが依拠している何らかの構造によって大きな影響を不可避的に受けてしまう、これが構造主義哲学の基本的な立場である。
✏もう一つは、語彙の豊かさが世界を分析的に把握する力量に直結する。
✏私たちが一般に「客観的だ」と考える認識は、実は自分の意識の中でそのように考えていること、つまり「主観的な私の意識の中で客観的だと思える」ことに過ぎない。
✏他者とのあいだに相互理解が成立しないという時、自分に見えている世界像と相手に見えている世界像には大きな齟齬がある可能性がある。その時、両者が共に自分の世界像に強い確信を持っていれば、その齟齬が解消される可能性はない。
✏私たちが持っている「客観的な世界像」は、そもそも主観的なものでしかあり得ない、その世界像を確信するのでもなく、捨て去るのでもなく、いわば中途半端な経過措置として、一旦「カッコに入れる」という中庸の姿勢 =エポケーの考え方は、このような時代だからこそ求められる知的態度なのではないか。
✏本当の意味で「科学的である」ということは「反論の可能性が外部に対して開かれている」ということであり、さらに言えば、科学理論というものは「反証可能性を持つ仮説の集合体」でしかない、ということである。
✏脱構築では、「優・劣」のような二項対立の構造がもつ矛盾性を明らかにすることで、過去の枠組みから「脱」し、新たな枠組みの「構築」を目指す。
✏「多様性が大事だ、多様性を認めろ」という主張自体がそもそも画一的で全体主義的である、という批判が成立することになる。多様性が重要であるのであれば、いろんな考え方が認められるべきだということになるわけだが、では「画一性や全体主義は素晴らしい」という主張もまた、認められるべきだということになる。
✏ 二項対立の枠組みはとても便利なので、企業経営や実社会の問題を整理する際によく用いられる。よくあるのは「強みと弱み」や「機会と脅威」や「デザインとコスト」などだが、しかし、これらの枠組みを設定することによって、かえって思考の広がりが制約を受けてしまうということもある。そのような時には、二項対立の枠組みそのものを換骨奪胎してみる「脱構築」を考えてみてはどうだろうか。
✏未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。 -
知識や教養は、課題発見力につながるという指摘がとても有用だった。自由からの逃走で言われているように、自由というものは責任や孤独を伴うものではあるが、教養を得て課題を発見し、当事者意識と強いWillを持つことで生きる原動力を得ることができ、それによって自由を与えられても潰れずに生きていけると思う。ハンナさんの言うように、システムを無批判に受け入れると言う罪を冒さずに、生きる意味を見出して生きていくのであれば、常に高い当事者意識を持って、学びを止めずに進んでいくしかない。
-
【星:4.5】
タイトルのとおりなのだが、実学という観点から哲学を解説している。本書の最初に書いてあるのだが、ポイントは著者にとって「役に立つか否か」。
哲学についての本は色々とあるだろうが、著者以外にここまで実学として哲学を語れる人物を私は知らない。哲学への興味を掻き立ててくれる1冊であった。 -
哲学を仕事に役立てたいと考えているビジネスパーソンにとってベスト哲学書。哲学をそれそのものとして解説するのではなく、ビジネスの現場に直結して説明されている点で解りやすく、とても役立ちます。
著者プロフィール
山口周の作品
