新撰組顛末記 (新人物文庫 な 1-1)

著者 :
  • KADOKAWA/中経出版
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本棚登録 : 239
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046029188

作品紹介・あらすじ

ロングセラーが遂に文庫化。新選組二番隊長として幕末動乱をくぐり抜け、唯一生き残った永倉新八が生々しい証言で綴る新選組の興亡。

感想・レビュー・書評

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  • 最大の欠点は、永倉新八ではなく、第三者の目から語られていること。一人称ですらないのだ。
    氷川清話の勝海舟を見れば分かるように、
    永倉のように歴史上の人物であれば、語り口調から
    看取することも多いはずだ。
    そこから、いきいきとした言葉、歴史、思いが活写されるのではないか。

    編集という意味では大失点だろう。
    また、面白く無いのは、歴史上の事実をただ辿っているだけなところだ。
    そうではなく、当事者ならではの心情を吐露して欲しかった。
    これだったら、小説で十分だ。

    新撰組に関しては、やはりただの無頼者の集まりであるという印象しかない。
    逆に言えば、美化され得ない、ただの人間としての姿がここにあること。
    誰も、大した人物がいないということだ。

  • 前半はだいたい「芹沢鴨、横暴すぎワロタ」で、後半から「粛清多過ぎて震える」で、最終的に「別れつらみ」みたいな感じ。芹沢鴨は本当に、これだけ読んで信じるとまあ、とんでもないやつですけども?


    読むのが大変だった。言葉のリズムがいいのに言葉が微妙に難しく、それでいて「なぜその言葉をひらがなで書く?」と言った文書の癖に苦戦した。
    そもそも、新撰組最後の生き残りが「命がけで語り尽くした」新撰組の記録なら、一人称で書けばいいのに。「永倉はー」と永倉新八の活躍を三人称で語られると、自画自賛感が出ちゃうし。手記や回顧録というより小説、って感じがしたことは正直残念。

    命の軽い時代であって、人が死にまくるお話である。その時代に精一杯生きてきた若者たちは、私達には理解しきれない信念がある。
    三谷幸喜は大河を作るときに「青春群像劇」と称したらしいけど、確かにそうだなぁ。たくさんの若者が時代の波に揉まれて右往左往している。
    自分の人生に精一杯な今の時代と違って、彼らは時代の先端を走っていたんだなあ。

  • この本は新聞記者の取材に応じて晩年の永倉新八が語った内容をまとめたものだそうだ。もともとは小樽新聞で連載されていたとか。

    小説のようにドラマチックに展開されることもなく淡々と進んでいく。新撰組も人間なんだなぁ…と思うエピソードが所々にあり、リアルさを感じられる本だった。とても貴重な資料だと思う。

    また、解説に心打たれた。4ページほどの短い解説だったが、永倉新八が新時代をどんな風に生きたのか垣間見た気がする。(垣間見たと言うことすらおこがましいかもしれません…)幕末からの数十年はわずかな期間であらゆる物事が変化した激動の時代だと思うが、生き残った新撰組の人々が新しい時代をどんな風に生きたのか、私はそれが気になってしかたがない。

  • 正しく新撰組の永倉新八その人による、新撰組の回顧録。
    今読むと読みにくさもある文章であるが、テンポよく、当然の臨場感もあり、面白い。
    新撰組の歴史を一通り知っていると面白いかもしれない。
    新撰組作品で出てくるあれやこれやのエピソードが、事実を元にしていたのか!と驚くところも多い。

  • これまで読んだ歴史本の中でダントツで面白い。なぜここまで明瞭に詳細が書かれているかというのは、曾孫の後書きを読むとわかるが、この連載は、維新以来葛藤した永倉新八の最後の戦いであったわけだ。佐幕派勤王党というマイノリティと化した新撰組だが、どうあっても二君に仕えず、徳川幕府への忠義を持ち、そして勤王思想も貫く。新撰組見事なり。

  • 幕末・維新を生き抜き、天寿を全うした永倉新八の回想を、小樽新聞が連載としてまとめられた新撰組の内実。芹沢鴨の横暴や、藤堂平助、伊東甲子太郎の陰謀など、これまで読んだ時代小説に書かれていたことと符合していた。ただ、鳥羽伏見の戦いの記述は、新撰組の活躍のみが目立つ「大本営発表」の感が否めない。甲州鎮撫隊が甲府城占拠に後れを取った原因が書かれていないが、何かというと廓で酒宴を行った新撰組では、さもありなんと思った。局の定めた禁令4箇条(局中法度)も、背けば切腹という激越さが、逆に柔軟性を失わせたと思うが如何?

  • 新撰組結成当時からの隊員で副長助勤を勤めた方が大正二年に小樽新聞の取材に応じ語った話を後に纏めた物。

    前から一度読みたいと思っていた本が文庫本で再販されたので早速読んでみました。

    内容として幕末、新撰組に関してある程度知識があれば特に目新しいものも無いのですが、実際その場にいた人間の生々しい記録は新鮮でした。

    文章は永倉の一人称ではなく客観的な表現です。
    現代口語ではないので少々読みづらい感もありますが楽しめました。

  • 新選組二番組長永倉新八の述懐をまとめたもの。他の研究本によると一部誤り(本人の記憶違いか編者の誤りか)もあるようだが、動乱の幕末、新選組その場にいた人々の熱い血潮が、講談調の文章と相まって強く心に迫ってくる良著。

  • 他の方の感想でもある通り文章のリズムが良く、とても読みやすかった。

    新撰組という組織を天から観察するような歴史書のようだった。勿論、永倉新八が語った内容をまとめた本のため新八の主観が混じった新撰組の姿だとは思うが、淡々と進む歴史の中には烏合の衆と揶揄された男たちが烈火のごとく幕末を生きた瞬間があったことを強烈に脳内へ刻み込まれた。

    近藤勇がキレ者として描かれている作品は初めて読んだので賢明な選択をどんどんしていく近藤勇はどの本よりも局長らしいと感じた。史実は知らん。

    ♡ 読了:2021.1.27 ♡

  • 新撰組の生き残り永倉新八が新聞記者の取材で語ったことをまとめた本。この時代、命が軽かったんだなぁと改めて感じた。今の時代からは信じられない。歴史に残る池田屋襲撃は臨場感があり生々しい。ただ、大正初期の文章?なので難しく読みにくいのと、事実が淡々と書かれていて面白味に欠けるのが残念。

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著者プロフィール

1839年(天保10)、江戸生まれ。本姓長倉。元は松前藩士。武者修行中に近藤勇に出会い浪士組に参加、新選組結成後は二番組長を務めるなど新選組草創期からの中心人物。甲陽鎮撫隊や靖共隊に属して戦うが、米沢より江戸へ帰還。松前藩への帰藩が許され、藩医の杉村介庵の婿養子となり杉村治備(後に義衛)と名乗る。その後小樽へ移り、樺戸集治監の剣術師範となる。数少ない新選組幹部の生き残りとして、板橋に近藤勇、土方歳三の墓を建立した。1915年(大正4)、病没

「2020年 『地図と読む 新撰組顛末記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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