魔女たちは眠りを守る

著者 :
  • KADOKAWA
3.66
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本棚登録 : 1591
感想 : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046047564

作品紹介・あらすじ

この世界の夜と眠りを守るのは、まるで天使のような、魔女たちでした―。

優しくて、愛しくて、涙が溢れて止まらない…
ささやかな日常をぎゅっと抱きしめたくなる物語。
人気作家・村山早紀が贈る奇跡のファンタジー小説!

―――

魔女はすべてを覚えている。
ひとの子がすべてを忘れても。どこか遠い空の彼方へ、魂が去って行こうとも。
そして地上で魔女たちは、懐かしい夢を見る。記憶を抱いて、生きてゆく。

その街は古い港町。
桜の花びらが舞う季節に、若い魔女の娘が帰ってきた。
赤毛の長い髪をなびかせ、かたわらに金色の瞳をした使い魔の黒猫を連れて。
名前は、七竈・マリー・七瀬。
目指すは、ひとの子たちが「魔女の家」と呼ぶ、銀髪の美しい魔女二コラのカフェバー。

懸命に生きて、死んでゆくひとの子と、長い時を生きる魔女たちの出会いと別れの物語。

―――

魔女たちの物語は、物語の形を借りた、わたし自身の想いであり、言葉でもあったのだろう、といまになって、気づいています。
何の力も持たず、歴史を変えられもしない、一本の糸に過ぎないわたしが、誰かのささやかな愛すべき日常に寄り添い祝福し、
不幸にして斃れたひとびとにさしのべたかった「腕」が、この物語だったのだろうと。
そう、わたしには魔法の力はなく、この物語もいつかは忘れ去られてゆくでしょう。
けれど、この物語にふれたどなたかが、ふと、これまで地上に生きてきた一本一本の糸に思いを馳せてくださるなら、
わたしの言葉はそのとき、魔法になるのだと思います。

村山早紀(「あとがき」より抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • 優しくて温かい一冊。

    魔女をテーマにしている作品だけれどさほど違和感なく受け入れられる世界。

    そう、すぐ隣にもしかしたら、さりげなくそばに…そんな錯覚さえ起こしてくれそうなこの塩梅、世界観が良かった。

    寄り添う言葉、人間と魔女との命の長さの対比、別れを繰り返しながらひとり生きていかねばならない魔女のせつなさも心に響く。「雨のおとぎ話」の優しさと温かい時間、「サンライズ・サンセット」のまた来年ね…に涙が流れた。

    読後は大きなてのひらを想像したくなる。

    夜、眠りにつく前に優しさ温かさを感じたい時に最適な装丁、物語。

  • 人より長い時を生きる2人の魔女を中心に描かれた、7つの出会いと別れの物語。

    切なさや悲しさのなかに、人を愛しむ温かさや、優しさが溢れていて、ひとつの章を読むだけで、胸がいっぱいになり、読み終わるのに時間がかかりました。

    特に好きだったのは、”天使の微笑み”と”雨のおとぎ話”。誰かの為に行動できる優しさや強さが欲しい。それから、”サンライズ•サンセット”の「溶けている」という言葉。じんわりと感動しました。

    優しい語り口で、美しい文体。
    ピュアな登場人物達。
    港町を舞台とした世界観や、美味しそうな料理。
    可愛らしい表紙。
    物語以外の部分も、とても素敵で好きな一冊です。

  • ❇︎
    赤毛の魔女ナナセが長い旅の途中に一時期だけ
    暮らした町に改めて訪れ、かつての友達と再会を
    果たしたり、新しい出会いの中でひっそり暮らす
    魔女と交流をしたり、改めて魔女たちの生き方や
    魔女がひとの子どもを守る理由を綴った、
    優しさに溢れた、けれど少し哀しい物語。

    第一話 遠い約束
    第二話 天使の微笑み
    第三話 雨のおとぎ話
    第四話 月の裏側
    第五話 サンライズ・サンセット
    第六話 ある人形の物語
    エピローグ 貝の十字架
    あとがき

    とても、とても優しくて、愛おしさが
    いっぱい詰まった、温かい魔女たちの物語

  • 現代にも町の片隅でひっそりと生きている魔女たちは、その長い生の中で、いくつもの出会いと別れを見守ってきた。
    別れは悲しいけれど、避けられないこと。
    それをただ悲しいものにするのか、一歩前に進むきっかけにするのか。
    切ない話満載でしたが、このコロナ禍で読むと人の生き方について、また一段と心に響く感じがしました。

