- KADOKAWA (2023年4月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784046054746
作品紹介・あらすじ
かつてないほど世界は複雑になっている。経済的な事象から世の中を読み解こうとしても、安全保障上の脅威がすべてを塗り替える時代になった。「経済安全保障」がビジネスの一大トレンドになっているのも、世の必然だろう。
そうした時代のなかで、いかに日本と世界の未来を見抜けばよいのか?
それを可能にするキーワードがある。「DIME」という言葉だ。
「DIME」とは、Diplomacy=外交、Intelligence=情報、Military=軍事、Economy=経済の4要素を組み合わせた国家安全保障の基本戦略である。そして、じつはこのDIMEに則って、アメリカや中国などの覇権国は国家戦略を組み立てていることが、本書を読めば理解できるはずだ。
ならば、日本はこのDIMEという概念をどこまで採り入れているのか? その歩みを学んだうえで、ビジネスパーソンはいま、いかなる視点をもつべきか。
米中経済戦争からウクライナ戦争、台湾有事まで、その裏側にあるメディアが伝えない核心を、マーケットにも精通するインテリジェンス研究の第一人者が描き出す。新しい「経済安全保障」の教科書。
第1章 国家の「独立」とはどういうことか
第2章 「覇権国家」は世界をこう捉えている
第3章 「戦後レジーム」と「独立国家の学問」
第4章 たった十年で劇的に変化した日米同盟
第5章 ウクライナ戦争を「DIME」で読み解く
第6章 企業が知るべき「経済安全保障推進法」
第7章 「有事対応」は日本企業の社会的責任だ
第8章 日本の安全保障史の試行錯誤に学べ
終章 戦前に失われた「I」を求めて
感想・レビュー・書評
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53 「ロバート・キヨサキ氏は、お金の流れを踏まえて人を4つの類型に分けている。employee(従業員)・Self employee(自営業者)Business owner(ビジネスオーナー)、Investor(投資家)というE・S・B・Iの4つ。
このうち、EとSは自分が働いてどう稼ぐかを考える人、逆に、BとIは人を働かせてどう儲けるかを考える人。これは経営者や投資家の発想で、実はアメリカや中国の指導者たちもこうした思想で、国際政治、外交を考えていることをまず知るべき」
つまり、国際社会には国際社会を主導する覇権国と、覇権国に従うその他大勢の属国が存在している。この覇権国と属国では、そもそも基本的な発想が違う。
57 改革の基本方針は、1945年9月20日、アメリカのトルーマン民主党政権が策定した「降伏後における米国初期の対日方針」
第一部「究極の目的」には、なぜアメリカが敗戦国の日本を占領するのか。
日本国に関する米国の究極の目的にして初期における政策が従うべきものを左のごとし。
イ 日本国が再び米国の脅威となり、または世界の平和及び安全の脅威とならざることを確実にすること。
ロ 他国家の権利を尊重し、国際連合憲章の理想と原則に示された米国の目的を指示すべき、平和的かつせきにんある政府を、究極において確立すること
初期における占領政策の究極の目的は、アメリカに従う従属政府を確立すること。占領後期になると、日本を「反共の防波堤」と位置づけ、一定の軍事力と経済力をもつことを容認する政策へと変更。
59 インテリジェンス、共産主義、軍事、国際政治、神道、神話、国体。修身、国史など、独立国家といして精神的・経済的独立を果たすために重要な学問的な基盤を、占領軍は日本を占領してわずか3ヶ月で禁じた。
67 安倍総理は、「終戦後の焼け跡から出発して、先輩方が築き上げた輝かしい戦後の日本の成功モデル」、つまり「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多く」が、「21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっている」という認識を示している。
この枠組みのことを、安倍総理は「戦後レジーム」と称したが、当時は「戦前への回帰」「復古調」「戦後日本の成功モデルの否定」などと批判された。
75 尖閣事件、日本に大きな教訓を残した。
①尖閣諸島をめぐる日中対立で、中国側はいざとなれば、中国でビジネスをしている日本人をスパイ容疑で逮捕したり、レアアースといった重要物資を禁輸したりといった報復措置を容赦なくとる
②中国は米中による太平洋分割構想をもっていて、日本を含む太平洋地域を自らの影響下に置こうとしている
81 2012年12月、第二次安倍政権が発足すると、翌2013年の通常国会に日本版NSCに関する法案を提出し、その年の12月、日本版NSCが創設された。日本版NSCは首相が議長を務め、内閣官房長官、外務大臣、防衛大臣が中核メンバーとなり、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣および国家公安委員会委員長らも随時参加し、「国防の基本方針」や「防衛計画の大綱」「国家安全保障に関する外交政策」などを決定することになった。
