奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語

  • KADOKAWA (2019年8月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784046043931

作品紹介・あらすじ

本書で紹介する奇書とは、数“奇”な運命をたどった“書”物です。

「かつて当たり前に読まれていたが、いま読むとトンデモない本」
「かつて悪書やフィクションの類と目されたが、いま読めば偉大な名著」

1冊の本を「昔」と「今」の両面から見ると、時代の流れに伴う価値観の「変化」と「差分」が浮かび上がります。
過去の人々は、私たちと比べ、「どこまで偉大だったか」「どこまで愚かだったか」――。
そこから得られる「教訓」は、私たちに未来への示唆を与えてくれるでしょう。

【目次】
魔女に与える鉄槌
 ~10万人を焼き尽くした、魔女狩りについての大ベストセラー
台湾誌
 ~稀代のペテン師が妄想で書き上げた「嘘の国の歩き方」
ヴォイニッチ手稿
 ~万能薬のレシピか? へんな植物図鑑か? 未だ判らない謎の書
野球と其害毒
 ~明治の偉人たちが吠える「最近の若者けしからん論」
穏健なる提案
 ~妖精の国に突き付けられた、不穏な国家再建案
天体の回転について
 ~偉人たちの知のリレーが、地球を動かした
非現実の王国で
 ~大人になりたくない男の、ネバーエンディングストーリー
フラーレンによる52Kでの超伝導
 ~物理学界のカリスマがやらかした“神の手”
軟膏を拭うスポンジ / そのスポンジを絞り上げる
 ~奇妙な医療にまつわる、奇妙な論争
物の本質について
 ~世界で最初の快楽主義者は、この世の真理を語る
サンゴルスキーの「ルバイヤート」
 ~読めば酒に溺れたくなる、水難の書物
椿井文書
 ~いまも地域に根差す、江戸時代の偽歴史書
ビリティスの歌
 ~古代ギリシャ女流詩人が紡ぐ、赤裸々な愛の独白
月世界旅行
 ~1つの創作が科学へ導く、壮大なムーンショット

感想・レビュー・書評

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  • 奇書といっても解読困難なものとか、価値観が無茶苦茶なものとか、嘘だらけだったり破廉恥だったり、様々だ。そんな奇妙な本を紹介するのが本書。常識を逸脱するような中身は見ていて興奮する。こんな時代、世界があったのかと。

    少しそのヤバさを引用してみる。

    アイルランドでは、貧困層において毎年12万人の子供が生まれている。貧困層において子供たちが働けるようになるまで育成する事は困難である。そのため、両親による子殺しや堕胎が後を絶たない。子供がその両親をこの残酷な状況から救済するため、満一歳になった赤ん坊を富裕層へ食料として高額で販売することを提案する。貧困層の子供を育てるために必要な費用は衣食合わせて年2シリングである。富裕層はよく太った赤ん坊を1人に10シリング支払うだろう。これにより貧困層へ金が回るとともに、国内産業が発展する。
    『穏健なる提案』 スウィフト

    上記は、本書の解説を読むと、権力者たちの搾取に対して、貧困の中死なざるを得なかった子供たちがいる現状に対し、彼らが口にする美食は、貧民の血肉を貪っているに等しいと言う強烈な皮肉だったともいう。そこまで読むとマトモな感じもするが、文章だけ見るとハッとする。

    人類史上大飢饉に陥るとカニバリズムが起こる。日本でも1782年から88年に起こったあの大飢饉では、死者が出た家を訪れて、その肉を求めたり子供を手にかけて食したと言う記録が残されている。つい最近、百田尚樹が中国の人肉食文化を取り上げた本を読んだばかりだが、世界中、この通りだ。

    常識的な主張はつまらない。ヤバい書物が病みつきになりそうだ。

  • 奇書(偽書)と人物の歴史を追う。筆者の興味は本の中身よりはその数奇な運命を辿る事にあるのだろう。奇書そのものを期待するとやや肩透かしにあった気はするかもしれないが人間ドラマをリズム良く語っておりとても面白い。私も奇書と人物を学んでみようと思った。

  • 著者の投稿動画「世界の奇書をゆっくり解説」の内容を書籍化した一冊。
    動画は見ていませんが、書名と表紙で手に取りました。
    幅広く調べられていて、脱線とも思える長い文章も内容が濃いので飽きずに読めます。
    書物が持つ影響力を改めて認識させられました。

  • 奇書というニッチで、日常では触れることのないジャンル。『月世界旅行』『解説』が圧倒的に面白かった。
    「私たちが「文明」と呼ぶものは、膨大な量のフィクションによって支えられている。」「語り手は語りたいことを語るし、聞き手は信じたいものを信じる。」
    そのフィクションにより、良い進化も悪い文化もあると知れる本だった。

  • 面白いし、少し歴史的な背景を勉強できると思います。挿絵も良いし、注訳も読みやすい。

    各書のさわりを読んでしまうと最後まで止まらないのが難点かも。それほど面白かった!

