日本人にどうしても伝えたい 教養としての国際政治 戦争というリスクを見通す力をつける

  • KADOKAWA
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  • 本 ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046066589

作品紹介・あらすじ

国家が衝突する危険な世界を生きる知恵――
今の世界を正しく知るための必読書としてメディアで反響続々!

田村淳(タレント)推薦!
「戦争が起こる理由が分かった!各国の本音を知る上で必読の1冊」

小泉悠(東京大学先端科学技術研究センター准教授)推薦!
「ジャーナリストだから書けた、今の世界を読み解くための教科書」

入山章栄(経営学者)絶賛!
「日本が注目すべき安全保障問題をほぼ総なめ」

「テレ東WBS」「テレ東BIZ」客観報道で
圧倒的信頼を集める記者・キャスター豊島晋作氏待望の新刊!

米中関係、パレスチナ、インド、ウクライナ戦争…
世界で起きている戦争・紛争、大国の衝突の背景には、
各地の人々が長い年月で培った固有の“歴史と論理”が存在する。
注目の国と民族の動向を踏まえ、国際情勢の基本から深層までを徹底解説!
再来した〈戦争の世紀〉の中、日本は活路を見いだせるか?

第1章 次の大戦は起こるのか―米中戦争の論理
第2章 習近平は侵略戦争を始めるか―中国と台湾侵攻の論理
第3章 中国の圧力に耐えられるか―台湾の論理
第4章 世界を敵に回して戦う暗殺国家―イスラエルの論理
第5章 世界に見捨てられた抵抗者たち―パレスチナとハマスの論理
第6章 ウクライナ戦争の現在地―ロシアの”侵略三年目“の論理
第7章 世界の終末を阻止した人々―核攻撃の論理
第8章 西側のストーリーと対峙する―“新超大国”インドの論理
終章 世界に通用するナラティブとは―日本という”未完の論理”

「本書は、日本のビジネスパーソンにとっても必要な教養となりつつある
現代の国際政治の基本的な要素を、世界の視点を交え、
分かりやすく解説することを意図しています」(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 現在世界で争っている二国間の思いを論理と言う形で豊島さんが解説してくださいました。とても内容も理解しやすくと同時に日本と言う国の危機感を覚える内容でもありました。今後自分の生活の中で色々と考えるきっかけになりました。改めて勉強していきたいと思います。

  • テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」キャスター・豊島晋作さんによる国際政治の本。

    米中関係
    中国と台湾関係
    イスラエルとパレスチナ
    ウクライナとロシア
    核攻撃について
    インドの台頭
    日本の課題

    本当に目から鱗のわかりやすさ!
    世界を見る目がぱっと開けた感覚になりました。
    特にイスラエルとパレスチナ問題はニュースを見聞きしてもなんだかもやもやして理解しきれないことがあったのですが、両者の立場にたった言い分、それぞれの論理がとてもわかりやすく説明されていてすっきり理解することができました。

    それにしても世界はこれだけ積み上げてきた歴史があり、みんな学校でも歴史を学んでいるのに、どうして戦争はなくならないのだろう。
    この時期広島、長崎の原爆の日や終戦の日を迎えるたびにみんなが平和を思い平和を祈っているのに、世界は平和になるどころか、どんどん争いが増えているように感じて悲しくなります。
    人間の力では防げないならAIが戦争しないようにしてくれないかな。

    いくつもの核戦争開始の危機を、反対の主張をすることで救ってきた人たちがいて、今まだ核戦争は回避できているけれど、いつ思い違い、思い込み、誤認、誤作動、理性を失う、そんなことがきっかけで核戦争が起こるかわからないということが本当に怖いです。

    そして、いざ巻き込まれたら、きっとどの国も
    「国益と名誉を守らなければならない」
    という論理でひくにひけなくなってしまうのでしょう。

    日本の「ナラティブ・パワー」が弱い問題も知りました。

    日本にいると国内にも山積みな問題はあるからそちらに目が向くけれど、いつ戦争が起きてもおかしくないようなことがすぐ近くにあることにもっと気づいて備えていかないといけないと思いました。

  • ウクライナ戦争、イスラエル問題といった、今の世界で実際に起きている問題から、台湾海峡危機やインドの立ち位置など今後の国際政治のトピックになりそうな要素まで、分かりやすくまとめた書籍。

    あまりこの手の情報に触れない人にとっては、入門書として最適だと思った。

    ただ、自分のようにテレ東ワールドポリティクスを毎回欠かさず観ているような人にとっては、新たな情報はあまり多くなかったように感じたため、⭐︎を一つ減らして星3つとした。

  • 知りたい内容でした!

