ようこそ、古城ホテルへ 湖のほとりの少女たち (角川つばさ文庫 A こ 3-1)
- アスキー・メディアワークス (2011年9月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046311818
感想・レビュー・書評
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ホテルの女主人になる気はないかと問われるのは、追放された魔女、美貌の軍人、とある稼業から足を洗った娘、亡国の姫。
紅玉いづきらしさを児童文庫に封じ込めた作品。
これで新しい世界へと踏み出す子が増えると楽しいなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生向けの本ですが、作者が紅玉いづきってことで読んでみた。あとがきによるとシリーズものらしいです。紅玉いづきがシリーズものですって!なんで電撃でやってくれないの!?
ちなみにイラストも電撃大賞の人ですね。
このつばさ文庫、創刊当初はハルヒやスレイヤーズが移植されてたし、椋本夏夜とかいのうといぢといったラノベ絵師が表紙描いたりしてるし、最近はキノの旅もオリジナル話入れて出てるらしいし、つばさ文庫も侮れないなw
しかし改めて読んでみると、全ての漢字にルビが振ってあって読みにくいったらないw
・:*:・゜☆,。・:*:・゜☆,。
(あらすじ)
その古城ホテルは湖のほとりに佇んでいる。人でないものさえ泊まるという、不思議なホテル、マルグリット。そこに集められた四人の少女たちは、こう、言い渡された。「このホテルの女主人になる気はないか」魔山を追放された魔女、ビィ。所属を捨てた美貌の軍人、ジゼット。とある稼業から足を洗った、フェノン。そして亡国の姫君、リ・ルゥ。これは、少女たちと、不思議なホテルの、優しく切ない物語。
そういうわけで、「小学校中級以上」が対象なだけあって、別に面白くはなかったけど。
話としては、あらすじのとおり。4人の少女が最初は慣れない仕事に失敗し、互いを信頼できずに諍いがあって、でも協力し合って望んだものを勝ち取ろうとする話。
途中でそれぞれの過去話とか、ホテルにまつわる切ないエピソードなんかを交えつつ、最後はみんな仲良く大団円みたいな感じ。
俺も当時読んだ物語で、今になっても覚えているような本、今でこそもう一度読めば感銘を受けるであろう本はいくつか心当たりがあります。クレヨン王国とか。この「古城ホテルへようこそ!」も、今の小学生にとって、そういう作品の一つになったらいいですね。
しかし紅玉いづきの、なんというか固いんだけど優しい文体は健在。もちろん語彙や表現は子ども向けにレベルが落とされているんだけど、特に章の切れ目の締め方なんかは、大人である自分が読んでも「おぉう」と唸っちゃうような切れ味があった。
4人の中でも、特に亡国の姫君に関する描写が良かったです。国を滅ぼされ一族を皆殺しにされた絶望、それでも失わない王族としての誇り、何としても生き抜いていこうという覚悟、とかそんな感じのが、児童書らしく重すぎず、けどシンプルに苛烈に書かれていたと思います。
ファンタジーな舞台、世界の科学水準だとか魔術の設定なんかは「人喰い」三部作と似た感じかな。共通の世界観ではないにせよ、作者の中である程度固まってるんでしょうかね。
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ということで、なんせ簡単だし文字が大きいしページ数も少ないので1時間くらいで読めます。
紅玉いづきの電撃やMWの作品が好きなら、読んで損はないです。 -
それぞれ異なる理由で帰る場所を持たぬ四人の少女達。青銀の髪の少年に導かれて、古城ホテルの女主人候補となった彼女達の奮闘記。紅玉さんらしい、けれどもいつも以上に温かいおとぎ話です。四人の少女達の個性豊かさが際立っています。特にフェノンの性格がステキ過ぎてお気に入りです。賑やかで楽しく、何よりやさしい物語。続きが楽しみです。
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レーベルが児童書に変わったので、お話の空気感みたいなものも変わってしまうのだろうかと少し心配だったのですが。
児童書向けにルビが増えたのとアニメチックな挿絵が付いた以外は、いつもの紅玉さんと何も変わりませんでした。
まあ、子供向けなので内容が若干マイルドになっていはいますが...
胸の張り裂けそうな切なさも好きなので、今までに比べると少し物足りないかも。
ハッピーエンドになるようにってすごく気を使っているというか。
さすがに児童書で人喰いは出来ませんし...
紅玉さんのお話に挿絵は(特にアニメチックなのは)必要ないなっていうのはものすごく思いました。
なんだろう、すごく失礼だけれど、イメージが崩れてしまうような...
初めての続き物ということなので、次巻も楽しみにしています。 -
紅玉いづきさんの世界観が好きです。児童書ですが、大人でも十分楽しめると思います。続き物らしいので、それぞれ性格の違う4人が古城ホテルをどう仕切っていくのか、とても楽しみです。
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私の大好きな作家『紅玉いづき』氏が新作を出したと知って本屋に急いだ。『ミミズクと夜の王』以来、私は氏の作品の大ファンだった。けれど新作を本屋で検索したところで購入を躊躇うことになった。在庫が一冊しかなく、新作が児童小説だった為だ。
それでも結局購入した訳だが、読むべき読者はまだ幼い少女だったろう。想像の世界に羽ばたく翼を持った子供にこそふさわしい、ときめきに溢れた世界の物語だった。
私が購入したせいで、相応しい読者が手にする機会を奪ってしまった代わりに、誰かこの感想を読んで子供に買い与えたいと思う大人がでることを祈る。