  • 本にまつわる数奇な物語です。
    本が好きな方は、ぜひぜひ読んでみてください

  • 世の中には、「奇書」と呼ばれる本がある。
    人々を騙したり、とんでもない思想だったり、はたまた意味のわからない、精神的に参ってしまうような本であったり。
    本書で扱うのは、ある時においては、皆がそれを疑いもせず、名著とすら考えていたのに、時代が降るにつれ、次第に「奇書」になっていったという書物たちである。
    一方、番外編では当時は「トンデモ本」「奇書」とされていたのに、後世では讃えられている書物の紹介になっている。
    もう前書きだけでワクワクしてくる。
    さて、一体どんな本が?

    『台湾誌』(30~49頁)
    普通のタイトルだが、著者がもうしょっぱなからやばい。
    自分を17世紀のヨーロッパで日本人だと名乗っていたそうだ。
    うーん、日本にも外国の王様だとか大佐だとか、天皇の親族だとか名乗っていたぺてん師はいたが、その頃のヨーロッパで名乗る意味は・・・・謎すぎる。
    そして、ある時、イネス牧師にこれを日本語に訳して、と言われ訳したものを再度訳して、と言われペテンがばれた。
    のだが。
    二人でペテンを始めるという。
    嘘や誤解や真が混じった奇書はそれでいて精緻で大胆。

    『軟膏を拭うスポンジ』(168〜181頁)は異端審問官が著者で、刃物によって怪我をした場合、その刃物に軟膏を塗ると、傷が治る、という考えを批判したものだ。
    なるほどな、と思うのだが、私が着目したのはそこではない。
    ちょうど同じ頃に『鋼の錬金術師』(素晴らしいマンガ!)を同時に再読していた。
    そこに出てきたのが、エルリック兄弟の父、ヴァン・ホーエンハイム。
    武器軟膏が一般的に知られるようになったのは、パラケルススこと、テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム(Theophrastus von Hohenheim)、医師、化学者、錬金術師、神秘思想家の著作によるのだそうだ。
    いやいや、これを知っていてホーエンハイムのキャラクターを作り込んでいたとしたら、荒川弘先生、すごいです!

    本書には他にも奇書がたくさん載っていて、どれも著者の真面目で、しかし引きつける話術で夢中になった。
    いや、そもそも奇書そのものが面白いのかもしれないが、なかなか深く感じ入るところも多くあり、ぜひ、堪能してほしい。

  • 歴史の推移、価値観の変化の中で翻弄された、“奇書”を紐解く。
    01 魔女に与える鉄槌  02 台湾誌  03 ヴォイニッチ手稿
    04 野球と基害毒    05 穏健なる提案 
    番外編01 天体の回転について
    06 非現実の王国で  07 フラーレンによる52kでの超電導
    08 軟膏を拭うスポンジ そのスポンジを絞り上げる
    番外編02 物の本質について
    09 サンゴルスキーの『ルバイヤート』
    10 椿井文書  11 ビリティスの歌
    番外編03月世界旅行
    解説と参考文献有り。
    ニコニコ動画の人気コンテンツの書籍化だそうですが、
    純粋に名前に惹かれての読書です。
    数奇な運命を辿った書物=奇書。
    現代では摩訶不思議な本の群れ。
    偽書や科学の捏造、魔女狩り、摩訶不思議な医療等もありますが、
    著者の死後に出た独創的な本、「ヴォイニッチ手稿」のような
    解明が困難なもの、数奇な運命のサンゴルスキーの『ルバイヤート』
    等も紹介されています。
    一方で番外は、かつて悪書として虐げられたが、現代では名著。
    “地動説”が認められるまでや近世に蘇る紀元前に存在した
    「物の本質について」の考え、「月世界旅行」の実現。
    どちらも、当時の価値観・・・宗教や科学認識、学問人々の願望等が
    関係して、運命が左右された事がわかります。
    その時代には真面目に信じられていた事、たとえ現代人には
    荒唐無稽でも、それは当時の常識。だからこそ、現代の常識も
    未来では荒唐無稽になりうる事だってあるかもしれない。
    そんな想いに駆られながら、読み込んでしまいました。
    読み易い文章で興味惹かれ、面白かったです。続刊、求む!

  • 【書評】『奇書の世界史 歴史を動かすヤバい書物の物語』三崎律日著 価値観はいつも転移する - 産経ニュース(2019/10/20)
    https://www.sankei.com/article/20191020-QW35A7JCZVMDZGWTIUPI5V7MGI/

    閲覧注意…歴史を動かすヤバい書物「奇書」の魅力とは何か(三崎 律日) | 現代ビジネス | 講談社
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66600

    世界の奇書をゆっくり解説 第1回 「魔女に与える鉄槌」 - YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=6S4OIgfOE-0

    奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語 三崎 律日:一般書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000142/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      人体の不思議からツアーナースの日常、そして新型コロナウイルスまで—— 歴史小説家が選ぶ「医療」を知るための5冊 | GetNavi web ...
      人体の不思議からツアーナースの日常、そして新型コロナウイルスまで—— 歴史小説家が選ぶ「医療」を知るための5冊 | GetNavi web ゲットナビ
      https://getnavi.jp/book/700255/
      2022/02/15
  • ヴォイニッチ手稿に興味があり読み始めた。

