- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046043931
作品紹介・あらすじ
ニコニコ動画人気コンテンツが2019年8月23日書籍化!
これは、良書か、悪書か?
本書で紹介する奇書とは、数“奇”な運命をたどった“書”物です。
「かつて当たり前に読まれていたが、いま読むとトンデモない本」
「かつて悪書として虐げられたが、いま読めば偉大な名著」
1冊の本を「昔」と「今」の両面から見ると、時代の変遷に伴う価値観の「変化」と「差分」が浮かび上がります。
過去の人々は、私たちと比べ、「どこまで偉大だったか」「どこまで愚かだったか」――。
これらから得られる「教訓」は、私たちに未来への示唆を与えてくれるでしょう。
感想・レビュー・書評
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著者の投稿動画「世界の奇書をゆっくり解説」の内容を書籍化した一冊。
動画は見ていませんが、書名と表紙で手に取りました。
幅広く調べられていて、脱線とも思える長い文章も内容が濃いので飽きずに読めます。
書物が持つ影響力を改めて認識させられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
奇書というニッチで、日常では触れることのないジャンル。『月世界旅行』『解説』が圧倒的に面白かった。
「私たちが「文明」と呼ぶものは、膨大な量のフィクションによって支えられている。」「語り手は語りたいことを語るし、聞き手は信じたいものを信じる。」
そのフィクションにより、良い進化も悪い文化もあると知れる本だった。
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面白いし、少し歴史的な背景を勉強できると思います。挿絵も良いし、注訳も読みやすい。
各書のさわりを読んでしまうと最後まで止まらないのが難点かも。それほど面白かった! -
本にまつわる数奇な物語です。
本が好きな方は、ぜひぜひ読んでみてください -
世の中には、「奇書」と呼ばれる本がある。
人々を騙したり、とんでもない思想だったり、はたまた意味のわからない、精神的に参ってしまうような本であったり。
本書で扱うのは、ある時においては、皆がそれを疑いもせず、名著とすら考えていたのに、時代が降るにつれ、次第に「奇書」になっていったという書物たちである。
一方、番外編では当時は「トンデモ本」「奇書」とされていたのに、後世では讃えられている書物の紹介になっている。
もう前書きだけでワクワクしてくる。
さて、一体どんな本が?
『台湾誌』(30~49頁)
普通のタイトルだが、著者がもうしょっぱなからやばい。
自分を17世紀のヨーロッパで日本人だと名乗っていたそうだ。
うーん、日本にも外国の王様だとか大佐だとか、天皇の親族だとか名乗っていたぺてん師はいたが、その頃のヨーロッパで名乗る意味は・・・・謎すぎる。
そして、ある時、イネス牧師にこれを日本語に訳して、と言われ訳したものを再度訳して、と言われペテンがばれた。
のだが。
二人でペテンを始めるという。
嘘や誤解や真が混じった奇書はそれでいて精緻で大胆。
『軟膏を拭うスポンジ』(168〜181頁)は異端審問官が著者で、刃物によって怪我をした場合、その刃物に軟膏を塗ると、傷が治る、という考えを批判したものだ。
なるほどな、と思うのだが、私が着目したのはそこではない。
ちょうど同じ頃に『鋼の錬金術師』(素晴らしいマンガ!)を同時に再読していた。
そこに出てきたのが、エルリック兄弟の父、ヴァン・ホーエンハイム。
武器軟膏が一般的に知られるようになったのは、パラケルススこと、テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム(Theophrastus von Hohenheim)、医師、化学者、錬金術師、神秘思想家の著作によるのだそうだ。
いやいや、これを知っていてホーエンハイムのキャラクターを作り込んでいたとしたら、荒川弘先生、すごいです!
