それぞれの韓国そして朝鮮: 姜尚中対談集

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  • 角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046211583

感想・レビュー・書評

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  •   これまでも何冊か姜尚中さんの本は読んでいるが、いつももどかしく感じるのはなぜだろう。
      近くて遠い国といわれる韓国。我々のように戦前を知らない者にとってこれは何故なのかが正直よく判らない。オリンピックのサッカー選手が見せたように、韓国の若者が何かと云えば日本に敵愾心を向けるのは何故なのか。彼らは戦前のことを知っている筈はなく、だから戦前から生きてきた人たちの怨念を引き継いでいるというのだろうか。
      確かに戦前の日本が行ってきたことは、朝鮮半島の人たちにとっては許せることではないのかも知れない。植民地化し、朝鮮の人たちを一段下に見下してきたのは事実なのだろう。と我々は歴史から学んできた。だからと云って、我々自身が現在、韓国の人たちを見下しているなんてことはありえないし、むしろその活力には敬服していると云ってもいいだろう。もちろん、在日の人たちに対して差別意識持つことなど考えても見なかったこと。中学校のとき、在日の人たちが多く住んでいる福島町という町が学区だったために、同じクラスにも何人も在日の仲間がいた。もちろん当時は在日という言葉は我々の中には存在しておらず、親が朝鮮人らしいという認識くらいで取り立てて気にしたこともなかった。少し不良っぽい奴が多かったのは事実だが、そんなこと気にもしなかった。差別など意識したこともなかったわけだ。ところが姜尚中さんの場合、在日であるが故の厳しい差別にあったことが繰り返し話しに出てくる。これはいったいどういうことなのだろうか。我々は子供だったが、むしろそれは親達の世代の問題が原因だったのだろうか。
      日本の歴史を振り返ると、朝鮮半島を経て多くの文化が伝わってきたのは事実だし、とりわけ百済の国からは数万という沢山の人たちが日本に渡来し住み着き、日本の様々な文化の礎になっているのは衆知のこと。日本人のDNAには韓国の人たちのDNAも混在しているわけで、本来的に日本人と韓国人は兄弟だと云ってもいい間柄ともいえる。言語的にも日本語と韓国語は近いということを聞けば尚更のことだ。
      こうした間柄の民族同士が何かと云えば相争うのはどうしてなのか。慰安婦問題、戦後の補償問題、まだ韓国側に疑義があるならば、解決済みと拒否するのではなく、しっかりと聞き、納得できるまで話し合うべきではないのだろうか。政治体制、風土、国民性、容貌などなど、中国とは比べ物にならないほど近い韓国という国を思うとき、これまでの政治の責任は大きいと思わざるを得ないのだが・・・・。

  • 対談集。ウェブの連載だったらしい。一部謎の人選もあり。

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著者プロフィール

1950年熊本県生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。主な著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』(以上岩波現代文庫)『ナショナリズム』(岩波書店)『東北アジア共同の家をめざして』(平凡社)『増補版 日朝関係の克服』『姜尚中の政治学入門』『漱石のことば』(以上集英社新書)『在日』(集英社文庫)『愛国の作法』(朝日新書)など。

「2017年 『Doing History』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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