- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046211903
作品紹介・あらすじ
生涯を「死と死に逝くこと」の研究に捧げたエリザベス・キューブラー・ロス。ロスが残した「蝶」の謎を追い、田口はポーランドの強制収容所跡へと向かう。生と死をめぐるシンクロニシティのなかで、看取りという現実に直面しながらロスを追い求め、捉まえた「死」と「意識」とは。
感想・レビュー・書評
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大好きだった祖母の名前が蝶。我が家では、とても親しみのある生き物。読むべくして読んだ本という気がする。おばあちゃまに会いたいな。
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死の研究しながら最後は孤独に死んだエリザベス・キューブラー・ロスの人生をたどりながら、著者は実生活でもアルコール依存症だった父を看取る体験をする。
デビュー作以来、壮絶な家族状況を直接・間接に公表してきた彼女だが、今回の作品はいっそう胸に迫った。
ひどい目に遭わされた父をここまで看たという猛々しい気持ちから、うらみつらみを昇華して「よく生きた」と父の生き方を肯定できるようになるまで、葛藤のなかで自分自身をみつめながら到達した思いは、ロスの思いと共振している。
引用部分にもはっと打たれる文章が多かった。求めているものに出合えた感じがした1冊。 -
どこへ向かうんだろう。まー、タイトルがあるわけで、蝶に収束するのかなとか思いつつも、著者の家族に関わる部分は、いくつかの他の作品でも書かれておりますが、こちらは、ついにその最終局面なんではないかと思います。そこがあっての、前段と後段の世界的な著名人を追うところにつながるのかってのは、わかりませんが、一つの焼結を見せる本作、その家族への思いがたっぷりと書かれております。全面的に賛成も共感もできないのですけど、そういう風に思いを帰結させたってのもらしいのかななんて思わせてくれる結びだったと思います。
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死について考える時に、死後のことを抜きにしては死ぬというのはこういうこと、と説明できない。ロスの死に対する説明は、本当にその通りなら少しは希望がもてるもののような気がする。
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ポーランドでは子供のころから蝶の絵をかく。収容所でも子供らが描いた蝶の絵が多く残っていた。
人は自分がしたいと思うことしかしない。それを知ることが重要だ。
全てのことにイエスという。人生はそのための学校なのだから。
私は大丈夫でない。あなたも大丈夫でない。だからそれで大丈夫。 -
201306
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著者が「死の瞬間」の著者 エリザベス・キューブラー・ロスについて調べている時に父が末期の肺癌になる。父親は重度のアルコール依存症で病院でも問題を引き起こす。
母も兄も亡くしている著者は一人で、父を看取る。
父の態度に怒り、時には憎みながらも精一杯父の生を支える。
過去に対する複雑な思いを抱きながら、懸命に父を看取った後、
ロスについての調査を進めた。
死後の世界について考える事は、身内を失った者なら誰しも経験があると思う。蝶にまつわる不思議な話にも心救われる気持ちがした。 -
最期に父がけい子さんに遺したことばと、半年後の夢で伝えた言葉。
この本の骨子だ。 -
たまたま、雑誌ですごくよい感想が載っていて、ちょうど認知症関係の
本を読みたいと思っていたので買ったんだけど、残念賞。
ロスの『死ぬ瞬間』は職業柄必読本で、すばらしいと思っている。
だから、ロスの引用部分は納得できたし、感心できたが、ほかの部分は
父親への思いや、医療従事者への偏見が強く、読んでいていやな気分になった。
つまり、この本自体がよいのではなくて、ロスの言葉が評価されているだけではないか?と思ったりして。(ごめんなさい)
田口ランディという人の文章は独特で、なんというか執念深いというか
強すぎて私はあまり好きじゃない。