魔女たちは眠りを守る

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 584
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046047564

作品紹介・あらすじ

この世界の夜と眠りを守るのは、まるで天使のような、魔女たちでした―。

優しくて、愛しくて、涙が溢れて止まらない…
ささやかな日常をぎゅっと抱きしめたくなる物語。
人気作家・村山早紀が贈る奇跡のファンタジー小説!

―――

魔女はすべてを覚えている。
ひとの子がすべてを忘れても。どこか遠い空の彼方へ、魂が去って行こうとも。
そして地上で魔女たちは、懐かしい夢を見る。記憶を抱いて、生きてゆく。

その街は古い港町。
桜の花びらが舞う季節に、若い魔女の娘が帰ってきた。
赤毛の長い髪をなびかせ、かたわらに金色の瞳をした使い魔の黒猫を連れて。
名前は、七竈・マリー・七瀬。
目指すは、ひとの子たちが「魔女の家」と呼ぶ、銀髪の美しい魔女二コラのカフェバー。

懸命に生きて、死んでゆくひとの子と、長い時を生きる魔女たちの出会いと別れの物語。

―――

魔女たちの物語は、物語の形を借りた、わたし自身の想いであり、言葉でもあったのだろう、といまになって、気づいています。
何の力も持たず、歴史を変えられもしない、一本の糸に過ぎないわたしが、誰かのささやかな愛すべき日常に寄り添い祝福し、
不幸にして斃れたひとびとにさしのべたかった「腕」が、この物語だったのだろうと。
そう、わたしには魔法の力はなく、この物語もいつかは忘れ去られてゆくでしょう。
けれど、この物語にふれたどなたかが、ふと、これまで地上に生きてきた一本一本の糸に思いを馳せてくださるなら、
わたしの言葉はそのとき、魔法になるのだと思います。

村山早紀(「あとがき」より抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • 優しくて温かい一冊。

    魔女をテーマにしている作品だけれどさほど違和感なく受け入れられる世界。

    そう、すぐ隣にもしかしたら、さりげなくそばに…そんな錯覚さえ起こしてくれそうなこの塩梅、世界観が良かった。

    寄り添う言葉、人間と魔女との命の長さの対比、別れを繰り返しながらひとり生きていかねばならない魔女のせつなさも心に響く。「雨のおとぎ話」の優しさと温かい時間、「サンライズ・サンセット」のまた来年ね…に涙が流れた。

    読後は大きなてのひらを想像したくなる。

    夜、眠りにつく前に優しさ温かさを感じたい時に最適な装丁、物語。

  • ひとの世界にそっと寄り添って生きている魔法使いのお話、7話。

    ファンタジーな世界が楽しめます。
    ふんわりと優しい、それでいてちょっと大人の哀しさも…
    長く生きている分、別れも多く、できることが多い分、できなかったことに悔いが残る。でも誰かのことを大切に想ってずっと心にのこるものがある、そんな優しい物語でした。

    ひとの子を見守りながら時に手を差し伸べてくれたりする魔女、町の片隅にそんな魔女たちに会えるカフェがあればいのにな、なんて想像が働いてしまいます。

  • 魔女の七瀬はかつて少し住んだ海辺の街へ戻ってくる。その街を守るようにニコラという魔女も住んでいる。そこで知り合う人や、かつてそこに生きた人の物語。魔女は長く生きる、生きる故に悲しい別れもある。こんな物語に出逢えて良かったと心から思う。ファンタジーというジャンルではなく、心が温かく切なく泣きたくなる特別な物語。とても良かった。子供の時に、大人になっても読んでほしい、そんな本。

  • 日本の港町を舞台に一人の若い魔女?が登場し、様々な人達で出会いと別れを繰り返していきながらも懸命に生きていく物語です。
    若い魔女と黒猫といえば、あのジブリの作品を想像します。しきたりも類似していて、まさかと思いましたが、魔女の風貌はちょっと違い、落ち着いた雰囲気を醸し出していました。
    もしかしたら周りにいるのかも…と色々想像を掻き立てながら読んでいました。
    日本が舞台なのですが、どこか西洋のようなポワーンとした雰囲気を漂わせていて、あのジブリの作品に登場してくる町のような雰囲気がありました。