    奇書といえばヴォイニッチ手稿しか知らなかったが、
    世界にはこんな奇書があるのかと驚愕。

    そして名を残す偉人はやはりすごかった・・・(笑)

  • 面白かった!最後の月世界旅行の章がとっても楽しくて読後感が良い。
    ちょっと前に読んだ『もうすぐ絶滅するという〜』を読んで、「奇書」って言葉に惹かれて図書館で借りてみた。本に限らずなことだけど、バックグラウンドには作者、当時の状況、思惑だったり色んなことが絡まり合ってるいうことも、意識しつつ読まなければならないなと思う。何事も一面だけを見てはいけないというか。まぁ何世紀も前に比べれば、真偽を確かめる情報に簡単にアクセスできるようにはなっているが。
    『台湾誌』とか『フラーレンによる〜』とか巧みなでっち上げにはすごいなぁっていう純粋な感嘆しか出てこない。人間ってほんと面白いって改めて思う。

  • 現代人から見たら馬鹿げた創作にしか見えない偽書も偏りすぎのヤバ思想も、その時代の人が「信じたい」と強く強く思ったからこそこうして「奇書」として後世まで語り継がれたんだなぁ。
    「信じたいものだけ見る」ことの怖さを、全体通して読んで強く思った。
    とはいえ、自分たちに都合のよすぎる歴史とか思想が出てきたら飛びつきたくなる当時の人たちの気持ちも分かるっちゃ分かる。私もプロ野球中継延長被害者の会側の人間なので野球有害論とか現代のメディアで現代人が書いてるのを見たら「ほんとそれなー」って思って拡散してたかもしれないし。

  • 魔女狩りマニュアル、アンチ野球記事、デタラメ地元史…

    時と共に評価が180度変わった数「奇」な「書」物の解説書。

    今なら笑っちゃう様な価値観も、当時はガチでしかない。後世の評価はどうあれ、人の人生を狂わせる程に魂のこもった作品は、やはり魅力的!

  • 自分の価値観を大切にしたいけど、
    周りに合わせることも必要な世の中だから、
    折り合いの付け方を勉強しなきゃいけないなあって
    思いました。
    フィクションって大事。

  • 読んだのがちょっと前だけど、電車とかで少しづつおもろ雑学読めるみたいな感じで面白かった記憶。ヴォイニッチ手稿とかもあったと思うけど、あれは昔読んでた児童書の怪盗クイーンにも出てきたものだったからテンション上がった!

  • 面白い。
    書物をめぐる「人間の泥臭さ」が縦横に描かれている。
    さくさく読めた。

    脚色された時代劇と違って、実際に解像度を上げて歴史を学ぶとなんと単調なのかと驚くことがある。裏返すとドラマとは人間が介在、解釈するところにしか産まれない。

    ヴォイニッチ手稿、穏健なる提案、ルバイヤートが面白かった。
    月面着陸には『月世界旅行』がかき立てた夢が駆動していたことも初めて知った。

  • 面白い!装丁も、挿絵も美しく、文体は非常に読みやすい。また取り扱っているテーマも興味深く、少し読み足りない箇所があるぐらいだが、腹八分目で多くの読者に受け入れやすいと思う。
    が、何か通常の書籍とは違う。エッセイのような軽い読み口で、マクロとミクロの切り替えも早すぎる。
    最後の解説、あとがきで判明したが筆者はYouTubeの動画編集者で、その人気動画をまとめたもの、との事。YouTubeなどの動画文化に乗れないおじさんには衝撃であった。が、納得もできた。動画のような飽きとの戦いにおいては常に引きを切らさないように端的に知的欲求を満たす必要がある。そのための工夫が本書をここまで面白くしているのだ。

  • 面白かったです。
    時代背景も踏まえながら、現在 奇書扱いされている書物を解説していく。
    「語り手は語りたいことを語るし、聞き手は信じたいことを信じる。」
    人が持つ想像力、創造力。の面白さ、真剣さが魅力に見える。
    聞き手が信じたいことを信じさせる語り手の妙も愉しい。
    その当時は愉しいで済まなかっただろうが。

    本書が奇書扱いされかな?と思いながら読むことも面白い。

  • 面白い本が色々あるんだなーと思う。
    レスポス島の人たちが気の毒だ、こういう嘘は世の中にまかり通っている、現代でも報道の嘘のせいで。

  • 現在の価値観に照らし合わせれば有害図書や偽書と言われる本でも,当時の世相や時代の空気ではそれが出版され流行する理由があった。
    いま僕たちが読んでいる本も,将来は奇書として扱われるかもしれないと考えさせられる一冊。
    それにしても古今東西よくこれだけ調べたものである。

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。会社員として働きながら歴史や古典の解説を中心に、ニコニコ動画、YouTubeで動画投稿を行う。代表作「世界の奇書をゆっくり解説」のシリーズ累計再生回数は600万回を超え、人気コンテンツとして多くのファンを持つ。

「2022年 『奇書の世界史2 歴史を動かす“もっとヤバい書物”の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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