関係省庁が総理大臣主導の下、一堂に会して国家安全保障について定期的に会議を行い、「国家安全保障戦略」を策定・推進する。
歴史を振り返れば、外交交渉だけでは紛争を回避できなかったケースは山ほどある。
軍拡に対して軍拡で対抗して結果的に戦争になった事例も数えきれない。
国際社会、特にアメリカや中国は、外交や軍事だけでなく、経済・貿易、そしてインテリジェンス(情報)を組み合わせて国家安全保障戦略を策定し、懸命に自国の国益、自国の国民と企業を守ろうとしている。
外交・・・外務省
軍事・・・防衛省
金融・財政・・・財務省
通商・経済・・・経済産業省
通信・サイバー・・・総務省
海上保安庁・空港・港湾・・・国土交通省
米中で戦争が起きたら
①外務省を使って外交交渉をする
②防衛省を使って軍事的に中国を恫喝する
③財務省を使って中国共産党幹部の資産を凍結する
④経済産業省を使って中国企業をアメリカ市場から追放する
101 「非核三原則」が事実上、「非核2.5原則」に変更。
2010年、岡田克也外相が「緊急事態が発生し、核の一次的寄港を認めないと日本の安全が守れないというような事態がもし発生したとすれば、そのときの政権が政権の命運をかけて決断し、国民に説明する」という趣旨の答弁をした。
いざとなれば、日本国内への核の持ち込み容認すると示唆。
124 2022年2月24日、ロシア軍がウクライナ東部への侵攻を開始。ロシア側の作戦は大きく2つ。
①新ロシア派の住民が多いとされるウクライナ東部のドネツク・ルンスク2州を併合
②首都キーウに圧力をかけ、ヨーロッパ寄りのゼレンスキー政権を失脚させ、代わって親ロ政権を樹立すること。
130 NATO側から見れば、ウクライナがロシアから軍事攻撃を受けたとしても、集団安全保障の枠外だから援軍として動けない。NATO加盟国はいずれも民主主義国家だから、同盟国以外の戦争で自国の兵士を失うことは許されない。事実、クリミア半島併合の際はNATOのみならず西側としてもほとんど対抗できなかった。だから今回も動けないと、ロシアは踏んでいた。
しかし、今回は違った。軍事行動は起こさないものの、NATOはウクライナへ積極的な武器供与という形で支援に回った。
142 ロシアが敗北しない理由
①天然資源に代表される経済力
②世界的なエネルギー価格の高騰
ヨーロッパ各国は経済制裁として天然ガスの輸入を差し止めているが、それが諸刃の剣で供給不足に苦しみ、エネルギー価格を押し上げている。
米ソ時代の末期、アメリカのレーガンがサウジアラビアに最新の武器を供与。イスラエルやアメリカ国内のユダヤロビは猛烈に反対したが、それをレーガンは押し切った。代わりに席の増産を要求するため。
その結果、世界最大の産油国であるサウジは増産に踏み切り、世界の原油価格は暴落。これによって産油国ソ連の財政は悪化し、軍拡に耐えられなくなり、ゴルバチョフは財政再建のためにペレストロイカを志向。
154 経済安全保障推進法
2022年5月に岸田政権が成立させた。安全保障の観点から、有事や緊急事態においても経済をいかに維持するのか、また、敵対国による産業スパイから日本の技術をいかに守り育てるのかという観点で、包括的な対策を強化するためのもの。
①サプライチェーン(供給網)の強靭化
②基幹インフラ(社会基盤)の機能維持
③特許の非公開化
④技術基盤の確保
159 「中国製造2050」とは、中国を世界の製造強国に導くための産業政策で、2049年までに3段階の戦略目標が掲げられている。
①2025年までに「製造強国への仲間入り」
②2035年までに「世界の製造強国の中東水準へ上昇」
③2049年(建国100年)までに「総合的実力で世界の製造強国の先頭グループへ躍進」
213 有事法制とは、戦争局面における自衛隊の動き方を定めた法律。
今までは、緊急時に戦車部隊が出動して市街地に入った場合、自衛隊員がビルや市有地に侵入して戦闘に入ると、住居不法侵入罪に問われかねなかった。
自衛隊が地域住民に避難を呼びかけても、住民側がそれに従う義務はなかった。当然ながら交通規制も必要だし、原子力発電所など重要施設の警備も強化しなければならない。電波の管理も欠かせない。これらを防衛省・自衛隊が各省庁にお願いしても、各省庁は拒否できた。
217 NSCは、総理大臣、官房長官、防衛大臣を含めた各大臣による会議。同会議の下、総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣による四大臣会合の仕組みもつくられた。これは、日常的に軍事や安全保障について議論する場。この会合の新設により、ようやく有事の際にさ35歳前後の課長による「事態対処小委員会」が仕切る仕組みから解放され、官邸主導によるトップダウンの体制が整った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の安全保障について重要なこと等がわかった。
著者プロフィール
江崎道朗の作品
