ウクライナ戦争は世界をどう変えたか「独裁者の論理」と試される「日本の論理」

  • KADOKAWA (2022年8月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784046059314

作品紹介・あらすじ

『豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス』ウクライナ戦争関連動画、総PV3000万超。
テレビ東京報道局元モスクワ支局長が、自身の人気番組をベースに全面緊急書き下ろし!

◎被害者意識にとりつかれた「ロシアの論理」を歴史から理解する
◎なぜロシア軍は“弱い”のか? サイバー空間でも不利なのか?
◎NATO、北欧諸国、米中……ウクライナ戦争が変えたパワーバランス
◎“台湾戦争”想定シナリオと、左右の対立を超えた日本の安全保障の未来像を提示

ウクライナ戦争の戦況と歴史的背景、米中、日本への影響までを1冊で理解できる。
深く、分かりやすい解説で圧倒的反響を呼ぶ気鋭の報道記者、初の著書。
必読のノンフィクション!

みんなの感想まとめ

ウクライナ戦争をテーマにしたこの書籍は、戦争の背景や現状を歴史的視点から多面的に考察し、読者に深い理解を促します。著者は経験豊富なジャーナリストで、徹底した取材に基づく解説が魅力です。特に、ロシアの戦...

感想・レビュー・書評

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  • 長いけど分かりやすい。
    欲しい情報がぎっちり詰まってる。セカンドオピニオンは必要だろうけど、この一冊でお腹いっぱい。さすがメディアの人。池上彰さんのようなふむふむ感が満載。

    前半はロシア・ウクライナ戦争で、後半まるまる台湾有事について(作者は敢えて「台湾戦争」と呼ぶ)。日本が嫌でも巻き込まれるシナリオを生々しく語る。YouTubeでも中田敦彦さんが解説しているので観た人が多いのでは。内容はそちらで。

    この作品の一貫したテーマは「論理」。
    戦争の論理は被害感情から始まるという。汝、平和を欲するならば戦さの備えをせよ。これはローマ時代からある人類の財産で、今日でも平和の論理だ。私たち日本はその両方から外れる特殊な存在に違いない。

    ── 安全保障をめぐる戦後の日本の論理は平和主義だった。これを論理と呼べるかは別として、戦争を絶対的な悪として、いかなる条件においてもそれを拒否する考え方である─


    戦争への激化を抑止する唯一の方法は対話。つまり相互理解。その中身は歴史を知り、政治を理解し、経済を把握し、活発に議論し、選挙に反映させて国を動かすことだと作者は言う。
    おっと出た。選挙。やっと「私」が関われるのか。

    なら選挙に行かんかい!とはもはや言いづらい。
    選挙の有効性を疑っている人も多いのでは。これは成田悠輔さんの受け売りながら、SNSと多様性の時代にハガキを持って投票所へ足を運び、特定の候補者の名前を紙に書いて箱に入れる。これで民意の反映と呼ぶのか。

    もちろん戦争は殺人。私はイヤに一票入れたくなる。しかし家族がレイプされて銀行口座が吹き飛んで自宅から焼け出されてから殺してやると叫ぶくらいなら、なぜ備えをしなかったのかと悔やむだろう。もっと議論できなかったのかと。

    エスカレート・デ-エスカレーション(エスカレートさせないためのエスカレート戦略)はさらに対極となる論理。一発殴って黙らせる核武装の推進。地球の破壊ショーになりかねないので、その中間あたりに着地点となる論理を見つけなくてはならない。

    暴走しない強い軍隊をどう維持するか。国家の話し合いは力のない国にはテーブルも用意されない。日本はイスがあるのにどうぞどうぞ状態だと見られている。

    終章ではこうした「平和の責任」についても語られる。これがまた熱い。いま私たちが子どもらの将来を形作らないと責任の先送りになる。負の遺産を残した既得権者たちの安らかな死は見飽きた。現役世代の苦しみは、現役世代で解決させてほしい。長老の論理はいらない。