    ファンタジー小説ですが、日本の昔からある行事や昔の歴史を取り込んでいて、内容は日本的なのに西洋の雰囲気を醸し出しているというアンバランスなことが自分の頭の中で発生していて、面白かったです。
    出会いよりも「別れ」の方が強く描かれていて、哀愁の色が漂っているものの、芯がしっかりと強く生きている人達が多いせいか、重い気持ちにはなりませんでした。むしろ感動の方が強かったです。特に「お盆」の話がジーンときました。

    魔女や魂が宿るなど、文字にするとホラーな感じを想像してしまいますが、村山さんが描くと、ファンタジーに仕上がっていて、ちょっとした不思議な感覚がありました。
    最初は、ポワーンと温かく包み込むような感じでしたが、段々と後半になると、シリアスな方向へと進み、作品をキリッとさせてくれます。感動あり、冒険あり、歴史劇ありと色々なことがありながらも、全体としてファンタジー小説に仕上がっていて、ファンタジーとしての奥深さを感じました。

  • 「きっとみんな永遠なの。魂も、大好きだって想いも。」(本文より)

    誕生日に恋人から貰った本。物語は春からはじまって、梅雨、七夕、お盆、ハロウィン、クリスマスというふうに時系列に沿って進んでいく。最初から最後まで優しくて綺麗な言葉たちで紡がれていて、おまけに装丁まで美しいから、まんまとお気に入りの一冊になった。

  • 相変わらず著者様『らしい』優しい物語。

    さすが児童文学作家だけあって、十八番なんだろうなという印象。
    自分の街にも魔女がいると思えれば、もっと毎日が楽しくなるのかもしれないね。

    たとえば、この先、活字を追うことに疲れてしまうようなことがあれば、この本を手に取るようにと自分へのメモを残そう。

    かつて、小学校の図書室で物語に魅せられて、自分の世界に光が宿ったあの刹那を、これを読めばきっと思い出せるだろうから。

  • 永遠に生きることができる魔女たち。
    彼女たちは、こっそり人間の日常に紛れ込んでいて、人間にはわからないようにこっそり、災いや病気、事故から守ってくれている。
    時には自分の命と引き換えにしてまで…。

    実は私たちの生活はそんな優しい魔女たちに守られているのかもしれない。

    疲れたり、上手くいかなかったり、苛立ったり…自粛や物が思うように入手できなかったり…
    でもそんな時に今まで上手くいかなかったことが急に上手くいくときがある。
    まさに絡まっていた糸がするするとほどけるような感覚。
    私たちの日常もこっそり魔女に見守られているのかもしれない。

    疲れた気持ちを癒してくれる読後感の優しい小説。

  • ここのところ、魔女と縁がある。

    村山早紀さんのファンタジーは柔らかい。
    人とは違う時間の流れを生き、黒猫と共に旅を続ける七瀬や、その中でも随分長く生きて「魔女の家」を営むニコラ。

    ただ、この作品では魔女たちが所狭しと活躍するのではない。
    あくまで、人が築いてきた思いにぽとりとエッセンスを施すような、そんな存在に見えた。

    七瀬やニコラが人の願いに寄り添い、時には奇跡を起こすのは、その命の尊さに、いつかどこかで触れたことがあるからなんだろう。
    人も魔女も、一人きりでは生きにくい。
    心の中にでも、そんな誰かがいることが自分を優しく強くしてくれるような気がする。

    あとがきの村山早紀さんの言葉も良い。
    時に理不尽に命が奪われる世界で、魔法の使えない人間が起こす、物語という奇跡。
    私たちは、そんな架空の物語から、共感を覚えて、かけがえのなさを感じる。
    それは神様を信じることと、大きく違わないように思う。

  • 気づかずに守られている大切なもの。辛かったり怖かったり悲しかったりすることをちょっぴり軽くしてくれる。嬉しかったり楽しかったりワクワクしたりすることを気持ち膨らませてくれる。
    いたいのいたいのとんでけー これもそんなおまじない。
    いろんな魔女さんのいろんな思い フフフ (^o^)丿

  • 内容は暗かったり重い場面もあるのに、全体の印象としては優しくて綺麗。ふわふわ浮いてグッとこなかった。

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2020年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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