本書には他にも奇書がたくさん載っていて、どれも著者の真面目で、しかし引きつける話術で夢中になった。
いや、そもそも奇書そのものが面白いのかもしれないが、なかなか深く感じ入るところも多くあり、ぜひ、堪能してほしい。 -
歴史の推移、価値観の変化の中で翻弄された、“奇書”を紐解く。
01 魔女に与える鉄槌 02 台湾誌 03 ヴォイニッチ手稿
04 野球と基害毒 05 穏健なる提案
番外編01 天体の回転について
06 非現実の王国で 07 フラーレンによる52kでの超電導
08 軟膏を拭うスポンジ そのスポンジを絞り上げる
番外編02 物の本質について
09 サンゴルスキーの『ルバイヤート』
10 椿井文書 11 ビリティスの歌
番外編03月世界旅行
解説と参考文献有り。
ニコニコ動画の人気コンテンツの書籍化だそうですが、
純粋に名前に惹かれての読書です。
数奇な運命を辿った書物=奇書。
現代では摩訶不思議な本の群れ。
偽書や科学の捏造、魔女狩り、摩訶不思議な医療等もありますが、
著者の死後に出た独創的な本、「ヴォイニッチ手稿」のような
解明が困難なもの、数奇な運命のサンゴルスキーの『ルバイヤート』
等も紹介されています。
一方で番外は、かつて悪書として虐げられたが、現代では名著。
“地動説”が認められるまでや近世に蘇る紀元前に存在した
「物の本質について」の考え、「月世界旅行」の実現。
どちらも、当時の価値観・・・宗教や科学認識、学問人々の願望等が
関係して、運命が左右された事がわかります。
その時代には真面目に信じられていた事、たとえ現代人には
荒唐無稽でも、それは当時の常識。だからこそ、現代の常識も
未来では荒唐無稽になりうる事だってあるかもしれない。
そんな想いに駆られながら、読み込んでしまいました。
読み易い文章で興味惹かれ、面白かったです。続刊、求む! -
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人体の不思議からツアーナースの日常、そして新型コロナウイルスまで—— 歴史小説家が選ぶ「医療」を知るための5冊 | GetNavi web ...人体の不思議からツアーナースの日常、そして新型コロナウイルスまで—— 歴史小説家が選ぶ「医療」を知るための5冊 | GetNavi web ゲットナビ
https://getnavi.jp/book/700255/2022/02/15
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面白かった!最後の月世界旅行の章がとっても楽しくて読後感が良い。
ちょっと前に読んだ『もうすぐ絶滅するという〜』を読んで、「奇書」って言葉に惹かれて図書館で借りてみた。本に限らずなことだけど、バックグラウンドには作者、当時の状況、思惑だったり色んなことが絡まり合ってるいうことも、意識しつつ読まなければならないなと思う。何事も一面だけを見てはいけないというか。まぁ何世紀も前に比べれば、真偽を確かめる情報に簡単にアクセスできるようにはなっているが。
『台湾誌』とか『フラーレンによる〜』とか巧みなでっち上げにはすごいなぁっていう純粋な感嘆しか出てこない。人間ってほんと面白いって改めて思う。 -
現代人から見たら馬鹿げた創作にしか見えない偽書も偏りすぎのヤバ思想も、その時代の人が「信じたい」と強く強く思ったからこそこうして「奇書」として後世まで語り継がれたんだなぁ。
「信じたいものだけ見る」ことの怖さを、全体通して読んで強く思った。
とはいえ、自分たちに都合のよすぎる歴史とか思想が出てきたら飛びつきたくなる当時の人たちの気持ちも分かるっちゃ分かる。私もプロ野球中継延長被害者の会側の人間なので野球有害論とか現代のメディアで現代人が書いてるのを見たら「ほんとそれなー」って思って拡散してたかもしれないし。 -
魔女狩りマニュアル、アンチ野球記事、デタラメ地元史…
時と共に評価が180度変わった数「奇」な「書」物の解説書。
今なら笑っちゃう様な価値観も、当時はガチでしかない。後世の評価はどうあれ、人の人生を狂わせる程に魂のこもった作品は、やはり魅力的!