    これを読む前は、台湾戦争が勃発すれば世論も変わるでしょうと他力本願に同調していた。変わる前には間違いなく政治が混乱する。その空白で趨勢は決すると作者は警告する。スポーツでも混乱したチームほど勝てる確率は低くなる。試合前から立て直す練習をしておくのは定石。ロシアに攻め込まれたフィンランドもウクライナも、それをやっていたから生き残っている。

    日本の防衛費は中国の5分の1以下。そこは同盟があるじゃん、の論理は実は崩れかかっている。プーチン大統領の失策、それを間近で見た習近平主席の野心を見せることで私たちをイスに座らせたい。そこに作者の意図がある。と思える。

    タブーをタブー視しないで、当たり前を突破する。選挙を変えて、リーダーを育てる。そのためには何ができるか。サピエンスは力を合わせる方法を変えることができる唯一の動物だとか。過去に学び、未来の正解を想像する。

    将来への考えにものすごく集中できた良著。

    まずは投票所で「オレ」って書こうっと。(バッカだね〜相変わらず)

  •  ウクライナ関係の本は多数あるので迷うが、この本は偏った見方をしていないので良いと思いました。

  • すごく読み応えがある本だった。歴史も地理も苦手な私としては、本書を通じて初めて知ることが多かった。
    普段どれだけ不勉強かと自覚したのだが、とにかく一気読みしてしまった。
    2022年2月24日にロシアがウクライナに対し軍事侵攻してから始まった「ロシア・ウクライナ戦争」であるが、本書が出版されたのは2022年8月。それを2024年5月に読了した訳であるが、この時点でも本戦争は終結していない。
    開戦からわずか数ヶ月の期間で、このボリュームを書き上げるのは大変だったと思うが、当然長年の記者として活動した部分の蓄積もあったのだろうと思う。
    相変わらずこの戦争がどういう結末を迎えるのか、今もって予想できない状態だ。
    21世紀の現代で、こんな戦争が起こるとは想像もつかなかったが、問題はこれが対岸の火事ではないということだ。
    まずはロシア側がこの戦況に対してどう出るか、プーチン大統領が戦争終結に向けてどう判断するかで、実は第三次世界大戦の引き金が引かれる可能性があるということ。
    実は「人類の危機の崖っぷち状態」ということを認識する必要がある。
    この辺は本書内でも解説があるが、ロシアがもし不利な戦況になっていて、その打開のために核を使用することなってしまったら、そこで引き金が引かれることなる。
    考えたくもないことであるが、プーチン大統領に権力が集中し過ぎているという現状で、たった1人の判断が暴走しないとも限らない。
    現に戦争に突入したのも、すでに暴走と言えるのではないか、という分析すらある。
    それだけ独裁者の行動は計算通りにいかない。
    更に言えば、独裁者の決断を止めさせることは、誰を以ってしても難しいということである。
    独裁者の周囲には、反論を唱える人物もいなければ、建設的な意見を交わして議論を出来る側近もいない。
    周囲をイエスマンで固めた状況の中で、正しい判断というのが根本的に出来るものなのだろうか。
    その意味でも、実際にこの戦争がどう転ぶのかは、誰にも想像しようがないということなのだ。
    そして我々にとって対岸の火事ではない要因がもう一つある。
    それは、一見無関係そうな「台湾侵攻」が、実は大きく関係するということだ。
    もちろんロシアが台湾を責める訳ではなく、この場合は中国の動きということになる。
    中国は、ロシア・ウクライナ戦争の行く末を、とにかく詳細に分析している。
    ウクライナ戦争は、中国の台湾侵攻と重なる部分が相当にあるからだ。
    「かつての領土を取り戻す」という自国の正義を掲げて侵攻したが、それによって国際社会はどう反応したか。
    アメリカや他の民主主義国家は、どういう軍事的な対抗を仕掛けてきたか。
    どこまで対抗してきて、どこのラインから踏み込んでこないのか。
    軍事対抗だけでなく、経済的な制裁はどういうやり方で行ってくるのか。
    他にもサイバー攻撃や、フェイクニュース、ディスインフォメーションの対応についてなど。
    中国が台湾侵攻を現実的に考えた時に、どういう攻め方なら勝てるのかを詳細に考えている。
    戦争とは、絶対に負けてはいけない戦いである。
    つまり、戦争に発展する段階で、絶対に勝つ状態になっていないといけない訳である。
    そういう意味でも、ロシア・ウクライナ戦争はとても良い事例となっているはずだ。
    ロシアのウクライナ侵攻に対し、世界がどう反応したのかを、大国中国はよく観察し分析している。
    様々なリスクを天秤にかけても、台湾を本当に獲りにいくのか。
    現実的に、勝利して台湾は獲れるのか。
    中国側がどういう計算式を導き出しているかを、我々側も逆読みしなければいけない。
    外国で行われている戦争だからといって、侮ってはいけない。