  • 魔女の七瀬はかつて少し住んだ海辺の街へ戻ってくる。その街を守るようにニコラという魔女も住んでいる。そこで知り合う人や、かつてそこに生きた人の物語。魔女は長く生きる、生きる故に悲しい別れもある。こんな物語に出逢えて良かったと心から思う。ファンタジーというジャンルではなく、心が温かく切なく泣きたくなる特別な物語。とても良かった。子供の時に、大人になっても読んでほしい、そんな本。

  • ひとの世界にそっと寄り添って生きている魔法使いのお話、7話。

    ファンタジーな世界が楽しめます。
    ふんわりと優しい、それでいてちょっと大人の哀しさも…
    長く生きている分、別れも多く、できることが多い分、できなかったことに悔いが残る。でも誰かのことを大切に想ってずっと心にのこるものがある、そんな優しい物語でした。

    ひとの子を見守りながら時に手を差し伸べてくれたりする魔女、町の片隅にそんな魔女たちに会えるカフェがあればいのにな、なんて想像が働いてしまいます。

  • 魔女は1000年生きる。それを読んで思い出したのは、萩尾望都さんの「ポーの一族」だ。彼らは時代の隙間を縫うように生き続けている。その存在を秘し、永遠の命の悲しみを背負いながら。
    ところが、七瀬は違っていた。人と関わらずにいられない。
    たとえそれが、七瀬にとって一瞬のことに過ぎなくても、忘れることはない。人も、他の生き物も、七瀬のことを忘れない。そして命が尽きても、お盆に人の姿になって戻ってくる。
    あらすじだけだと、なんとも味気なくなってしまうが、村山さんの文章は、もっと繊細で、細やかで、優しい言葉にあふれている。そして人生の本質や、人の持つ永遠に気づかせてくれる。
    ファンタジーのかたちを借りているけれど、ここにいるのは派手な魔法を使う魔女でもなく、人の世界に背を向けて生きている闇の存在でもない。まさに、「魔女たちは」人々の「眠りを守」ってくれる存在なのだ。
    時を超えて語られる物語は、魔女の目線から見れば儚い人生かもしれないが、決してそんなことはありませんよ、と優しく教えてくれる。

  • 『魔女の宅急便』や『魔女の旅々』といったアニメ作品にも似て、一つ一つのエピソードが色んな味わいを楽しめる紅茶の詰め合わせのような、とても温かさを感じる作品でした。

    同じ紅茶でも少しだけ色味が違ったり、時に甘く、時に甘酸っぱく、それでも読み進めていくにつれて美味しさが滲み出てくる。素敵な時間を過ごせたと思います。
    魔女という存在は、人々にとって砂糖のような存在なのかもしれませんね。

    ゆったりとした時間を紅茶と共に過ごしたい人にオススメしたい作品でした。

  • 表紙がすごく素敵。
    そっと私達の暮らしを見守ってくれている魔女たちのお話。
    魔女のお店にも行ってみたいし、会ってみたい。

  • 装丁がとても綺麗で雰囲気があり、こういったやつ大好き!と思わず手に取った本。
    外身も素敵ですが、中身もとっても素敵で、内容も心に優しく、ささくれ立つことが無く、かといって説教臭くも無い為読みやすく、穏やかな気持ちになれました。
    じんわり冷えた体を温めてくれるホットミルクのような本。

    以下凄く共感できた部分を抜粋。
    『そうして世界に誕生した一冊の本は、そこから未来へと、時を超える長い旅に出ることができる。その本に関わった著者や編集者をはじめとする多くのものたちがその生涯を終え、世を去ってしまっても、はるか未来まで辿り着く可能背のある旅人になる。』

    本当に、本は待ってくれると思うんです。
    それまでずっと面白い状態で、ずっと過去からあり続けて、私が読むときも変わらず面白い。
    世の中の流行等の移り変わりはあれど、本は変わらず面白いままで私を待っていてくれる。
    ずっとそう思っていたから、この文章を本書の中で見て、あぁ自分と同じように思っている人もいるんだと実感出来て嬉しかったです。

    • しろくま みかんさん
      装丁のことも、共感できた部分も、とてもよくわかります!私もこの作品、大好きです
      装丁のことも、共感できた部分も、とてもよくわかります!私もこの作品、大好きです
      2022/10/08
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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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