  •  2年前(2022年8月)に出た前著の続編とも言える内容。

     「えっ、2年も経ったのか!?」と一瞬驚いた。が、その後、世界は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の延長とも言える時間を過ごしているとも言える。

     前著が、ウクライナ戦争を中心に、翻って、日本の現状、台湾有事を考えるということで、終盤は対中国、そこでの日本の論理を展開したが、本書は、さらに視野を広めて、多くの当事者の論理を分析している。

     それもやむ無し、イスラエルのガザ侵攻などもあったものだから、ユダヤの論理、パレスチナの論理と、語らなければならない当事者が増えている。

     願わくば、もうこれ以上、”当事者が”増えないでもらいたい。

     前著同様に、いまや戦争というリスク抜きには何も語れないという論調で、国家間の紛争、衝突の危険性と、その実現リスクおよび、それを引き起こす各当事者の能力および論理を解説している。
     国際政治の入門書としては、面白い一冊にはなっている。

     折しも、ウクライナがついにロシア領内に侵攻するなど、事態は最終局面を迎えつつある。
     そこにまつわる各国の、世界の動きは興味深い。本書の分析を大いに参考に、趨勢を眺めさせてもらおうと思う。

  • 本書は、さまざまな文化や価値観を踏まえながら、戦争の論理を紐解いています。著者は初学者にも分かりやすいように単純化した論理で説明しながらも、国際政治の実態はより複雑であることを繰り返し強調しており、その誠実で丁寧な説明が好印象でした。

    戦争は単純な「正義 vs. 悪」という構図ではなく、「ある正義 vs. 別の正義」という側面が強いことを、本書を通じて改めて認識しました。どの国にもそれぞれの立場や主張があり、それが対立するために解決が難しくなるという現実に直面させられます。こうした視点を持つことで、戦争や国際関係に対する理解が深まるのだと感じました。
    また、本書は平和とは何か、どのように実現すべきかを考えるきっかけを与えてくれます。戦争を回避しようとする国々が、結果的に大規模な戦争に陥ってしまうという歴史的な事実は、現在の国際情勢においても重要な教訓となる気がします。各国の政策や行動の背景とその結果を理解することで、表面的な報道だけでは見えてこない世界の動きが学べると感じました。

    現代社会では、「自分さえ良ければ」「今さえ良ければ」という考え方が広がっています。しかし、過度な個人主義や短期的な視点が世界に深刻な影響を与える可能性があると、本書を読んで強く感じました。本書は、そうした価値観が国際政治に与える影響についても考えさせられる内容です。
    戦争は決して遠い世界の出来事ではなく、私たちの社会とも密接に関わっています。本書を読んで、国際政治を自分ごととして捉え、平和について真剣に考えることの重要性を改めて感じました。

    本書は初学者にも分かりやすく、政治の本を読む機会は少ない私でも、多くの学びや気づきを得られた気がした一冊でした。

  • なぜ戦争が起こるのか、どの国が悪いとかいう問題ではなく
    それぞれの国の言い分と歴史、そして軍事能力など様々な要因がある。
    日本もいつ戦争に巻き込まれるか分からない。
    それを回避するにはどうしたらいいのか。考えさせられる内容であった。日本の国会議員たちにこの意識があるだろうか。
    社会科の教科書としてもいいのではないかと思うぐらいであった。