    台湾侵攻は起きてから対応したのでは遅いのである。
    現状を正しく認識し、怠ることなく冷静に万全の準備をしておくことが大事だと思う。
    本書を読んで感じたのは、改めて歴史認識についても正しく持つことが必要だろうということだ。
    そもそも戦争に発展すること自体、過去からの因縁が折り重なった結果なのだ。
    昨日今日の諍いだけで戦争になることは、まずあり得ない。
    ロシア・ウクライナ間の歴史を知ることも大事だと感じたし、当然日本周辺国の歴史を我々は正しく認識しているのか、と反省した次第だ。
    つまり歴史の勉強は絶対にするべきである。
    私が30年以上前に社会の教科書で学んだ「東欧」と言われた旧ソ連系陣営は今ではすっかり形を変えている。
    すでに力関係が大きく変化している情報を、私自身がアップデートをしていないのは相当に問題である。
    当然日本で言えば、中国・北朝鮮・ロシア・韓国とは海を隔てているとはいえ、隣接している。
    今現在の力関係はどういう状況なのか。それがこれからどうなっていくのか。
    ここはきちんと反省して、勉強し直す必要があると感じた。
    今回のロシア・ウクライナ戦争をきっかけとして、本書を通じて東欧の歴史も知ることができた。
    フィンランドの話なども非常に参考になるし、ドイツ-ポーランド-ウクライナ-ロシアの関係についても歴史をみてみると非常に複雑で、国境が何度も何度も引き直されている。
    結局世界は想像以上に複雑なのである。
    物事を安易な発想で見ては絶対にいけない。
    そうして世界を見回してみても、日本は特殊な環境と歴史を持っていると言わざるを得ない。
    日本は単一でなおかつ連続した国家の形式としては、世界最古だという。
    少なくとも2000年以上続くと言われているくらいだ。
    文字がなく記録としても残されていないずっと昔から、一度も国家として滅びずに現在に至るまで継続している。
    これだけを見ても、日本は特殊としか言いようがない。
    だからこそ世界の常識からはズレている部分があるのかもしれない。
    例えば日本国民に次の問いかけをした場合、どういう反応になるだろうか?
    ●例えば北海道がロシアに占領されて、日本が南北に分断されたら?
    ●九州全土が一致団結して、独立国家設立を宣言したら?
    ●日本が東西に分かれて内乱となり、大阪を首都とする西日本と、東京を首都とする東日本で別々の国家となったら?
    これらの話を聞いて、SFやマンガの話と思うかもしれない。
    「そんなこと一度も考えたことない」と答える人が、ほとんどなのではないだろうか。
    これらはほんの一例であるが、当然日本の歴史上で、上記のようなことが起きたことは一度もない。
    日本維新の会が大阪都構想を掲げているが、独立国家を目指したものでは決してない。
    我々日本人の感覚からすると、「あり得ない」ということになるが、世界で見たらこれらの話は普通の歴史なのである。
    今の日本の感覚で見たら「元々は同じ民族なのに、独立のために民族同士で戦うなんて信じられない」という感覚になるかもしれない。
    しかし、世界では、同じ民族同士でも争っている例は枚挙にいとまがない。
    (むしろ同族だからこその憎しみだって存在する)
    当然、ロシア-ウクライナだってそうである。
    ウクライナ東部のドンバス地域は、ロシア語系住民が暮らしていて、ロシア側の論理では「ウクライナにあるのがおかしい。住民は迫害されているから取り返す」となっている。
    当然、中国-台湾だって、元は同じ民族と言える。
    (中国は国土が広いため、元々多数の民族が混在している。純粋漢民族同士かと言われれば異なるかもしれないが、その辺の考え方は学術によっても異なると思う)
    身近な韓国-北朝鮮だって、現実的に南北に分断されたまま、統一される様子はない。
    日本は周囲を海で囲まれているために、国境線に大きな変化がないように感じるが、同じような島国でも、イギリスは元々4つの国だったりする。
    オーストラリアだって、先住民アボリジニと、ヨーロッパからの入植者との関係は今でも複雑だ。
    歴史に「もし」は無いというが、日本だって状況次第によっては、今の国境線が大きく変わっていた可能性はある訳だ。
    もちろん過去の話だけでなく、未来においても、今の国家体制が永遠に続く保証は実は無い。
    当然、相当なことが起こらないと国家が滅びることはないと思うが、「安心はできない」と緊張感持っているくらいがちょうどよいのかもしれない。
    難しい問題ではあるが、読書をきっかけにして知識が広がり、思考を深めるきっかけとなった。
    脳内お花畑のような平和主義では、有事の際に生き残れない。
    戦争とは、こちらが起こす気がなくても巻き込まれるものである。
    いつ何が起きても万全の準備をしておくことが、本当に大事なのだと思う。
    (2024/5/7火)

