- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046211859
作品紹介・あらすじ
内閣誕生のわずか5年前、2.26事件勃発時には、満州の憲兵隊司令官にすぎなかった男が、なぜ戦時の絶大な権力を手に入れるに至ったのか。共産主義の脅威、内乱勃発の危機、皇室の思惑、そして莫大な阿片の黒い金-。戦時宰相「東条英機」を生み出した背景と要因、その人間像を通して、日本敗戦へ至る道と昭和史の闇を暴く。
感想・レビュー・書評
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阿片の闇というサブタイトルに惹かれて読んでみた。満州の阿片による収入は、思いのほか巨額で、関東軍の軍資金として、東条の政治資金として、この闇の資金が、果たした役割は、想像以上に大きい。麻薬で資金を調達し、憲兵を使って、恐怖政治が日本で行われていたなんて。まるで、今の北朝鮮のようだ。まるで、みんな被害者のように振舞っているが、多くの国民が熱狂的な支持者でもあったことが恐ろしい。
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東条英機が軍部でどのようにして出世して、政権運営を行ったか、そのバックボーンを解説している。軍部内の立場や勤務内容などがそのまま政権運営につながっていることや、満州時代に支えた人脈とその後など興味深く描かれている。
ただ、内容が多少尻切れトンボな気がするのは私だけであろうか。最初にじっくりと進めて行っただけに最後の方は急に終わってしまったような気がする。関係者のその後の談を最初から中盤ではなく、最後の方でまとめると多少は違ったのかもしれない。 -
数年前に戦後の極東軍事裁判における東条英機を主役とした『プライド』と言ふ映画を観た。昭和天皇を守り、日本の言ひ分を訴へた東条英樹に感激し涙した事があった。
本書は戦中の政治家としての東条英樹の評伝である。
本書を「震災復興 欺瞞の構図 」の中で原田泰氏が引用してゐたので購読した。「東条英樹はミッドウェー海戦の大敗を知らなかった。」と。
読みながら、福澤諭吉の言葉を思ひ出した。
「人生は芝居の如し。上手な役者が乞食になることもあれば、大根役者が殿様になることもある。」
なるべきでない人が時の首相となった日本の不幸をつくづく感じた。
天皇に対する忠誠、尊王の心は感じるが、「皇国」を敗戦の憂き目に導いた東条首相はしかるべき評価、断罪をしなければならない。
最近の鳩山、管、野田と続く「大根役者」を戴く日本はどうなるのであらうか?
次は、筆者の「満州裏史 甘粕雅彦と岸信介が背負ったもの」か、福田和也「悪と徳と 岸信介と未完の日本」を読んでみたい。