バッテリーV (角川つばさ文庫)

  • 角川書店 (2011年12月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784046312105

作品紹介・あらすじ

強豪・横手二中との一戦から、巧と豪のすれ違いは続いていた。けれど、「最高のバッテリー」を目指す二人は、チームメイト達、そして、相手校の門脇、瑞垣らをも巻き込んで変化し、マウンドでの勝負に挑む――!!

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物たちの人間関係が限界まで煮詰まっていく第5巻。巧と豪はつかず離れずの距離感を掴みつつもあるが、いまだお互いの本音を測りきれずにいる。

    1巻では周囲を拒絶しているように見えた巧だが、5巻ともなると意外な一面を見せる。野球へのこだわりはそのままに、他人に対して彼なりの思いやりを発揮するのだ。豪と野球の話をしづらい時には、あえて自ら世間話や恋愛の話題を振る。
    しかし、日頃のストイックさとかけ離れすぎているせいで、豪は「なぜ今その話を?」と困惑するばかり。母親の入院中に弟と買い物をして料理を作るという巧に、豪は驚きを隠せない。巧なりに周囲と馴染もうとしているのだが、その試みは唐突で不器用なせいか、なかなか功を奏さない。青波だけは巧の優しさを知っており、それが豪に拒絶された時は、豪に強烈に怒ってみせる。巧にも色んな面があることを、分かっているのだ。

    一方、そうとは知らずに振り回されているとしか思えない豪は、言葉を発することさえ諦め、内側へと塞ぎ込んでいく。豪が巧の本気の投球を掴みそこね、手が震えるほどのショックを受けた瞬間、巧は次の球を豪が掴める威力に落とした。
    おそらく、豪に球を当てて傷つけまいとした巧の、彼なりの配慮だったのだろう。しかしそれが、かえって豪のプライドを決定的に引き裂いてしまった。巧の才能と優しさのギャップを受け入れられず、それでも彼の本気を受け止めようともがく豪の意地。この痛々しい摩擦さえも、ふたりの関係を動かす強烈な原動力となっている。

    悩みの尽きないこのふたりを引き続き掻き乱すのが、瑞垣と門脇のふたりだ。
    正直、私は中盤から瑞垣のパートが増えていく展開が不愉快だった。巧と豪のひりつく世界を見たいのに、瑞垣の相手を落とし込もうとした泥沼に、自らが溺れていくドロドロとしたコンプレックスが、物語を奪っていくように感じたからだ。
    門脇という絶対的な天才に追いつけない絶望を、理屈で理解していながら、感情が追いつかない。積年の思いをぶつけてもなお瑞垣の心は晴れない姿は、人を呪わば穴二つという結末さえも感じさせる。

    しかし、そんな瑞垣こそが本作の魅力を引き出す狂言回しなのだろう。
    野球が彼らを泥沼に引きずり込んだのなら、そこから抜け出す手がかりもまた、野球の中にしかない。自分の本音をごまかし続ける瑞垣は、ごまかせないと悟った豪や巧に勝てるのだろうか。

  • 映画化ドラマ化されました。
    微妙な年頃の心の葛藤。
    青春な感じがよかった。

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著者プロフィール

あさの あつこ:1954(昭和29)年、岡山県生れ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師ののち、作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリーII』で日本児童文学者協会賞、『バッテリーI~VI』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。著書は『福音の少年』『No.6』シリーズ、『弥勒の月』『アーセナルにおいでよ』など多数。

「2025年 『あなただけの物語のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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