  • 名著。これは買ってよかった。寡聞にしてこの著者のことを存じ上げなかったがYouTubeが有名な様子。チェックしてみよう。経験豊富なジャーナリストが徹底した取材に基づいて書いたノンフィクションはかくも面白い。

    前半はずばりウクライナ戦争そのものについて。ロシアが戦争を始めた背景、なぜ戦況が長引いているのか(イコールロシア軍がそこまで強くないのか)の分析、対峙する欧米の反応についてなどウクライナ戦争の概要を掴むには十二分の内容。出た当初に読みたかった。

    後半は中国の台湾戦争の予測シナリオと対策、そして突き付けられる日本の課題について。リアリティを持って語られる戦争のシナリオはこの部分だけでも読む価値充分と言えるもの。実際に起こってほしくはないが、起こり得るものとして我々日本人は思考しなければならないのだろう。

  • 【はじめに】
    テレ東Bizの動画でウクライナ戦争に関する情報を積極的に発信をしていた豊島晋作。動画もほとんど見たと思うが、フェアな視点で安心して見ることができた。報道局の元モスクワ支局長を務めていてロシアの状況にも通じている同氏が、まだ終りの見えないこのタイミングで書籍にまとめたものだ。

    【概要】
    本書の構成は以下の通り。

    第一章 ”終末の時代”再び
    第二章 ウクライナ戦争はなぜ起きたか
    第三章 戦時下のウクライナから
    第四章 ”ロシアと戦う国々”の論理
    第五章 プーチン大統領暗殺は起きるか?
    第六章 中国・習近平の「台湾侵攻」
    第七章 試される「日本の論理」