  • __日本を含めて平穏に暮らす国家に住む人々が「平和」というときは、自分たちに「現状維持勢力のバイアス」がかかっていることが多い。

    平和への現状維持バイアス。他者の論理を知ることで、私たちの論理の偏りにも気づきますね。

    ・・・

    前提として、

    国家の意図と能力に注目する。

    能力があれば、脅威が存在する。

    意図とは各人間集団が歴史や経験を通して形成してきた論理。

    この論理を読み解くのは簡単ではないのだけれど、

    この本では主にアメリカ、中国、台湾、ロシア、ウクライナ、イスラエル、ガザ、インド、そして日本についてそれぞれ考えが提供されています。

    国家としての意図、国の政治制度によっても、何を基に意図を探るのか、論理を理解するのか、難しい。

    そして、リーダーの意図から分析するにあたっても、善悪や道徳、平和主義などの主義主張といった個人の説得力に依存するものを主題に据えない、ことが強調されています。

    戦争と平和の問題について、個々人が人間的な感情や論理をもって話すことは可能なのか、

    そもそも国家の論理が圧倒的に優先される国際関係を前に、

    どう個々人は国際政治に切り込んでいくことかできるのか、と少し無力感も感じがちですが、



    中国と台湾の対立の論理についての感想:

    日本や欧米にとっての現状維持という平和が、他者にとっては全く平和ではないことを理解する。台湾には論理があるのかないのか分からない。

    中国にとって、統一こそ、最終的な平和、正義につながるもの。台湾を統一できていないのは屈辱。どの国も、平和的手段が実現しない場合は、武力行使をしてきた。国家統一は中国にとっていかなる領土紛争よりも重要。能力は、段階的に増強している。

    台湾は、政党間で揺れる。与党民進党は、香港のように中国共産党に支配されるリスクがある以上、中国とは仲良くしすぎてはいけない。野党国民党・貿易関係の深い中国とは、ある程度は仲良くしないと台湾経済が持たない。

    ウクライナとロシアの対立の論理についての感想:

    ウクライナ戦争については前著でかなり深堀されていた。国際法はどこまで効果があるのか。ICCの逮捕状が出されることにより、日本としての責任も生まれると思った。

    - 2023年3月17日、ICCはウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領らに逮捕状を出した。
    - 2024年5月20日、ICCはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント国防相、ガザを事実上統治しているハマスの指導者3名に対して逮捕状を請求。逮捕状は、ICCの判事らによって正式に承認され、11月21日、ネタニヤフ首相とガラント前国防相、イスラム組織ハマスの軍事部門カッサム旅団のデイフ司令官の3人に逮捕状を交付。

    核共有とその効果としての核抑止について考える:

    ロシアの核抑止は機能していた、という論。

    NATOによる小見出しのウクライナ軍事支援は、急なロシアへの追いつめが戦争をエスカレートさせ、核使用のリスクがあるとの下で行われたとされ、結果的に通常兵器による攻撃が核兵器による報復につながるとの見方から、NATO側の慎重行動を促した。NATOはプーチンによる核の脅しに屈し、その間ロシアの軍備強化を可能にした。

    ロシアはベラルーシへの核共有により、核の脅しをより有効にした、という論。

    前提、NATOでは、(西)ドイツ、イタリア、ベルギー、トルコに核が配備されている。

    ロシアは2023年6月ベラルーシに配備を始める。この配備は、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟が決まったことに対抗する狙いがあり、ベラルーシから核兵器が利用される場合、アメリカはロシア領土ではなくまずベラルーシに報復すると考えられ、米露の全面戦争をひとまず避けられる。そ「全面戦争を避けられるのであれば、ロシアは本気で核を使うかもしれない」とNATO側が推測していることが重要なポイント。そしてこれにより相互核抑止が機能しなくなる恐れがある。

    イスラエルとパレスチナの対立の論理についての感想:

    国連決議や国際合意については、お互い都合のいい時、物について主張しているよう。

    イスラエルと、もともとのハマスの論理は完全に相いれない。どうしようもない。

    イスラエルの論理:殺される前に殺す。

    ネタニヤフ首相は国内で汚職疑惑なとで支持を失っていたさなか、ガザでの軍事行動をテコに世論を結束させ、不法に占領した土地に住む住民のさらなる市議を得て政権延命を図る。また、イスラエルの内在的な論理として、ハマスの攻撃な、ユダヤ人が持ってきた恐怖心と生存本能に火をつけた。実戦経験を持つ元軍人リーダーからなる武人政治の国家。殺される前に殺す(ロネン・バーグマン『イスラエル諜報機関 暗殺作戦前前史』)、という病的な心理がある。

