歌集 西行の肺 角川短歌叢書

  • 角川書店 (2009年8月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (186ページ) / ISBN・EAN: 9784046217462

作品紹介・あらすじ

日々の移ろいのなかで発せられる自然な息が、この歌集には宿っているか――。著者の三十五歳から三十九歳のあいだに詠んだ四四〇首。

感想・レビュー・書評

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  • 吉川宏志は、あとがきに「短歌とは、つまり呼吸を伝え合う形式なのではなかろうか」と書く。その通りだと思う。私も、息をするように歌をうたいたい。
    「冬の樹はどのに行きしか騒がしきみどりのなかに鋭(と)き枝は消ゆ」「山沼に葉がびっしりと浮くように妻は笑えり顔でわらえり」「雨のなか一夜ありたる大石を春の光はあたためなおす」「脱ぐことのできぬ衣を彫られたる吉祥天は厨子にたちおり」「電話メモの紙片いくつも貼られあり欠勤つづく男の机」「辞めさせるべきだと言えど待たされきあるいは心を病みいるという」「怒りつつ入りしトイレに緑色の液体石鹼したたりており」「辞めさせよと言いたる我は何者か手から指へと洗いゆきたり」「この島を出でざる生の一つならむ翅くずれつつ赤蜻蛉とぶ」「ゆっくりと樹の寡黙さをまといゆく息子をつれて書店に入りぬ」「読みながら息はしずかに合いてゆく西行の肺大きかりけむ」

  • ひよどりがいくら啼いてもその声を吸い込んでゆく霜月の空

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著者プロフィール

1969年 宮崎県生まれ。京都大学文学部卒。塔短歌会主宰。
現代歌人協会理事。京都新聞選者。

歌集は『青蟬』(現代歌人協会賞)、『鳥の見しもの』(若山牧水賞、小野市詩歌文学賞)、『石蓮花』(芸術選奨文部科学大臣賞、斎藤茂吉短歌文学賞)、『雪の偶然』(迢空賞)など10冊を刊行。

評論集に『風景と実感』『読みと他者』がある。

「2024年 『叡電のほとり 短歌日記2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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