    第一章では現状の分析を行い、ロシアがなぜ戦闘初期において敗れてしまったのか、そしてこの先に核兵器の使用がありうるのかを分析している。ロシアは単純に兵站の問題や制空権を取れなかったという誤算、情報戦における劣位などが挙げられている。そして、ロシアの核兵器の使用の可能性を軽視するべきではないと警告する。もちろん期待も込めてその可能性は低いとしながらも核戦争が起こるシナリオはゼロではないとして、この章のタイトルを”終末の時代”再びとしている。
    続く第二章は、歴史を振り返り、ロシアがこの戦争を起こすに至った論理を整理している。ウクライナとロシアの関係を考える上では複雑な歴史と、第二次世界大戦の独ソ戦の記憶を抜きで語ることはできない。ロシアは本質的に無秩序よりも強い独裁者を求めているのだという言葉もその背景を踏まえると悲しくかつ恐ろしい。
    第三章はウクライナから見たこの戦争を取材の結果も踏まえて描写する。戦争による大気汚染がひどいというのは実際にその場にいる人でないとわからないことだ。
    第四章はこの戦争をめぐる国際関係を論じている。NATOに関する分析が重きを占めており、NATO拡大の抑止の観点ではウクライナがその意を強くするであろうことに加えて、フィンランド、スウェーデンが加盟申請をしたことでプーチンの思惑が大きく外れてしまった。白眉とも言えるのが、アフリカ諸国の分析である。ケニアのキマニ大使による感動を覚えるようなスピーチとともに、多くの国がロシアを非難「しない」側に回ったという現実にも目を向ける。また、インドもロシア非難の決議で棄権に回ったことにより、世界人口の半分はロシアを非難していないということも指摘する。日本での報道はある程度は西側の論理に沿ったものであり、世界には他の見方も存在するのだということを忘れるべきではないのだ。
    第五章はプーチン暗殺の可能性を論じている。ナチスドイツでもヒトラー暗殺の試みは行われたのだから、可能性はゼロではない。しかし、結論としてその可能性どころかプーチンを権力の座から引きずり下ろす勢力も見当たらないとしている。
    第六章が、ウクライナ戦争が与える影響として日本の立場から最も注視しなければならない事項として著者が挙げる「台湾侵攻」である。中国は、ウクライナの状況を見て台湾侵攻に当てはめてシミュレートしていることだろう。間違いなく中国は、台湾侵攻の「意図」と「能力」を有している。ウクライナが起きたのであれば、台湾で同じことが起きないということはできないと考えるべきだろう。
    第七章は、それを受けて日本が何をするべきかを著者なりにまとめたものである。台湾侵攻についてリアリティをもって事前に考え、準備することを主張している。ここで、著者は明らかに現実主義者であり、軍備強化とそのための法整備に傾いているように見える。ウクライナの本でありつつ、著者の主張したいことはこの章に凝縮されているのではないか。

    【まとめ】
    しっかりとした分析を、筋道立ててわかりやすく説明している。著者の主張も明確だ。おそらく結果論も含めた批判も覚悟しているだろう。骨太の本だと感じた。引き続き動画も出していくだろうから注目をしていきたい。

  • 【星:4.5】
    ウクライナ戦争を題材として、日本を取り巻く世界情勢を分かりやすく説明してくれている。

    この本を手に取ったのは、ウクライナ戦争がなぜ起こったのかを知りたかったからであったが、その点については当然に詳しい説明がなされている。
    その説明も、これまでの歴史やその歴史を踏まえたプーチンの考え方など、多面的な考察がされており、かつその説明も多すぎず少なすぎずでちょうど良い。

    そして、ウクライナ戦争を踏まえ世界がどう動くか、そしてその動きに対する日本の課題への説明と繋がる。
    ここでは台湾有事を中心に説明されており、日本として危機に直面していることを今更ながらに実感することができた。

    世界情勢については感度を養える素晴らしい1冊であった。

  • 名著。
    Youtubeはあらかた見ていたが、読んでよかった。

    話が分かりやすい人は文章も分かりやすいのだと感じた。

    印象的だったのは、後半の台湾戦争の予想シナリオと、その時に日本がどんな立場に置かれうるかの部分。

    日本の自衛隊が法的にいかに微妙な立ち位置にあるか、また時の政権がいかに難しい決断を迫られることになるかがよく理解できた。

    果たして今の国会議員達がこの国難を乗り切れるのかという点で、非常に不安になった。(下らない足の引張り合いで徒に時間を費やし、亡国の憂き目に遭う気がしてならない…)

  • テレ東の名物ニュースキャスターである豊島晋作氏の本。著者はテレビやYouTubeでも積極的に情報発信をしているため、本作の一部はすでに見聞きした内容であったが、新しい内容も多くあった。