    **__世界は同情するかもしれないが、結局は何もしない。であれば、自分たちで戦うしかない。たとえ世界を敵に回してでも、戦う**

    という決意に、再度火をつける。

    パレスチナの論理:1967年以前の境界でパレスチナ独立国家を樹立する。

    ハマス旧憲章(1988年)では、

    **13条「パレスチナ問題の解決に向けた提案や平和的解決または国際会議と呼ばれるところものもは、イスラームの抵抗運動の理念と対立する**

    7条では、誰かが殺しに来たら先に殺せ、と重なる論理を持っている

    新憲章(2017年)では、

    **16条「ハマースは、この戦いはシオニストの計画に対するものであって、彼らの宗教を理由としたユダヤ人に対する戦いではないことを強調する。ハマースは、彼らがユダヤ人であるためにユダヤ人と戦うのではなく、正に、侵略占領者であるシオニストに対して戦うのである」**

    **新憲章は、**7条のような敵対的表現もなくなり、コーランの引用も全くなくなり、反ユダヤ主義、イスラム主義的要素が後退した(山岡陽輝)、とのことです。

    国際社会的な了解事項は、

    イスラエルがパレスチナに占領地を変換し、パレスチナ国家を樹立する二国家解決で決着させるしかない。しかし、10月7日のハマスの攻撃で、ネタニヤフ首相はパレスチナ国家の樹立を否定し、二国家解決はもはや認めない考えを鮮明にしている。安保理も日本政府もアメリカも、1967年第三次中東戦争以降さらに入植を拡大してきたイスラエルに対して、1967年以前の境界を尊重するよう求めている。

    パレスチナの国家承認について、

    2024年5月 スペイン、アイルランド、ノルウェーがパレスチナ国家承認

    それ以前にはすでに139か国、しかし、G7はどの国も承認していない。その理由の一部として、2006年以来選挙がないなど、権力腐敗があるそうです。

    パレスチナ支援について、

    1994年‐2020年:アラブ国家は20%ほど。うち、サウジ10%、UAE5.2%。アメリカは対立しているようで一番の援助国であり、14.2% 欧州は全体で19%、日本3%。

    インドの論理ー合理的でさっぱりしている。

    日本について、

    インテリジェンス、つまり情報と分析が不十分。重大事態のどう対応するかという自らの論理について、日本か国民的な議論を避けてきた、と述べられています。

    さらにそれに加え、発信する力、ナラティブパワーもかなり弱い、と。相手が理解できる言語で伝えられるかが試されており、たとえばイスラエルから学べる部分が多い、とも論じられています。

    イスラエルの力は本当に軍事力だけではないなーと、あらためて。やっていること自体は悪であっても、そこに至るまでの背景、文脈を人々が加味する。そして、同情ではないけれども、完全に悪にはならないというか、国のなかにいる一人ひとりの生き様や体験に人々の目を引き付ける、というか。国際関係論中にあって、個々人を主体とするストーリーを持つ、とても不思議な国だ。

  • 今の国際情勢を知る、最も最新の情報が網羅されている本です。それもここまで読みやすく、わかり易く書かれている本はないのではないかと思えるほどの内容でした。この本こそ、多くの日本人に読んでほしいと、考えます。そして、今日本に足らない、ナラティブ思考を日本人が持たなければならないと思われました。

  • 戦争反対を唱えるだけで平和になると思考停止している平和ボケした多くの日本国民に読んでもらいたい本だと思った。
    西側の立場である日本では、西側が現状維持戦力、中国、ロシアが現状変更戦力とされているが、中国にとってのあるべき現状とは台湾も含んだ中国統一であり、ロシアの視点から見ると同胞であったウクライナにまで西側に取り込まれようとして現状変更されていると見ている。
    そんな各国の見え方について、中国、台湾、イスラエル、パレスチナ、インドの視点も紹介し、最後にこれらの国はナラティブを持っているが、日本のナラティブが弱いことに問題提起をして終わっていた。

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著者プロフィール

1981年福岡県生まれ。テレビ東京報道局所属の報道記者、ニュースキャスター。2005年3月東京大学大学院法学政治学研究科修了。4月テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸や与野党を取材した後、11年春から経済ニュース番組WBSのディレクター。16年から19年までロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカなどを取材。現在、Newsモーニングサテライトキャスター。ウクライナ戦争などを解説した「豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス」動画はYouTubeだけで総再生回数4000万を超え、大きな反響を呼ぶ。

「2022年 『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか 「独裁者の論理」と試される「日本の論理」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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