角川つばさ文庫版 きみにしか聞こえない (角川つばさ文庫 B お 1-1)
- 角川グループパブリッシング (2009年5月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046310187
感想・レビュー・書評
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5・6年前に『さみしさの周波数』を読んだ時は、どの話も共感できた。
だから、読んだことのなかった「Calling You」(きみにしか聞こえない)が読みやすくなったと聞き、ひそかに期待していたが、3編どれも「全員、ただの電波じゃねーか(苦笑)」と思ってしまい、ダメだった。
ただ、2000年代初期・乙一自身が若いうちからこの系統を書いていたことを考えると、文才がある人なんだな~、と思う。
今読むと、また違う感想を持つだろうから、別の作品や『さみしさの周波数』をもう1度読んでみたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
きっかけは同名の映画の試写を見たことですが、今回原作を読んで映画は少しだけ改変されていたのを知りましたが、そのときに感じた想いは原作を読んでもなお変わらず残っています。
他2編も切ないのに、児童向けなせいか結末は清々しい感じがしました。 -
この本を読んで、乙一さんのファンになりました。『時をかける少女』を少し思い出すような、切ない淡い恋のお話が入っています。
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いわゆる「白」の乙一といわれるせつない系の短編集。乙一が描く主人公は大抵、人付き合いが苦手で人間関係が希薄で他人の前では仮面をかぶって演技して、といったキャラ設定で、太宰治が描く人物像に近いものがあります。筆者の控えめな性格によるものでしょうか。
タイトル作の「きみにしか聞こえない」は、携帯も必要ないくらい友達がいないんだけど、空想の携帯を持ってるふりをしているうちに他の空想の携帯電話を持つ相手とつながってしまうという妄想の上に妄想を重ねたようなお話。で、電話相手とは微妙に時間差があったりして、今自分と話している相手が実は30分過去の相手だったりする。もちろん、より鮮やかなラストを演出するためにこういう状況設定をあえて創り出してるんですが、この辺りは筆者の得意とするテクニックです。うまいなあ。
さらに興ざめな話をすると、せつない気持ちを演出するテクニックとしては、「ほんとはそんなこと言いたくないし、やりたくないけど、ベストな解決策を考えたら自分の気持ちに反してもそうせざるを得ない」という状況に登場人物を追い込んであげることがポイントなんだなと実感。「本当は好きなのに嫌いっていわなきゃ相手が死んでしまう」っていう状況設定は典型的なパターンですね。
その他収録の「傷」は、他人の傷を自分に移動させることができる少年の話、「ウソカノ」は、彼女がいないのにいるフリをする(またも妄想キャラ。笑)二人の高校生の話。 -
友人が貸してくれた本です。
ライトノベルという類を読んだ事が無かったので、あまりの展開にビックリした。
面白いけど、その飛び道具は反則!と思いますw