    ロシアの変遷と彼らが抱える怯え、バルト三国やフィンランドといったロシアと国境を接し、歴史的に戦争経験もある国々の思い。第三局としてのインドやアフリカといった国々の思惑等、ウクライナ戦争を舞台に地政学的な解説が続く。

    最終的には台湾戦争という将来起こりうるリスクと戦局、その際の日本の立ち位置等具体的な部分まで突っ込んだシミュレーションがされている。

    国際政治の興味深さと普段真聞きしているニュースの限定性について改めて考えさせられる内容であった。

  • テレ東bizを見てから豊島さんのファン
    ここまでリサーチできる力とそこから冷静に状況を説明できる客観性は毎度お見事

    もし台湾戦争が起きてしまった時、日本があらゆる言い分を用いて一ミリも戦争に参加しない場合、日本人は命を落とさないかも知れないが、何十年にも渡って台湾という盟友を見捨てた国家として、国民は更に誇りを無くして生きていくことになるのではと思ってしまう

    もちろん何も起きないことが一番

  • 読むきっかけは英会話の先生からのアドバイスでした。
    「日本ではこんな良い本が出ているけれど、君の周りでは読まれているのかな?」という煽りのような質問。
    「いえ、名前も聞いたことがありません」と返すのが精一杯でした。

    普段は古典を中心に読んでいるので、発刊されて1年以内の本を読むのは新鮮です。出てくる時期、ワード、状況がテレビの報道と一致するからです(古典の場合は、数十年、数百年前の事情を考慮しないといけません)

    その新書で読んだテーマは、ウクライナに対するロシアの侵略について。

    なぜロシアの電撃作戦が足止めを受けることになったのか?
    どうしてウクライナは、小国ながら大国ロシアからの猛攻に耐え、局地的には押し返しているのか? 

    そういった直近の話題から、ロシア、独裁者プーチンが侵略を決めるに至った、歴史的な経緯までを平易な文章で説明してくれます。

    この「歴史的」という部分がこの本の骨子だと評価しています。

    何が起きているかはー偏向報道であることを認めつつもーニュースを見れば理解できます。
    ですが、普段ニュースでは取り上げられない過去、時間をさかのぼった事情をこの本から理解すると、今回の侵略は無為無策ではなく、何かしらの理由と原因があるとわかるのです。
    ロシアが持つ「悲観的」な歴史感、プーチンが感じるNATOの裏切りなどが興味深いですね。

    また、作者の豊島さんは似た事例でノルウェーやバルト三国といった近隣の「ロシアに国境を面した」国々の決断、遍歴を文中で取り上げ比較をしています

    ウクライナを軸に据えながら、ヨーロッパの地政学についても紐解く。最終的には、同じくロシアを隣国として持つ日本についても意見を展開します。

    「これは他人事ではない」という感覚が芽生えます。

    10年後、この本で書かれていたことの一部は、誤った解釈と評価されるかもしれません(本人もそれは自覚されています)
    長年読み継ぐためではなく。むしろ、今読んで、今の私たちの意見を洗練させるために読むべき本です。

  • 大変参考、勉強になった。
    執筆時点で収集可能な公開情報に基づく分析がなされているとのことだが、ウクライナ戦争の歴史的背景、台湾戦争(有事)の可能性やシナリオが非常にわかりやすく書かれている。国際的な紛争は、各国が有する加害者意識と被害者意識、各国の「意図」と「能力」で引き起こされるという説明は納得が行く。
    考えたくはないが、台湾戦争は「いつ起きるか」の問題という認識は我々日本人は持っておくべきなのだろう。

  • 初心者向きでわかりやすい

  • まず「とても読み易い」というのが第一印象で、著者が論文を書き慣れてるんでしょうね。たぶん大学・大学院にたくさん論文を書いて訓練したのだろうと感じました。
    内容は時事的なものなのですぐに陳腐化してしまいそうですが、とはいえ、最後の『台湾戦争』についての記述は、まだ変わらず価値のある警鐘だと思います。

  • なぜロシアはウクライナに侵攻したのか、歴史的な背景と共に的確に教えてくれるとても良い本。プーチン暗殺の可能性なんかも考察してくれているのが面白い。
    合わせて世界の成り立ちや、アフリカの立ち位置、日本が台湾戦争(あえて有事ではなく戦争と言う)があったときにどう対応するのかというシナリオの検証など、盛りだくさんでした。
    少し時間が経って情勢は変わりつつあるけれど、お薦めです。

  • ロシアによるウクライナ侵攻開始から半年も経てない時期に書かれた本だが、一年半が過ぎた今も通じる議論をしている。
    ロシアがウクライナに侵攻した論理や歴史的背景、戦時下のウクライナの生活、ロシア軍の苦戦について現場の詳しい情報や核戦略、西側やアフリカ諸国の論理、プーチン暗殺の可能性、中国による台湾侵攻シナリオなど、よく取材されているし、読みやすい。

  • テレ東の豊島さんの著作。なぜロシア軍が苦戦しているのか、台湾有事が起きたらどうなるのか、日本はこれから何をすべきなのかなどが簡潔にまとまっている。文章が固すぎないのでとても読みやすい。「戦争の最初の犠牲者は真実である」という引用が印象的だった。

  • ウクライナ戦争が始まってから、ずっと豊島晋作のテレ東ワールドポリティクスを見て学んでいるものとして、非常にありがたい本だった。

    世界は思っている以上に複雑で、危ういバランスの中で成り立っていることを知った。もう少しみんなで譲り合ったり認め合ったりできなかったのかと悲しくなった。

    それぞれの国にそれぞれの論理があり、それぞれの正論がある上で世界は成り立っているのはとてもよく理解できた。日本もいまの環境を維持していくためにたくさん議論すべきことがある。この本はそれを考えるきっかけと危機感を私に与えてくれたと思う。

    軍事費を増やすと言う話にも、ただ武器を買うだけが増強じゃないのは大きな気づきだった。日本もサイバー対策や設備のリニューアル、法の整備など必要なところにお金を費やすことは大事だと感じた。

    ただ、それでも軍備じゃない何かで国力を高める方法はないのかと言いたくなった。抑止力っていうのは安全保障を高めるしかないのかなぁ。

    人は結局戦ってしまう生き物なのだろうか。
    隣の国とは結局仲良くなるのは難しいのか。

    歴史も含めていろんなこと知って、いろんなことを考えていきたい。

  • 秀逸な一冊、中学生以上の日本国民に読ませたい一冊。有事の際は憲法などアメリカには関係なく参戦させられるだろう。その時、危機管理のない平和ボケした政治家は何をどう判断するのか?
    蚊帳の外の問題ではなく火の粉がすでに降りかかっている。日本人よ、考えよう!

  • 動画を一切見ない私だが夫がいつも見ているYouTubeでテレ東ビスの豊島さんのシリーズはちょくちょく見ている。
    豊島さんのキャラや声が好きだなぁといつも感じる。

    本書にもあったようにウクライナ戦争は実際に軍事進行を実行してしまう事実を目の当たりにしたこと。
    そしてロシア軍が想定されていたよりも弱かったこと。この2つを明確にしたのだと感じる。

    戦争が起こる背景はいろいろあると思うし、私は全くその辺の知識がないため明確な事は言えないが、1つの要因として地政学があるように感じる。

    地理的な関係においてロシアは長い歴史の中で被害を受けてきたし、その歴史を考えると今回の戦争も起こるべきして起こったように思えてならない。

    そして今回の戦争で日本は完全に西側として生きていく事を表明したと感じているし、この戦争が対岸の火事ではなく中国との関係においてこれからどのような対応をしていくのか決断を迫られる時がすぐそこまで来ているのだと感じる。

    ====
    ジャンル:グローバル
    出版社:KADOKAWA 出版社ページへ
    定価:1,650円(税込)
    出版日:2022年08月02日

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    豊島晋作(とよしま しんさく)
    1981年福岡県生まれ。テレビ東京報道局所属の報道記者、ニュースキャスター。2005年3月東京大学大学院法学政治学研究科修了。4月テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸や与野党を取材した後、11年春から経済ニュース番組WBSのディレクター、同年10月からWBSのマーケットキャスター。16年から19年までロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカ、中東などを取材。現在、Newsモーニングサテライトのキャスター。ウクライナ戦争などを多様な切り口で解説した「豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス」の動画はYouTubeだけで総再生回数4000万を超え、大きな反響を呼んでいる。

    ====
    flier要約
    https://www.flierinc.com/summary/3157

  •  ウクライナ戦争開戦(2022/2/24)前から、たまたま見ていた「テレ東Biz」の豊島キャスター著作。開戦半年という絶妙のタイミングで出してきた。
     振り返るつもりで読んでみたが、もはやかなり先を見通して、中国台湾戦争勃発を視野に、如何に日本は論理を組み立てていくかというところまで話している。

     第1章、2章は開戦に至る経緯などの反芻にほどよい。
     第3章「戦時下のウクライナから」は、テレ東BizなどメディアでUpdateした情報収集したほうがよいかな(7月以前の情報で、2か月ほど古い)。第4章「ロシアと戦う国々の論理」は、もはや参考程度に。
     第5章「プーチン大統領暗殺は起きるのか?」は、ちょっとセンセーショナルで中盤の山かなと読んだが、できるかできないか、できるとしたら何を根拠に、どんな状況なら、という、あくまで思考訓練的なお話だった。

     我々、日本人として重要なのは、最後の2章だろう。ウクライナ戦争は、あの地域だけの話ではなく、大国ロシア、隣国ウクライナの関係は、中国=台湾間に置き換えて考えるべきという話だ。

     第6章「中国・習近平の台湾侵攻」。
    「世界経済は、アメリカ、中国のふたつのエンジンで飛ぶ飛行機である。両国で世界のGDPの約40%を占める。世界全体の2%にも満たないロシアとはレベルが違う。」

     この差をどうみるか?!
     一朝一夕に、すぐ開戦とはならないと見る向きが大多数だが、今は、その準備の段階だという論調で本書は書き進む。 本当の危機は2030年代だと。

     そして、恐るべきは最終章、「試される日本の論理」だ。
     2030年代に至るまで、その準備期間に、外交手腕、経済力、政治力を駆使した戦争回避の提案もあるのかと思ったが、中国が台湾侵攻を準備を始める第1段階から、戦争勃発の第2段段階、米軍参戦の第3段階、それぞれのシミュレーションと、そのための準備や、準備できない障害(法整備、軍事力、世論等々)を述べていることだ。
     もはや、台湾侵攻は不可避のことだと言わんばかりに・・・。

     ロシア・ウクライナ戦争の教訓のひとつとして、ウクライナ大統領の動きがある。

    「世界の指導者たちに、ゼレンスキー大統領は一つの発信のかたちを示したと言える。」

     日本の国家元首はこれが出来るか? あるいは、日本国民はトップを支持し、自らも国を守る強い意志、姿勢を示せるのだろうか?

    「人は、自ら困難を乗り越えて戦おうとする人を助けたいと考えるものである。ウクライナ人が自ら闘ったことが、多くの物理的支援につながったことは忘れるべきではない。」

     は、とても大きな示唆だと思った。
     湾岸戦争の時に、金だけ出して・・・と、世界的に評価されなかった当時が思い出される。

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著者プロフィール

1981年福岡県生まれ。テレビ東京報道局所属の報道記者、ニュースキャスター。2005年3月東京大学大学院法学政治学研究科修了。4月テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸や与野党を取材した後、11年春から経済ニュース番組WBSのディレクター。16年から19年までロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカなどを取材。現在、Newsモーニングサテライトキャスター。ウクライナ戦争などを解説した「豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス」動画はYouTubeだけで総再生回数4000万を超え、大きな反響を呼ぶ。

「2022年 『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか 「独裁者の論理」と試される「日本の論理」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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